書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。
関東地方整備局におけるBIM/CIMの取り組み―令和7年度は、関東インフラDXをさらに加速させます!—
2026.07.01はじめに
老朽化が進む社会インフラへの対応、頻発する自然災害への備え、そして技術者不足といった複合的な課題に対し、関東地方整備局ではインフラ分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を図っています。
本稿では、これらの課題解決に資する施策として、BIM/CIMの活用を含むインフラDXに関する取り組みについて紹介します。
インフラDX 推進体制構築
近年、社会インフラを取り巻く課題は一層複雑化・深刻化しており、災害の激甚化・頻発化や社会インフラの老朽化が顕著に進行しています。
一方で、技術者・技能者の高齢化に伴う人材確保の困難化も深刻な状況にあり、建設産業の持続的な発展に向けた人材育成は喫緊の課題となっています。
加えて、関東地方整備局では、災害対応や老朽化対策に加え、自治体支援、行政相談などの業務量が増加しており、限られた人的資源の中で効率的な業務遂行が求められています。
さらに、働き方に対する価値観の多様化が進み、ワークライフバランスの重視といった社会的要請も高まっています。
こうした多面的な課題に対し、的確かつ持続可能な対応を図るためには、インフラ分野におけるDXの推進と、それを支える体制の構築が不可欠となっています。
1)インフラDX推進体制
令和3年7月に「関東地方整備局インフラDX 推進本部」を発足し、インフラ分野のDX推進に向けた取り組みを開始しました。
本部会議は年2回開催し、局長を本部長、副局長・企画部長・河川部長・道路部長ら幹部が委員として参画し、整備局各部や各事務所の取り組み成果と課題を共有、重点施策や水平展開方針などを決定しています(写真-1)。
令和7年度は、令和6年度の強化方針項目を継続し、関東インフラDXをさらに加速させることとしています。
①i-Construction2.0、ICT施工StageⅡなどの推進
・取り組み事例、試行効果を水平展開し、新たな施工現場の創出を目指す
②BIM/CIM適用による好事例抽出と水平展開
・BIM/CIM 3次元モデルの操作講習会を実施する
・活用事例集の充実化を図る
③小規模工事へのICT施工普及強化
・ヒアリング結果を反映し、講習・セミナー・体験会内容のフォローアップを実施する
・小規模工事における施工のオートメーション化を検討・試行する
④異分野間の取り組み共有による創発・高度化
・出張所DX異分野間意見交換(Stage Ⅱ)を実施する
・河川・道路によるデータプラットフォームなどのデータ連携に関する意見交換を実施する
⑤各事務所のDXの取り組み推進
・組織内部のDX取り組みに対するモチベーションを高めるため、新たに表彰制度を創設する
・関東DX・i-Con人材育成センターとの連携を強化する
2)インフラDX推進室の発足
令和6年度からはインフラ分野のDXを一層推進すべく、令和6年10月、企画部内に「インフラDX推進室」を設立。
また推進体制強化として各事務所にインフラDX推進担当者(令和7年10月時点で約450名)を配置し、整備局全体で効果的なDX推進に取り組み、コミュニケーションツールなどを通じて、デジタルデータ活用に関する旬な情報発信も行っています(図-1)。
3)各部ワーキンググループの取り組み
各部ごとに設置されたワーキンググループ(WG)を中心に、災害対応、業務の効率化、行政サービスの向上など、さまざまな視点からDXの取り組みを推進しています。
各WGでは、取り組みの目的や方向性を明確にするため、活動内容に応じた「キャッチフレーズ」を設定し、職員間での認識共有とモチベーション向上を図っています。
また、定期的な成果報告の実施に加え、部門横断的なデジタルデータの利活用に関する情報交換を通じて、組織全体としてのDX意識の醸成と技術的知見の蓄積を進めています。
BIM/CIM推進に関する取り組み
1)BIM/CIM推進会議
当整備局においては、業務・工事の各フェーズで取得されたデジタルデータ(例:点群データ、3Dモデル、属性情報など)を、調査・設計・施工・維持管理といったライフサイクル全体にわたって連携・活用することで、業務の効率化と品質向上が期待されおり、東京大学i-Constructionシステム学寄付講座と定期的な意見交換を実施し、諸課題に対して産学官で知見を共有し、新たな視点や技術的アイデアを得る場として定期的に会議を実施しております(写真-2)。
2)好事例抽出と水平展開
蓄積された好事例をいかに体系的に水平展開し、取り組みの拡大につなげていくかがBIM/CIMの実効性を高める上で重要な課題となっています。
当整備局においても令和5年度よりBIM/CIM原則適用とし、適用開始から3年目を迎え、令和5~6年度の直轄工事・業務で約800件の実績を積み上げています(図-2)。
BIM/CIMを活用する際、どの場面で効果があるのかが分かりにくいなどの声が多いため、活用に関する効果や受発注者双方にもたらされるメリット課題などを事例集にとりまとめ、整備局ホームページにおいて公開しています(図-3)。
3)実践的なBIM/CIM研修の充実
当整備局においては、3次元モデルの操作に重点を置いた実践的なBIM/CIM・ICT研修を大幅に充実させ、職員のスキル向上と日常業務への定着を図っています(図-4)。
職員が3次元モデルを気軽に普段使いできる環境を整備するため、「DXデータセンター接続アプリ」や「3次元データ閲覧ソフトウエア」を行政用PCへ配信するなどして、利用しやすい仕組みを構築しています。
さらに、3次元モデルの操作方法などを解説した動画コンテンツの拡充を進めており、職員がいつでも気軽に視聴・学習できる環境の整備を進める予定です(令和7年11月現在準備中)。
おわりに
令和5年度より、BIM/CIMの原則適用が開始され、産学官の各領域において、関連技術の導入および運用環境の整備が進められています。
本稿で紹介した事例以外にも、管内の各事業においてBIM/CIMの適用拡大を図るとともに、関連基準類の改定に向けた各種試行的取り組みを実施しています。
今後も、建設生産・管理プロセス全体の効率化・高度化を目指し、BIM/CIMの活用促進に向けた取り組みを継続していきます。
【出典】
最終更新日:2026-07-02
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