書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。
BIMによる建築確認申請について
2026.08.17なぜ今、BIM確認申請なのか
建設業界における生産性向上は、現在、わが国における喫緊の課題となっています。
官民が一体となってBIMの活用を推進する「建築BIM推進会議」では、設計・施工から維持管理に至る建物のライフサイクルを一貫したデータで管理するBIMの一貫利用を推進しています。
その一連のワークフローの中で、多くの設計者が事務的負担を感じているプロセスの一つが「建築確認申請」(以下、建築確認)です。
現在の建築確認では、BIMで精緻な3Dモデルを作成しても、最終的には二次元の図面を切り出し、紙やPDF形式で確認申請図書を提出し、審査を行う必要があります。
新築する建築物のほぼ全てが経る確認申請についてBIMデータを用いて行うことができるようにすることで、申請・審査の効率化を図るとともに、共通化されたBIMデータやその伝達手法を社会に共有し、BIMの可能性をさらに広げることを目指しています。
「BIM図面審査」制度の概要と運用の枠組み
BIMを活用した確認申請を円滑に行うため、国土交通省ではこれまでに「建築確認におけるBIM図面審査ガイドライン」を策定し、その運用ルールを明確化してきました(図-1)。
令和7年11月には本ガイドラインの「事前公表版」を公表しており、令和8年1月には「初版」の公表を予定しています。
制度の開始に向け、法的に必要な対応も実施予定です。
「BIM図面審査」制度は、令和8年4月1日より開始を予定しています。
本制度におけるポイントとして、
- 一定のルール(入出力基準)に従いBIMデータを作成すること
- 作成したBIMデータからPDF形式の図書および「IFCデータ(BIMの共通ファイルフォーマット)」を書き出すこと
- 「入出力基準」に従ってBIMデータを作成し、PDF形式の図書およびIFCデータを書き出したことなどについて申告する「入出力基準適合申告書」(以下、申告書)などを準備し、「確認申請用CDE」(以下、CDE)にアップロードすること
- 審査者は、CDEにアップロードされた申請図書などにより審査を行うこと
などが挙げられます(図-2)。
入出力基準に従ってBIMデータを作成することにより、そこから出力された図書の「形状」、「属性」または「計算」に関して、図書の記載事項の整合性が確保される仕組みとなっています。
これにより審査プロセスにおいて、審査者が申告書による申告に基づき、整合性確認の一部を省略することが可能となります(図-3)。
また「IFCデータ」は審査の「参考扱い」としての位置付けであり、それ自体が審査対象とはなりませんが、図面だけでは分かりにくい、建築物の形状理解のための参考として活用することができます。
審査対象とするものは「IFCデータ」とともにBIMデータから書き出されるPDF形式の図書(従来と同様の申請図書)です。
CDEとは申請者・審査者共通の審査環境のことを言い、審査者はCDE上にて、PDF形式の図書の確認や、BIMビューア機能を用いて建築物の形状把握を行います。
「BIM図面審査」における申請・審査の流れ
「BIM図面審査」の大まかな流れは、以下の通りです。
①BIM図面審査の申請・審査環境の準備
②BIMデータなどの作成(申請者)
・入出力基準に従ったBIMデータの作成
・BIM図面審査における申告書の作成
③申請・審査
・「確認申請書様式」および申請図書(図面)の作成・提出
・申請図書などの確認
・審査の実施
・適合性判定
・消防同意・確認済証交付・図書保存
このうち、③申請・審査のプロセスにおいてCDEの利用をします。
そのため確認検査機関等はCDEによる審査環境を準備しておくことが必要です。
申請者(設計者)目線で見た「BIM図面審査」の具体的メリット
設計者がBIMを用いて建築確認を行うことには、多くのメリットがあります。
- 申請図書の不整合による「手戻り」の削減
従来の申請で最も多い補正指示は、平面図と断面図の食い違いといった「図面間の整合性」に関するものです。
BIMでは一つのモデルから各図面を切り出すため、室名や面積、開口部などの不整合が原理的に発生しません。
これにより効率的な審査が実現し、審査期間の短縮が期待できます。 - 複雑な形状への合意形成の迅速化
アトリウムや複雑な傾斜を持つ屋根など、二次元では表現が困難な部位において、3Dモデルは強力な説明ツールとなります。
審査側と共通のモデルを見ながら事前相談を行うことで、解釈の相違を防ぎ、審査を円滑に進めることが可能です。 - オンラインでの建築確認の実現
場所を選ばす、CDE上で申請や指摘事項への対応ができるため、申請作業の効率化を図ることが可能です。
おわりに
BIMによる建築確認は、単なる手続きのデジタル化ではなく、建築の「品質」と「信頼性」をデータによって担保する仕組みへの変革です。
国交通省では、より多くの申請者がこのメリットを享受できるよう、制度検討などを継続してまいります。
また、「BIM図面審査」のみならず、2029年の春にはBIMデータそのものを審査対象とする「BIMデータ審査」制度の開始も予定しています(図-4)。
設計者・施工者の皆さまには、この変革をチャンスと捉え、BIMデータの価値を最大限に引き出す実務に積極的に挑戦していただきたいと考えています。
※本稿に記載の内容は、執筆時点(2025年12月)のものです
【出典】
最終更新日:2026-08-17
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