2024年8月27日
共立建設株式会社は、1956年、公衆電気通信事業を担う電電公社の外郭団体である電気通信共済会の職員宿舎建設・保守・運営事業を請け負う建設会社として誕生。 現場での打合せにBIMモデルを活用共立建設株式会社のBIM導入の歴史は、2015(平成27)年、当時の技術部による日本製BIMソフトウエアの使用開始に始まる。 モデル作成の効率を上げる「BI Structure」BIM活用を主導する伊東氏の具体的な作業は、受注が決まって図面が来た段階でBIMモデルの作成を開始し、基礎周りの配筋検討と仮設の山留め計画など考えられるモデルを順次、作成していくことにある。 鉄筋専門工の技術を再現する正確性これまで人間が行っていた面倒な作業が自動化されるメリットも大きい。 手間のかかる構造データ入力作業構造計算データは提供されるのが当然のように思われているが、実際は提供されない場合の方が多い。 入力作業を大幅に省力化&効率化多くの時間を占めていた入力作業から伊東氏を解放したのは、同じくU’sFactoryから2023年に発売された「AI Structure」である。 おわりにArchicadのデータをそのまま使って見積書を短時間で作成できる「BI For ARCHICAD」を伊東氏が知ったのが2018年。 共立建設株式会社
建設ITガイド 2024 特集2 建築BIM |
2024年8月26日
BIMとDXの関係建設データの標準化とプロセス改革当社では標準化された建設データの構築およびプロセス変革を実現するために、BIMの推進を行っている。
当社のデジタル戦略当社のデジタル戦略を表すメビウスループを紹介する。
「守りのDX」と「攻めのDX」の両立「2024年問題」、将来的な人員の不足など、建築業界で解決すべき多くの課題がある。
データの一元管理デジタル戦術のメビウスループの中心に据えているCDE環境について、データ保管場所として当社では適切な場所に適切なアクセス権限を有した者がデータを共有し管理するために、「BIM360」を採用し、BIMをはじめとした各種データの一元管理を行っている。 当社のISO19650認定取得状況ISO19650とは、BIMを使用して構築された資産のライフサイクル全体にわたって情報管理を行うための国際規格であり、デジタルデータ管理の仕方が世界標準として明確化されている。 設計部門デジタルデータ標準化の取り組み設計部門では意匠・構造・設備BIMを統合し、見積り・工場・工事などへBIMデータを連携してその部門で必要な情報を付加して活用している(図-7)。 BIMの標準化BIMの標準化を説明するため、ここでは構造部門の鉄骨梁の情報を例に挙げる。 施工部門施工のデジタル化設計から始まる「つくる」「ためる」「活用する」デジタルデータは、施工部門においても同様に適用される。
注釈
Autodesk Build:現場施工とプロジェクト管理の施工管理ソフトウエア Autodesk Construction Cloud:建設業者向けの幅広く、奥深い、業務に関連したツールのセットを提供する包括的な現場管理およびプロジェクト管理ソフトウエア Docs:Autodesk Construction Cloudでドキュメントを管理できるクラウドベースの共通データ環境
BIM活用の拡がり「つくる」「ためる」「活用する」プラットフォームとデジタルデータ標準化の整備を進めることで今後さらなるデータ活用へ挑戦することができる。
まとめここまで、BIMの先にあるものを定義してきたが、当社がこの視座に立つことができたのは、2017年からBIM全社導入を合言葉に日々自分事として旗を振る経営層とそれを実行した技術者集団、建設プロセスに革命を起こす使命を持ったDX推進集団の三位一体のたまものである。 大和ハウス工業株式会社 技術統括本部建設DX推進部 次長
宮内 尊彰
建設ITガイド 2024 特集2 建築BIM |
2024年8月19日
はじめに建築設計の初期段階では、設計者は複数のデザイン案を用意した上で発注者との合意形成の場に臨むのが一般的である。 設計業務における生成AIへの期待設計業務の分類設計にはさまざまな段階があり、大きく分けると概念設計・基本設計・実施設計に分類できる。 建築設計における生成AI利用の現状2022年を境に生成AIの利用は急速に一般化し始めており、今では話題にならない日はないほどである。 現在の生成AIの課題急激な成長を遂げている生成AIではあるが、現状ではまだ概念設計までの段階が適していると思われる。 本プロジェクトにおける生成AI利用これらの課題は、業務への生成AIの組み込み方によってその影響が大きく変わってくるため、一概に基本設計以降で生成 建築設計アシストAI「AiCorb」開発の経緯大林組は2017年にシリコンバレーにオープンイノベーションを活性化することを目的とした新拠点Obayashi SVVL( Silicon Valley Ventures and Laboratory)を創設し、Obayashi Challengeと称したイベントを実施した ここでは建設業が解決すべき課題に対して現地スタートアップなどからソリューションを募集し、「AIを活用した自動設計」という課題に対して選ばれたのが本プロジェクトである。
AiCorbの使い方本プロジェクトでは、AiCorbと名付けた建築設計アシストAIツールを開発している。 現在構築しているAiCorbを取り入れた設計業務としては、顧客からの要望を受けた後、まずHyparでボリュームスタディーを行う。
AiCorbに期待する効果以上のようなプロセスにより、設計者は効率よくさまざまな案を可視化しながら検証することができ、発注者側も具体的な形として設計案を確認できるようになるため、従来よりも早期に発注者の具体的な要望を引き出すことができる。 実用に向けた課題と今後の展望建築設計利用における生成AIの課題生成AIは急速な発展を遂げており、今後も継続的な性能向上が実現されていくことが予想される。 AiCorbの今後の展望本プロジェクトでは、建築設計特化の生成AIを開発しており、現在のところ特にスケッチからさまざまなデザインを提案することに主眼を置いている。 おわりにChatGPTなど一部の生成AIは既に企業で活用されるまでになったが、画像生成AIに端を発した高性能な生成AIの一般公開は、始まってからまだ1年程度しかたっていない。 株式会社大林組 技術研究所 生産技術研究部 副課長
中林 拓馬
設計本部 アジア建築設計 部長
辻 芳人
建設ITガイド 2024 特集2 建築BIM |
2024年8月13日
欧州グリーンディールグリーンに貢献するということに関してBIMデータの役割と、デジタル技術を活用する行動自体がグリーンに貢献するのではないかと思い、設備に関する話題を紹介します。 IFCをつなぐデータにする建設業というのは、具体的な成果を構築するには、設置場所に資材を運んで、建設資材を組み立て、建築物をつくるという業務で成り立っています。 環境、グリーンに寄与する活動IFCは、Industry Foundation Classインダストリー=産業、建設業ばかりではなく運送業、製造業などと多くのデータをつなげるだけではなく、何に成果を見いだすか?その成果の一つがLCAの評価、これはIFCが流れるからこそ効率的にできると言えます(図-6)。 設備IFCにできることBIMオブジェクトデータを設備の機器・機材から出す、つまり運転も含めたものをLCAとして出せるような仕組みが、設備のIFCを使えばできると思います。 機器メーカーとの連携設備構成において、機器は非常に大きなインパクトがあります。 グリーンなデザインスマートなビジネスを産業として実施してもらいたいとの思いで、日本においては建築BIM推進会議加速化事業が行われています。 一般社団法人buildingSMART Japan設備環境小委員会
谷内 秀敬
建設ITガイド 2024 特集2 建築BIM |
2024年8月5日
なぜBIM/CIMの普及が進展しないのか建築物・構造物(以下、建築物など)の施工後の所有者は、施主と、分譲所有者の集合体という2つの形態が存在する。 BIM/CIM利活用の効果BIM/CIMの利活用に関して、「つくる段階」での短期的かつスポット的な効果としての、建築物などの「見える化」により、関係者間での合意形成が容易となり、設計の効率化が図られることは認識されている。 (1)建築物などの効率的・効果的な{自動・自律的}運営・運用・維持管理長期にわたる総合的な運用コスト削減が、デジタル技術とデジタル機器の付加的な導入によって実現される。
(2)資産価値の向上「アセット・マネジメント(AM:AssetManagement)」、すなわちDCF(Discounted Cash Flow)に関する「資産価値創造のエコシステムの形成・創成」の実現である。 今後の展開国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)において1997年に合意された「京都議定書」は、2015年の「パリ協定」でその具体化が進められ地球温暖化に対する関心が高まり、同年9月に開催された国連総会でのSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の17の国際目標(169の達成基準と232の指標)へと進展することになった。 (1)「新規に必要とするモノ」を「過去に製造したモノ」で代替するリサイクルあるいはサーキュラーエコノミーと呼ばれる資源や部品の再利用・再生利用である。 (2)「新規に必要とするモノ」をデジタル&シェアリングエコノミーによって削減する広義のデジタル化の導入によって、人類は排他的な物理資源の専用利用ではなく、物理資源の共有を行わなかった複数のサービス提供者間で物理資源を共用利用するシェアリングエコノミーを編み出した。 むすびスマートなビル・キャンパス、そしてシティーの実現には、対象物の正確なデジタルツインが必須であり前提となる。 東京大学/デジタル庁
江崎 浩
株式会社竹中工務店/IPA DADC
粕谷 貴司
株式会社日建設計/IPA DADC
中村 公洋
株式会社三菱総合研究所
長谷川 専
株式会社三菱地所設計
石橋 紀幸
株式会社シムックスイニシアティブ
中島 高英
建設ITガイド 2024 特集2 建築BIM |