書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。
生成AIでBIM/CIMモデルを自動作成!― 中央コンサルタンツ×Malmeの挑戦 —イメージをそのまま形にする“Vision to Model”を目指して
2026.08.31はじめに
本稿で紹介する取り組みは、中央コンサルタンツ株式会社と株式会社Malmeが2025年9月より共同開発を行っているものです。
中央コンサルタンツの土木設計技術とMalmeのAI技術を掛け合わせ、技術者が自然言語による指示をLLMに与えることで、橋梁上部工の3次元モデルを自動的に生成することを目指して開発を行っています。
本稿では、開発のきっかけやシステムの概要、今後の展望についてご紹介いたします。
背景と目的
3次元設計の普及に向けた課題
開発当初は、橋梁予備設計における3次元設計を推進するに当たり、検討初期段階で3次元モデルを活用できるようにしたいという思いからスタートしました。
昨今では設計計算ソフト側の取り組みとして、設計計算まで終わったタイミングでの比較的詳細なモデル生成が可能になりつつあります。
一方で、現地状況の把握や下部工配置検討といった検討初期段階では、手間やコスト上の課題などから、なかなか3次元的な検討手法やツールが社内的に普及しておらず、結局は従来手法での配置検討や形式選定などが行われているのが実態です(図-1)。
今後、設計の前提条件として点群データや道路設計の3次元成果を活用するに当たり、実際の設計計算までの業務フローの中で、より自由度が高い形での3次元モデル活用が課題となると考え、モデル作成の省力化・自動化に取り組み始めました。
開発状況の紹介
開発コンセプト
橋梁設計に明るくない他分野の技術者や、BIM/CIMソフトウエアを扱えない人でも、自分のイメージをそのままモデルに出力できるようにするというコンセプトとして、“Vision to Model”というテーマを目指しています。
システムの概要
現在開発中のシステムは、Malmeが研究している“Text toBIM”という技術とその応用ノウハウを利用して、技術者の簡単な指示から主桁や横桁、床版、地覆などを組み合わせた3次元モデルを生成するためのコードをLLMに出力させることで、自動的にモデル生成を行う構成としており、現在は基本的な生成技術のPoC(概念実証)を進めています。
技術者側の橋種や橋長、幅員、斜角などの基本的な条件の指示に基づき、LLMが事前に用意されているルール文書(桁配置のルールやパラメーターの取りうる範囲など)やテンプレート(断面形状が決まっているもの)などを参照しながら、適合する桁形状や配置を自動的に抽出・選定し、LOD200程度のモデル作成まで行うようなシステムを目指しています(図-2)。
現状の開発状況として、PCT桁と中空床版桁の上部工モデルの自動生成ができつつあり、2025年度中に鋼鈑桁橋への拡張を計画しています。
モデル作成後に幅員などの条件を変更したい際には、変更後の幅員を指示するだけで、その条件に合わせて主桁数や間隔など他のパラメーターをLLMが自動的に調整し、3次元モデルが出力されます。
今後の展望
維持管理分野への展開
本研究開発は橋梁予備設計を念頭に開始したものではありますが、既設の小規模橋梁の維持管理分野への展開ができないかと考えています。
例えば、市町村など自治体で管理している小規模な橋梁については、竣工図面が残っておらず、基礎資料がほとんどないものもあります。
そうした橋梁に対し、現在開発中のシステムを使って橋長や幅員、桁形状などの基本的なデータのみから簡単に上部工の3次元モデルが生成できるようになります。
生成したモデルに直接点検結果や補修箇所などの維持管理情報を紐づけすることで、その後の修繕計画や設計へ展開するなど、さまざまな活用が期待できるのではないかと考えています。
さらに、現在は技術者が必要な情報をLLMへ渡すことでモデル作成を行いますが、既存の手書き図面や現地の点群計測結果・写真データなどから、別のAIを利用してモデル化に必要なパラメーターの抽出ができるようになれば、そのまま基礎データとして3次元モデルが生成できるようになるのではないかと考えているところです(図-3)。
他構造物への展開
現在は橋梁上部工のうち限られた一部の橋種を対象に開発を進めておりますが、将来的には他の橋種へも拡張していく予定です。
また、橋梁上部工以外の土木構造物へも展開できないかと考えており、擁壁や護岸構造物などについても、チャットベースでのモデル生成・配置が実用化されれば、3次元設計や3次元モデルの維持管理分野での活用が現実的になるのではないかと期待しています。
私たちは、こうした技術開発を通じて、より持続可能で効率的な建設プロセスの実現に挑戦して参ります。
【出典】
最終更新日:2026-08-31
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