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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

発注者が推進するダムCIM-立野ダム工事事務所の事例-

2022年9月26日

はじめに

当事務所は、i-Construction推進モデル事務所の一つとして、立野ダム本体建設事業を3次元情報活用モデル事業として取り組んでいるところである。
ダム事業の調査・測量・設計、施工、維持管理を通して、一元的にCIMモデルを共有・活用、発展させ、業務・工事の効率化・高度化を図るためにCIM活用の試行・検証を行っている。
 
ここで得られた知見やノウハウは、全国BIM/CIM担当者会議や整備局内のダムCIM分科会において共有することで、後発事業へ生かされる方針となっている。
 
本稿では、現在の立野ダム建設事業におけるCIMの取り組みについて報告するものである。

 
 

CIMの取り組み概要

当事務所におけるCIMの取り組みは、下記の3つを柱として、職員一人一人が問題意識を持ち、検討を行っている。
 
①総括CIM:阿蘇にふさわしい風景の追求
②施工CIM:地元企業にも着目した施工管理の合理化
③管理CIM:維持管理段階を見据えた管理手法の検討と体制づくり
 
今回は、このうち、今後の地元企業などへの展開を見据え、施工CIMに関する取り組みについて述べる。
 
 
基礎掘削
堤体基礎掘削工において、丁張設置の省力化を目指し、MGおよびMCを搭載したバックホウと、MGを搭載したブレーカを用いたICT土工を実施しており、従来工法であれば、丁張を1,000本近く設置して施工すべきところが、ICT土工により0本にでき、省力化が図られた。
 
また、掘削期間中の出来高・工程管理において、横断測量などの現場測量作業が不要となることによる省力化を目指し、3次元モデルを用いた出来高管理を実施した。
 
 
コンクリート数量算出への活用
コンクリート岩着部の施工数量算出は、凹凸の大きい地形から数量を求めるため、従来は2~5m程度の小間隔で横断測量を実施し、平均断面法にて数量を算出していたが、3次元地形モデルの活用により、横断測量が不要となり、試験的に実施した箇所では約60%の省力化が図られた。
 
 
遠隔臨場立会
法枠工の出来形管理において、UAV写真測量から得られる高密度な点群データを用いたPC上での出来形計測を行った。
点群データをモデル化し、法枠工の「法長」、「延長」、「吹付枠中心間隔」の出来形管理項目においてPC上で距離を計測し、現地測量作業の省力化を図るとともに、監督員検査においても、現地立会を行わず、机上確認での検査を実施し、その効果検証を行った。
 
また、基礎処理については現場で実施した検測などの動画を情報共有システムに登録することで、任意の時間に監督職員が確認を行うという手法の試行も行っており、高価な設備投資を行うことなく実施した。
 
これは地元Cクラスの施工業者が多くの投資をすることなく、気軽に取り組めるよう日常使いを念頭に試行した結果であり、i-Constructionモデル事務所の一つの目的である3次元データ活用の普及にあたる取り組みであると考えている。

岩着部の数量算出イメージ

図-1 岩着部の数量算出イメージ

遠隔立会イメージ

図-2 遠隔立会イメージ



 

今後の展開

立野ダム本体工事のように大手JVの施工会社においては、3次元データおよびCIMモデルを活用することにより、工事、数量算出、異工種間の調整、遠隔立会について、効率化・高度化が図られている。
一方、工事の多くは地元企業が受注することが多いことから、それほどの投資をしなくても、CIMに取り組めるように検討を進めているところである。
今後、当事務所が発注する工事などにおいて、地元企業が日常的に、効率化・高度化を図っていくための仕組みづくりが必要であるため、具体的な取り組みについて紹介する。
 
 
3次元データによる契約図書の取り組み
本事業においては、ICT活用工事により取得された点群データを活用するために、工事施工中および完成後の仮設工事用道路について、3次元データを作成し、本体工事と周辺工事(地元企業)との施工調整および工事契約図書の変更を行う取り組みを実施した。
従来の発注図面に加え、施工対象箇所および周辺の地形を3次元化し、発注データの一部として契約後ではあるが、提供した。
現在、受注した地元の施工業者と情報共有システムKOLC+)を活用し、受注時、施工途中、竣工時の各場面において、3次元データの活用方法や効果、地元企業による修正方法やデータの更新方法についてワークフローを整理するとともに、技術的課題を抽出し、改善策の検討を行っているところである。
 
 
施工管理の効率化、監督検査の合理化
施工管理の効率化、監督検査の合理化を目指し、施工管理に特化した情報共有システム(CIMPHONYPlus)を試行導入している。
想定している活用のメリットは、受発注者間で、特別なソフトウエアをインストールすることなく、①掘削形状などの「見える化」が可能となる、②掘削実績による断面確認、土量算出、出来高管理、出来形管理の作成が可能となる、③施工状況をVRへ出力し、遠隔立会が可能となる、④受発注者間で3次元モデルを共有し、そのモデルを活用し、設計変更などの協議が可能となる。
 
現在、工事受注者を交えた検討会を定期的に行っており、施工上の課題の解決策、施工調整、活用状況や効果について意見交換を実施し、メリット・デメリットの抽出、整理を行い、今後の活用方針について整理している。
 
 
情報共有による協議の省力化・省人化
現場で取得する点群データ、3次元モデルを受発注者間で情報共有システムを活用して共有することにより、協議時の見える化と職員のPCで気軽に3次元モデルを確認できる環境を構築し、協議の省力化、省人化を図っている。
また、情報共有システムの利用が、地元施工業者の負担とならないよう、事務所でシステム環境を構築・提供し、どのような効果があるのか、また、それぞれの活用場面を整理することで、今後、発注を予定している工事においても遠隔臨場機能や3Dモデル閲覧機能などの積極的な活用を推進していくことが可能となると考えている。

施工調整モデル

図-3 施工調整モデル

3次元モデルの共有イメージ(KOLC+)

図-4 3次元モデルの共有イメージ(KOLC+)
   出典:https://kolcx.com/feature/overview/



 

おわりに

本年度の取り組み成果による課題などを整理し、次年度以降の工事において、さらに地元企業にCIMが浸透していくようにさまざまな取り組みを行い、CIM活用を進める方針である。
 
さらに本事業は2年後には管理段階に移行することから、施工時の情報をどのように継承していくか、管理において必要なCIMモデルとは何か、どのようにすれば活用することができるのか、事務所としてのメリットは何か、といったユースケースの検討を進めている。
これらの取り組みについては、i-Constructionモデル事務所における成果として、ダム事業のみではなく、さまざまな工種において効率化・高度化を図るための基礎資料となるよう、取りまとめを行い、局内で展開したいと考えている。

 
 

国土交通省 九州地方整備局 立野ダム工事事務所 建設監督官
弓削 琢郎

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集1 建設DX、BIM/CIM
建設ITガイド_2022年


 
 



九州地方整備局における三次元管内図の取り組み

はじめに

河川CIMの基本フレーム化からスタート
九州地方整備局(以下、整備局)は、河道管理を目的とした河川CIMの導入を平成27年より進めており、これまでに河川CIMの基本フレーム(図-1)(以下、基本フレーム)を代表河川で構築している。
また、本年度からは河川管理の高度化・効率化を図るために河川CIMで培った知見をDX技術に発展させるための検討を進めているところである。
 
 
三次元管内図へ応用・発展へ
この一環として、河川の水系や管理区間の三次元地形データを基礎資料として表示する「三次元管内図」の構築にも取り組んでおり、整備局ではこれに基本フレームを応用・発展させている。
 
本稿では、整備局の基本フレームの構成や活用事例を紹介しながら、「三次元管内図」の概要について紹介する。
なお、本稿でいう「三次元管内図」とは、河川管理用三次元活用マニュアル(案)(2020)の「閲覧機能、GIS機能、検索機能を備えたもの」である。

基本フレームの構成

図-1 基本フレームの構成



 

モデルの概要

基本フレームとは?
河川管理に用いるデータは膨大であり、全てを三次元化することや各種データをモデルに紐付けるとデータ容量が大きくなり、一般的な規格のPCではモデルの動作性が低下し、日常的な使用に適しない。
シンプルかつ職員が使い勝手がよいシステムとするためには職員が日常で活用したい情報を厳選し、必要最低限の情報で構成する必要がある。
このためモデル構成は全体モデル、詳細モデルおよび応用モデルの3部構成とした(図-1)。
なお、各河川共通の基本的情報を全体モデルと詳細モデルに分類し、これを基本フレームとした。
これに、応用系モデルで各河川が抱えている課題に対して必要に応じ、詳細モデルに情報を追加することとした。
情報量が膨大になることが想定されるため、全体モデルから確認したい箇所の詳細モデルへ移行し、必要情報を確認できるなど、操作性も踏まえて検討を進めた。
 
なお、全体モデル、詳細モデルの閲覧については、ICT施工などで事前に保有していたソフトとの互換性なども考慮した上で無償ビューワソフトAutodesk Navisworks Freedomを使用してモデル内容や職員PCでの操作性を検証した。
なお、Autodesk Navisworks Freedomの機能として延長・面積計測や任意箇所の断面化などが可能である。
 
 
全体モデルとは?
全体モデルは、管内全体の地理空間情報を三次元地形上で確認できるモデルとして構築している。
そのデータ構成として、既存の管内図、治水地形分類図を用いて空間的な位置情報を把握し、また、詳細モデルへの索引図としての機能も持たせている(図-2)。
 
 
詳細モデルとは?
詳細モデルは、「川の概要を知る」ために航空写真、河川図(S=1:2500)、距離標を詳細地形に合わせて三次元化したモデルと「川の弱点を知る」ための定期縦横断(4時期)を同様に三次元化したモデルから構成している。
詳細モデルはメッシュデータと点群データの2種類を検討している。
点群データは、既存の横断図は確認できるものの、点の集合体であるため地形に近づくと形状が分かりにくくなる課題がある。
このため、活用場面に応じたモデルの選択なども必要となる。

全体モデルと詳細モデル

図-2 全体モデルと詳細モデル



 

三次元管内図各種データのイメージ

三次元管内図への各種データの取り込みイメージを図-3に示す。
 
 
河床変動および植生の発達状況の把握
河床変動の把握を目的として2時期の河道地盤高を基に標高差を算出し、河床変動量を色付きの点群データとして構築した。
構築したモデルを詳細モデルに追加することで、構築範囲の土砂の侵食や堆積している箇所の把握が容易となる。
加えて、管理基準面が設定されている河川であれば、それとの河道地盤高の標高差を算出することで、河川管理が必要な箇所をより具体化させることが期待できる。
 
また、河道内樹木の把握も同様に行うことで、定量的な評価などが可能となる。
 
 
河川環境情報図の重ね合わせ
植生や生物などの情報を整理した河川環境情報図を地形モデルに重ね合わせたモデルを詳細モデルに取り込むことで、保全対象種が好む物理的環境の特徴把握やその後の地形変状による予測などを行うことが可能となる。
 
 
地質構造の把握
既存の地質データを基に地質縦断図と横断図のパネルダイアグラムを詳細モデルに読み込むことで、地質構造の把握を可能とする。
 
活用事例として、堤防や樋管構造物における変状要因の考察や河床掘削における土質区分確認などが可能となる。
 
 
事業による背後地への影響把握
河川整備計画の形状をCADデータなどから三次元化し、詳細モデルに読み込むことで、事業による現況施設や背後地への影響について事前に三次元空間上で把握することが可能となる。
 
活用事例として、整備後の景観、用地協議対象物、改築が必要となる既存施設などを確認することができ、地元説明や関係機関調整などを行う上で非常に有用なツールとなることを期待している。
 
 
竣工図の重ね合わせ
既存の二次元竣工図を三次元化し地形データと重ね合わせることで、その後の維持管理に活用することが可能となる。
 
活用事例として、河床洗掘後における低水護岸基礎の健全度を評価することが可能となる。
なお、構造物データの三次元化については、詳細部分まで三次元化すると作業量が増えるため、目的に合わせて、構造物の三次元化を簡略的にモデル化するなど河川ごとに随時検討する必要がある。

三次元管内図各種データのイメージ

図-3 三次元管内図各種データのイメージ



 

おわりに

三次元管内図の整備に当たっては、全河川共通情報のほか各河川の課題解決に向けて、適切なデータが組み込まれているのかを意識して行うことが必要である。
 
その中で、三次元管内図が、維持管理・調査・計画設計・施工の各河川管理段階の状態を確認・連携するプラットフォームになると期待している。
 
今後は引き続き三次元データの引継ぎ手法の事例を蓄積し、PDCAサイクルの仕組みを構築し、現場の河川管理のDX化に向けた足がかりとしたい。

 
 

国土交通省 九州地方整備局 河川部 河川管理課

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集1 建設DX、BIM/CIM
建設ITガイド_2022年


 
 



地方の中小事業者の挑戦、BIMの次の活用

2022年9月24日

地方で設計者のBIM連携を考える

弊社は2013年からBIMを使い始め、今年で9年目に突入した。
意匠図はBIMから書き出し、建築主との打合せもほぼ3D画面を見ながら行っている。
 
ところが、付帯する設備図、構造図は、2次元CADで書かれたものを使っており、設備配管のルート確認や干渉チェック、意匠図との整合性確認は人の目でアナログ的に行っている。
自社には設備や構造の担当者がいないため、協力事務所への依頼となり、BIMでの連携ができない状態だ。
 
意匠図をうまくBIMで扱えるようになってくると、やはり次のステップに進みたくなる。
より設計全体の効率化を図っていくために、設備や構造との連携事例と、地方設計事務所の動きをご紹介する。

 
 

地方でも施工段階での設備&構造の連携は十分可能

鉄骨造10階建て共同住宅で、意匠図は全てBIMベース、構造と設備は2次元CADでの作図を行った実施案件があった。
設計BIMデータは意匠モデルのみ。
施工段階でのチェックもほぼ2次元図面で行っていた。
 
各専門業者と打合せをする中で、鉄骨の製作所はREAL4を導入していたため、製作図のIFCを取得し意匠図との連携を図ることができた。
また設備業者はTfasで施工図を作成していたため、これもIFCを取得。
これらを設計BIMモデルにインポートして、スリーブ位置や天井納まり、配管ルートなどの確認を行うことができた。
3D上で見ると非常に分かりやすく、設計BIMモデルのデータを生かしながら施工図レベルのモデルを使って検証できた点は良かった。
 
問題だったのは、元請の施工会社がBIMデータを扱えなかったことである。
設計事務所、各下請業者は施工図レベルでBIM連携できるデータを持っているにもかかわらず、肝心の元請が使えないので、結果的にうまく有効活用できなかった。
 
鹿児島に限らず、地方ではこういう事例は多いと思う。
構造躯体と設備等との干渉は、事前に綿密に確認をしておかなければ、現場では手直し不可能である。
鉄骨製作所、設備業者とも「IFCデータを要望されたのは初めて」というリアクションで、実は施工段階で活用できる3Dデータは揃っているのに、それを扱えず、無駄になっているのが現状だ。
 
BIMデータを使えばもっと品質の良い建物が高い生産性で生み出せるはずで、ベースになるデータはほぼ揃っている。
ここに気付けば、後はうまく活用するだけなので、多くの施工会社にぜひ気付いてほしい(図-1~4)。

REAL4データ

図-1 REAL4データ

Tfasデータ

図-2 Tfasデータ



 

構造設備の統合モデル

図-3 構造設備の統合モデル

構造設備意匠の統合モデル

図-4 構造設備意匠の統合モデル



 

より連携を深める挑戦・令和3年度国交省BIMモデル事業「中小事業者BIM試行型」

設計と施工を明確に切り分けて、2次元図面を契約図面とし、図面に基づいて施工していくのが現状の商習慣だが、品質、生産性という観点からはこれが必ずしもベストだとは思わない。
かといって、全て設計施工一括で行うのが理想とも思わない。
現状の商習慣にとらわれず、生産プロセス全体の効率化を意識した上で、うまいやり方はないか?と思っていたところ、令和3年度の国土交通省BIMモデル事業の公募の話があり、鹿児島の地場施工会社とチームを組み公募に挑戦、採択に至った。
 
まずは設計の初期段階で、コストや工程などで施工上懸念される事項を洗い出し、生産プロセスの適正化を図るための取り組みを考えた。
施工コンサルという立場で、施工会社にもBIMモデルのクラウドサーバーにアクセスしてもらい、3D上で仮設計画や共有しながら情報交換、必要項目の設計への反映を行った。
仮設計画を行うための敷地状況は、iPhone12ProのLiDARで点群をスキャニングし、モデルにインポートした。
このようなやり方もBIMならではである。
 
次に、構造、設備、その他専門業者とのBIMデータ連携を考えた。
今回はRC壁式構造で、計算ソフトはWALL-1を使用、これがIFCの書き出しもST-Bridgeでの出力もできなかったため、残念ながらデータ連携はできなかった。
設備はTfasで作図し、IFCデータにて連携することができた。
金物やサッシなどの専門業者でArchicadを使っている企業があったため、クラウドサーバーにアクセスしてもらい、BIMモデルを確認してもらいながら、細かい施工納まりの打合せができた。
 
確認申請についてもBIMデータを使っての取り組みを行った。
弊社では2018年にも実施しているが、今回はBIMデータのみでの申請はかなわなかった。
これは実例があまりに少なく、審査側の人材が育っていないことも一因である。
実例が少ないという点は、設計者側の責任も大きいと考える。
また、消防についてもオンライン・電子化での対応を交渉してもらったが、受け入れられなかった。
実務で申請業務は避けて通れないが、ここがBIM化・電子化できてないのはボトルネックである。
 
積算にもBIMモデルを活用した。
数量算出の精度を確認するため、通常の手拾いと併用している。
施工段階で改めて数量の精度を確認し、最適なモデル入力、算出手法を確立していきたい。
 
次のステップは、施工モデルに変換して活用することだ。
鉄筋のモデリングや施工図の書き出し、モデルベースでの配筋検査、工程監理にチャレンジしたい。
 
通常、設計モデルと施工モデルは分けて作られることが多いが、今回は小規模建築のため、基本設計から最終的な検査完了までを一つのモデルで進めている。
これらについて、それぞれどのようなメリットがあるのか、しっかりと検証したい。

 
 

最新の取り組みは地方にある!

Archicadを使っているユーザーは、各エリアにユーザー会を結成し、定期的に情報交換や勉強会を行っている。
これが、レベルが非常に高いのだが、ほとんどが地方で活躍している設計者だ。
 
BIMはCADに比べるとかなり複雑で、規模の大きい物件をいきなりBIMで進めるのは、難易度が高いと思う。
地方での物件規模は大き過ぎず、小さ過ぎず、最初にBIMに取り組んだり、新しいアプローチでBIMを活用したりするのに最適な案件が多いと感じている。
 
その上、近年はセミナーなどもオンライン化が進み、新しい道具もすぐに手に入る。
もはや都心にいなくても、最新の情報に容易に触れることができるようになった。
 
小回りの利くチームで、ほどよい規模の物件となれば、先進的な取り組みも多くなっていく。
このような動きが各地で起きてくると、日本の建築業界も大変面白いものになってくると感じる。
 
ただ、まだまだ地方では、発注者側にBIMのメリットが伝わっていない。
そのため、発注者側からのBIMの要求は皆無である。
 
本来、BIMを使うことの最大のメリットを享受するのは「建築主」ではないだろうか。
見慣れない図面ではなく誰でもイメージしやすい3Dモデルで打合せができる。
模型とは違いイメージどおりの建物ができる。
そのデータを使って施工コストを適正化するとか、維持管理コストを簡単に管理することができる。
BIMで建物を生産することにより建築主が享受するメリットは非常に大きいものがある。
 
われわれ技術者も、技術を追求していくだけでなく、それを一般的なものとし、広く普及していくフェーズに変えていかなければならないのだろう。

仮設計画との統合

図-5 仮設計画との統合

配管モデルとの統合

図-6 配管モデルとの統合



 

周辺敷地は点群データをインポート

図-7 周辺敷地は点群データをインポート

打合せはオンラインがメイン

図-8 打合せはオンラインがメイン



 

全体ワークフロー案

図-9 全体ワークフロー案



 
 
 
 
 

吉田浩司 プロフィール

【執筆者】
吉田浩司
株式会社ixrea 代表取締役
一級建築士、一級建築施工管理技師、認定BIMマネジャー
公益社団法人鹿児島県建築士会、一般社団法人鹿児島県建築士事務所協会 所属
 
2020年より公益社団法人建築士会連合会青年委員会九州ブロック青年委員を担当
福岡大学建築学科非常勤講師(建築情報のBIM授業担当)


【略歴】
鹿児島県出身
国立都城工業高等専門学校建築学科卒、国立大学法人鹿児島大学大学院理工学研究科建築学専攻修了。
大手組織事務所、地場設計事務所勤務を経て2013年に鹿児島にて(株)ixreaを設立。
設立当初よりArchicadを導入しBIM活用を進める。
2018年にBIMデータによる確認申請を実施。
鹿児島で設計中の案件が令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業に採択され、推進中。

 
 
 

株式会社 ixrea
代表取締役 吉田 浩司
吉田 浩司



 

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集2 建築BIM
建設ITガイド_2022年


 



公共土木工事における新たな技術への取り組みについて-「遠隔臨場」と「デジタルデータを活用した配筋検査」の試行の取り組み -

2022年9月17日

はじめに

人口減少社会を迎えた現在、建設産業は働き手の減少を上回る生産性の向上や、また、建設業就業者の高齢化が進行するなど多くの課題を抱えている。
 
このような現状を打破するために、国土交通省では、平成28年より「建設現場の生産性革命」に向け、i-Constructionを推進しており、ICTの活用やコンクリート工の規格の標準化、施工時期の平準化をトップランナー施策として位置付けている。
また令和元年6月に改正された公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)により情報通信技術の活用等による生産性向上への取り組みや働き方改革の推進が位置付けられ、発注者の責務として、より良い品質のインフラを国民に提供するため監督・検査内容の充実、体制の確保と生産性向上が必要とされている。
 
また、令和2年には新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的とし、建設現場においても人と人が密になる環境を避けるための非接触・リモート化を推進しているところである。
 
本稿では、ICT技術の活用により、建設現場の生産性向上とともに、公共工事の品質確保、品質確保の高度化の取り組みとなり、また非接触・リモート化の促進が期待される施策である建設現場における「遠隔臨場」と「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測(配筋検査)」について紹介する。
本技術は、施工のプロセスを変革し、業界や職員の安全性や作業環境の改善につながり、建設分野のインフラDXの推進施策としており、建設業や国土交通省の文化・風土や働き方を変革し、安全・安心で豊かな生活の実現に資するものである。

 
 

改正品確法と情報通信技術の活用

品確法は、公共工事の品質確保に関して基本理念を定め、国などの責務を明らかにするとともに、公共工事の品質確保の促進に関する基本的事項を定めることにより、公共工事の品質確保の促進を図り、国民の福祉の向上および国民経済の健全な発展に寄与することを目的としている。
 
令和元年の改正では、建設業・公共工事の持続可能性を確保するため、働き方改革を促進するとともに、発注者の責務として「公共工事などの監督および検査並びに施工状況などの確認および評価に当たっては、情報通信技術の活用を図る」ことが、受注者においては「情報通信技術を活用した公共工事などの実施の効率化などによる生産性の向上」が盛り込まれた。
 
改正品確法を受けて、現状における受・発注者ともに限られた人員での監督・検査のさらなる充実を図るため、①合理的で不正の抑制に効果的な監督・検査方法、②受発注者相互による新たな品質管理マネジメントのあり方について、情報通信技術の活用の検討を進めている(図-1)。

情報通信技術の活用(品確法より抜粋)

図-1 情報通信技術の活用(品確法より抜粋)



 

監督検査における情報通信技術の活用の検討

施工データの改ざんなど不正行為を抑制・未然に防ぐとともに、現場での確認作業の効率化に寄与することを期待できるものとして、施工状況の映像記録の保存、施工データの自動計測やクラウド管理などのICT(IoT)の導入を検討している。
 
施工状況をビデオ撮影により記録・保存することで、見られていることによる不正行為の抑止効果や工事現場の見える化による不安全行動の抑止となり、また、近景での撮影により、映像の解析技術などを併用することで映像記録・保存したデータを出来形確認に活用し、監督・検査業務の効率化への寄与も期待できる。
 
これらの技術の導入により「不可視部分の施工状況把握の充実」、「不正行為の抑制」、「確認作業の効率化」、「工事書類の削減」の効果が発揮されると考える。
 
こうした技術の活用に当たり、実現場で試行工事を行い、「映像のみで施工状況を把握する方法」、「データ改ざんなどを防止する技術の確立」、「ICT導入に関する基準類の整備」などの考えられる課題に対応・検討していく。

 
 

建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト

国土交通省では、内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(通称PRISM)の一貫として2018年度より「建設現場の生産性を飛躍的に向上させるための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に取り組んでいる。
 
本プロジェクトは、生産性向上に資する革新的技術を公募、現場実証し、技術の導入効果などを検証することで、革新的技術の現場への導入・活用を促進する取り組みで、特に技術の公募に当たって「建設業者」と「建設業者以外の者(IOT関連企業、大学等)がコンソーシアムという形式でチームを組むことを条件付けることで、従来の発想にとらわれず、民間企業などが保有する有用な技術を発掘することを狙いの一つとしている。
 
これから紹介する「遠隔臨場」と後半紹介する「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測技術」は同プロジェクトで開発され、土木工事における出来形、品質管理の高度化などを図る技術の代表的な事例である。

 
 

建設現場における遠隔臨場の試行

『遠隔臨場』とは、ウエアラブルカメラ等による映像と音声の双方向通信を使用して「段階確認」、「材料確認」と「立会」を行うものである。
遠隔臨場の効果としては、発注者は事務所・出張所・詰所などから施工現場への往復の移動時間を削減することができる。
また、受注者は監督員の臨場における日程調整や立会待ちによる施工時間のロスを防ぐことができるため、両者にとっての業務効率化に寄与すると考えられる。
図-2、3に概要と効果のイメージを示す。
 

遠隔臨場の概要

図-2 遠隔臨場の概要

遠隔臨場の効果

図-3 遠隔臨場の効果


 

遠隔臨場については、各地方整備局において平成29年度から試行を継続的に実施しており、試行による受発注者の意見をアンケート調査として集約している。
直近の令和3年度に実施したアンケート調査では、「時節に関する事項(コロナ感染症予防等)」や「時間に関する効率化(監督職員などの待ち時間の削減や検査時間の調整など)」において最も効果を感じた理由であるとの結果により遠隔臨場の有用性が確認されている(図-4)。
 

令和3年度に行った試行におけるアンケート結果(効果が感じられた項目と理由)

図-4 令和3年度に行った試行における
   アンケート結果(効果が感じられた項目と理由)


 

試行における各種要領を定める上では、直近のアンケート調査結果を反映することとし、令和2年3月には初版である「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領(案)」(以下、試行要領)、「建設現場における遠隔臨場に関する監督・検査試行要領(案)」を策定し、直轄土木工事の「段階確認」、「材料確認」と「立会」において、遠隔臨場の試行に取り組むこととした。
以後、継続した試行により試行要領を一部改定していることについても併せて述べることとする。
 
これらの試行要領は、遠隔臨場を適用するに当たり、受発注者の作業効率化を図るとともに、契約の適正な履行として施工履歴を管理するため、以下の事項について適用範囲や具体的な実施方法と留意点などを示したものである。
 
・適用の範囲
・遠隔臨場に使用する機器構成と仕様
・遠隔臨場による段階確認などの実施および記録と保管
 
 
1)適用範囲
遠隔臨場の機器を用いて、『土木工事共通仕様書(案)』に定める「段階確認」、「材料確認」と「立会」を実施する場合に適用する。
 
受注者が動画撮影用のカメラなどにより撮影した映像と音声を監督職員などへ同時配信を行い、双方向の通信により会話しながら確認するものである。
この際、監督職員などが確認するのに十分な情報を得ることができた場合に、臨場に代えることができるものとする。
監督職員などが十分な情報を得られなかったと判断する場合には、受注者にその旨を伝え、通常どおりの段階確認を実施する。
 
なお、監督職員が実施の場合は、録画や写真は不要であり、確認実施者が現場技術員の場合は、使用するPCにて遠隔臨場の映像(実施状況)を画面キャプチャなどで記録し、工事情報共有システム(ASP等)に登録して保管する(図-5)。
 

令和2年度方針における各仕様

図-5 令和2年度方針における各仕様



 

2)使用機器と仕様
遠隔臨場に使用する動画撮影用のカメラなどの機器は、受注者が準備、運用する。
 
(1)映像と音声の「撮影」に関する仕様
本試行に用いる動画撮影用のカメラなどの機器による映像と音声の「記録」に関する仕様を表-1に示す。
なお、 映像と音声は、別々の機器を使用することができるものとし、夜間施工等における赤外線カメラや水中における防水カメラなどの使用や固定カメラの使用なども妨げるものではない。
 
機器の仕様については、当初試行した現場においてはズーム倍率を上げると画像が粗くなるため、配筋状況を確認する上からハイスペックを望む声を反映していたが、令和2年度の試行工事でスペックを緩和したところ、立会や段階確認では画像による確認が可能との結果が出たことにより令和3年3月に変更した(表-1、3)。
 
 
(2)Web会議システム等に関する仕様(映像と音声の「配信に関する仕様」)
Web会議システムに関する仕様を表-2に示す。
なお、Web会議システムなどは通信回線速度により自動的に画質などを調整するため、通信回線速度を優先し、転送レート(VBR)は参考とする。
 
映像と音声を送信しモニターで確認するシステムは、Web会議システムの他、令和2年度の試行では、通信機器などのメーカーがクラウドも含めパッケージ化しているシステムや、ASP(工事情報共有システム)を活用している事例もあった。
受注者がどの会社を選定するかは自由であり、選定理由は、導入の容易さ、現場に適した機能、使用実績などが考慮され、費用面だけで選定したとは限らない。
 

令和3年3月「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領」の動画撮影用のカメラに関する仕様

表-1 
令和3年3月「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領」
の動画撮影用のカメラに関する仕様

令和3年3月「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領」のWeb会議システム等に関する仕様

表-2
令和3年3月「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領」
のWeb会議システム等に関する仕様



 

令和3年3月「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領」の各仕様の変更点

表-3
令和3年3月「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領」
の各仕様の変更点


 
3)実施
段階確認などを行う箇所については、受注者が撮影した映像と音声を監督職員などへ同時配信を行い、双方向の通信により会話しながら監督職員が指定して確認する。
 
受注者は、「工事名」、「工種」、「確認内容」、「設計値」、「測定値」や「使用材料」などの必要な情報について適宜黒板など(電子小黒板も可)を用いて表示する。
記録に当たり、必要な情報を冒頭で読み上げ、監督職員等による実施項目の確認を得ること。
また、終了時には、確認箇所の内容を読み上げ、 監督職員等による実施結果の確認を得ること。
 
 
4)記録と保存
受注者は、遠隔臨場の映像と音声を配信するのみであり、記録 と保存を行う必要はないとして書類の省力化を図っている。
 
ただし、確認実施者が現場技術員の場合は、現場技術員は使用するPCにて遠隔臨場の映像(実施状況)を画面キャプチャなどで記録する。
 
 
5)留意事項 
工事記録映像の活用に際しては、画面や音声に映る作業員のプライバシーに関して特有の問題があるので留意する必要がある。
 
・被撮影者である当該工事現場の作業員に対して、撮影の目的、用途などを説明し、承諾を得ること。
・作業員のプライバシーを侵害する音声情報が含まれる場合があるため、留意すること。
・施工現場外ができる限り映り込まないように留意すること。
・受注者は、公的ではない建物の内部など見られることが予定されていない場所が映り込んだり、人物が映っている場合は、人物の特定ができないように留意すること(写真-1~3)。
 

監督員の確認状況/撮影者/現場の状況

写真-1 監督員の確認状況        写真-2 撮影者            写真-3 現場の状況



 
6)令和2年度における遠隔臨場の試行
令和2年度においては、遠隔臨場の試行拡大と新型コロナウイルス感染拡大防止のため、遠隔臨場により取り組みやすくなるように「建設現場における遠隔臨場の令和2年度の試行方針」(以下、「令和2年度方針」という)を策定し、全国の直轄工事現場で760件の試行工事を実施した(令和3年3月末時点)。
 
試行方針においては、試行における費用負担の考え方について、発注者指定型として試行するものについては、試行にかかる費用の全額を技術管理費に積み上げ計上し、発注者が負担することとした。
また、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として試行する場合は、発注者指定型として試行することとしており、感染症対策としても積極的に試行できるようにした。
 
また、「建設現場における遠隔臨場の令和3年度の試行方針(以下、令和3年度方針)では、上記に加え、受注者から遠隔臨場の希望があった際に受発注者間の協議を経て、受発注者双方に遠隔臨場の効果が期待される場合は機器や通信にかかる費用を発注者が負担する「発注者指定型」としている(図-6)。

 

令和2年度方針における各仕様

図-6 令和2年度方針における各仕様



 

段階確認に関する規定と課題

公共工事においては、会計法に基づき、契約の適正な履行を確保するために必要な検査を行わなければならない。
このため、工事の進捗に応じて発注者立会いによる段階確認が行われている。
例えば、土木工事監督技術(案)では、鉄筋組み立て完了時に表-4のように実施することになっている。
 
確認頻度については、目安を示しているのみで、回数などは受発注者の協議により決定される。
設計図書と現場の対比については、鉄筋径、間隔、かぶり、重ね継手長などの計測が必要であり、これらの具体的な方法については、土木工事共通仕様書(案)、土木工事施工管理基準および規格値(案)に基づいている。
工事受注者からは、段階確認のための準備(発注者が計測するための鉄筋へのマーカー設置、帳票作成等)や、発注者が計測している状況写真の撮影および写真の整理などで多大な手間と時間を要しているとの意見もある。
さらに現場では希望どおりに発注者が臨場できず、受注者の待機が発生していることや、現場への長時間の移動が発注者の大きな負担となっている。
 
また、遠隔臨場を実施していく上での課題解決については、各地方整備局の試行の中で取り組んでおり、昨年度より積極的に試行に取り組んでいる関東地方整備局の取り組み事例について、発注者・受注者の考えも取り入れながら紹介する。

土木工事監督技術基準(案)における段階確認項目

表-4 土木工事監督技術基準(案)における段階確認項目



 

関東地方整備局における建設現場の遠隔臨場

関東地方整備局では、令和2年度より建設現場の遠隔臨場に取り組んでおり、令和2年度は166工事(令和3年3月末時点)で遠隔臨場の試行を実施し、令和3年度はさらなる試行拡大に取り組んでいる。
 
 

(1)試行対象工事
令和3年度は、令和2年度の試行結果を踏まえ、原則3億円以上の工事、および3億円未満の工事においても遠隔臨場の効果が期待できる工事は発注時の特記仕様書に「発注者指定型」として試行を実施することを明記の上、試行を実施することとした。
 
加えて、その他の全ての工事においても受注者に意向を確認し、効果が期待できるもの、新型コロナウイルス感染症拡大の防止対策に寄与するものは「発注者指定型」で試行を実施することができることとし、実質、全ての工事が「発注者指定型」により建設現場の遠隔臨場の試行を実施できる体制とした。
 
令和3年度は、10月末時点で428工事で試行を実施しており、当初から発注者指定型で試行を実施したのは152工事(35%)、契約後の協議により発注者指定型で試行を実施したのは276工事(65%)となっている(図-7)。
 
なお、久慈川緊急緊急治水対策河川事務所では、発注した全15工事において試行を実施している。
 

令和3年度 遠隔臨場の試行区分(R3.10末時点)

図-7 令和3年度 遠隔臨場の試行区分(R3.10末時点)


 
(2)試行内容
1)段階確認
材料確認と立会での確認を受注者が動画撮影用のカメラ(ウエアラブルカメラ等)により撮影した映像と音声を配信システムを利用して確認する。
 
 
2)機器の準備
動画撮影用のカメラは、撮影者の安全を確保するため、ウエアラブルカメラなどの撮影者がハンズフリーで撮影可能なものを使用する。
 
配信システムは、「パッケージ化したシステム」、「情報共有システム(ASP)」、「Web会議システム(Teams、Zoom)」等、いずれのシステムを利用してもよい。
 
 
(3)受注者アンケート調査の実施
遠隔臨場の試行を実施し、令和3年9月までに完成した80工事を対象にアンケート調査を実施し、40工事から回答を得た。
 
回答者の多くが、移動時間や待機時間の削減。
新型コロナウイルス感染症対策に効果を実感していることが分かり、多数の受注者(97%)が来年度以降も遠隔臨場の実施を希望していることが分かった(図-8)。
 

令和3年度 遠隔臨場の試行区分(R3.10末時点)

図-8 来年度以降の遠隔臨場の実施について
   (受注者アンケート結果)


 
(4)現場における試行事例
関東地方整備局首都国道事務所が担当する国道357号東京湾岸道路塩浜区間では、複数の工区において橋梁下部工事を施工しているところであるが、各工区の受注者が建設現場の遠隔臨場の試行に取り組んでいる。
 
試行を実施する工事は、3億円以上の工事で「発注者指定型」として発注された工事に加え、工事契約後に発注者から受注者へ意向確認を実施し、受注者の試行の実施の意向を受けて、発注者が「発注者指定型」として指示し実施する工事も複数ある。
 
東京湾岸道路塩浜区間の現場では、主に「段階確認」既製杭工既製コンクリート(確認時期:打込時、掘削完了時、施工完了時、杭頭処理完了時)、重要構造物RC躯体工(橋脚)(確認時期:鉄筋組み立て完了時、埋戻し前)や「材料確認」土留仮締切工(鋼矢板)などにおいて建設現場の遠隔臨場の試行に取り組んでいる。
 
 
1)受注者の感想
・従来の臨場は、監督職員の現場までの移動時間を渋滞なども考慮した上で把握し、調整が必要であり、移動が遅れた場合は臨場の後の施工に影響することが常であった。
 遠隔臨場の活用により、移動時間を考慮せずに、現場の施工の段取りを優先に遠隔臨場が実施可能であるため、時間のロスを削減し、施工性を向上させることが可能。
 
・遠隔臨場の試行の機会を活用し、受発注者が遠隔臨場のいろいろな事例を経験すれば、将来的に効率的な遠隔臨場の実施が可能である(写真-4)。
 

令和3年度 遠隔臨場の試行区分(R3.10末時点)

写真-4 遠隔臨場による出来形確認(現場)



 
2)監督職員の感想(小松川監督官詰所)
・現場への移動時間の削減が大きなメリット。
 近距離でも交通渋滞を考慮した移動が必要な都市部での工事においても遠隔臨場は効果を発揮している。
 複数の工区を連続して臨場することも可能となり、受発注者ともに臨場に要する時間の削減が十分に図られている。
 
・既製杭(試験杭)は、現場において臨場する場合、現場の地質条件により臨場のタイミングが前後するため、施工開始から施工完了まで現場に張り付いている必要があったが、遠隔臨場の場合、臨場のタイミングで呼び出しを受ければよく非常に効率的である。
 
・タブレットを活用することにより執務室以外でも臨場の対応が可能である(写真-5)。
 
 
(5)今後に向けて
今後のさらなる遠隔臨場の活用拡大に向けて、関東地方整備局のホームページを活用した試行状況などの情報発信や、受発注者双方が建設現場の遠隔臨場に対する理解を深めるため勉強会を開催するなどの取り組みを積極的に行っている。
 
また、アンケート調査の結果をはじめとする受発注者の要望や意見を踏まえ、さらなる遠隔臨場の実施拡大を見据えた次年度の運用方針の策定を予定している。
 
 
▼関東地方整備局HP
「建設現場の遠隔臨場」
(HPアドレス)
https://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000212.html

遠隔臨場による出来形確認(監督職員)

写真-5 遠隔臨場による出来形確認(監督職員)



 

カメラ等による撮影データを活用した配筋検査などの省力化

従来の土木工事の配筋検査は、先に記載した「段階確認に関する規定と課題」に記載したとおり、対象物をスケールで計測しながら、同時に写真を撮影していく作業であり、複数人での時間や手間を要するものとなっており、また、その後の写真や帳票整理に多大な手間がかかることが課題であった。
 
こうした課題に対し、PRISMの取り組みで開発された、公共工事の段階確認の一環である「配筋検査」において、受注者の鉄筋へのマーカーやロッド設置などの準備作業や帳票作成業務の効率化への寄与が期待できる「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測に関する技術」について述べる。
 
本技術は対象物を撮影するだけで配筋間隔や鉄筋径、本数を計測することを可能としており、また、撮影後の計測結果はシステムの画面上にリアルタイムで表示され、計測から結果の確認まで一連の作業を撮影者単独で行うことができるようになる。
実際の試行現場では計測に必要な人員が4人から1人に減少し、計測時間が約1/3に削減されるなど、本技術が計測作業の省人化や省力化につながることを確認した(図-9)。
 
さらに、あらかじめ構造物の3次元設計BIM/CIMデータをクラウドに保存しておくことで、前述の撮影データとBIM/CIMデータを照合し、リアルタイムに合否判定を行うことを可能とする。
この判定結果は、現場事務所や発注事務所から確認を行うことができるため、監督職員や検査待ち時間がなくなることや、検査の書類作成の簡素化にもつながるなど、建設業の働き方改革に資することが期待される。
 
前述のPRISMを活用して鉄筋計測に関する技術開発を実施したコンソーシアムは5者あり、コンソーシアムの1者は、3眼カメラにより配筋撮影画像を解析し、縦・横方向の鉄筋径や間隔、本数を計測、結果をクラウド上で共有することで品質検査業務の効率化を図るもの(図-10、写真-6)や、別のコンソーシアムでは、奥行き方向を計測できるカメラ(デプスカメラ)を搭載したタブレットなどで鉄筋を計測し、鉄筋径、間隔を自動計測し、デプスカメラの画像を解析し、リアルタイムで結果をタブレットへ表示するなどといった現場での配筋検査に特化した技術の開発がされている。
 
PRISMの試行では、実現場などにおいて、発注者の段階確認時に従来方法と新技術を併用し、両者のデータから統計的に精度検証が十分だと判断できるデータ整理と計測誤差の視点では、全データが規格値内(±100%)に入っていることが必要とし、また、計測値・計測精度は鉄筋径や気象な測定角度などのさまざまな条件による違いや、毎回の計測結果にばらつきがないことないかなどの確認し、また、導入効果、実用性や汎用性の観点も考慮して、直轄現場の試行が可能と判断したものである(図-11)。 
 
なお、出来形規格値については、鉄筋コンクリート構造物であり、各デバイスの測定精度により、基準値を緩和することは考えていない(表-5)。
 
また、本プロジェクトに関わらず、民間会社独自で開発をしている既存の技術についても、デジタルカメラなどにより撮影した画像データから、鉄筋径、間隔、本数などの情報を解析する仕組みなどは複数存在しているため、それらも含めた技術が建設現場において活用できるような環境を整える予定である。
 
カメラ撮影データを活用した配筋検査に関する技術は、上記で説明した類似技術などにより現場での試行が可能となるよう、令和3年7月に「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測技術に関する試行要領(案)」を策定し、全国の直轄土木工事29現場において同技術の導入に向けた試行を開始した。
試行後は直轄土木工事だけでなく、幅広く工事で活用できるよう、監督および検査に関する要領(案)の策定にもつなげていく予定である。
 
本技術は現段階では試行であり、実装に向けたデータ取得・分析に関する時間を要することから、当面の間は、従来の段階確認である配筋検査と並行して、技術の精度および生産性向上への寄与度についても検証していくこととする。

カメラ撮影データを活用した配筋検査の様子 従来の配筋検査状況
タブレット画面

図-9 カメラ撮影データを活用した
   配筋検査の様子 従来の配筋検査状況

クラウドによる情報共有

図-10 クラウドによる情報共有



 

データ統計の一例

図-11 データ統計の一例



 

配筋画像取得状況

写真-6 配筋画像取得状況

PRISM試行により精度が確認された技術

表-5 PRISM試行により精度が確認された技術



 

おわりに

令和3年度も、新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言時に、河川や道路の公物管理、公共工事については、事業の継続が求められており、また、受発注者双方においてテレワークの推進や「三つの密」の回避などの感染防止対策を徹底することとして対応しているが、建設現場におけるリモート・非接触といった観点では、「遠隔臨場」や「カメラ等による撮影データを活用した配筋検査」の活用は有効と考えられる。
遠隔臨場については、実装化に向けた要望も多くあるが、一方で配筋検査については、技術活用の拡大と、さらなる生産性向上に結びつけるためには、デバイスの普及と併せて新たな基準類の策定など現行基準の改定も必要であるとの意見もある。
 
国土交通省としては、民間の持つ技術の活用を促進するための基準類の策定や改定などの環境整備を進めることで、建設現場における省力化・省人化に資する技術を全国の工事に拡大できるよう取り組みを進め、同時に建設プロセスにおける働き方を変革し、建設分野におけるDXを推進してまいりたい。
 
 

 

国土交通省 大臣官房技術調査課 工事監視官
栗原 和彦

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集1 建設DX、BIM/CIM
建設ITガイド_2022年


 



BIMにおける国際的なプロフェッショナル認証 -buildingSMARTのBIMプロフェッショナル認証が国内で始動-

2022年9月12日

はじめに

一般社団法人buildingSMART Japan(以下bSJ)は、建設業界におけるデータ流通・相互運用の促進を目的として、国際組織buildingSMART International(bSI)の日本支部として1996年に設立され、BIMデータの国際標準規格であるIFC(Industry Foundation Classes)や、BIM推進に関連する標準化活動を、国際標準化機構(ISO)と協調しながら推進してきている。
BIM普及を業界全体に展開していくには、ワークフローや情報マネジメントを如何に体系的、組織的に実施していくかが重要な課題の一つであり、そのためにこれまで国内外においてさまざまなBIMガイドラインや標準規格が発行されてきている。
2018年には、BIMの情報マネジメントに関する国際標準(ISO19650)が発行され、国内においては、2020年3月に、建築BIM推進会議から、「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」が公開された。
 
このような業界全体のBIM推進へ対応するため、bSIはBIMの基本的な概念、用語やプロセス、関係者の役割などの定義を明確にし、BIMに携わる個人の知識、技能のレベル向上を図るため、「openBIMプロフェッショナル認証(通称、BIMプロフェッショナル認証)」を2018年に開始した。
 
本稿では、BIMプロフェッショナル認証の全体像と日本国内での展開状況、buildingSMARTが提唱するopenBIM(オープンBIM)の概念、オープンBIM推進の鍵となるBIM情報マネジメント国際標準のISO19650の概要などについて紹介する。

 
 

buildingSMARTプロフェッショナル認証とは

bSIのopenBIMプロフェッショナル認証は、一貫性のある世界共通なBIM推進環境を実現するために、bSIが策定した体系的な学習成果単元に基づくBIM関連の基本的知識、共通概念などの獲得の機会を、認定されたトレーニングプロバイダを通じて提供することを目的としている(図-1)。

buildingSMART プロフェッショナル認証の体制

図-1 buildingSMART プロフェッショナル認証の体制



 

【buildingSMARTプロフェッショナル認証のメリット】
・ISO19650シリーズ、オープンBIMなどの基礎的な理解、用語の知識の獲得
・国際標準の原則に基づいて開発された、一貫したトレーニングによる技能の向上・国際的に認知された共通の学習成果による技能の証明

 
 

【openBIMプロフェッショナル認証の構成】
openBIMプロフェッショナル認証は基礎編と実践編から構成され、技能・技術を学習する際のスキルレベルを定義しているBlooms分類法(知識・理解・応用・分析・評価・創造)との対応が定義されている(図-2)。
 
・基礎編:buildingSMARTプロフェッショナル認証の第1レベルで、主に「知識と理解」を問う形式で、基本的な理解レベルを認定する。
・実践編:基礎編に続く上位レベルのbuildingSMARTプロフェッショナル認証は、応用学習と実践的な専門知識を含む総合的なレベルのスキルを認定することを予定している。
 
2018年に基礎編の初級レベルとなるベーシック(Basic)カリキュラムの認証がドイツ支部から開始された。
続いてCOBieカリキュラムが開始され、現在、設計者(Designer)、建物オーナー・運営者(Owner/Operator)カリキュラムの策定が進んでいる(図-3)。
実践編に関しては、現時点でbSIプロフェッショナル認証委員会が検討を進めている状況である。

buildingSMART プロフェッショナル認証の体制

図-2 buildingSMARTプロフェッショナル認証の構成(基礎編・実践編)


buildingSMART プロフェッショナル認証の体制

図-3 buildingSMART プロフェッショナル認証の体制



 

【オープンBIM学習成果(Learning Outcome)について】
openBIMプロフェッショナル認証の基礎編ベーシックカリキュラム(Foundation Basic)においては、オープンBIMに対しての学習成果項目を定義している(図-4)。

buildingSMARTプロフェッショナル認証基礎編のカリキュラム構成

図-4 buildingSMARTプロフェッショナル認証基礎編のカリキュラム構成



 

【トレーニングプロバイダと国内展開について】
openBIMプロフェッショナル認証のトレーニング(講習)は、buildingSMART各支部で登録されたトレーニングプロバイダから受講することができる。
トレーニングプロバイダは、bSIが提供する学習成果フレームワーク、オープンBIM知識体系などに基づくトレーニング計画を作成し、支部の審査を通ることにより、bSIの認定トレーニングプロバイダとして登録されることになる。
bSJは2021年春からトレーニングプロバイダの募集を開始し、国内の4社からの申請があり、2021年12月時点で1社がトレーニングを開始している状況である。

 
 

【各国の状況】
openBIMプロフェッショナル認証は、オーストリア、ベネルクス、中国、フランス、ドイツ、香港、イタリア、日本、ノルウェー、ロシア、スペイン、スイス、米国の各支部において展開されている(図-5)。
各支部では、各国語のトレーニングコンテンツ、オンライン認定試験環境が準備され、トレーディングプロバイダー数、受講者と合格者数も年々伸びてきている(2021年12月時点:トレーニングプロバイダは113、合格者は5178)。

オンラインテストプラットフォーム(左下)、トレーニングプロバイダおよび合格者一覧ページ(図右)

図-5 オンラインテストプラットフォーム(左下)、トレーニングプロバイダおよび合格者一覧ページ(図右)



 

BIM情報マネジメントの国際標準ISO19650
openBIMプロフェッショナル認証の学習成果単元の一つであるISO19650について、その概要を以下に示す。
英国では、2011年のBIM導入推進政策開始により、BIMプロセスにおける発注者や受注者の役割、BIMプロセスのさまざまなタスクに関する用語や役割の整理や定義を行うため、BIM導入へのガイドライン資料を英国標準BS/PAS1192シリーズとして策定した。
PAS1192-2:2013は英国規格協会によって2013年に発行され、特にBIMプロジェクト推進に焦点を当て、情報マネジメント要件を規定した。
その後、BIMプロジェクトにおける情報マネジメントの国際標準であるISO19650-1とISO19650-2が、BS1192シリーズに基づいて2018年末に発行されることとなった。
 
ISO19650では、プロジェクト開始段階で発注者側の情報要件を規定し、その内容を受注者側がBIM実行計画(BEP)に取り込むことや、プロジェクト期間中の情報をPIM、竣工後の情報をAIMとして、発注者と受注者の情報要件・役割を明確にした概念となっていることが特長の一つである(図-6)。
 
ISO19650で導入された主要な用語を以下に示す。
 
・PIR(Project Information Requirements):プロジェクト情報要件
・AIR(Asset Information Requirements):資産情報要件
・EIR(Exchange Information Requirements):交換情報要件
・BEP(BIM Execution Plan):BIM実行計画(EIRの内容に対応)
・CDE(Common Data Environment):共通データ環境
・PIM(Project Information Model):プロジェクト情報モデル(PIRと対応)
・AIM(Asset Information Model):資産情報モデル(AIRと対応)

BIM情報マネジメントの国際標準ISO19650の概要

図-6 BIM情報マネジメントの国際標準ISO19650の概要



 
buildingSMARTが推進するオープンBIM
BIM情報マネジメントの国際標準ISO19650は、buildingSMARTが推進するオープンBIM(openBIM)においても重要な構成要素となっている。
以下にオープンBIMの特長を示す。
 
・オープンで中立的な国際標準を活用。
・多種多様なソフトウエア、ソリューションが参加できる。
・長期的かつ持続可能な相互運用性を実現する。
 
オープンBIMにおいて活用される国際標準として以下のものが挙げられる。
 
・BIM情報マネジメントの国際標準ISO19650
・BIMデータの国際標準ISO16739(IFC:Industry Foundation Classes)
・BIMデータ連携仕様記述に関する国際標準ISO29481(IDM:Information Delivery Manual)
・辞書情報デジタル表現の国際標準ISO12006(IFD:International Frameworkfor Dictionaries)
 
ISO19650で規定されているAIR,PIR,EIRなどの情報要件に対応したBIM実行計画(BEP)を作成する際、PIMを構築する各BIMデータ作成タスクや情報交換ポイントにおいて、必要なデータの内容やデータ連携仕様を記述するためにIDMを活用することができる。
BIMデータ連携の場面においては、IDMの内容を取り込んだMVD(Model View Definition:IDMの内容をIFCと対応付ける手法)に対応したBIMソフトウエアのIFCデータ入出力によって、計画された情報伝達が可能となる(図-7)。
 
今後の日本国内におけるopenBIMプロフェッショナル認証普及のため、bSJはopenBIMプロフェッショナル認証の基本テキストとして、bSIが監修した書籍(英語版)の日本語版を出版する。
bSIプロフェッショナル認証委員会関係者が執筆に関わり、学習成果内容を網羅した内容となっている(図-8)。

ISO19650とオープンBIMの接点

図-7 ISO19650とオープンBIMの接点


ISO19650とオープンBIMの接点

図-8 オープンBIMの教科書「The BIM Manager」



 

今後の展望

本稿では、2021年にbSJで開始したオープンBIMに基づくbuildingSMARTのopenBIMプロフェッショナル認証についての概要、オープンBIMと深い関係にあるBIM情報マネジメント国際標準ISO19650などの概要を説明した。
 
BIMの展開は、設計、施工フェーズを超えて、製造業、サプライチェーン、インフラストラクチャー、運用・維持管理、スマートシティなどの領域に広がってきている。
BIMデータの連携は、建設産業の関係者から、より広範囲な製造業、IoT・デジタルツインやロボット技術を伴うサービス業にも拡張していく状況である。
産業横断的な情報要求をBIMデータ連携で実現していくためには、今回紹介したISO19650や、IFC,IDMなどの国際標準に基づいたオープンBIMの手法を、より広い関係者に広げていくことが重要となる。
今後、日本のデジタルトランスフォーメーションDX実現を加速するには、オープンBIMの概念を中心に据えたbuildingSMARTプロフェッショナル認証の展開が鍵となっていくと考えている。
 
 

参考文献:
・buildingSMART Professional Certification:https://education.buildingsmart.org/
・トレーニングプロバイダ・合格者一覧:https://education.buildingsmart.org/registry/ 
・bSJオープンBIM基礎講座:https://youtu.be/0XQmU1tIt2g
・ISO19650-1:2018,BIMを使用する情報マネジメント 第1部:概念及び原則

 

 

一般社団法人 buildingSMART Japan 理事・技術連携委員会委員長 buildingSMART Fellow
足達 嘉信 博士(工学)

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集2 建築BIM
建設ITガイド_2022年


 



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