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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

施工者から見たCIMの問題点と対応策《その4》

2014年4月12日

 

株式会社 大林組 技術研究所
主任技師 古屋 弘

 

CIMの課題

これまで述べたように、CIMは建設プロジェクトにおいて有効なツールであり、設計・施工に大きな変革をもたらすものである。
現状では、まだ簡易で安価なシステムであるとは言いきれないが、多くのデータを迅速に処理し、「見える化」への貢献も大きい。
しかし、このような物理的な利点の反面、解決すべき課題も存在する。
 

(1) CIMの概念の共有

CIMに関しては数々の取り組みが2012年度より開始され、一部パイロット的な取り組みも始まりつつある。
しかし、CIMの概念は意外と共有されていないようである。
BIMとの大きな違いは、社会インフラの構築・メンテナンスに適用する点と発注形態にある。
特に後者に関しては、設計施工分離と入札制度に関わる事で、ここで論ずるには大きすぎる課題であるため割愛する。
ここでは前者を考慮した論理モデルを図-7に示すことにより、CIMの概念を少しは明らかなものとしたい。
図-7における重要な点は、Project DatabaseとAsbuild Databaseの分離である。
データは施工中に絶えず変化するものであるが、それらを闇雲に変更することは大いに混乱を招くこととなる。
変更権限の一元化はCIMの運用にあたって重要な点である。
また、3D化を伴う設計・施工データは肥大化することが予想される。
これらの運用にはデータハンドリングを充分考慮したデータベース構築が必要である。
 

図-7 CIMのイメージ

図-7 CIMのイメージ

(2) 品質管理への適用

CIMは3次元データの活用や施工シミュレーション、「見える化」による施工ミスや手戻りの防止などに目を向けられがちであるが、ここでは、CIMを用いることによる施工の高度化のうち、品質管理への適用に関して考察する。
建設現場における品質管理に関しては、例えば鋼材の管理をイメージした図-8(a)に示すような、降伏点があらかじめ分かっていて、それに対する安全率を考慮した許容応力度を設定し、その値を閾値として管理する手法はごく一般的である。
この手法においては、計測とデータ整理・(逆)解析の迅速な処理は非常に重要で、データベースを用いることが必須のCIMは、分析や検討にまさに活躍できる分野である。
近年のセンサネットワークやモニタリングシステムの高度化は、この部分をターゲットとしたものである。
 
一方、図-8(b)に示すような管理基準値が明確でないものに関しては、いくらICTによる多頻度の計測を行い、CIMによるデータベ-スを活用しても、その計測値に対応する基準値が明確でないために、その判断は技術者が担うこととなる。
ところで図-8(b)の左側の図は、一見すると管理基準値を適用して管理できそうであるが、劣化などの判定には、そもそもどのような指標を用いるのかを明確にする必要があり、その意味で管理基準が不明確であるという例示に用いた。
さらに、図-8(b)の右図は、盛土のように材料の性質が安定せず、ばらつきが大きい場合の概念図である。
このような対象物にはどのような管理も一見無意味に思われるが、この場合はICTを用い、多点計測(多くのデータを収集)を行い、その品質の安定化傾向をCauchyカーブなどの非線形性を利用して、安定化傾向を検討し、管理するなどといった方法も考えられる。
 

図-8 品質管理に対するCIM(ICT)の活用で考えなければならないこと

図-8 品質管理に対するCIM(ICT)の活用で考えなければならないこと


以上、CIMの適用に関する課題を施策面以外の点に関しまとめたが、本節の最後にCIMの活用における留意点を示す。
 
●CIMのデータはできるだけ初期に構築しておくことと、施工中はデータの取得、改変のタイミングなどのルールを事前に検討しておく
 
●せっかく取得した情報を有効に活用するために、設計や計測データを現在以上に有効活用し、数々の情報の組み合わせによる評価も考える
 
●新しいデータ、データ取得方法と活用には、新しい解釈や新しい基準値の適用も検討する
 
●データの取捨選択も時には必要:必要なデータ、保存すべきデータを考える(BIMの運用でTB(テラバイト)クラスのデータとなってしまった事例もある)
 
 

終わりに

図-9 情報化施工の進展イメージ

図-9 情報化施工の進展イメージ


建設分野における情報化施工は、CIMにより新たなステージに移行しつつある。
CIMは始まったばかりで課題は存在するものの、施工結果と計画値の定量的な評価、データ分析を多角的により多くのデータから行うことにより、新たな技術的見知の創出も期待される。
図-9には情報化施工の進展のイメージを示した。
計測管理だけでなくICTの活用の歯車が上手く回ってこそCIMへの昇華が達成される。
この時、われわれ技術者は、ICTの単なるユーザーになってはならない。
基本的なICTシステムのみならず工学的な分野のリテラシーの向上も常に心がけなければならない。
ICTに関しては、特にツール(PC、センサー等)や通信技術を中心に施工現場に急速に取り入れられるようになり、技術者にイノベーションをもたらしつつある。CIMも今後多くのアプリケーションやツールが提供されるであろう。
われわれはこれらの利点と考慮すべき点、および導入・運用コストなどを冷静に検討し、合理的な活用を考えていかねばならない。
 
 
 
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その1》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その2》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その3》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その4》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
建設ITガイド2013
 
 



施工者から見たCIMの問題点と対応策《その2》

 

株式会社 大林組 技術研究所
主任技師 古屋 弘

 

CIM導入のメリット

情報化施工の導入は、前述のように労働者不足や技術継承のツールとしての役割の他、建設に携わる人々や利用者に対してさまざまなメリットを与えることが可能となる。
建設構造物の特性として、ビルなどの建築物を除き、オーナーは国や地方公共団体、または公共性の高い道路や鉄道を提供する会社であり、そのユーザーは一般の人々である。
ここでは、ユーザーを国民とし、オーナーを発注者、そして施工企業のそれぞれの観点からCIM導入のメリットを考えることとする。
 

(1) 国民のメリット
i) 確実で安心できる品質を提供する

施工データが記録されることによって、完成後も必要に応じて構造物の施工品質を追跡することが可能となり、手抜き工事の防止や、瑕疵に対する責任の所在が明確化できる。
また、食料品の生産・流通データのトレーサビリティによって消費者が品質をチェックできるように、土木構造物の品質データのトレーサビリティが確保され、ユーザーがより安心して社会インフラとしてのさまざまな構造物を使用できる環境が得られる。
 

ii) 工期短縮

例えば、建設機械の数値制御や施工情報の統合管理技術の導入によって、建設機械の作業効率が向上する他、目視が困難な夜間作業でも効率よく施工することが可能となる。
これによって工事期間が短縮し、土木構造物の効果の早期発現や、工事に伴う社会損失(渋滞や騒音・振動等)の低減が期待できる。
 

iii) CO2の発生量を抑制

CIMの施工分野での実現にはICTは一つの必要条件であるが、ICTを用いることにより建設機械の作業効率が向上することで、施工量当たりの建設機械の稼働時間が短縮され、燃料消費量(CO2発生量)が低減できる。
例えば、国土交通省が実施した実証実験では、路盤整形時のモータグレーダの作業において、ICTを実装した機械では従来施工に比べて燃料消費量が約3割低減されているという報告もある。
建設資材についても、例えば舗装工事では、高精度の施工が可能となることで舗装厚の設計値に対する余盛り量が小さくなり、必要最低限の建設資材で施工が可能となる。
また、舗装の構造設計においては、施工のばらつきをある程度見込んでいるが、情報化施工によって施工精度が向上し、ばらつきを抑えることによって、必要最低限の厚さで施工できる可能性もある。
これらにより、建設資材の使用量が低減され、建設資材の製造、調達、廃棄の全プロセスで発生するCO2の削減が期待できる。
 

(2) 工事発注者のメリット
i) 出来形・品質の確認が容易

情報化施工の導入により、出来形・品質に大きな影響を与える施工データや材料データを建設機械の稼働情報により人手を介さず連続的に把握し、施工者と共有することが可能となる。
これらのデータは、工事発注者の監督・検査時の判断材料の一つになり、監督・検査等の業務を効率化できるとともに、施工管理が確実に実施されていることが確認できるようになる。
また、公共工事においては、完成検査だけでなく、工事実施状況等を日々確認し、短い間隔で検査を行う「施工プロセスを通じた検査」が試行的に導入されているが、その検査に情報化施工で連続的に記録された施工デー
タを活用することも考えられる。
 

ii) 施工精度の向上による設計のスリム化への期待

従来の施工方法よりも精度の高い施工が実現することで、これまで設計で考慮されてきた施工のばらつきに対する安全率の見直し等による設計のスリム化につながる可能性がある。
これにより、構造物の建設コストの縮減が期待できる。
 

iii) 効率的・効果的な管理を支援

CIM導入の中で、最も期待される部分が、施工中のみならず維持管理へのデータ活用であろう。
構造物完成後においても、施工中に得られる施工データを構造物の管理の初期値として利用することによって、例えば、供用後の点検履歴との比較による経時変化の確認や、類似する設計条件・施工品質に基づく合理的な要補修箇所の予測など、効率的・効果的な補修・維持管理が可能となり、メンテナンスコスト縮減も期待できる。
 

iv) 迅速かつ柔軟な技術者判断を支援

社会資本整備において、発注者として従来の技術や手法にとらわれない新たな技術を積極的に導入し、調査・設計、施工、維持管理の各段階で得られる情報を利用することで、迅速かつ柔軟な技術者判断を支援することができる。
例えば、情報が少ない場合、技術者は判断に係わる選択の幅が広いため根拠に乏しい判断をせざるを得ないが、情報量が増えるに従い、選択の範囲を絞り込むことが可能となり、より的確な判断を行うことができるようになる。
 

(3) 施工企業等のメリット

情報化施工技術は、施工会社、建設機械メーカー、測量機器メーカーなどの技術を組み合わせた複合技術であり、関連業界全般においてさまざまなメリットが考えられる。
 

i) 現場作業の効率化(工期短縮・省人化)を実現する

現場の施工図面、さらに詳細地形データや3次元設計データを用いて、機材配置の確認や施工手順のシミュレーションを実施することによって、初期設計ミスの事前修正や施工手順の確認が可能となり、現場作業を効率的に行うことができる。
特に、近年普及しつつあるICTをベースにしたCIMは、マシンコントロール技術を融合させることにより施工の省力化と精度向上に寄与するものと考える。
 

ii) 熟練者不足にも対応可能

CIMの現場実現におけるICTの活用は、マシンコントロールやマシンガイダンスを導入することによって、オペレータの熟練度に大きく依存しない施工速度や出来形・品質、施工の安全性が確保できる。
また、施工の出来形・品質をリアルタイムに確認しながら作業を行うため、施工ミスも予防できる。
さらに、従来のサンプリング箇所のみでの確認ではなく、面的に確認することも可能となる。
 

iii) 工事現場の安全性が向上する

検測の省力化は、施工機械との接触事故の危険性が高い区域内に検測作業員が侵入するリスクを低減する。
 

iv) 省エネルギーの実現

CO2の発生量の抑制を達成することと同時に、CIMの活用は、現場の施工効率の向上につながり、その結果、無駄な重機の運転や施工時の仮設電力の適正な使用も実現可能であり、省エネルギーに寄与する。
 

v) 建設現場のイメージが変わる

いわゆる3K(キツイ、キタナイ、キケン)のイメージでとらえられがちな工事現場が、CIMを駆使した先進的な生産現場へと転換し、高効率、高品質かつ安全な生産活動を実現することで、他産業と比べて良好とは言えない建設現場の作業環境が改善され、建設産業が若年就業者にとって魅力のある産業へと転換していくことも期待できる。
 

vi) 技術競争力の強化

CIMを用いた情報化施工は、時間的制約が厳しい工事においても所定の出来形・品質を実現できる可能性が大きくなり、技術競争力を強化するための手段として有効である。
例えば、舗装工事や鋼橋上部工事などで、交通規制日数等の短縮が期待できることから、総合評価方式の技術評価において高い評価を受けている事例も報告されている。
 

vii) 高付加価値の商品市場を拡大する可能性

ICT、CIMの普及に伴い、建設機械メーカーや測量機器メーカーにおいては、付加価値の高い情報化施工機器の市場の拡大が期待できる。
また、データ交換標準など、情報化施工技術を国内外で共通利用できる環境の整備が進むことによって、海外市場への参入が可能となる。
 
 
 
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その1》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その2》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その3》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その4》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
建設ITガイド2013
 
 



施工者から見たCIMの問題点と対応策《その1》

 

株式会社 大林組 技術研究所
主任技師 古屋 弘

 

はじめに

日本社会は成熟期を迎え、社会インフラは建設一辺倒からメンテナンス・リニューアルに関しても考える時期となりつつある。
一方で、高齢化に伴う労働力の不足や、近年の建設投資はGDPの10%を割り込むなど、人間を含めたリソースを無駄なく有効に使わなければならない時代となりつつある。
 
このような時代背景の中で、建設工事においては、構造物を構成する材料や構造といった要素技術分野の学術的研究の進歩を背景に、設計の高度化と信頼性向上が進み、性能規定を取り入れた設計法が各分野で取り入れられつつある。
一方、施工分野でも大きく建設技術が進歩する中で、工法や施工機械の高度化のみならず、ICT(Information and Communication Technology情報通信技術)を建設施工に活用して、高い生産性と施工品質を実現する新たな施工システムの総称として使用されるようになってきた。
 
特に土木工事の分野で、現在われわれの多くが認識する「情報化施工」は、2008年7月に公表された「情報化施工推進戦略」(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/01/010221_4_.html(2012))に基づく国交省のプロジェクトにより大きく歩み出し、施工の最適化を行う計測管理を主体とした「情報化施工」から、GPSに代表される高性能な計測装置や高機能なセンサ、およびネットワーク技術の建設現場での活用により、「ICT施工」と呼ばれる新しい情報化施工管理技術へと進化し、数多くの現場に普及しつつある。
 
さらに、ICTの活用のみならず建設プロジェクトを3次元データやプロダクトデータを有効に活用しつつ統合管理しようという考えに基づき「CIM(Construction Information Modeling)」が国土交通省から提起され、2012年度から設計分野での施行が開始された。
CIMの活用は建設における業務フローを大きく変革することは必須で、建設プロジェクトの関わる全ての人々にある種の不安と期待を抱かせている。
 
今回はCIMの活用を施工者の面から考え、われわれが考える課題と対策をまとめてみたい。
 
 

情報化施工の変遷

近年では、情報化施工とICTは同義語のように認識されているが、情報化施工の概念は図-1のように分類される。
 

図-1 情報化施工の変遷

図-1 情報化施工の変遷


そもそも、建設分野における情報化施工とは、設計(未確定の条件をモデル化した予測値)と施工とのギャップを埋め、施工の合理性を追求することにより、経済的で安全な施工を行うことを目的としたもので、従来から観測施工(Construction by Information Retrieval System)とも呼ばれているものである。
この情報化施工は施工管理において、依然として重要な概念であり、施工中の計測データから得られる情報を基に、現状解析・逆解析から施工現場の当初の情報の不確実性を徐々に減少させ、予測解析を経て施工を安全に行い、結果的に合理的な施工を行うことを目的としている。
 
この情報化施工は、多くの施工現場で重要な意味を持ち実施されているが、さらに近年では「新しい情報化施工」が進展しつつある。
その代表が、屋外の測量におけるGPSに代表される高性能な計測装置や高機能なセンサの利用と、ネットワークの活用、さらにそれらを利用した施工管理システムの進化から、いわゆる「ICT施工」技術と呼ばれるようになった技術の適用である。
このICTの活用は、調査や維持管理におけるツールとしても有効に活用され、プロジェクトの合理化に寄与するとともにLCC(Life Cycle Cost)の低減にも寄与する可能性を秘めている。
(参考文献>古屋弘:近年の施工管理の中での情報化施工、地盤工学会誌Vol.58 No.1 pp24-25(2010.1))
 
さらにICTの活用は、施工の効率化・高精度化のみならず、設計データを基に施工時における受発注者間/施工業者間のデータ共有、およびCALS/ECの概念を取り入れた「建設工事の企画設計から施工管理全般に適用しようとする試み」にまで広がり、3次元モデルの活用とともに、建設のプロセスの中だけではなく、構造物の維持管理やアセットマネージメントにも活用が期待されている。
これらは、建築におけるBIM(Building Information Modeling)の活用と同様な考え方であるが、土木におけるプロダクトモデルの活用として、近年ではCIM(Construction InformationModeling)のような概念で、新たな情報化施工の方向性が示されている。
(参考文献>佐藤直良:BIMからCIMへ―建設生産システムのイノベーションに向けて―、2011年度公共調達シンポジウム(2011.11))
 
いずれの意味での情報化施工においても、計測等で得られたデータの有効活用が根底にあり、ICTは建設プロジェクトで利用したり、発生する多くの情報を合理的かつ迅速に処理するツールとして機能し、その重要性はますます高まり、活用範囲も広がりつつある。
さらに、このICTをベースにしたCIMは、建設に変革をもたらすものと期待される。
 
 

建設業就労者の動向

ICTの活用に関する技術の方向や、CIMの課題、およびそれがもたらす効果に関しては後述するが、その前に建設業の抱える課題の一端を就労者の推移という観点からここに示す。
 

図-2 建設技能労働者の過不足率

図-2 建設技能労働者の過不足率


図-2は国土交通省「建設労働需給調査結果」に2011年の月次状況、および関連する社会情勢の一部を追記したものであり、図-3は総務省「労働力調査」から他産業と建設業の就労者の年齢構成を示したものである。
建設業の活況は景気に左右される部分は他産業と同様であるが、公共投資に大きく影響を受ける点は他産業との相違点である。
図-2において、バブル崩壊後はいざなみ景気の期間を除き、建設業労働者の需給は安定からやや過剰状態であったが、2011年3月の東日本大震災以降、労働者の不足傾向が顕著になりつつある。
このような情勢の中、図-3に示すように建設業の就労者の高齢化と若年労働者の不足傾向は、他産業に比較して悪化しており、震災復興に関わる建設需要の他、今後対応を迫られる国内の社会インフラの老朽化に伴う補修やリニューアルに対しての需要に答えられなくなる懸念もある。
さらに、若年層の建設産業就労者の低下は、次世代への技術継承の観点からも憂慮すべき事態である。
 
建設投資が図-2に示すように1992年にピークの84兆円であったものが、2013年には前年並みの約44兆円(予想)となり、建設投資の対GDP比率17.4%から9.5%に低下している。
このような社会情勢の中で、少なくとも就労者問題解決には、産業構造の改革や就労環境の改善を実施するなどの抜本的解決も必要であることは間違いない。
それらに加えて、他産業に比較して生産性の悪いとされる建設業を、ICTを活用することにより効率化し、構造物の情報のみならずノウハウや「業・技」のような暗黙知を情報化し、次世代に継承することは、ICTの活用をベースにしたCIMの使命であると考える。
 
図-3 建設業就労者の年齢構成の推移

図-3 建設業就労者の年齢構成の推移


 
 
 
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その1》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その2》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その3》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その4》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
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