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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

「建築仕様書の研究」から「BIM時代の建築仕様書」へ

2025年7月28日

ICISの概要

ICIS(国際建設情報協議会)は、主に各国のマスター仕様書や、コスト情報システムを開発・供給している組織が参加する国際ネットワークとして1993年に設立された。
この組織はスイスの民法に基づいた国際団体であり、建設に携わる全ての人・組織間のコミュニケーションを国際的レベルまで高めるとともに、参加組織間の協力体制を強化することを目的としている。
現在参加国は、日本を初めとして米国、英国、カナダ、欧州、オセアニアの13カ国14機関である。
なお、日本からは、IIBH(一般社団法人 建築・住宅国際機構)が正式メンバーとして参加している。
 
ICIS国内委員会は、2002年6月に「建築仕様書の研究」を公表し、2024年3月には「BIM時代の建築仕様書」(電子版)を公表した。
この20年間の建築生産の情報化はBIMなどを中心に大きく変化しており、タイトルもそれにふさわしく、「BIM時代の建築仕様書」となっている。
 
この活動の背景として、日本以外のICIS参加国には、スペックライターという職能があり、「標準的な仕様書」から「プロジェクトごとの仕様書」を作成している過程があることをご理解いただきたい。
 
 

「BIM時代の建築仕様書」の概要

建築物を生産するには、発注者や設計者をはじめとする各生産主体がどのような建築物を造るのかを明確にする必要があり、その完成イメージや造り方を技術的に示したものが設計図書である。
その設計図書の内容は、通常、設計図と仕様書で構成される。
簡単に言えば、設計図は、建築物の形状や寸法などを表示し、一方、仕様書は、設計図では表現しにくい内容を文書や数値などで記述する補完的役割を持つ。
 
「BIM時代の建築仕様書」では、建築仕様書を対象に、現在活用されている各種の仕様書の役割や問題点などを分析し、今後の仕様書の在り方について考察する書物とするよう配慮している。
今回、今後の仕様書の在り方について取り上げた背景にあるのが、建設業界における社会状況が第1章から第4章の項目を中心に大きく変化している点にある。
また補章では、古代から現代に至るまでこれまでのわが国における建築仕様書の移り変わりを理解する上で、建築仕様書の歴史的変遷を考察しており、これまでの仕様書の在り方を見直し、さらには今後の仕様書の有様について考えていく良い機会でもあると言える。
 
今や建築生産に関わる情報の電子化が大幅に進展しており、設計図書情報の伝達の手段として今後はBIM活用拡大の方向にますます加速する気配である。
以下に概要を示すので、ぜひ「BIM時代の建築仕様書」(電子版)を一読されることをお勧めする。
本書が、次世代の建築業界における最適な仕様書の在り方について考えていく一助になれば幸いである。
 
以下に各章の概要と電子版サイトを示す。
 

第1章 仕様書とは

(執筆者:佐藤 隆良 (株)サトウファシリティーズコンサルタンツ 代表取締役)
[建築生産に関わる法規・規格・基準等の性能規定化の進捗について記述]

  • 仕様書の基本的役割について/仕様書の役割とは/仕様書の構成
  • 仕様書の実務的運用方法について/仕様書の実務での運用/設計図書の優先順位/標準仕様書の記載内容/仕様書の記述方法
  • 我が国と欧米諸国との仕様書に関する違い/仕様書の形態の違い/欧米主要国における仕様書/部位別仕様書と工種別仕様書について/部位別仕様書/工種別仕様書/性能規定による仕様書の運用/国土交通省における性能規定の在り方/性能規定のデメリット/建築基準法における性能規定化の取り扱い/欧米における性能仕様(Performance Specification)の考え方/欧米主要国の建設情報の分類体系/米国のOmniclassによる建設情報の分類体系/英国のUniclassによる建設情報の分類体系
  • 建築生産環境の変化と仕様書の動向/発注方式の多様化と仕様書のタイプ/発注方式とは/発注方式の多様化/性能発注方式とは/仕様書としての要求水準書/DX技術の加速と仕様書の対応/デジタル化とDX技術の加速/英国におけるITの発展と仕様書の進展/我が国のBIM導入の現状と将来像 (図-1)
  • 図-1 日本と米国などの仕様書の構成の違い
    図-1 日本と米国などの仕様書の構成の違い

 

第2章 建設情報の分類体系について

(執筆者:志手 一哉 芝浦工業大学 建築学部建築学科 教授)
[外国発注者の国内建設投資や海外資材や部品調達機会の増大による国際化の進展・拡大について記述]

  • 分類とは/・建設情報分類体系とは/・建設情報分類体系の仕組み
  • 主要な建設情報分類体系の概説/OmniClassの概説/UniFormatの概説/MasterFormatの概説/Uniclassの概説/EF(Elements/Functions)とSs(Systems)の関係/Pr(Products)の使い方
  • BIMにおける建設情報分類体系の使い方/BIMデータへの分類番号の入力(Autodesk Revitの例)/BIMオブジェクトの仕分け/メタデータとしての利用/営繕積算システム(RIBC2)の細目コードとUniclassのマッピング例/公共建築工事標準仕様書の目次とUniclassのマッピング例/建築生産に関わる法規・規格・基準等の性能規定化の進捗 (図-2、3)(表-1)
  • 図-2 海外の各種資料に記載された建設情報分類の例
    図-2 海外の各種資料に記載された
    建設情報分類の例
    図-3 Autodesk Rvitにおける分類番号入力機能
    図-3 Autodesk Rvitにおける分類番号入力機能
    表-1 ISO12006-22:015に定義されているテーブルのクラス
    表-1 ISO12006-2:2015に定義されているテーブルのクラス

 

第3章 BIM利用機会の拡大への対応

(執筆者:寺本 英治BIMライブラリ技術研究組合 専務理事)
[BIMを中心とするICTの活用をはじめとする急速な情報化社会の進展について記述]

  • 仕様書とBIMとの連携とは/・BIMの可能性に関するBIM先進国における展望/英国の状況/シンガポールの状況/・日本の状況/建築確認に関する動向/公共建築分野の動向
  • BIMの属性情報に幅広く関連する分野のデジタル化/仕様情報等のデジタル化/仕様書のデジタル化の考察/デジタル仕様書等を利用する場合のデータフロー・ワークフロー/仕様書からとりだされるBIM属性情報の相当項目とIFCプロパティとの関連の検討/建具表・仕上表・設備機器表のデジタル化/・日本におけるBIM進展の課題 (図-4、5)
  • 図-4 英国BIM建設2025の目標(コスト削減、工期短縮、温室効果ガス削減、輸出促進)
    図-4 英国BIM建設2025の目標(コスト削減、工期短縮、温室効果ガス削減、輸出促進)
    図-5 デジタル仕様書などを利用する場合のデータフロー・ワークフロー
    図-5 デジタル仕様書などを利用する場合のデータフロー・ワークフロー

 

第4章 入札契約方式の多様化

(執筆者:戸塚 晃 (株)保全工学研究所技術顧問、山田 剛(執筆時)国土交通省 大臣官房官庁営繕部 整備課 建築技術調整室 室長)
[発注方式の多様化も仕様書の在り方に影響を及ぼしていることについて記述]

  • 海外の傾向について/英国/米国
  • 日本の状況(民間、公共)/民間工事/公共工事
  • 各種入札方式における仕様書/英国/米国/日本
  • 図面の表現レベルから見た入札方式の分類と仕様書の関係/ Plan of workの記述/設計段階と仕様書の記述方法/設計のレベルと発注方式 (表-2、3)
  • 表-2 JCT(*)による調達方式の種類
    表-2 JCT(*)による調達方式の種類
    表-3 多様な入札契約方式一覧
    表-3 多様な入札契約方式一覧

 

補章

日本における建築仕様書の歴史的変遷(執筆者:岩松 準(一財)建築コスト管理システム研究所 研究部 総括主席研究員、長谷川直司(公財)文化財建造物保存技術協会 理事)
[古代から現代に至るまでの我が国における建築仕様書の移り変わりを理解する上で歴史的変遷について記述]
 

電子版サイト 「BIM時代の建築仕様書」(電子版)サイト https://www.iibh.org/icis.htm

 
 
 

ICIS(国際建設情報協議会)国内委員会 事務局

 
 
【出典】


建設ITガイド2025
建設ITガイド2025

最終更新日:2025-07-28



 


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