2016年10月25日
NPO法人 建設スクエア北海道 理事 ダットジャパン株式会社
執行役員営業部長 柿崎 保生
はじめにスマートデバイスの普及により、従来のメタデータだけではなく、撮影時にその他の情報を、EXIF(Exchangeable image file format エクスチェンジャブル・イメージ・ファイル・フォーマット)に自ら登録し、写真を高度利用することが可能になってきた。その恩恵を最も利用しようというのが、以前より実証実験が行われてきた工事黒板の電子化である。 デジタル写真黎明期のPC環境今でこそ当たり前になっているデジタル写真の閲覧や編集操作が一般に普及し始めたのは、今から20年ほど前になる。それまでの主流だったMSDOSに代表されるCUIの味気ないOSから、MachintoshやWindows3.0、3.1等のGUIを装備したOSへと進化した1990年代から、写真をデータ化しパソコンで処理できるようになってきた。 写真をデジタルデータにするデジタルカメラが普及する前は、写真をデジタル化するためには高額なイメージスキャナー(フラットベッド、フィルムスキャナー等)で読み取るより方法がなかった。それらの機材を持っていない人は、フィルムメーカー各社がサービスを開始した「フォトCD」を利用するのが唯一の手段であった。フォトCDとは、米国コダック社等が策定した写真をデジタル化するシステムで、ネガフィルムをサービス店に持ち込み、データ化したいコマを指定し、別売りのCD-RにPCDフォーマットで焼き付けてもらうというものだ。コダック以外にも富士フイルム、コニカ(現在のコニカミノルタ)などでもサービスが行われた。 写真画質のインクジェットプリンター登場写真をデジタルデータにすることはできたが、最終的には写真(アルバム)を出力しなければならない。きれいな印刷を行うには、高額な昇華型プリンターを利用するよりなかった。価格が高いのは本体だけではなく、インクリボンも大変に高価なもので、さすがにこのランニングコストに耐えられるわけがなかった。 進歩を遂げるデジタルスチルカメラこの1995年から1996年かけては、とてもエポックメイキングな年になった。 保存先としての記録メディア初期のデジタルカメラは外部メディアがなく、内臓メモリに写真データを保存するだけであったが、その後複数の媒体規格が開発され利用されるようになった。中でも、スマートメディア(SmartMedia)は、多くのカメラメーカーで採用され、デファクトになると思われたが、その後に登場したSDメモリーカード(SDMemory Card)にその地位を完全に奪われ、現在では市場に存在しない。その他、コンパクトフラッシュやメモリースティック等も発売されたが、互換性のなさが嫌われ、いずれも市場からの撤退を余儀なくされている。変わり種としては、FD(FlopyDisk)に写真を保存するデジタルカメラ(SONYマビカ)も発売されたことがあるが、ディスク1枚に対し、写真が4枚しか保存できない他、巨大な筐体が必要だったこと等により、さすがに実用的とはいえず、すぐに後継製品へバトンタッチする形で消えている。 飛躍的に進歩した解像度データの保存先として、外部メディアを必要とする理由として、デジタルカメラの有効画素数が飛躍的に大きくなったことが上げられる。1995 年当時にわずか20万画素だったものが、2015 年では最大で5000 万画素を超えているものがあり、実に250 倍にもなっている。 動く写真昨年発売されたiPhone6Sでは、「LivePhoto」という機能が搭載されている。これは、撮影の1.5 秒前から撮影後の1.5秒の計3秒間の動画ファイルを同時に保存することにより実現しているもので、厳密にいえば写真が動くわけのではなく、写真(Jpegファイル)と動画(MOVファイル)の切り替えがiPhone6S上でシームレスに行われるというものだ。 自動仕分けと電子黒板昨今、写真管理業務の効率化を目的として、撮影時にExifファイルへ工事関係の情報を埋め込むことにより、仕分け整理の自動化を図る試みが進んでいる。リコーの業務用デジタルカメラが一早く実装していたもので、筆者の所属するダットジャパン(株)でも、その対応を行ってきた。デジタルカメラに直接情報を入力するのは非常に困難であることと、撮影メモ情報を事前に用意する手間がかかることから、その普及が限定的になっていたことは否めないが、あらかじめ撮影する部位や項目が明確な業務においては大変に喜ばれている。 特に、電子小黒板機能付きの撮影アプリの場合には、黒板の記述そのものが仕分け情報になるため、事後の仕分け整理だけではなく、撮影そのものも楽になる等のメリットがある。連動する写真管理ソフトが別途必要とはなるが、スマートデバイス用のアプリには無料のものもあり、テスト利用ができるのであれば一度は試してみる価値はあるだろう。 なお、自動仕分け整理については、近い将来には電子納品を目的とした写真整理そのものが不要となる可能性がわずかながらある。撮影後に写真を直接サーバ(情報共有サーバ等)へアップロードすれば、それ自体が納品するのと同義になるためだ。業務効率からみる限りは良い方法と思えるが、一方で撮影した写真は一度大きな画面で確認し、最も良い写真を選別し納品したいという声もあるため、一足飛びにそこまで行くかどうかは今後の業界内アンケート等の結果次第だろう。 いずれにしろ、電子黒板の利用についてはさまざまなベンダーから提案があるはずだ。その中から自社に合ったものをチョイスすることになるだろう。なお、電子黒板付アプリにも、写真のサイズをCALSモード(100 万画素相当)に設定できる機能が当然必要となるので確認が必要だ。 複眼カメラ(ステレオカメラ)の活用昨年度より、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施している「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」において、複眼カメラによるロボット橋梁点検システムが開発されている。これは、ステレオ画像から距離の計測や損傷部の抽出を行うことができるもので、実現すれば橋梁の点検業務が大幅に省力化されるメリットがある。ただ、今日現在でまだステレオカメラは発売されていないので、2台のカメラを組み合わせる等の対処が必要となっている。今後、一つの筐体に収まった複眼カメラが発売されれば、各種点検業務において有効利用ができるものと思われる。また、座標情報等を持たせることにより、3次元モデルデータへのテクスチャマッピング等も実現可能であろう。最終的にはこれらの写真はBIM/CIMと結びつき、写真に埋め込まれた属性情報の利活用ができるようになると考えられる。 おわりにここまで、大まかな分類ごとに工事写真関わる概略をまとめてきた。時系列にしてみると、各種のルールは技術の進歩と概ね歩調が合っていることがあらためて見えてくる。電子黒板についても同様の流れで来ているため、工事写真をスマホやタブレットPC等で撮影する時代がすぐにやってくるだろう。 建設ITガイド 2016 特集3「建設ITの最新動向」 |
2016年10月20日
高取 昭浩
●プロフィール高取 昭浩(たかとり あきひろ) 包絡正確なモデリングは美しい図面を作成する基本ですが、包絡の仕組みを理解しておくこともまた重要です。基本的には要素同士が、 梁型や庇を平面図に表示するカーテンボックス、梁型や庇などを、平面図に表したいときは、以下の手順を実行します。 マテリアルの作成マッピング画像の保存 目隠しルーバー手すりで目隠しルーバーを作成します。 CADデータの断面Revitでは 集計表を使って選択する 面積の小数点第3位以下を切り捨てる部屋面積をまとめる時、小数点以下第3位を切り捨てるなどの桁処理を行うことはよくあります。集計表に計算式を追加して計算します。 建設ITガイド 2016 特集2「海外のBIM動向&BIM実践」 |