書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。
中国地方整備局におけるBIM/CIMの取り組み
2026.09.15はじめに
中国地方整備局では、「中国地方整備局インフラDX推進計画」において、BIM/CIMによる建設生産システムの効率化・高度化を位置付けて、3次元モデルの活用を推進しています。
具体的には、調査・設計・施工・維持管理の全段階で3次元モデルを活用し、各段階で次の工程で必要となる3次元モデルやデータについて整備した上で、必要な情報をシームレスに引き継ぐデータ連携を強化した一気通貫の取り組みを推進しているところです。
また、効率化・省人化につながる技術の水平展開を目指し、さまざまな取り組みについて情報発信しています。
本稿では、これらの取り組みの中からインフラ分野におけるDX推進の重要なツールであるBIM/CIMの活用について、中国地方整備局の取り組みを紹介します。
中国地方整備局におけるBIM/CIMの取り組み
中国地方整備局では、BIM/CIMの活用を推進するに当たり、事業段階での活用場面を整理した「プロセスマップ」や「BIM/CIM活用事例集」を作成し、自治体を含めて活用の裾野を拡大することを目的として、ホームページ上で公開しています。
活用事例集では、中国地方整備局管内の各事業段階でのBIM/CIM活用事例について、具体的な活用内容や、その効果や課題、使用ソフトや詳細度などの情報を掲載しています。
また、これらの取り組みを分析した上で、調査設計・施工の各段階でのBIM/CIMの運用方法などを含めて整理した「BIM/CIM活用の手引き(案)」を作成しています。
さらに、建設事業の各段階にて作成された3次元データが後工程においても効果的・効率的に活用が可能となるよう「点群データを活用した地形モデル作成ガイドライン(案)」「CIM統合モデル作成ガイドライン(案)」を策定し、3次元モデル・データ連携による一気通貫の取り組みを進めています。
このように、整備局で得た知見を公開し、共有することで、具体的かつ効果的なBIM/CIM活用を推進するとともに、より高度な活用方法の創出に向けて取り組んでいるところです。
そして、2024年10月からは、「中国BIM/CIMサポート」制度の運用を開始しており、受注者向けの支援体制を強化しています。
この制度により、BIM/CIM活用支援を必要とする企業は、サポート企業・団体から必要とするサポート分野(初級~中・上級レベル)などを参照し、依頼することで、条件に合うサポート企業・団体から相談や助言、技術的指導を受けることができます。
情報公開による知見の共有から、企業間連携による技術力の向上など、さらなる活用に向けた具体的な取り組みを展開しているところです。
技術習得、能力向上の支援体制を強化し、DX人材の育成を推進
これからのインフラDXの推進には、BIM/CIMを含めたデジタルデータやデジタル技術の活用が重要です。
効果的・効率的に活用していくためには、知識や技能の習得が必要です。
しかし、知識や技能の習得には、教材や機材、時間などの学習環境が必要とされ、発注者や受注者にとって環境整備が重要な課題となっていました。
このため、中国地方整備局では、25年3月にインフラDXの人材育成教材として、BIM/CIMやICT施工の基礎知識・技術を簡単に学べるeラーニングサイトをホームページ上に開設しました。
このサイトでは、発注者と受注者それぞれに向けたコンテンツを提供しています。
また、本eラーニングは、ナレーション付きの解説動画のため、各項目から受講内容を選択でき、研修テキストもダウンロードできますので、テキストを見ながらの受講が可能です。
項目ごとに到達度テストも用意していますので、学習した内容の理解度を確認することができます。
さらに、中国地方整備局では、2024年 12月に最先端のインフラDX技術を体験できる拠点として「中国インフラDXセンター」を中国技術事務所敷地内に開設しました。
この施設では、3次元測量、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)、ICT建機の遠隔操縦に加え、全国初の機能を搭載したバックホウシミュレーター(VRシステムオブザイヤー2024受賞)や、空間コンピューターを活用したリアルな体験コンテンツを提供しています。
例えば、屋外に建設予定の災害対策車両倉庫を体験ルームに重ね合わせ、倉庫内部を確認することもできます。
このように、BIM/CIMを始めとした各種デジタル技術やデータ活用に向けたリテラシーの向上や技能習得などが可能な施策を推進し、今後のインフラDXを推進する上で核となる人材の育成を発注者・受注者の両面から強化・推進しています。
仕事の変革(DX)に向けたデータ連携の社会実装や環境基盤の整備への取り組み
DX推進のためには、仕事のアプローチそのものを変革していくことが重要です。
変革に向けた取り組みの第一歩として、3Dモデルを活用したデータ連携の社会実装や建設現場でのデジタルツインの推進、日常の管理の効率化・高度化に向けたプラットフォームの構築などの取り組みを進めています。
各種取り組みの一例として、鋼橋の設計と工場製作のデータを連携する試行工事の実施や、デジタルツインへの対応としてICT施工StageⅡの推進、管理の効率化・高度化として出張所DXなどの取り組みを進めています。
おわりに
2026年より、中国地方整備局インフラDX推進計画もセカンドステージを迎えます。
BIM/CIM活用の高度化、i-Construction2.0の推進に加えて、生成AIをはじめとして進歩が著しく多様化するデジタル技術への対応力の強化が必要です。
このため、仕事のアプローチを変革し、職員を含めインフラ分野に携わる各人のスキルアップや新しい仕事へのチャレンジが可能となるよう時間の創出に向け、より意識的に取り組み、情報を広く共有し、インフラ分野のDXを推進してまいります。
【出典】
最終更新日:2026-09-15
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