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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その3》

2014年3月17日

 

山政睦実×現場主義
http://const.livedoor.biz/

 

タッチパネルに対応したMicrosoft Windows 8

レノボ ThinkPad Tablet 2

レノボ ThinkPad Tablet 2


昨年10月には、Microsoft社のOS、「Windows」もバージョンアップし、タッチパネルに対応した「Windows 8」になりました。
これに伴い、各パソコンメーカーからタッチパネルを搭載した端末が続々と発売されています。
今までのWindowsOSを搭載した機種のようなデスクトップ型やノートパソコン型の他、タッチパネルに対応したことでタブレット型の端末や、キーボードと切り離すことができるセパレート型などが登場しています。
 
その中で、今回比較するのは、レノボ社から発売されている「ThinkPad Tablet 2」。
この端末は、キーボードを付属しないタブレットタイプ型で、持ち運びにも便利な軽量タイプとなっています。
 
 
iPadとの比較

iPadとの比較


写真の通り、端末を縦にすると、iPadなどと同じように表示画面が90度回転します。
また、側面のスイッチで、回転をオフにすることも可能なので、不意に画面が回転してしまうのを防ぐこともできます。
大きさはタフパッドと同じ10.1インチで、9.7インチのiPadと軽く、細長いといった感じです。
 
 
 
入出力端子(microSDやUSB端子)

入出力端子(microSDやUSB端子)


非常に軽量で、厚さ9.8mmの端末ですが、側面には、HDMI出力、USB端子にmicroSDカードスロットやSIMカードスロットを備えていますので、一通りのことを行うことができます。
USBメモリを接続すれば、通常のパソコンと同じように、メモリ内のデータを編集することができるため、現場でも事務所と同じような編集作業を行うことができます。
 
 
 
キーボード画面

キーボード画面


文字入力は、他のタブレット端末と同じように必要な時に、キーボードを表示させることが可能です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
タブレット・ペン

タブレット・ペン


また、この端末は指での入力の他、タブレット・ペンによる入力が可能なため、手書き入力をスムーズに行うこともできます。
現場で軍手をしている状態でも、入力や操作ができる上、タブレット・ペンは、端末の上部にすっぽりと収めることができるため、紛失防止にもなります。
 
さらに背面側には800万画素のリアカメラを搭載していますので、写真を撮影してそのままメール添付やOfficeソフトへの貼り付け、さらには電子納品編集なども可能です。
表側にも200万画素のフロントカメラを搭載しているため、現場からのテレビ会議への参加などを行うこともできます。
 
直射日光下での視認性(左:Nexus7、右: ThinkPad)

直射日光下での視認性
(左:Nexus7、右: ThinkPad)


直射日光下での視認性について、Nexus 7と比較してみました。
ThinkPad Tablet 2のディスプレイは、反射性が高いため、架空線が鏡のように映り込んでいるのが分かります。
視認性の程度はNexus7とほぼ同じで、直射日光下で長時間使用するには厳しい状態でした。
 
 
 
 
 
 
 

比較した5機種のまとめ

最後に今まで紹介した機能をもとに、建設現場での使い勝手を表2にまとめてみました。
iPadやNexus7の防じん性・防水性については、防水ケースを利用することにより性能を得ることができるので「△」としています。
 
使い勝手判定
 
タフパッドには、非常に強固なセキュリティを標準で本体に備えています。
ソフトウェアによるセキュリティ対策以外に、物理的に分離したセキュリティプロセッサーを搭載し、そこに暗号鍵を格納していますので、万が一本体を紛失した場合も情報が漏えいすることはないでしょう 。
 

7.9インチのiPad mini

7.9インチのiPad mini


Apple社からは今までのiPadのミニ版として、11月にiPad miniが発売されました。
iPad2やiPad Retinaディスプレイモデルが9.7インチなのに対してiPad miniは7.9インチ(Nexus 7は7インチ)になっていて、片手でも持ちやすい大きさの上、重さも約半分になっています。
防水ケースなどに入れても現場で操作するのにちょうど良い大きさになります。
 
 
 
 
 
 
左からタフパッド、iPad Retina、iPad mini

左からタフパッド、iPad Retina、iPad mini


建設現場の環境は、土木・建築・設備などの分野で大きく異なりますし、その中でも作るものによっても環境が大きく異なります。
安価なNexus 7に防水ケース程度の対策で使用することができる環境もありますし、逆に炎天下の現場ならCAMELUSが、大型パネルでデジタイザーが利用できるタフパッドが有利な環境もあります。
また、導入するシステムによって、OSが異なります。
Windows8であれば、Windows上で動いていた今までのアプリを使用することができます。
環境やシステムなど、それぞれの条件から最適な機種を選択すると良いでしょう。
 
 

まとめ

図面や書類といった必要な資料などのファイルを事前に段取りして持って行くのではなく、タブレット端末を使用することにより、必要な時にその場で必要なファイルを開くことが可能となります。
また、紙ファイルでは、事務所などに忘れた時には取りに戻る必要がありますが、タブレット端末ならサーバーなどに接続することにより、いつでもさまざまなデータを見ることができます。
そういった無駄な時間や段取りに必要だった時間を省くことができるので、直接的に業務を効率化することができます。
 
タブレット端末市場において、OSは乱立時代を迎えています。
各OSに対応した端末が今後もさらに増えていくことでしょう。
OSや端末の性能を良く理解して、使用する環境やシステムに対応した端末を選択する必要があるでしょう。
 
 
 
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その1》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その2》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その3》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 



現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その2》

 

山政睦実×現場主義
http://const.livedoor.biz/

 

特殊ディスプレイを持つタブレット端末

都築電気「CAMELUS-R」

都築電気「CAMELUS-R」

建設現場など、屋外で使用する場合、必ず問題になるのが、防水・防塵・耐衝撃ですが、もうひとつ問題になるのが、太陽の直射日光の下での画面の視認性になります。
 
強い直射日光の下では画面が黒くなって視認性が悪くなりますが、通常の液晶画面ですとタフパッドのようにバックライトを強化することで、視認性を上げています。
これとは別に、太陽の明かりを逆に利用したディスプレイが「mirasolディスプレイ(ミラソルディスプレイ)」です。
 
これは、携帯電話で有名なアメリカのクアルコム社が開発したディスプレイで、外光を利用してディスプレイを発色しているため、直射日光の光が強いほどきれいに画面を見ることができます。
さらに、バックライトを使用せず、かつ屋外でフロントライトなしでも画面表示できるため、省電力であり、バッテリも長持ちします。
 
都築電気から発売されたAndroidタブレット端末「CAMELUS(キャメラス)は、このmirasolディスプレイを国内で唯一搭載し、耐衝撃・防水対応のケース内に本体を収納した業務用の「頑丈モデル(CAMELUS-R)」も発売されています。
 
雨の中でも使用可能、落下にも耐えられる

雨の中でも使用可能、落下にも耐えられる


このモデルもタフパッド同様に、120cmの高さからの落下に耐え、防塵・防水性能はIP54(防塵性規格:有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない、防水性規格:あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない)を備えています。
 
これにより、建設現場などでの過酷な条件下でも問題なく端末を使用することができます。
本体には、ネックストラップがついていて、首や肩から下げることができるため、立ったままでの操作も楽にできます。
 
 

Googleから発売されたNexus 7

Google「Nexus 7」

Google「Nexus 7」


Nexus 7(ネクサス セブン)は、Google Nexusシリーズのひとつで、Googleが販売している端末です。
Apple社がiOSの端末としてiPadを作るように、Google社が純正Android端末として販売しているものです。
さらに、このNexus 7は、16GBタイプのもので、直販価格19,800円という安価で入手することができます(2012年11月現在)。
純正Android端末だけあって、Android OSは最新(2012年11月現在)の4.2が搭載され、7インチ端末に使いやすい工夫がされています。
なんと言っても、安価に手に入れることができるのが、最大の特徴です。
 

 

Nexus 7とCAMELUSの比較

直射日光下での視認性(左:CAMELUS、右:Nexus 7)

直射日光下での視認性
(左:CAMELUS、右:Nexus 7)


基本的に画面サイズや耐衝撃性や防水性が異なるので、一概に比較するのは難しいですが、OSのバージョンやカメラ有無、バッテリの容量に大きな差があります。
 
もちろんNexus 7には防塵性や防水性、耐衝撃性を備えておりませんので、現場で気兼ねなく使用するには、別途防水ケースなどを購入する必要があります。
 
まずは、mirasolディスプレイの実力を試すために直射日光下での画面の視認性について2機種を比較してみました。
 
 
 
 
CAMELUS(左)、Nexus 7(右)

CAMELUS(左)、Nexus 7(右)


結果は写真でも一目瞭然ですが、バックライト式のディスプレイではどうしても画面が見えづらくなります。
その点、太陽の光を利用して発色しているmirasolディスプレイは、直射日光が強いほど、逆に発色が良くなります。
 
では、曇り空や室内の場合はどうでしょうか。
 
曇り空になると、バックライトのあるNexus7の方が、発色がよくなりますが、mirasolディスプレイも問題なく画面内の文字を読み取ることができます。
 
 
蛍光灯下での視認性(上:CAMELUS、下:Nexus 7)

蛍光灯下での視認性
(上:CAMELUS、下:Nexus 7)


次に、室内での視認性について試してみました。蛍光灯を点けた部屋の壁際で、比較してみましたが、バックライトを持つNexus7はもちろんきれいに見ることができますが、mirasolディスプレイのCAMELUSでも、まったく問題なく、読み取ることができました。
これは蛍光灯の光でも、mirasolディスプレイがしっかりと発色できていることになります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その1》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その2》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その3》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 



現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その1》

 

山政睦実×現場主義
http://const.livedoor.biz/

 

はじめに

2008年に日本でもApple社の「iPhone」が発売され、2010年5月にはタブレット端末である「iPad」が発売されたことをきっかけに、スマートフォンやタブレット端末を持つ人が非常に増えています。
 
さらに、最近大手建設会社を中心に、タブレット端末を一括導入する会社のニュースを良く聞くようになり、いよいよ建設現場でも浸透し始めてきました。
 
端末市場においても、昨年には Android本家のGoogle社から7インチタブレットNexus7や10インチタブレットのNexus10が発売され、11月にはApple社から7.9インチのiPad miniが、また年末には満を持した形でAmazon社から
Kindle Fireなどが続々と発売されています。
 
さらに、過酷な条件下にさらされる建設現場向けのタブレット端末として、Android OS搭載したパナソニック社の「TOUGH PAD(タフパッド)」や都築電気社の「CAMELUS(キャメラス)」などが発売され、各種展示会などで展示されている試作機も含めて、さまざまな端末が今後も登場してくることでしょう。
 
今回は昨年登場した2台の建設現場向けタブレット端末について、iPad RetinaディスプレイモデルやNexus7、Windows8のタブレット端末と比較しながら、使い勝手を比較してみました。
 
比較する5機種の基本的性能一覧(2012年11月現在)
 

頑丈な端末、TOUGH PAD(タフパッド)

TOUGH PAD
パナソニック社から登場した「TOUGH PAD(タフパッド)」、建設現場内でよく使われているタフネス性能を重視した「TOUGH BOOK(タフブック)」と同じシリーズで、その名の通り頑丈(タフ)構造になっているタブレット端末です。
120cmからの落下試験にも合格し、防塵・防水性能もIP65(防塵性規格:粉塵が中に入らない、防水性規格:あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない)という高い性能を持っています。
 
OSにはGoogle社のAndroid4.0を採用していますので、GooglePlayで配布されている多くのアプリを利用することができます。
また、microSDカードスロットを備えていますので、本体に差し込むことにより、簡単にカード内のデータを端末で開くことができます。
もちろん、現場のネットワークに接続すれば事務所のサーバー内にあるデータを現場で見ることもできます。
さらにいつでもネットに接続可能な3G通信モジュール内蔵モデルも用意されています。
タフパッドを雨の日に実際に屋外で使用

 
タフパッドを雨の日に実際に屋外で使用してみました。
 
雨の量は10mm/h程度だったので、ちょうど現場作業を中止にするかどうか程度でしたが、タフパッドは全く問題なく使うことができました。
液晶画面に雨が直接当たっていましたが、指での操作も問題なくできます。
 
 
 

端子カバー

端子カバー


本体には、電源接続部やmicroSD挿入口、USB端子、HDMI出力端子などを備えていますが、それぞれの端子部には、防水用のゴムパッキンを備えたカバーがついていて、これによって高性能な防塵・防水性を確保しています。
 
本体の重さは約1kgあるため、長時間持って使用するには、少し重たい感じがします。
欲を言えばネックストラップなどが付いていると操作するにも楽ですし、持ち運びにも便利になるでしょう。
 
カメラもフロントとリアの両方に装備し、フロントは200万画素、リアは500万画素の画素数を持ち合わせていますので、テレビ会議に利用したり、現場の状況写真を撮影するには十分な性能を持っています。
 
デジタイザーと背面ホルダー

デジタイザーと背面ホルダー


ディスプレイは通常のタブレット端末と同じように、マルチタッチに対応したタッチパネルになっているので、指での操作のほか、デジタイザーにも対応しています。
これなら現場で軍手を着けている時でも、デジタイザーペンを利用して細かい操作を行うことができます。
デジタイザーペンは背面にあるホルダーに格納することができるので、必要なとき取り出して便利に使うことができます。
 
 
 
直射日光下での視認性 (左:Nexus7、右:タフパッド)

直射日光下での視認性
(左:Nexus7、右:タフパッド)


屋外で利用したときに画面が見やすいように、約500cd/㎡の高輝度液晶を搭載し、さらに反射対策としてAR(Anti-Reflection)反射防止処理が施されていますので、直射日光下でも画面が視認できないということはありませんでした。
 
タフブックなどでパナソニックが長年培ってきたタフネス構造を搭載したタフパッド、今後この手の端末が多く登場してくる中で、本命といえるタブレット端末になることでしょう。
 
 
 
 
 
 
 

iPadに防水ケース

そのままでは全く防水性のないApple社のタブレット端末「iPad(アイパッド)」シリーズですが、本体を建設現場など過酷な条件でも利用できるようなさまざまなケースが登場しています。
今回は、防水ケースをiPadに装着して、先ほどのタフパッドと一緒に屋外で使用してみました。
 

iPad防水ケース

iPad防水ケース


今回、実験に使用したiPad用の防水ケースはこちら。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三重のジッパー

三重のジッパー


この防水ケースは、防水性能IPX8(防水性規格:継続的に水没しても内部に浸水することがない)の性能を持っています。
iPadを挿入する部分は、三重のジッパーになっており、水の浸入を防ぐ強固な構造となっています。
 
 
 
 
 
 
 
リアカメラ部とイヤホン端子

リアカメラ部とイヤホン端子


フロントカメラの使用はもちろん、リアのカメラ部も防水ケース内に入れている状態でも撮影ができるように透明になっています。
さらに、イヤホン端子は、ケースの外側まで防水性を保ったまま延長されているため、イヤホンやスピーカーを接続することも可能です。
 
この防水ケースには、ネックストラップが付属されているため、使用時は首に掛けたり、持ち運び時は肩から掛けることで、本体を落下させるリスクを減らすことができます。
 
 
 
雨天での使用

雨天での使用


タフパッド同様に、雨の中へ防水ケースに入れたiPadを持って行ってみました。
 
防水ケースに入れたiPadは、今回比較している端末としては、IPX8という最上級の防水性能を持っているため、雨天の屋外でも全く問題なく使用することができます。
操作性も問題なく、指に画面がついてくる感覚のままでした。
 
 
 
 
シャワーにて防水性検証

シャワーにて防水性検証


さらに、バスルームにて、シャワーでの直撃実験を行ってみました。
防水ケースに入っていることにより、シャワー直撃の影響は全くなく、さらに指での操作も問題なく行うことができました。
 
防塵・防水性のないiPadですが、防水ケースに入れることにより、高い防水性を持った端末にすることができましたが、耐衝撃性を備えたわけではないので、落下や接触などには注意しなければなりません。
また、充電は毎回本体をケースから出さないとできないため、ケースへの入れ替え作業が発生し、不便さが残ります。
 
 
 
 
 
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その1》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その2》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その3》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 



施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《後編》

2014年3月11日

 

一般財団法人 経済調査会
積算技術部技術調査室長
吉沢 毅

 

施工パッケージ型積算方式の積算方法

積算単価への補正

施工パッケージ型積算方式における積算作業とは非常にシンプルであり、標準単価を積算単価に補正することが積算作業の大部分を占めています。
補正式のイメージは前述の通りですが、実際に活用される補正式を図-3に記載しました。
 

図-3 実際に活用される補正式

図-3 実際に活用される補正式


標準単価から積算単価への補正に用いる代表機労材規格は、機械では最大3規格、労務では最大4職種、材料では最大4規格、市場単価では最大1規格が採用されます。
 

補正の具体例
【基本的な補正例】

標準単価から積算単価への補正事例として、アスファルト舗装工 表層(車道・路肩部)【45~55mm・1.4m以上・密粒度AS20・タックコートPK-4・標準単1,484円/㎡】について、積算単価【名古屋単価(H24.10)】に補正する計算を、次の通り実施しました。
 

補正例 1)アスファルト舗装工[基本的な補正]

補正例 1)アスファルト舗装工[基本的な補正]


この補正式では、機械・労務・材料の東京(H23.9)と名古屋(H24.10)の価格比を、表層(車道・路肩部)における機械、労務、材料のそれぞれの構成比に応じて反映させることによって、標準単価を積算単価に補正しています。
 

【労務費等の割増への対応】

豪雪地域や夜間等の特殊条件の割増例として、アスファルト舗装工 表層(車道・路肩部)【45~55mm・1.4m以上・密粒度AS20・タックコートPK-4・標準単価1,484円/㎡】について、積算単価【名古屋単価(H24.10)】の労務費構成部分に対して20%の割増を施す事例を以下に実施しました。
名古屋(H23.10)の労務単価に1.2を乗じた単価を用いて補正を実施しています。
 

補正例 2)アスファルト舗装工[労務費の割増]

補正例 2)アスファルト舗装工[労務費の割増]

【代表機労材規格以外への対応】

アスファルト舗装工 表層(車道・路肩部)の代表機労材規格には再生アスファルト混合物は設定されていません。
代表機労材規格と一致しない規格を使用する場合、積算基準書に記載された類似規格の機労材構成比を適用します。
再生アスファルト混合物を使用する場合は、平均幅員と標準締固め後密度が一致する機労材構成比を採用します。
 
次の事例は、アスファルト混合物について密粒度AS20の代わりに再生密粒度AS20を適用したものです。
積算地区のアスファルト混合物の材料単価に再生密粒度ASの単価を採用し、それ以外に採用する単価は、密粒度ASと変わりません。
 

補正例 3)アスファルト舗装工[代表機労材規格以外]

補正例 3)アスファルト舗装工[代表機労材規格以外]

課題

施工パッケージ型積算方式では積上げ積算方式のような下位代価表が存在しないため、設計書は簡素化されました。
しかし、ここで挙げた3つの事例のように、積算単価への補正については、必ずしも簡素とは言い難く、これを手計算で実施するのは非常に困難と言えます。
また、積算単価への補正を表計算ソフトで対応することも考えられますが、代表機労材規格が多岐にわたることや、施工パッケージが今後も拡大される予定であることからも、推奨し難いものと思われます。
 
 

まとめ

ユニットプライス型積算方式と同様に施工パッケージ型積算方式は、受発注者双方の積算労力の軽減等を目的と
したものですが、その目的を達成するためには、積算ソフトを活用することが前提とされたものと考えざるを得ません。
受発注者双方に積算労力の軽減をもたらすために、施工パッケージ型積算方式に対応した積算ソフトの普及が待たれます。
 

【主な参考文献】

●「施工パッケージ型積算方式の解説」平成24年6月(一般財団法人経済調査会)
●「経済調査研究レビューVOL.11」平成24年9月(一般財団法人経済調査会)

【主な施工パッケージ型積算対応ソフトウェア】

●土木積算システム『メビウス ZERO』吉備システム(株)
直感性に優れた画面作りになっており、パッケージ化された単価の内訳構成を「機械経費」「労務費」「材料費」で区分することにより、内訳構成を明確に把握でき、さらに計算式や単価・金額の変更、さまざまな詳細設定が可能である。
帳票印刷にも対応しているので、施工パッケージ内訳構成の出力・印刷が可能であり積算業務の負担軽減が期待できる。
 
●土木積算システム『ATLUS REAL』(株)コンピュータシステム研究所
施工パッケージの構成(機・労・材)および計算式を確認しながら算出が可能。
また、機・労・材の構成比率の編集や基準単価・標準単価の入替・編集など詳細設定が行え、出力・印刷も可能。
さらに従来、機労材構成表にはない数量を構成比・単価比から参考値として算出が可能。
算出した参考数量は要素ごとの集計や実行予算作成等に活用可能である。
 
●土木工事積算システム『GaiaRX Ultimate』(株)ビーイング
施工パッケージ型積算方式「積算単価計算」機能を搭載し「施工パッケージ型積算方式」の補正計算式を用いた積算単価計算および補正計算式を実際に画面で確認ができる。
また、対応工種の各代表機労材規格には数量の概念はないが、標準単価表の値から推測される数量を参考値として表示可能。
その参考数量を利用して数量の拾い出しが可能になるため、実行予算書の作成など利益計画の策定に効果を発揮する。
 
 
 
施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《前編》
施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《後編》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 



施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《前編》

 

一般財団法人 経済調査会
積算技術部技術調査室長
吉沢 毅

 

はじめに

国土交通省では、受発注者双方の積算労力の軽減等を目的とした「ユニットプライス型積算方式」を平成16年度より一部の工事で試行してきました。
しかし、「ユニットプライス型積算方式」に対しては、価格の妥当性への懸念、価格の透明性確保や弾力的な変更等の課題が指摘されてきたところです。
そこで、「ユニットプライス型積算方式」の課題を改良した新たな積算方式として『施工パッケージ型積算方式』が、平成24年10月1日以降に入札を行う土木工事(港湾空港関連を除く)から試行導入されました。
 
本稿では、施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応についてとりまとめました。
 
 

施工パッケージ型積算方式の概要

施工パッケージ型積算方式は、施工単位ごとに機械経費、労務費、材料費を含んだ施工パッケージ単価を用いて直接工事費を算出する積算方式です。
 

導入スケジュール

施工パッケージ型積算方式は、平成24年10月1日以降に入札を行う国土交通省の直轄土木工事(港湾空港関連を除く)から試行導入されました。
 
今回導入された施工パッケージは、ユニットプライス型積算方式の先行工事区分(舗装、道路改良、築堤・護岸)で使用していたユニットを基に作成された63の施工パッケージです。
これらに対応する85施工歩掛は、平成24年10月より積算基準書から削除されています。
 
国土交通省では今後、平成24年度の試行状況を踏まえた上で、施工パッケージを拡大する予定です。
具体的には、ユニットプライス型積算方式の拡大工事区分(道路維持、道路修繕、河川維持、河川修繕、砂防堰堤、電線共同溝)から検討される方針であり、将来的には特殊な工種を除き、施工歩掛を用いた積上げ積算は、減少するものと考えられています。
 

ユニットプライス型積算方式との相違点

施工パッケージ型積算方式は、ユニットプライス型積算方式と同様に、歩掛の代わりに総価契約単価合意方式において合意された単価データを蓄積し、それを分析して積算に用いるものですが、以下の相違があります。
 
①応札者単価の活用
②標準単価や補正式の公表
③作業土工の分離
④間接工事費の分離

 
①について、実態を踏まえた適切な価格を設定するために、受注者との合意単価だけでなく応札者単価も活用。
②について、具体的なユニットプライスは非公表でしたが、価格の透明性を確保するため、「標準単価」および「標準単価から積算単価」へ補正する補正式を公表。
③について、数量変動が生じやすく、きめ細かな設計変更が困難であった作業土工を分離し、弾力的な変更ができるよう改善。
④について、ユニットプライスには一部の間接工事費を含んでいましたが、施工パッケージ型積算方式における間接工事費の計上手法は、既に浸透している積上げ積算方式と同様の手法とし、施工パッケージ単価は直接工事費のみで構成。
 

施工パッケージ型積算方式の仕組み

施工パッケージ型積算方式の仕組みは図-1の通りです。
 

図-1 施工パッケージ型積算方式の仕組み

図-1 施工パッケージ型積算方式の仕組み


主な用語の定義と解説は、表-1の通りです。
 
表-1 主な用語の定義・解説

表-1 主な用語の定義・解説

【積算】

施工パッケージ型積算方式では、標準単価を積算単価に「補正」することで積算を行います。
標準単価は、基準地区における基準年月の単価であることから、積算に用いるためには、積算地区における積算年月に対応するための「補正」が不可欠です。
 
補正は標準単価に機労材構成比を反映した積算地区と基準地区の機械・労務・材料それぞれの価格比を乗じることで、時点補正と地域補正を同時に行います。
標準単価から積算単価への補正の基本的な考え方は図-2の通りです。
 

図-2 補正式のイメージ

図-2 補正式のイメージ


補正に必要となるデータとその出典は、表-2の通りです。
 
表-2 データの出典

表-2 データの出典

【入札】

入札の段階では、工事費内訳書から応札者単価を収集します。
国土交通省の発注工事は、そのほとんどが工事費内訳書の提出を求める一般競争入札方式で実施されていることから、応札者単価の収集に際して、受注者の負担は増大しないものと、国土交通省では考えられています。
 

【単価合意】

国土交通省の直轄工事では、平成22年度より総価契約単価合意方式を導入しました。
工事の総額による入札・契約後、請負者が提出した内訳書を基に、細別(レベル4)ごとの単価等について、受発注者が協議および合意し、単価合意書を書面により締結します。
ここで合意された合意単価と入札時の応札者単価が単価分析の対象となります。
 

【単価分析】

単価分析では合意単価に加え応札者単価が活用されますが、国土交通省では以下のデータは解析に用いないことで、一定の精度を確保するとしています。
 
①低入札調査基準価格や特別重点調査の価格以下で応札がなされた場合
②統計的にみて著しく応札額が高い場合
③工事費内訳書が発注の細別区分と一致していない場合

 
単価分析に当たっては、全国の収集単価を東京の単価に補正することで解析が行われ、最頻値(または平均値)を「標準単価」として設定します。
 
過当競争や恣意的な単価操作の影響を受けたことが考えられる場合や、発注地域や工事工種の偏りといった特殊要因の影響を受けた場合には、施工実態や他の物価指数との乖離が発生する懸念があります。
このため国土交通省では、複数年の単価傾向や「施工状況調査」によって把握される施工実態等を踏まえた上で、標準単価を設定するとしています。
 
なお、当面の間は合意単価等のデータがありませんので、「標準単価」や「機労材構成比」は、現行の土木工事標準歩掛を基に設定されています。
 
 
 
施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《前編》
施工パッケージ型積算方式の概要と積算の対応《後編》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 



 


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