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BIM/CIM積算によるデータ連携の取り組みの動向―わが国産学官チームが国際賞openBIM Awardsで日本初の部門最優秀賞賞!—

2026.06.25

はじめに

2024年4月発表のi-Construction2.0では、調査・測量、設計、施工、維持管理といった建設生産プロセス全体をデジタル化し、必要な情報を必要なときに加工できる形式で容易に取得できる環境を構築するBIM/CIM(Building/Construction Information Modeling, Management)などにより、「データ連携のオートメーション化」を推進することとしている。
この施策の一つとして、国土交通省は、2026年度を目標に進行中の積算システムの改良に合わせ、3次元モデルや設計支援ソフトウエアで算出される数量を直接積算に活用する「BIM/CIM積算」の取り組みを進めてきた。
この取り組みは2025年9月に、BIMの国際標準策定を行う国際組織が主催する国際賞“openBIM Awards 2025”において、日本初の部門最優秀賞を受賞した。
 
本稿では、BIM/CIM積算の取り組みの概要と、openBIM Awardsの受賞内容と今後の展望を紹介する。
 
 

BIM/CIM積算の実施状況

これまでの実施状況

3次元モデルには、2次元図面から寸法を拾って計算した場合に非常に手間のかかる複雑な形状でも、瞬時に体積が算出されるという特長がある。
これまで行われてきたBIM/CIMの適用においても、3次元モデルから算出される土やコンクリートの体積、鋼材などの数量を、設計・検討段階の概算数量や、施工段階の施工数量算出に活用する、といった取り組みがなされている。
 
(仮称)次期土木工事積算システムの開発検討国土交通省では、工事発注で活用している土木工事積算システムについて、積算業務の効率化を図るため、(仮称)次期土木工事積算システム(以下、次期積算システム)への移行を検討しているところである。
 
現行の土木工事積算システムは、詳細設計段階での成果である数量集計表や計算書などの情報を、発注者がシステムに手入力している。
次期積算システムでは、これらを自動入力対応とすることで、積算に係る作業の効率化を図ることとしている。
具体的には、積算基準に準拠した形式で数量集計データを作成する「設計数量管理機能」で作成したデータを、次期積算システムに取り込むことで、自動入力される。
なお、数量集計データは「設計数量管理機能」で直接作成する以外にも、数量計算書などの外部データ(Excelなど)を取り込み作成することも可能である。
設計数量管理機能の試行版、そして、数量と工種の情報を設計数量管理機能に連携する際に必要となる「工事工種体系ツリーコード」を、国土技術政策総合研究所において公表している。
 

3次元モデルの数量を積算に活用

3次元モデルから算出される数量を、Excelなどの表に手入力するのではなく、直接設計数量管理機能に取り込むことができれば、一層の効率化が可能となる。
国土交通省では、次期積算システムの開発と並行して、3次元モデルの数量を積算に直接活用する、BIM/CIM積算の取り組みを進めている。
 
2023年度から2024年度にかけて、コンクリート構造物などの3次元モデルの数量を積算に直接活用する具体的な流れを次の通り検討した(図-1)。

図-1 BIM/CIM積算の流れ
図-1 BIM/CIM積算の流れ

 
①3次元形状データを作成し、オブジェクト分類名、3次元モデルから計測した数量、工事工種体系ツリーコードおよび規格を属性情報として設定する。
②IFC形式のデータを出力する。
③「データ変換ツール」を使って、IFC形式のデータを、設計数量管理機能に読み込み可能な数量データ(XML形式)に変換し、設計数量管理機能に読み込む。
 
異なるソフトウエアでもデータを活用できるよう、BIM/CIMの共通フォーマットであるIFCを活用することとしている。
なお、これは一例であり、他の方法の技術開発や実施を妨げるものではない。
 
このうち①については、2025年3月に策定したBIM/CIM取扱要領の附属資料に、積算での活用を目的とした3次元モデルの作成方法を示した。
また属性情報を手入力ではなく、選択入力する機能を備えたソフトウエアの開発が進められているところである。
③については、3次元モデルの数量などのデータを設計数量管理機能に入力するための形式に変換する「データ変換ツール」を開発し、2025年3月に公開した。
 

データ変換による試行事例

昨年度には、上述のデータ変換ツールの試行版を用いて、積算システムに取り込むデータを作成する試行も実施した。
鉄筋コンクリートの橋梁下部工を対象として、全国11件の詳細設計業務で試行を実施し、3次元モデルの属性情報として設定した数量や工事工種体系の情報を、マウスクリック数回で、設計数量管理機能に読み込み可能なXML形式のデータに変換できることが確認された(図-2)。

図-2 BIM/CIM積算の試行例(豊岡河川国道事務所)
図-2 BIM/CIM積算の試行例(豊岡河川国道事務所)

 
 

openBIM Awardsの部門最優秀賞受賞

BIM/CIM積算の取り組みを国際賞に応募

3次元モデルの属性情報を他のシステムとのデータ連携により活用する国家規模の試みは、世界初といえる。
そこで国土交通省は、BIM/CIM積算の仕組み作りに関わってきた産学官チーム(国土技術政策総合研究所、(一財)日本建設情報総合センター、(一社)buildingSMART Japan、ONESTRUCTION(株)および東京都市大学)との連名で、buildingSMART Internationa(lbSI)が主催する国際賞“openBIM Awards”に本取り組みを応募することとした。
 
bSIは、建設業界におけるデータの共有化と相互運用を目的として、BIMの国際標準であるIFCの策定や標準化活用を行う国際的な非営利団体であり、日本支部 buildingSMART Japan(bSJ)を含む39の国際支部が存在する(2025年11月時点)。
bSIは2014年以降、毎年1回、世界中から応募されたopenBIM(ソフトウエアに依存しないBIMデータの相互運用のための国際標準)に関する取り組みや技術を表彰している。
 
わが国産学官チームはopenBIM Awardsの9部門のうちインフラ設計部門にBIM/CIM積算の取り組みを応募し、2025年9月24日の授賞式において部門最優秀賞を受賞した。
日本の団体が部門最優秀賞を受賞したのは、初めてのことである(図-3)。

図-3 受賞式の様子(2025年9月24日 於ベルリン)
図-3 受賞式の様子(2025年9月24日 於ベルリン)

 

属性情報の自動付与により作業時間低減を達成

受賞した取り組みでは、3次元モデルの情報要件を機械的に定義する国際標準の仕組みを用いて、属性情報に工事工種体系ツリーコードを自動的に付与する仕組みを構築した。
これにより、設計者が設定すべき属性情報が最小限となり、橋梁下部モデルの作成作業が100分から40分に短縮され、作業時間低減を達成した。
なお、この仕組みはONESTRUCTION(株)のソフトウエア環境下で実現したもので、今後の実装の方向性は検討中である(図-4)。

図-4 受賞したBIM/CIM積算の取り組み
図-4 受賞したBIM/CIM積算の取り組み

 
 

今後の展望

BIM/CIM積算は、データ連携のオートメーション化に向けた第一歩の取り組みの一つであり、2025年度は砂防堰堤工で20件の試行業務を実施するなど、試行工種の拡大を進めている。
 
bSJが実施する3次元モデル作成ソフトの検定の要件にもBIM/CIM積算が含まれることとなっており、2025年度中の検定実施が予定されている。
 
今後もさらなる環境構築を図り、設計段階の情報を機械判読可能な形式で作成・伝達する仕組みを構築し、受発注者双方の生産性向上につなげていきたい。
 
 
 

国土交通省 大臣官房 参事官(イノベーション)グループ 課長補佐
藤本 陽一

最終更新日:2026-06-25

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