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施工者から見たCIMの問題点と対応策《その2》

2014年4月12日

 

株式会社 大林組 技術研究所
主任技師 古屋 弘

 

CIM導入のメリット

情報化施工の導入は、前述のように労働者不足や技術継承のツールとしての役割の他、建設に携わる人々や利用者に対してさまざまなメリットを与えることが可能となる。
建設構造物の特性として、ビルなどの建築物を除き、オーナーは国や地方公共団体、または公共性の高い道路や鉄道を提供する会社であり、そのユーザーは一般の人々である。
ここでは、ユーザーを国民とし、オーナーを発注者、そして施工企業のそれぞれの観点からCIM導入のメリットを考えることとする。
 

(1) 国民のメリット
i) 確実で安心できる品質を提供する

施工データが記録されることによって、完成後も必要に応じて構造物の施工品質を追跡することが可能となり、手抜き工事の防止や、瑕疵に対する責任の所在が明確化できる。
また、食料品の生産・流通データのトレーサビリティによって消費者が品質をチェックできるように、土木構造物の品質データのトレーサビリティが確保され、ユーザーがより安心して社会インフラとしてのさまざまな構造物を使用できる環境が得られる。
 

ii) 工期短縮

例えば、建設機械の数値制御や施工情報の統合管理技術の導入によって、建設機械の作業効率が向上する他、目視が困難な夜間作業でも効率よく施工することが可能となる。
これによって工事期間が短縮し、土木構造物の効果の早期発現や、工事に伴う社会損失(渋滞や騒音・振動等)の低減が期待できる。
 

iii) CO2の発生量を抑制

CIMの施工分野での実現にはICTは一つの必要条件であるが、ICTを用いることにより建設機械の作業効率が向上することで、施工量当たりの建設機械の稼働時間が短縮され、燃料消費量(CO2発生量)が低減できる。
例えば、国土交通省が実施した実証実験では、路盤整形時のモータグレーダの作業において、ICTを実装した機械では従来施工に比べて燃料消費量が約3割低減されているという報告もある。
建設資材についても、例えば舗装工事では、高精度の施工が可能となることで舗装厚の設計値に対する余盛り量が小さくなり、必要最低限の建設資材で施工が可能となる。
また、舗装の構造設計においては、施工のばらつきをある程度見込んでいるが、情報化施工によって施工精度が向上し、ばらつきを抑えることによって、必要最低限の厚さで施工できる可能性もある。
これらにより、建設資材の使用量が低減され、建設資材の製造、調達、廃棄の全プロセスで発生するCO2の削減が期待できる。
 

(2) 工事発注者のメリット
i) 出来形・品質の確認が容易

情報化施工の導入により、出来形・品質に大きな影響を与える施工データや材料データを建設機械の稼働情報により人手を介さず連続的に把握し、施工者と共有することが可能となる。
これらのデータは、工事発注者の監督・検査時の判断材料の一つになり、監督・検査等の業務を効率化できるとともに、施工管理が確実に実施されていることが確認できるようになる。
また、公共工事においては、完成検査だけでなく、工事実施状況等を日々確認し、短い間隔で検査を行う「施工プロセスを通じた検査」が試行的に導入されているが、その検査に情報化施工で連続的に記録された施工デー
タを活用することも考えられる。
 

ii) 施工精度の向上による設計のスリム化への期待

従来の施工方法よりも精度の高い施工が実現することで、これまで設計で考慮されてきた施工のばらつきに対する安全率の見直し等による設計のスリム化につながる可能性がある。
これにより、構造物の建設コストの縮減が期待できる。
 

iii) 効率的・効果的な管理を支援

CIM導入の中で、最も期待される部分が、施工中のみならず維持管理へのデータ活用であろう。
構造物完成後においても、施工中に得られる施工データを構造物の管理の初期値として利用することによって、例えば、供用後の点検履歴との比較による経時変化の確認や、類似する設計条件・施工品質に基づく合理的な要補修箇所の予測など、効率的・効果的な補修・維持管理が可能となり、メンテナンスコスト縮減も期待できる。
 

iv) 迅速かつ柔軟な技術者判断を支援

社会資本整備において、発注者として従来の技術や手法にとらわれない新たな技術を積極的に導入し、調査・設計、施工、維持管理の各段階で得られる情報を利用することで、迅速かつ柔軟な技術者判断を支援することができる。
例えば、情報が少ない場合、技術者は判断に係わる選択の幅が広いため根拠に乏しい判断をせざるを得ないが、情報量が増えるに従い、選択の範囲を絞り込むことが可能となり、より的確な判断を行うことができるようになる。
 

(3) 施工企業等のメリット

情報化施工技術は、施工会社、建設機械メーカー、測量機器メーカーなどの技術を組み合わせた複合技術であり、関連業界全般においてさまざまなメリットが考えられる。
 

i) 現場作業の効率化(工期短縮・省人化)を実現する

現場の施工図面、さらに詳細地形データや3次元設計データを用いて、機材配置の確認や施工手順のシミュレーションを実施することによって、初期設計ミスの事前修正や施工手順の確認が可能となり、現場作業を効率的に行うことができる。
特に、近年普及しつつあるICTをベースにしたCIMは、マシンコントロール技術を融合させることにより施工の省力化と精度向上に寄与するものと考える。
 

ii) 熟練者不足にも対応可能

CIMの現場実現におけるICTの活用は、マシンコントロールやマシンガイダンスを導入することによって、オペレータの熟練度に大きく依存しない施工速度や出来形・品質、施工の安全性が確保できる。
また、施工の出来形・品質をリアルタイムに確認しながら作業を行うため、施工ミスも予防できる。
さらに、従来のサンプリング箇所のみでの確認ではなく、面的に確認することも可能となる。
 

iii) 工事現場の安全性が向上する

検測の省力化は、施工機械との接触事故の危険性が高い区域内に検測作業員が侵入するリスクを低減する。
 

iv) 省エネルギーの実現

CO2の発生量の抑制を達成することと同時に、CIMの活用は、現場の施工効率の向上につながり、その結果、無駄な重機の運転や施工時の仮設電力の適正な使用も実現可能であり、省エネルギーに寄与する。
 

v) 建設現場のイメージが変わる

いわゆる3K(キツイ、キタナイ、キケン)のイメージでとらえられがちな工事現場が、CIMを駆使した先進的な生産現場へと転換し、高効率、高品質かつ安全な生産活動を実現することで、他産業と比べて良好とは言えない建設現場の作業環境が改善され、建設産業が若年就業者にとって魅力のある産業へと転換していくことも期待できる。
 

vi) 技術競争力の強化

CIMを用いた情報化施工は、時間的制約が厳しい工事においても所定の出来形・品質を実現できる可能性が大きくなり、技術競争力を強化するための手段として有効である。
例えば、舗装工事や鋼橋上部工事などで、交通規制日数等の短縮が期待できることから、総合評価方式の技術評価において高い評価を受けている事例も報告されている。
 

vii) 高付加価値の商品市場を拡大する可能性

ICT、CIMの普及に伴い、建設機械メーカーや測量機器メーカーにおいては、付加価値の高い情報化施工機器の市場の拡大が期待できる。
また、データ交換標準など、情報化施工技術を国内外で共通利用できる環境の整備が進むことによって、海外市場への参入が可能となる。
 
 
 
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その1》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その2》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その3》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その4》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
建設ITガイド2013
 
 



施工者から見たCIMの問題点と対応策《その1》

 

株式会社 大林組 技術研究所
主任技師 古屋 弘

 

はじめに

日本社会は成熟期を迎え、社会インフラは建設一辺倒からメンテナンス・リニューアルに関しても考える時期となりつつある。
一方で、高齢化に伴う労働力の不足や、近年の建設投資はGDPの10%を割り込むなど、人間を含めたリソースを無駄なく有効に使わなければならない時代となりつつある。
 
このような時代背景の中で、建設工事においては、構造物を構成する材料や構造といった要素技術分野の学術的研究の進歩を背景に、設計の高度化と信頼性向上が進み、性能規定を取り入れた設計法が各分野で取り入れられつつある。
一方、施工分野でも大きく建設技術が進歩する中で、工法や施工機械の高度化のみならず、ICT(Information and Communication Technology情報通信技術)を建設施工に活用して、高い生産性と施工品質を実現する新たな施工システムの総称として使用されるようになってきた。
 
特に土木工事の分野で、現在われわれの多くが認識する「情報化施工」は、2008年7月に公表された「情報化施工推進戦略」(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/01/010221_4_.html(2012))に基づく国交省のプロジェクトにより大きく歩み出し、施工の最適化を行う計測管理を主体とした「情報化施工」から、GPSに代表される高性能な計測装置や高機能なセンサ、およびネットワーク技術の建設現場での活用により、「ICT施工」と呼ばれる新しい情報化施工管理技術へと進化し、数多くの現場に普及しつつある。
 
さらに、ICTの活用のみならず建設プロジェクトを3次元データやプロダクトデータを有効に活用しつつ統合管理しようという考えに基づき「CIM(Construction Information Modeling)」が国土交通省から提起され、2012年度から設計分野での施行が開始された。
CIMの活用は建設における業務フローを大きく変革することは必須で、建設プロジェクトの関わる全ての人々にある種の不安と期待を抱かせている。
 
今回はCIMの活用を施工者の面から考え、われわれが考える課題と対策をまとめてみたい。
 
 

情報化施工の変遷

近年では、情報化施工とICTは同義語のように認識されているが、情報化施工の概念は図-1のように分類される。
 

図-1 情報化施工の変遷

図-1 情報化施工の変遷


そもそも、建設分野における情報化施工とは、設計(未確定の条件をモデル化した予測値)と施工とのギャップを埋め、施工の合理性を追求することにより、経済的で安全な施工を行うことを目的としたもので、従来から観測施工(Construction by Information Retrieval System)とも呼ばれているものである。
この情報化施工は施工管理において、依然として重要な概念であり、施工中の計測データから得られる情報を基に、現状解析・逆解析から施工現場の当初の情報の不確実性を徐々に減少させ、予測解析を経て施工を安全に行い、結果的に合理的な施工を行うことを目的としている。
 
この情報化施工は、多くの施工現場で重要な意味を持ち実施されているが、さらに近年では「新しい情報化施工」が進展しつつある。
その代表が、屋外の測量におけるGPSに代表される高性能な計測装置や高機能なセンサの利用と、ネットワークの活用、さらにそれらを利用した施工管理システムの進化から、いわゆる「ICT施工」技術と呼ばれるようになった技術の適用である。
このICTの活用は、調査や維持管理におけるツールとしても有効に活用され、プロジェクトの合理化に寄与するとともにLCC(Life Cycle Cost)の低減にも寄与する可能性を秘めている。
(参考文献>古屋弘:近年の施工管理の中での情報化施工、地盤工学会誌Vol.58 No.1 pp24-25(2010.1))
 
さらにICTの活用は、施工の効率化・高精度化のみならず、設計データを基に施工時における受発注者間/施工業者間のデータ共有、およびCALS/ECの概念を取り入れた「建設工事の企画設計から施工管理全般に適用しようとする試み」にまで広がり、3次元モデルの活用とともに、建設のプロセスの中だけではなく、構造物の維持管理やアセットマネージメントにも活用が期待されている。
これらは、建築におけるBIM(Building Information Modeling)の活用と同様な考え方であるが、土木におけるプロダクトモデルの活用として、近年ではCIM(Construction InformationModeling)のような概念で、新たな情報化施工の方向性が示されている。
(参考文献>佐藤直良:BIMからCIMへ―建設生産システムのイノベーションに向けて―、2011年度公共調達シンポジウム(2011.11))
 
いずれの意味での情報化施工においても、計測等で得られたデータの有効活用が根底にあり、ICTは建設プロジェクトで利用したり、発生する多くの情報を合理的かつ迅速に処理するツールとして機能し、その重要性はますます高まり、活用範囲も広がりつつある。
さらに、このICTをベースにしたCIMは、建設に変革をもたらすものと期待される。
 
 

建設業就労者の動向

ICTの活用に関する技術の方向や、CIMの課題、およびそれがもたらす効果に関しては後述するが、その前に建設業の抱える課題の一端を就労者の推移という観点からここに示す。
 

図-2 建設技能労働者の過不足率

図-2 建設技能労働者の過不足率


図-2は国土交通省「建設労働需給調査結果」に2011年の月次状況、および関連する社会情勢の一部を追記したものであり、図-3は総務省「労働力調査」から他産業と建設業の就労者の年齢構成を示したものである。
建設業の活況は景気に左右される部分は他産業と同様であるが、公共投資に大きく影響を受ける点は他産業との相違点である。
図-2において、バブル崩壊後はいざなみ景気の期間を除き、建設業労働者の需給は安定からやや過剰状態であったが、2011年3月の東日本大震災以降、労働者の不足傾向が顕著になりつつある。
このような情勢の中、図-3に示すように建設業の就労者の高齢化と若年労働者の不足傾向は、他産業に比較して悪化しており、震災復興に関わる建設需要の他、今後対応を迫られる国内の社会インフラの老朽化に伴う補修やリニューアルに対しての需要に答えられなくなる懸念もある。
さらに、若年層の建設産業就労者の低下は、次世代への技術継承の観点からも憂慮すべき事態である。
 
建設投資が図-2に示すように1992年にピークの84兆円であったものが、2013年には前年並みの約44兆円(予想)となり、建設投資の対GDP比率17.4%から9.5%に低下している。
このような社会情勢の中で、少なくとも就労者問題解決には、産業構造の改革や就労環境の改善を実施するなどの抜本的解決も必要であることは間違いない。
それらに加えて、他産業に比較して生産性の悪いとされる建設業を、ICTを活用することにより効率化し、構造物の情報のみならずノウハウや「業・技」のような暗黙知を情報化し、次世代に継承することは、ICTの活用をベースにしたCIMの使命であると考える。
 
図-3 建設業就労者の年齢構成の推移

図-3 建設業就労者の年齢構成の推移


 
 
 
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その1》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その2》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その3》
施工者から見たCIMの問題点と対応策《その4》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
建設ITガイド2013
 
 



現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その3》

2014年3月17日

 

山政睦実×現場主義
http://const.livedoor.biz/

 

タッチパネルに対応したMicrosoft Windows 8

レノボ ThinkPad Tablet 2

レノボ ThinkPad Tablet 2


昨年10月には、Microsoft社のOS、「Windows」もバージョンアップし、タッチパネルに対応した「Windows 8」になりました。
これに伴い、各パソコンメーカーからタッチパネルを搭載した端末が続々と発売されています。
今までのWindowsOSを搭載した機種のようなデスクトップ型やノートパソコン型の他、タッチパネルに対応したことでタブレット型の端末や、キーボードと切り離すことができるセパレート型などが登場しています。
 
その中で、今回比較するのは、レノボ社から発売されている「ThinkPad Tablet 2」。
この端末は、キーボードを付属しないタブレットタイプ型で、持ち運びにも便利な軽量タイプとなっています。
 
 
iPadとの比較

iPadとの比較


写真の通り、端末を縦にすると、iPadなどと同じように表示画面が90度回転します。
また、側面のスイッチで、回転をオフにすることも可能なので、不意に画面が回転してしまうのを防ぐこともできます。
大きさはタフパッドと同じ10.1インチで、9.7インチのiPadと軽く、細長いといった感じです。
 
 
 
入出力端子(microSDやUSB端子)

入出力端子(microSDやUSB端子)


非常に軽量で、厚さ9.8mmの端末ですが、側面には、HDMI出力、USB端子にmicroSDカードスロットやSIMカードスロットを備えていますので、一通りのことを行うことができます。
USBメモリを接続すれば、通常のパソコンと同じように、メモリ内のデータを編集することができるため、現場でも事務所と同じような編集作業を行うことができます。
 
 
 
キーボード画面

キーボード画面


文字入力は、他のタブレット端末と同じように必要な時に、キーボードを表示させることが可能です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
タブレット・ペン

タブレット・ペン


また、この端末は指での入力の他、タブレット・ペンによる入力が可能なため、手書き入力をスムーズに行うこともできます。
現場で軍手をしている状態でも、入力や操作ができる上、タブレット・ペンは、端末の上部にすっぽりと収めることができるため、紛失防止にもなります。
 
さらに背面側には800万画素のリアカメラを搭載していますので、写真を撮影してそのままメール添付やOfficeソフトへの貼り付け、さらには電子納品編集なども可能です。
表側にも200万画素のフロントカメラを搭載しているため、現場からのテレビ会議への参加などを行うこともできます。
 
直射日光下での視認性(左:Nexus7、右: ThinkPad)

直射日光下での視認性
(左:Nexus7、右: ThinkPad)


直射日光下での視認性について、Nexus 7と比較してみました。
ThinkPad Tablet 2のディスプレイは、反射性が高いため、架空線が鏡のように映り込んでいるのが分かります。
視認性の程度はNexus7とほぼ同じで、直射日光下で長時間使用するには厳しい状態でした。
 
 
 
 
 
 
 

比較した5機種のまとめ

最後に今まで紹介した機能をもとに、建設現場での使い勝手を表2にまとめてみました。
iPadやNexus7の防じん性・防水性については、防水ケースを利用することにより性能を得ることができるので「△」としています。
 
使い勝手判定
 
タフパッドには、非常に強固なセキュリティを標準で本体に備えています。
ソフトウェアによるセキュリティ対策以外に、物理的に分離したセキュリティプロセッサーを搭載し、そこに暗号鍵を格納していますので、万が一本体を紛失した場合も情報が漏えいすることはないでしょう 。
 

7.9インチのiPad mini

7.9インチのiPad mini


Apple社からは今までのiPadのミニ版として、11月にiPad miniが発売されました。
iPad2やiPad Retinaディスプレイモデルが9.7インチなのに対してiPad miniは7.9インチ(Nexus 7は7インチ)になっていて、片手でも持ちやすい大きさの上、重さも約半分になっています。
防水ケースなどに入れても現場で操作するのにちょうど良い大きさになります。
 
 
 
 
 
 
左からタフパッド、iPad Retina、iPad mini

左からタフパッド、iPad Retina、iPad mini


建設現場の環境は、土木・建築・設備などの分野で大きく異なりますし、その中でも作るものによっても環境が大きく異なります。
安価なNexus 7に防水ケース程度の対策で使用することができる環境もありますし、逆に炎天下の現場ならCAMELUSが、大型パネルでデジタイザーが利用できるタフパッドが有利な環境もあります。
また、導入するシステムによって、OSが異なります。
Windows8であれば、Windows上で動いていた今までのアプリを使用することができます。
環境やシステムなど、それぞれの条件から最適な機種を選択すると良いでしょう。
 
 

まとめ

図面や書類といった必要な資料などのファイルを事前に段取りして持って行くのではなく、タブレット端末を使用することにより、必要な時にその場で必要なファイルを開くことが可能となります。
また、紙ファイルでは、事務所などに忘れた時には取りに戻る必要がありますが、タブレット端末ならサーバーなどに接続することにより、いつでもさまざまなデータを見ることができます。
そういった無駄な時間や段取りに必要だった時間を省くことができるので、直接的に業務を効率化することができます。
 
タブレット端末市場において、OSは乱立時代を迎えています。
各OSに対応した端末が今後もさらに増えていくことでしょう。
OSや端末の性能を良く理解して、使用する環境やシステムに対応した端末を選択する必要があるでしょう。
 
 
 
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その1》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その2》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その3》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 



現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その2》

 

山政睦実×現場主義
http://const.livedoor.biz/

 

特殊ディスプレイを持つタブレット端末

都築電気「CAMELUS-R」

都築電気「CAMELUS-R」

建設現場など、屋外で使用する場合、必ず問題になるのが、防水・防塵・耐衝撃ですが、もうひとつ問題になるのが、太陽の直射日光の下での画面の視認性になります。
 
強い直射日光の下では画面が黒くなって視認性が悪くなりますが、通常の液晶画面ですとタフパッドのようにバックライトを強化することで、視認性を上げています。
これとは別に、太陽の明かりを逆に利用したディスプレイが「mirasolディスプレイ(ミラソルディスプレイ)」です。
 
これは、携帯電話で有名なアメリカのクアルコム社が開発したディスプレイで、外光を利用してディスプレイを発色しているため、直射日光の光が強いほどきれいに画面を見ることができます。
さらに、バックライトを使用せず、かつ屋外でフロントライトなしでも画面表示できるため、省電力であり、バッテリも長持ちします。
 
都築電気から発売されたAndroidタブレット端末「CAMELUS(キャメラス)は、このmirasolディスプレイを国内で唯一搭載し、耐衝撃・防水対応のケース内に本体を収納した業務用の「頑丈モデル(CAMELUS-R)」も発売されています。
 
雨の中でも使用可能、落下にも耐えられる

雨の中でも使用可能、落下にも耐えられる


このモデルもタフパッド同様に、120cmの高さからの落下に耐え、防塵・防水性能はIP54(防塵性規格:有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない、防水性規格:あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない)を備えています。
 
これにより、建設現場などでの過酷な条件下でも問題なく端末を使用することができます。
本体には、ネックストラップがついていて、首や肩から下げることができるため、立ったままでの操作も楽にできます。
 
 

Googleから発売されたNexus 7

Google「Nexus 7」

Google「Nexus 7」


Nexus 7(ネクサス セブン)は、Google Nexusシリーズのひとつで、Googleが販売している端末です。
Apple社がiOSの端末としてiPadを作るように、Google社が純正Android端末として販売しているものです。
さらに、このNexus 7は、16GBタイプのもので、直販価格19,800円という安価で入手することができます(2012年11月現在)。
純正Android端末だけあって、Android OSは最新(2012年11月現在)の4.2が搭載され、7インチ端末に使いやすい工夫がされています。
なんと言っても、安価に手に入れることができるのが、最大の特徴です。
 

 

Nexus 7とCAMELUSの比較

直射日光下での視認性(左:CAMELUS、右:Nexus 7)

直射日光下での視認性
(左:CAMELUS、右:Nexus 7)


基本的に画面サイズや耐衝撃性や防水性が異なるので、一概に比較するのは難しいですが、OSのバージョンやカメラ有無、バッテリの容量に大きな差があります。
 
もちろんNexus 7には防塵性や防水性、耐衝撃性を備えておりませんので、現場で気兼ねなく使用するには、別途防水ケースなどを購入する必要があります。
 
まずは、mirasolディスプレイの実力を試すために直射日光下での画面の視認性について2機種を比較してみました。
 
 
 
 
CAMELUS(左)、Nexus 7(右)

CAMELUS(左)、Nexus 7(右)


結果は写真でも一目瞭然ですが、バックライト式のディスプレイではどうしても画面が見えづらくなります。
その点、太陽の光を利用して発色しているmirasolディスプレイは、直射日光が強いほど、逆に発色が良くなります。
 
では、曇り空や室内の場合はどうでしょうか。
 
曇り空になると、バックライトのあるNexus7の方が、発色がよくなりますが、mirasolディスプレイも問題なく画面内の文字を読み取ることができます。
 
 
蛍光灯下での視認性(上:CAMELUS、下:Nexus 7)

蛍光灯下での視認性
(上:CAMELUS、下:Nexus 7)


次に、室内での視認性について試してみました。蛍光灯を点けた部屋の壁際で、比較してみましたが、バックライトを持つNexus7はもちろんきれいに見ることができますが、mirasolディスプレイのCAMELUSでも、まったく問題なく、読み取ることができました。
これは蛍光灯の光でも、mirasolディスプレイがしっかりと発色できていることになります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その1》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その2》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その3》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
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現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その1》

 

山政睦実×現場主義
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はじめに

2008年に日本でもApple社の「iPhone」が発売され、2010年5月にはタブレット端末である「iPad」が発売されたことをきっかけに、スマートフォンやタブレット端末を持つ人が非常に増えています。
 
さらに、最近大手建設会社を中心に、タブレット端末を一括導入する会社のニュースを良く聞くようになり、いよいよ建設現場でも浸透し始めてきました。
 
端末市場においても、昨年には Android本家のGoogle社から7インチタブレットNexus7や10インチタブレットのNexus10が発売され、11月にはApple社から7.9インチのiPad miniが、また年末には満を持した形でAmazon社から
Kindle Fireなどが続々と発売されています。
 
さらに、過酷な条件下にさらされる建設現場向けのタブレット端末として、Android OS搭載したパナソニック社の「TOUGH PAD(タフパッド)」や都築電気社の「CAMELUS(キャメラス)」などが発売され、各種展示会などで展示されている試作機も含めて、さまざまな端末が今後も登場してくることでしょう。
 
今回は昨年登場した2台の建設現場向けタブレット端末について、iPad RetinaディスプレイモデルやNexus7、Windows8のタブレット端末と比較しながら、使い勝手を比較してみました。
 
比較する5機種の基本的性能一覧(2012年11月現在)
 

頑丈な端末、TOUGH PAD(タフパッド)

TOUGH PAD
パナソニック社から登場した「TOUGH PAD(タフパッド)」、建設現場内でよく使われているタフネス性能を重視した「TOUGH BOOK(タフブック)」と同じシリーズで、その名の通り頑丈(タフ)構造になっているタブレット端末です。
120cmからの落下試験にも合格し、防塵・防水性能もIP65(防塵性規格:粉塵が中に入らない、防水性規格:あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない)という高い性能を持っています。
 
OSにはGoogle社のAndroid4.0を採用していますので、GooglePlayで配布されている多くのアプリを利用することができます。
また、microSDカードスロットを備えていますので、本体に差し込むことにより、簡単にカード内のデータを端末で開くことができます。
もちろん、現場のネットワークに接続すれば事務所のサーバー内にあるデータを現場で見ることもできます。
さらにいつでもネットに接続可能な3G通信モジュール内蔵モデルも用意されています。
タフパッドを雨の日に実際に屋外で使用

 
タフパッドを雨の日に実際に屋外で使用してみました。
 
雨の量は10mm/h程度だったので、ちょうど現場作業を中止にするかどうか程度でしたが、タフパッドは全く問題なく使うことができました。
液晶画面に雨が直接当たっていましたが、指での操作も問題なくできます。
 
 
 

端子カバー

端子カバー


本体には、電源接続部やmicroSD挿入口、USB端子、HDMI出力端子などを備えていますが、それぞれの端子部には、防水用のゴムパッキンを備えたカバーがついていて、これによって高性能な防塵・防水性を確保しています。
 
本体の重さは約1kgあるため、長時間持って使用するには、少し重たい感じがします。
欲を言えばネックストラップなどが付いていると操作するにも楽ですし、持ち運びにも便利になるでしょう。
 
カメラもフロントとリアの両方に装備し、フロントは200万画素、リアは500万画素の画素数を持ち合わせていますので、テレビ会議に利用したり、現場の状況写真を撮影するには十分な性能を持っています。
 
デジタイザーと背面ホルダー

デジタイザーと背面ホルダー


ディスプレイは通常のタブレット端末と同じように、マルチタッチに対応したタッチパネルになっているので、指での操作のほか、デジタイザーにも対応しています。
これなら現場で軍手を着けている時でも、デジタイザーペンを利用して細かい操作を行うことができます。
デジタイザーペンは背面にあるホルダーに格納することができるので、必要なとき取り出して便利に使うことができます。
 
 
 
直射日光下での視認性 (左:Nexus7、右:タフパッド)

直射日光下での視認性
(左:Nexus7、右:タフパッド)


屋外で利用したときに画面が見やすいように、約500cd/㎡の高輝度液晶を搭載し、さらに反射対策としてAR(Anti-Reflection)反射防止処理が施されていますので、直射日光下でも画面が視認できないということはありませんでした。
 
タフブックなどでパナソニックが長年培ってきたタフネス構造を搭載したタフパッド、今後この手の端末が多く登場してくる中で、本命といえるタブレット端末になることでしょう。
 
 
 
 
 
 
 

iPadに防水ケース

そのままでは全く防水性のないApple社のタブレット端末「iPad(アイパッド)」シリーズですが、本体を建設現場など過酷な条件でも利用できるようなさまざまなケースが登場しています。
今回は、防水ケースをiPadに装着して、先ほどのタフパッドと一緒に屋外で使用してみました。
 

iPad防水ケース

iPad防水ケース


今回、実験に使用したiPad用の防水ケースはこちら。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三重のジッパー

三重のジッパー


この防水ケースは、防水性能IPX8(防水性規格:継続的に水没しても内部に浸水することがない)の性能を持っています。
iPadを挿入する部分は、三重のジッパーになっており、水の浸入を防ぐ強固な構造となっています。
 
 
 
 
 
 
 
リアカメラ部とイヤホン端子

リアカメラ部とイヤホン端子


フロントカメラの使用はもちろん、リアのカメラ部も防水ケース内に入れている状態でも撮影ができるように透明になっています。
さらに、イヤホン端子は、ケースの外側まで防水性を保ったまま延長されているため、イヤホンやスピーカーを接続することも可能です。
 
この防水ケースには、ネックストラップが付属されているため、使用時は首に掛けたり、持ち運び時は肩から掛けることで、本体を落下させるリスクを減らすことができます。
 
 
 
雨天での使用

雨天での使用


タフパッド同様に、雨の中へ防水ケースに入れたiPadを持って行ってみました。
 
防水ケースに入れたiPadは、今回比較している端末としては、IPX8という最上級の防水性能を持っているため、雨天の屋外でも全く問題なく使用することができます。
操作性も問題なく、指に画面がついてくる感覚のままでした。
 
 
 
 
シャワーにて防水性検証

シャワーにて防水性検証


さらに、バスルームにて、シャワーでの直撃実験を行ってみました。
防水ケースに入っていることにより、シャワー直撃の影響は全くなく、さらに指での操作も問題なく行うことができました。
 
防塵・防水性のないiPadですが、防水ケースに入れることにより、高い防水性を持った端末にすることができましたが、耐衝撃性を備えたわけではないので、落下や接触などには注意しなければなりません。
また、充電は毎回本体をケースから出さないとできないため、ケースへの入れ替え作業が発生し、不便さが残ります。
 
 
 
 
 
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その1》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その2》
現場向けタブレット勢揃い! ~過酷な条件下での使い勝手を検証~《その3》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 



 


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