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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

中部地方整備局におけるDX推進の取り組み―BIM/CIMは“技術”ではなく“文化”へ次世代の土木の担い手を育てる—

2026.09.24

DX推進の取り組み

近年、少子高齢化による労働力人口の減少や自然災害の激甚化・頻発化、さらにデジタル技術の急速な進展など、建設業界を取り巻く社会経済情勢は大きく変化している。
2040年頃には生産年齢人口が約2割減少すると予測され、インフラの老朽化や災害への対応が増加する中、限られた人員で効率的にインフラ整備・管理を行う必要性が高まっている。
こうした状況に対応し、建設現場の生産性向上と働き方改革を一層推進するために、国土交通省中部地方整備局ではインフラ分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを加速している。
 

インフラDX推進体制

これまでにも、ドローン測量やICT建設機械の活用など、さまざまなデジタル技術を積極的に導入し、建設現場の安全確保や生産性向上に努めているが、各部局横断で取り組みを着実に進めるため、令和4年1月に局内に「中部地方整備局インフラDX推進本部」を立ち上げ、DX推進体制を構築し具体的な指針である「中部インフラDX行動計画」を策定している。
行動計画では今後おおむね5年間の主な取り組みを整理し、中部地方整備局のホームページで公表している(図-1)。

図-1 中部インフラDX行動計画
図-1 中部インフラDX行動計画

 

i-Constructionモデル事務所

中部地方整備局では、BIM/CIMを先進的に取り組むi-Constructionモデル事務所として3事務所(新丸山ダム工事事務所・設楽ダム工事事務所・紀勢国道事務所)を選定している。
 
特に新丸山ダム(岐阜県御嵩町・八百津町)の整備事業では、令和3年度より本格的な新丸山ダム本体建設工事に着手しており、現在DXを活用し自律型コンクリート打設の導入に向けた実証実験を順次実施している(図-2、3)。

図-2 コンクリート運搬に用いるケーブルクレーンの自律運転
図-2 コンクリート運搬に用いるケーブルクレーンの自律運転
図-3 自律型コンクリート打設システムの構築築
図-3 自律型コンクリート打設システムの構築築

 
引き続き、建設現場のオートメーション化を図り、i-Construction2.0の取り組みを進める。
 
モデル事務所以外においても、BIM/CIMの試行業務・試行工事を実施しており、BIM/CIM積算や鋼橋データ連携の試行工事を実施中もしくは実施予定である。
具体的な試行内容としては、橋梁下部工におけるBIM/CIMデータによる積算に向けた「属性情報の積算での活用」、橋梁上部工における「鋼橋の設計から工場製作を円滑に実施するためのデータ連携」に取り組んでいる。
これらの取り組みにより設計から施工へのデータ連携を確かなものにしていく。
 
 

人材育成

令和5年度よりBIM/CIMの原則適用が始まったことを受け、BIM/CIMデータの理解度を深めさらなる利活用の裾野を広げるため人材育成に力を入れている。
 

BIM/CIM人材養成研修

過年度より3D-CADの利用環境を備えた中部インフラDXセンター(研修エリア)においてハンズオン研修を実施している(図-4)。
令和7年度は、整備局の職員研修において、研修エリアに隣接する不具合堤防(実地研修用)を利用した実地演習+ハンズオン研修を初めて開催した(図-5)。

図-4 中部インフラDXセンター(研修エリア)
図-4 中部インフラDXセンター(研修エリア)
図-5 実地研修用の不具合堤防
図-5 実地研修用の不具合堤防

 
具体的には不具合堤防においてタブレット型のLidarを使用し実地演習として3次元計測(点群)データを取得し、その後研修エリアで取得データを3D-CADで合成し本来の堤防形状と不具合堤防の形状の違いをヒートマップで表示させるなど、身近な利用の仕方をハンズオン形式で学んだ(図-6)。
 
その他にも受発注者双方の実務担当者のスキルアップのため、地方自治体職員や民間の建設技術者を対象にした3D-CADのハンズオン研修を毎年実施している(図-7)。
研修においては基本操作をはじめ、BIM/CIM設計データの取り扱い、コンクリート構造物や土工形状からICT工事に必要となるデータ作成などを学ぶ研修である。

図-6 タブレット型Lidarを使用した実地演習
図-6 タブレット型Lidarを使用した実地演習
図-7 3D-CADハンズオン研修
図-7 3D-CADハンズオン研修

 
また、ICT施工を推進するため体験学習会や講習会(対面およびWeb)も開催している。
講習会では、現場でのICT活用に精通したアドバイザーを講師として招き、具体的な現場事例を取り入れた実践的な内容で研修を実施している。
これからも定期的に研修を実施し、データの実務的活用を広げる取り組みを着実に進める。
 
 

おわりに

実務的な研修のほかi-Construction中部ブロック推進会議などを活用し、各発注機関・各業界団体と意見交換や情報共有を図り人材育成の支援体制強化に努める。
引き続きi-Construction2.0の取り組みの一つであるBIM/CIMデータの後段階への引き継ぎを実務レベルで実施できるよう取り組みを進め、データ活用や省人化を図る取り組みを強化することにより、建設業の働き方改革に寄与し、中長期的な担い手確保など中部全体の建設業界の次世代の土木の担い手を育てる取り組みを推進する。
 
 
 

国土交通省 中部地方整備局 企画部 技術管理課 建設専門官
髙井 知啓

 
 
【出典】


建設ITガイド2026
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最終更新日:2026-09-24

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