書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。
北陸地方整備局におけるDX推進の取り組み
2026.09.24はじめに
北陸地方整備局では、加速的に少子化が進む中、建設業の担い手確保、働き方改革に関する取り組みが喫緊の課題となっているところ「新・担い手3法」が策定されたことを受け、建設業が抱える課題解決に向け「北陸の元気を支える建設業の未来創造アクションプラン『北陸けんせつミライ2025』」を策定し、3本柱として「適正利潤の確保」「変わる待遇・働き方」「未来につながる建設現場」を掲げ、働き方改革、生産性向上、省人化に向けた取り組みをより一層展開しています(図-1)。
DX推進の取り組み
インフラDX推進本部
北陸地方整備局ではインフラDX推進本部を設置し、インフラ分野におけるデータやデジタル技術を積極的に導入・活用することにより、北陸地方整備局が所掌する行政手続きの利便性の向上、災害対応の迅速化・高度化、安全で快適な労働環境の実現による働き方改革、生産性向上による建設業界の活性化、効率性向上、カーボンフリー・持続可能型社会の実現などの実現を目指しております。
北陸インフラDX人材育成センター
1.概要
北陸地方のDX推進拠点として、技術・知見の蓄積、データセンターの整備・管理、研修やDX機器体験を通じたインフラDX人材育成を行うため、令和6年3月に開所し、令和7年10月には累計1,000名の利用者を迎えました。
センター内には、さまざまなシミュレーターなどを備えインフラDX体験ができるDXルーム、3次元モデルの作成実習ができる研修ルームのほか、屋外には、遠隔対応型バックホウによるICT施工の操作実習などができる屋外実習エリアが整備されており、誰でも建設分野におけるDX技術や各種シミュレーターなどを体験できる施設となっている(図-2)。
2.出張DXルーム
人材育成センターをより多くの方々に体験いただき、施設を広くPRすることを目的として令和6年12月(富山市)および令和7年7月(金沢市)において「出張DXルーム」を開催。
開催地域の業団体、官公庁関係職員のほか、地元工業高等学校の生徒にも参加いただき、好評が得られました。
北陸ICT戦略研究会
1.DX 研修
BIM/CIMおよびICT 研修として、開催地域を新潟県、富山県とし、施工者および発注者に受講機会を拡大しています。
研修内容は主にソフトを操作しデータ加工を実践するハンズオン研修とし「ICTの全面的な活用」の導入・普及拡大を図る活動を行っています。
2.BIM/CIMステップアップセミナー
(一社)建設コンサルタンツ協会北陸支部との共催で、BIM/CIMに関する情報の普及のため、Web 講習会を開催し、建設関連業に携わる設計・測量技術者などの技術力の向上にも取り組んでいます。
生産性向上技術活用表彰
北陸地方整備局所管の工事や委託業務において、生産性や技術の向上に寄与する新技術の活用、既存技術の新たな活用分野の開拓などで一定の効果が得られた取り組みなど、先進的な技術の拡大推進を目的に優れた取り組みを行った企業について表彰しています。
ICT人材育成推進企業認定
ICT活用工事に従事する技術者の技術力向上を図るため、ICT活用工事における施工実績と、その工事における工事成績評定の結果およびICT人材育成講習会について評価を行い、ICT人材育成推進企業として認定するもので、認定企業については、北陸地方整備局および事務所が発注する土木工事(建設関係11工種)における総合評価落札方式などの評価項目として活用しています。
事業における取り組み事例
1.能登復興関係
地震や豪雨災害により被災した現場は、急峻な地形で狭隘な作業スペースでの施工が必要な箇所や、緩んだ土砂により有人作業の安全性の確保が難しい箇所などがあり、復旧作業に時間を要することが想定されたため、現場の状況に応じ、遠隔操作による無人化施工、AI技術による交通誘導や3Dプリンターの活用など最新の技術や特殊な建設機械(多脚式走行システム(4輪操舵))を活用して、工夫しながら施工を行うことで安全性を確保し、復旧・復興を加速化させています(写真-1、2)。
2.信濃川大河津分水路令和の大改修
施工管理上作成したデジタルデータ(点群、3次元モデルなど)をフル活用することにより、紙とボールペンは持たない「施工管理」と「工事監督」の実現へ向けて、受発注者ともに「工事の生産性向上」に向けた各種取り組みを行っています。
事例として、施工状況の確認・把握の効率化として、関係各工事の掘削地形データの施工管理データをリアルタイムに一元的に共有し、出来形管理用データをデジタルツインとして発注者が簡単に確認できるシステムを活用し施工監理の合理化のほか、出来形確認(段階確認)の効率化として、受発注者間で施工管理データ(3次元設計データと出来形評価データの差分解析データ)をASPにて共有し、規格値を満足することを確認することにより臨場立ち会いの頻度を減らし、作業時間や作成する書類の軽減を図っています。
3.利賀ダム建設事業
利賀ダム建設事業においてBIM/CIM統合モデルを構築しており、事業の課題抽出、関係者間の情報共有・打合せ、住民説明や見学会などに活用しています。
また、統合モデルを活用してダム完成後の施設の監視とダム湖周辺の貯水池管理のための監視カメラの配置検討に際し、監視対象物が未完成であり、地形が複雑で高低差も大きいことから2次元平面図や立面図では視野範囲の事前把握が困難なため統合モデル内にカメラ視点を設けて視認範囲・視角の確認を行い、位置選定を高精度で効率的に行いました。
4.砂防設備点検などにおけるUAV活用
砂防堰堤をはじめとする砂防設備の多くは、狭隘な山間部に整備されており、アクセスが困難かつ、点検に危険を伴う箇所も多く、他のインフラ施設に比べ極めて多くの時間と労力を要することから、UAVによる目視外自律飛行点検を実装し、効率化、省人・省力化、安全性の向上を図っているところです。
今後は3次元データおよびAIなどを活用し、点検から施設変状の自動抽出、データのとりまとめ整理にかかる一連作業の自動化などを目指すこととしており、さらなる維持管理技術の高度化を図ることとしています。
5.国道7号 朝日温海道路
橋梁詳細設計におけるBIM/CIMを活用した3次元設計において、3次元モデルと2次元図面の連動の試行として、3次元モデルから切り出した図面と、従来の2次元図面の寸法値を比較することにより整合性を確認したほか、高精度な3次元モデルにより、正確な構造図や施工・修景計画を作成でき、円滑な協議に活用しています。
また、BIM/CIM積算の試行として、3次元モデルを作成した橋梁T型橋脚に属性情報として数量、工事工種体系ツリーコードおよびコンクリート規格を付与し、設計数量管理機能に読み込み可能なデータへの変換も行っています。
6.雪のトップランナー~ICT除雪機械の開発~
除雪作業は、一般車両、歩行者などの通行状況を確認の上、運転(走行)操作とともに各作業装置のレバー(スイッチ)操作を伴うものであり、降雪時や夜間の悪条件下が多く、安全確保が必要な作業です。
除雪機械の運転は、作業装置を路面状況、道路構造の変化に応じた操作であり、経験と熟練した技術を必要とするが、昨今、熟練技能を持つオペレーターの高齢化に伴う引退や新規入職者の減少により、担い手の確保が重要な課題となっています。
除雪トラックには3種類の作業装置が装備され、5つの動作をさせることにより、除雪作業を行っており、「3種類」「5動作」の自動化としてICT技術(MMSデータによる操作自動化用地図作成、熟練オペの操作技術取得分析、準天頂衛星による高精度車両位置情報取得)を開発・現場検証し、最新の技術を活用するなどを進めています(図-3)。
【出典】
最終更新日:2026-09-24
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