株式会社安藤・間(本社:東京都港区、代表取締役:福富 正人)は、Avintonジャパン株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:中瀬 幸子)の有するエッジAI(※1)技術を利用して、コンクリート打設の数量管理および時間管理を自動で行うシステムを開発した。
■開発の背景
コンクリート打設において、打設数量をリアルタイムで把握することは、打設ペースの確認と最終数量調整、打重ね時間の確認、戻りコン(※2)の低減のために非常に重要である。近年、一度に大量のコンクリートを打設する工事が増えてきた。
これらの工事では、複数の生コン工場から出荷されたコンクリートを数台のポンプ車を用いて打設する場合が多く、各ポンプ車に専任の管理者の配置が必要であることから人的負担が増える。
そのうえ、トータル打設数量をリアルタイムに把握するためにはさらに工夫が必要である。
そこで、省人化と品質確保の両立を目的として、ICTツールを駆使した本技術の開発を行った。
■技術の特長
・エッジAI(画像認識システム)を搭載した端末(ネットワークカメラとminiPC)により、各生コン車の現場到着時刻、打設開始時刻、打設終了時刻を人の手を介さず電子データ化し、瞬時にクラウドに送信できる。
・文字認識システムと連携したタブレットを、コンクリート納品書を集積する場所に配置しており、生コン車の運転手がボタンを押すだけで、納品書の記載内容を電子データ化し、瞬時にクラウドに送信できる。
・上記データをクラウド上で統合することにより、生コン工場ごとの打設数量、各生コン車の打設時間をリアルタイムに把握・管理することができる。
さらには、打設ペース、待機する生コン車数、打設中の生コン車数など逐次変化する状況も把握することができる。
・コンクリート打設管理帳票などを自動で作成できる。
・生コン工場側にとっては新たな設備投資(ネットワーク化など通信機材等の導入)が不要で従来の納品書による管理で済むため、システムの導入も容易。
・管理データ、ネットワークカメラ画像はクラウドを介して、関係者はどこからでもリアルタイムに確認できる。
■使用実績と効果
これまでに、大型ケーソン工事のコンクリート打設に適用してきた。
この工事では、1回当約1,500m3のコンクリートを、7カ所の生コン工場から受け入れ、4台のポンプ車を用いて打設した。
本システムの導入により、従来はポンプ車ごとに配置していた4名の専任の管理者をゼロにすることができた。
また、打設量をリアルタイムに把握できるため、戻りコンの量もそれまでと比べ、約6割低減することができた。
■今後の展開
ICTツールを活用した施工管理のDX化の一つとして、上下水道施設、ポンプ場、水門など、一回当たりのコンクリート打設量が多い工事に広く展開する予定である。
また、保有する「打上り高さ・打重ね時間自動測定システム」「生コン車の位置情報確認システム」「締固め自動判定システム」などと連携させ、総合的な生コン管理システムに発展させることで、施工管理のより一層の高度化、省力化を目指す。
※1 エッジAI
端末(ここではインターネットに接続可能なネットワークカメラとminiPC)にAIを搭載し、その場でAI処理する手法のこと。画像などの大量データを送信する必要がないため、送信速度が速まり、リアルタイム性が高まる
※2 戻りコン
現場からの注文に応じて出荷・納品されたが、余ってしまい打設されずに生コン工場に戻されるコンクリート
■問い合わせ先
株式会社安藤・間
https://www.ad-hzm.co.jp/