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大学のBIMセンターと産官学連携からみた台湾のBIM技術者育成

2025年7月23日

はじめに

建設産業全体としてBIMの普及・活用を進めるためには、BIM技術者育成に要する費用だけでなく、教える側の体制や教えるべき知識・技術体系の整備が必要である。
個々の企業や大学が提供し得る教育内容にはばらつきがあり、BIMのような広範に導入が急がれる技術については、本来は産官学が連携し、学生と実務者の双方が教育訓練の機会を得られることが望ましい。
 
そこで本稿では、台湾における産官学連携によるBIM技術者育成について紹介する。
とりわけその中核的な役割を担う、大学に設置されたBIMセンターに着目したい。
台湾では、2009年に国立台湾大学(台北市)の土木工学科(土木工程學系)にBIM研究センター(工程資訊模擬與管理研究中心)が開設され、BIMの導入や開発、教育訓練、実務への応用に関わるサービスを提供してきた。
同時にこのBIMセンターは、産官学の連携を推進し、継続的な連携の場を提供している。
 
 

産官学の連携方法

BIM技術者育成における産官学連携には、大別すると、学校の教育に対する企業の協力、大学によるBIM導入支援・業務提供、定期的な情報共有と課題への取り組み、BIM活用の環境づくりの4つがある。
それぞれの方法を具体的に見ていきたい。
 

学校の教育に対する企業の協力

産学の連携として、まず、学校の教育に対する企業の協力が挙げられる。
具体的には、企業で実際にBIMを活用している技術者が外部講師として授業に参加したり、企業が学生のインターンシップを受け入れたり、企業が学生の見学を受け入れて最新のBIM活用の状況を伝えたりしている。
これらの主な対象は大学生であるが、学生の企業見学は大学生だけでなく高校生向けサマープログラムの一環としても実施されている(図-1)。
また、企業の技術者が大学のBIMセンターに出向して学生に知識を共有するという方法もある。

図-1 高校生向け企業見学会におけるVR体験
図-1 高校生向け企業見学会におけるVR体験

 

大学によるBIM導入支援・業務提供

次に、大学が実務におけるBIM導入を支援し、業務を提供するという方法がある。
事例として、大学のBIMセンターによるBIM導入の支援、大学と実務者団体による実務者教育、BIMセンターによるコンサルティング業務の提供が挙げられる。
 
国立台湾大学のBIMセンターが初めてBIM導入の支援を行ったのは2011年頃で、支援先は国内の建設業者である。
この企業が高雄市に新築される3次元曲面の大屋根を持つ国立芸術センター(図-2)を受注することになったため、意匠・構造・設備の技術者がRevitを活用できるように、4カ月間にわたり毎週3日間のトレーニングを実施した。
さらに、BIM実行のための新しいプロセスを作成するべく、週2回の半日のコンサルティングも行われた。
同BIMセンターでは、企業だけでなく地方自治体に対しても同様のトレーニングを提供している。
 
台中市を中心とする台湾中部エリアでは、建築師法に基づく設計・監理などの国家資格である建築師の実務者団体が、近隣の複数の大学の協力を得て、実務者向けにBIMのトレーニングプログラムを提供している。
2023年は1日8時間のトレーニングを週1回、8週間にわたり実施した。
Revitの基本的な操作に始まり、建築プロジェクトの設計および施工段階におけるプロジェクトマネジメントとBIM活用や環境評価のためのシミュレーション、点群データの利用など幅広い内容を学ぶ。
講師は主に主催団体のメンバーが務めるが、大学の教員や、建築設計事務所・建設会社を経営しながら大学で教鞭を執る実務家教員が登壇することもある。
 
各大学のBIMセンターは企業の依頼を受けてプロジェクトに参加し、BIM業務を実施している。
高雄市にある大学のBIMセンターでは、パートナー企業に対し、BIMモデリングやIoTを用いた運営段階における空調などの自動化、VRを用いた危機対応の訓練など、BIMとその他のICT技術を統合したサービスを提供している。
またBIM活用プラットフォームを開発しており、複数の大手民間企業に導入されている。
このプラットフォームの使用方法に関する研修も提供しているという。

図-2 大学のBIM導入支援を受けて建設された芸術センターの大屋根
図-2 大学のBIM導入支援を受けて建設された芸術センターの大屋根

 

定期的な情報共有と課題への取り組み

これらの産官学連携を継続的に推進するためには、個々の企業・自治体と大学・ BIMセンターの連携だけでなく、産官学連携に関わる組織の横のつながりが必要である。
 
台湾BIM連盟(Taiwan BIM Alliance)は、国立台湾大学のBIMセンターが設立・運営するBIM推進のための産官学の協同体である。
この協同体にはメンバーシップフィーを支払う54の企業(建設業者、建設コンサルティング会社、BIM・情報サービス会社、不動産開発会社、建築設計事務所など)とフィーを支払わない27のパートナー組織(大学や行政組織、公的団体)が参加している。
 
メンバー間のネットワーク構築や産官の議論・課題抽出の場として、コロナ禍までは年1回、コロナ禍以降は四半期ごとの成果報告会を開催しているほか、BIMセンターでトピックを設定し、月に1回の朝食会を実施している。
パンデミックの期間中に対面での活動をオンラインに切り替えるために、メンバーの年間成果に関する番組を制作してYouTubeチャンネルで配信し、メンバーの最新の研究開発成果を一般に共有し始めた。
また不定期でセミナー・シンポジウムの開催やメンバーによる報告会、オンラインでの情報発信などを行っている(図-3)。
BIMセンターの取り組みに対しても、多くの協同体メンバーが協力している。

図-3 筆者が参加した台湾BIM連盟のメンバー向けフォーラム
図-3 筆者が参加した台湾BIM連盟のメンバー向けフォーラム

 

BIM活用の環境づくり

最後に、建設産業全体としてのBIM活用の環境づくりである。
技術者がBIMを習得し企業がBIMを導入しようとする動機付けや、産学連携の後押しの役割は官(公共発注者や公的な制度)が担う。
 
台湾では2017年に行政院公共工程委員會(PCC:Public Construction Commission)が発注する一定規模以上のプロジェクトにおいてBIMの導入が必須とされた経緯があり、公共工事を多く受注する企業は早い段階からBIM活用に取り組んできた。
そのプロジェクトに配属された社員も必要性を感じて積極的にBIMを習得しようとする。
また、プロジェクトにおけるBIMの活用を推進し、そこで得られた成果について積極的に公開している地方自治体もある。
 
 

中間的組織としてのBIMセンター

本稿で紹介している産官学連携の方法はいずれも特異なものではなく、日本ですでに実践されているものも多い。
しかし、全体として見たときに、台湾では継続的な産官学連携により、ボトムアップでBIM技術者の育成・BIM推進が行われている。
その鍵を握るのが、人・組織・情報(技術・知識)のプラットフォームたるBIMセンターの存在である。
 

大学のBIMセンターの役割

3大学のBIMセンターの事例をもとに整理すると、BIMセンターが担う役割は6つある。
すなわち、①学内の教育、②学外の教育、③BIMコンサルティング・サービス業務、④研究開発、⑤情報発信・情報共有、⑥連携の場づくりである。
もちろん、大学により、どの役割に力点を置くか、またその実践方法は少しずつ異なっている(表-1、図- 4、5)。

表-1 大学のBIMセンターの役割
表-1 大学のBIMセンターの役割
図-4、5 国立台湾大学BIM研究センターが発刊しているテキストの例

図-4、5 国立台湾大学BIM研究センターが発刊しているテキストの例2

図-4、5 国立台湾大学BIM研究センターが発刊しているテキストの例
 

中間的な組織としてのBIMセンター

国立台湾大学のBIMセンターは、設立以来、主として産学連携プロジェクトの資金により運営されてきた。
同センターが運営する台湾BIM連盟は、2015年の設立以来、産業界の支援を行っている。
2022年以降は企業メンバーのフィーのみで運営されているが、設立から6年ほどは企業メンバーのフィーと合わせて政府の助成を得ていた。
すなわち、大学を台湾の産業を支援するためのサービスプラットフォームとして機能させる構想のもと、国家科学及技術委員会(当時の科学技術省)が資金を提供していた。
現在は3名の常勤スタッフを擁し、独立採算となっている。
 
大学のBIMセンターは学内の組織でありながら、既存の部署に対して比較的自由な位置付けにある。
大学という基盤を持ちながら、学内外から最適なメンバーを集めることができ、自分たちの取り組みに関する決定権限が大きく、柔軟な試行と中長期的な取り組みの双方が可能である。
 

中間的組織の役割

このような中間的な組織はBIMに限らず台湾の大学に多く設置されている。
また、公的な団体がBIMデータプラットフォームを提供したり、BIM活用に関わる産官学の検討会を設置したりしている事例もある。
これらの団体は完全な行政機関ではなく、大学のBIMセンター同様に中間的な位置付けにある。
 
中間的な組織がそれぞれメンバーや関係者間の連携の場をつくって情報共有・情報提供を行いつつ、それらの中間的組織同士がさらに連携・協力できる基盤があることが、継続的・効果的な産官学連携の推進に大きく寄与しているのだろう。
 

産官学連携の全体像

台湾のBIM技術者育成においては、主に官は公共発注や中間的組織への助成などでBIM活用を奨励し、産は技術者を育成してプロジェクトを実施し、学は直接的・
間接的な教育と技術支援、連携の基盤づくりを担っている。
とはいえ、産官学が固定的な役割を担うのではなく、それぞれの地域や組織の特性に応じた役割や方法を採って連携している。
 
そして多様な機能を有する中間的組織が連携の場を提供して継続的な情報共有や関係性の維持を可能にし、その中間的組織がさらに中間的組織同士の連携・協力の基盤となっている。
台湾の産官学連携によるBIM技術者の育成を日本で参照する場合、台湾の中間的組織と同じ役割をどの組織が担うか、担いうるかが課題となるだろう(図-6)。

図-6 産官学連携における中間的組織
図-6 産官学連携における中間的組織

 
 

BIM推進の先へ

カーボンニュートラルとBIM

BIM推進を積極的に進めている自治体の担当者にお話をお聞きしたところ、今後の課題は、長期的な運営管理に関する情報伝達とシステム開発において、世界的なカーボンニュートラルの流れに対応するためにICT技術活用の取り組みを続けることだという。
 
台湾ではBIMがGreen DXの推進役として期待されている。
政府が2022年3月に発表した「2050年ネットゼロ排出ロードマップ」がGreen DXを牽引し、BIMがGreen DXを推進するという構図である。
目標地点が明快であるため、公共発注者がGreen DXを推奨するだけでなく、民間発注者に対してもGreen DXやBIMのメリットに関する普及・啓発が進む。
それとともに、BIMに関する業務を外注していた
小規模な建設業者でも、BIM業務の内製化に踏み切っているという。
 

大学のBIM教育とESG

実務分野だけでなく、大学の教育でも同様の問題意識が見られる。
例えば学部 1年生向けの授業では、Revitを用いた実際の校舎1棟の改修・増築設計の前に、SketchUp( Trimbleのモデリングソフト)を用いて持続可能性のためのインフラ設計を行う。
また、修士課程の学生向けの授業では、Rhino、Grasshopper、Ladybug・Honeybee( Grasshopperの環境解析ツール)を使用し、サステナブルなコーヒーショップを設計するという課題に取り組む。
課題では低炭素フットプリントを実現するために環境に配慮した建材を用いたり、エネルギー使用量の削減と業務・体験の質の向上を両立させたりすることが求められる。
 
台湾におけるBIM活用は、導入の次の段階へと歩みを進めている。
 
最後に、本稿の作成および本稿に関する調査について多大なご協力をいただいた、国立台湾大学BIM研究センターの謝尚賢所長(同大学土木工程学系教授)およびスタッフの皆さまに御礼申し上げます。
 

〈参考文献〉
  • 西野佐弥香:台湾における産官学連携によるBIM技術者の育成、日本建築学会第39回建築生産シンポジウム論文集、pp.61- 66、2024.7
  • 家入龍太:BIMでの確認申請の義務化も!アジアで進む活用、イエイリ建設IT戦略、日経XTECH、2012.8.22
    https://xtech.nikkei.com/kn/article/it/column/20120817/579790/
  • 家入龍太:産官学を牽引!台湾大学BIM研究センターの行動力、イエイリ建設IT戦略、日経XTECH、2015.6.24 https://xtech.nikkei.com/kn/article/it/column/20150618/703673/
  • Jyh-Bin Yang,Hung-Yu Chou: Mixed approach to government BIM implementation policy: An empirical study of Taiwan, Journal of Building Engineering,vol.20,pp.337-343,2018.11

 

〈写真提供〉

図-1・図-3:国立台湾大学BIM研究センター
 
 
 

京都大学大学院工学研究科 准教授
西野 佐弥香

 
 
【出典】


建設ITガイド2025
建設ITガイド2025



地方ゼネコンによるBIM活用の取り組みと展望-BIM連携の活用でパートナーシップの強化を目指す-

2025年7月21日

はじめに

静岡県静岡市に本社を構える木内建設は、2020年に創業100周年を迎えた地方ゼネコンである。
2015年にArchiCADを導入し意匠設計を中心にBIMを使用していたが、2019年の国土交通省によるBIM/CIMなどの普及拡大の動きを受け、社内でプロジェクトチームを立ち上げ、専門部署を持たずに建築部門と土木部門それぞれでBIM/CIMの推進活動を行っている。
本稿では、地方ゼネコンによるBIM推進の一貫として行っている連携の取り組みと、それに伴って明らかになってきている課題と展望について紹介したい。
 

今までのBIM活用と現在

意匠設計を中心に行われていたBIM活用は、主に「事業主との合意形成」や「工事関係者とのイメージ共有」であった。
2D図では表現しきれない空間を再現することによりイメージの共有が可能で、意匠性や品質・安全における関係者の理解度の向上によって、プロジェクトをよりスムーズに進めることが可能になっている。
最近の取り組みでは事業主に空間のボリューム感を確認してもらうためにBIMデータをVR化し、VRゴーグルで実際の空間を疑似体験してもらい最終的に合意に至ったケースもあった。
 
しかしながらこれらの取り組みを通じて感じていたのは「イメージ」という言葉以上のものを得られず、緻密な精度を求められる現場からすれば、BIMは少し遠い存在であることであった。
そのような流れを受けて現在では、意匠はArchiCAD、構造・土木はRevit、設備はRebro、施工ではSmartCON Planner for ArchiCADを採用し、おのおのの部門で使いやすいBIMの活用を進めるという方針を重視して、現状の業務に則した形でBIMを試験的に用いている。
また、業務フロー全体としてはデータの連携によって、部門を越えたBIM活用を意識した動きが始まっている。
 
 

BIM推進の課題

イメージの共有を中心としてBIM推進を行ってきた一方で、それらが関係者の業務の省力化や効率化に直結する成果を生み出していたかといえば、そこまで大きな共感を得るまでには至っていない。
普段の業務の中で日常的にBIM活用されることをBIM推進とするならば、なかなかBIMが推進されていないのが本音である。
全ての関係者・パートナーが実効性を伴った形で、BIM活用による担当業務への貢献・成果を感じられることが必要不可欠であると考え、BIMの連携を強く意識した取り組みが重要であると考えている。
 
 

連携の取り組み

点群データの活用

GNSS付SLAMLiDARハンディスキャナーを用いて計画敷地の点群データを収集し、施工条件の把握をはじめとした施工計画に活用している。
スキャンは敷地の広さ、死角の有無にもよるが、敷地内外を歩いて15~30分程度で測量可能である。
 
収集したデータ(.las)を点群処理ソフトに読み込むことで、計画敷地の点群データを確認できる。
敷地の起伏、隣地建物の高さ、周辺道路幅、架空線の位置・高さといった現地の正確な情報を1回の測量で取得できるようになった。
その結果、これまでは部署ごとに必要なタイミングでおのおのが現地調査を実施していたが、取得した点群データから必要な情報を容易に取得することができるようになり、現地調査業務の効率化につながった(図-1)。

図-1 さまざまな情報が得られる点群データ
図-1 さまざまな情報が得られる点群データ

 

点群データ+BIM

取得した点群データのBIM連携活用としては土量の算出を行っている。
当初は取得した点群データをBIMソフトに取り込み、差分により土量を求めようと試みた。
しかし点群データのデータ量が膨大で、それらをBIMソフトで処理できるデータ量に整えることに手間がかかり、決して効率的な作業と言えるものでなかった。
 
そこで、膨大なデータを扱うことができる点群処理ソフトにBIM敷地モデルのIFC変換データを取り込むことで扱いやすさが格段に向上し、敷地の点群データとの差分を求めることにより効率的に掘削土量の算出を行うことが可能となった(図-2)。

図-2 点群データ×BIMモデル 土量算出
図-2 点群データ×BIMモデル 土量算出

 
正確な敷地のデータから今まで不明瞭であった掘削土量を正確に求めることが可能になったことから、緻密な工程管理につながった。
また、工事関係者に根拠が伝わりにくい土量というものを明確な形で提示できることで、コストや工程をはじめとする合意形成に対しても大きな効果があった。
 

協力業者とのデータ重ね合わせ連携

これまでのデータの重ね合わせは各工種のモデルをゼネコン側で集め、ゼネコンがSolibriなどのソフトで統合して干渉チェックを行い、チェックの結果共有については、レポートを作成し確認する形式が主流であった。
この方法は協力業者からしたら、重ね合わせの結果が断片的にしか見えない状況であって、ゼネコン側にしかBIM活用の実感が湧いていなかった。
 
そこで新たな取り組みとして共通データ環境(以下、CDE環境)を利用しゼネコンおよび各協力業者のBIMモデルをIFCデータに変換してインターネット上へアップロードし、共有や干渉確認を行った。
各社から集めたIFCデータをオープンな場所で重ね合わせることにより、同一のソフトウエアを保有していなくても、お互いの干渉箇所の抽出や調整を容易に行うことが可能となり、ゼネコンと協力業者、また協力業者同士の連携を深めるきっかけとなる手応えを感じている(図-3)。

図-3 CDE環境内で各モデルの干渉確認
図-3 CDE環境内で各モデルの干渉確認

 
関係者全員がハイスペック機能を有するPCを保有せずとも快適にBIMを扱うことができるCDE環境の構築は、現場でのBIM活用には不可欠なものになりそうである。
 

鉄筋の自動加工

鉄筋専門工事業者との連携として、構造設計者が設計段階で作成した構造的に整合性が取れているリアルな鉄筋BIMモデルを活用し、BIMモデルが持っている鉄筋情報から直接鉄筋の自動加工へ結び付けることでデジタルファブリケーションとなるような取り組みを行っている。
 
鉄筋の加工において、加工工場では従来から工場のICT化が進んでいる。
加工帳を元に強度・径といった使用材料や加工寸法、工区・搬入日などの情報を持った絵符を工場の生産システム内で作成するが、電子化された加工帳からそれらの情報を持った2次元バーコードを生成し、それを鉄筋の自動加工機に読み込んで自動加工することも行われている。
また、加工した鉄筋の数量や工区分け・出荷時期なども2次元バーコードを読み込むことでデジタル管理され、加工工程内での省力化や効率化が進められている(写真-1、2)。

写真-1 自動加工機に読み込む2次元バーコード
写真-1 自動加工機に読み込む2次元バーコード
写真-2 鉄筋自動加工機
写真-2 鉄筋自動加工機

 
しかしながら加工帳を電子化する過程においては、現在でも鉄筋業者の職長が構造図と施工図から手書きで加工帳を作成し、それを加工工場のオペレーターが手入力でデータ化するのが実情であり、この部分をデジタル化することは鉄筋業者としても大きな省力化につながる可能性がある。
 
手入力による加工帳作成を省力化し、鉄筋の加工までの一連の流れをデジタル化するために、具体的には以下のような手順でデータ連携を行った。
 
①Revitで配筋モデルを作成して配筋の納まりなどの事前検討を行い、問題点の早期解消を図った上で、鉄筋加工に必要な加工ルールに基づいたリアルな鉄筋BIMモデルを作成する(図-4)。

図-4 Revit鉄筋BIMモデル
図-4 Revit鉄筋BIMモデル

 
②鉄筋BIMモデルから径・寸法などの鉄筋加工情報を加工リストとしてcsvデータで出力する(図-5)。

図-5 Revit加工リスト出力
図-5 Revit加工リスト出力

 
③csvデータを加工工場で取り込み、工場の生産システムに合う形にデータを調整した上で、デジタルデータのまま直接加工帳へリンクさせる。
 
この手順でBIMデータから手入力を介さずに電子化された加工帳を作成し、鉄筋の自動加工までをデジタル化することができた。
また、リアルな鉄筋BIMモデルを作成する過程の中で、配筋納まりやさまざまな問題点を事前に解消することが可能となり、施工現場においては間違いを防止し、手戻りを発生させないという点でも品質向上に寄与している。
 
 

今後の展望

現在の建設業界を取り巻く大きな問題の一つとして人手不足がある。
BIM連携を行うに当たりさまざまな協力業者と意見交換を行っているが、そのほとんどが問題の深刻さを危惧していると同時に、BIM活用・データ連携により現場作業の省力化や効率化が進むことで、人手不足の問題解決の一助になるのではないかという大きな期待が寄せられているのを感じる。
 
現状は、BIM連携による鉄筋の自動加工においてようやく一定の成果を得られたところである。
今後は型枠工事・鉄骨工事をはじめとするその他協力業者との連携を進め、その有益性を共有していきたい。
 
実効性のあるBIM活用には、フロントローディングを意識した既存ワークフローの見直しなど、さまざまな課題はあるものの協力業者とのパートナーシップが最も重要であると考えている。
全ての関係者が必要とする、情報連携できるBIMモデルを追及していくことを通じて協力業者との強固なパートナーシップを構築し、連携データの整合性からくる確実性によって、より品質の高い建築物の提供につなげたい。
そのためにも共に取り組む協力業者のBIM活用への理解を深めることや、互いのメリットを見い出しながら共に取り組むための環境をゼネコンと協力業者が一体となって整備していくことが必要である。
 
 
 

木内建設株式会社 建築部 工事課
鈴木 慎太朗
設計部 構造課
佐藤 克弥
設計部 構造課
上野 良樹

 
 
【出典】


建設ITガイド2025
建設ITガイド2025



鉄筋工事におけるBIMを適用したワークフロー

2025年7月18日

はじめに

日建連の調査によると、生産性を向上させる取り組みとして「設計施工一貫方式の受注拡大」と「BIM」が上位にある(1)
多くの総合建設会社では、設計施工一貫方式で受注した案件を中心にして、BIMの適用が進んでいると推察できよう。
 
建築BIM推進会議(国土交通省)によるBIMのガイドラインでは、「設計と施工の不連続を解消させることがBIMの活用には必要」と指摘しており(2)、総合建設会社がBIM時代以前から取り組んできた設計段階で施工者が参画する手法を、BIMという道具を活用して、さらに昇華させる時期にあると思われる。
 
近年、筆者らは設計一貫方式で発注された案件において、設計段階から設計者と施工者(専門工事会社含む)が共創してBIMを活用するワークフローの確立に取り組んできた。
本稿では、建築分野における鉄筋工事(写真-1)を題材とし、新たに立案したワークフローの概要を報告する。

写真-1 生産現場における鉄筋工事の状況
写真-1 生産現場における鉄筋工事の状況

 
 

構造図のあり方

成果物としての実施設計図

鉄筋工事に求められる品質は、要求された鉄筋材料を使用し、所定の位置に配筋・組立することである。
 
使用する鉄筋材料や径、本数などは、実施設計図書の伏図や部材リスト、特記仕様書などに明示される。
いずれも柱や梁などのように部材単体での生産情報の集まりだ。
一方、柱梁の仕口部分や鉄骨造の柱脚で使用されるアンカーボルトと梁主筋などのように、複合的な箇所の取り合いまで考慮して生産情報が作成されることは少ない。
 
鉄筋の納まり検討は、施工者が施工期間中に設計者と質疑回答を繰り返しながら、確定させるワークフローが一般的であろう。
実施設計図書に記載されている鉄筋納まりに関する生産情報は、検討を始めるために使用する位置付けであり、あらためて施工者が作成・確定させる必要がある。
 

半世紀前から指摘されている構造図に記載すべき生産情報

日本建築学会の「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」(2021年3月)の冒頭に掲載されている「まえがき」(昭和54年版/1979)には、「配筋について設計段階から考慮・検討すべき問題が多々あるように見受けられる」と指摘している。
 
さらに「配筋関係の設計図は、本来鉄筋の配筋と本数を示すのみではなく、施工の手順すなわち配筋順序、鉄筋の取合い部である部材と部材とが接合する鉄筋の納まり部材内の継手位置と方法を示し、さらにコンクリートの充てん性なども考慮されたものでなければならない。
(中略)建設工事量の増大に伴う建設業の分業、専門化による責任の分散化、設計期間の短縮などのため、配筋設計図の誤った省略もしばしば行われ、そのため納まらない配筋、不明確な配筋を生じ、設計や施工上のトラブルになることも多く生じている」と構造設計者を取り巻く環境の変化にも触れながら、配筋検討の現状を憂いていた。
 
それから約半世紀あまり経過したが、状況は大きく変わっていないと思われる。
 
指針に記載された考え方は、理想論と言ってしまえばそれまでだ。
しかしながら、建築BIM推進会議が指摘しているように、設計と施工の不連続を解消させるには、今一度、このような考え方に立ち戻り、取り組みを見直す必要があろう。
躯体工事の不具合は、建物の品質に大きな影響を与えるため、設計段階や工事開始前に不具合が発生しそうな要因を取り除くリスク管理が必要不可欠になるからだ。
 
従来、2次元による検討業務は設計者も施工者も配筋・組立の完成形をイメージすることが容易でなかった。
半世紀前と大きく変わったのは、3次元の仮想空間上で検討作業ができることだ。
BIMを道具として使用することにより、工事の前に完成形をイメージできる時代になったと言える。
 
 

ワークフローの検討

BIMとワークフローの関係

設計者と施工者がお互いに連携しながら労働生産性を向上させるには、全体最適の考え方でワークフローと役割分担を考えることが肝要である。
 
そのため、次工程と連携する生産情報をそのフェーズにおいて正しく作成するスキルと工程のマネジメントが必要になる。
このスキルは施工図・製作図の工程管理や作図・チェックと同義と思われる。
 
近年は施工図の作図・チェックなどがアウトソーシングされ、総合建設会社の技術者が必ずしもスキルを保有しているとは言えない状況だ。
作成されたBIMモデルが、施工性や規定にまったく合致しておらず、なんとなくのイメージの共有で終わる、なんてことがあると聞く。
 
そこでBIMを道具として建築生産を良い方向に向かわせるには、図-1に示すように4つのゾーンで取り組み方を考えることができる。

図-1 BIMは目的を達成するための手段
図-1 BIMは目的を達成するための手段

 
建築生産として目指すのは、領域❶になる。
領域❶を目指すには2通りのアプローチがあり、一つは領域❹の人材を領域❶に引き上げること、もう一つは領域❷と領域❹の人材が共創して領域❶に向かうことだ。
 
鉄筋の納まり検討を題材に考えてみると、領域❶のあり方は、例えば図-2に示すようなインセンティブが考えられる。
設計者と施工者がこのようなインセンティブに共感しなければ、日常業務の中にBIMが入り込むのは難しいかもしれない。
 
一方、鉄筋を納める知見は、鉄筋専門工事会社側の職長などに蓄積されているが、デジタル化は進んでおらず、領域❷のゾーンに近い。
そこで、構造設計者・総合建設会社の技術者と共創してBIMを活用し、領域❶に向かう体制をつくることができれば、新しいワークフローの立案につながりやすいと思われる。

図-2 領域❶で考えられるインセンティブ
図-2 領域❶で考えられるインセンティブ

 

鉄筋の納まりを検討する時期

全体最適のワークフローを考える際、鉄筋の納まり検討を開始する時期はいつが望ましいだろうか。
 
施工者は施工期間中の設計者への質疑や設計変更、変更に伴う数量の増減などの変更業務を減らしたいと考えている。
一方、構造設計者は設計期間中に施工者が求める精度まで検討する時間的な余裕が少なく、工事が始まり鉄筋専門工事会社が確定してから納まりの検討を始めるような手順が少なからずある。
 
常態化している検討プロセスに課題があると感じなら、約半世紀前に指摘されていたように、実施設計図書の伏図や部材リストが、鉄筋の納まり検討を反映した生産情報になっていることが最適と思われる。
構造設計者や総合建設会社の技術者、鉄筋専門工事会社の職長がこのような考えを受容することが、BIMによる新たなワークフローの確立、定着につながるだろう。
 
ワークフローを実演する舞台では、生産情報をマネジメントする技術者が主人公であり、その主人公が持つ武器(道具)がBIMになる。

図-3 鉄筋工事の生産プロセス
図-3 鉄筋工事の生産プロセス

 
 

武器としてのBIM

生産情報の「作成」で効果を発揮

鉄筋工事の生産プロセスを図-3に示す。
生産プロセスは<図面作成>→<鉄筋加工>→<配筋・組立>→<配筋検査>と大きく4つに分けることができる。
ここで着目したいのは、生産情報の「作成」と「活用」の区分だ。
 
<図面作成>プロセスは、設計者が実施設計図書、総合建設会社が躯体図と鉄筋納まり図、鉄筋専門工事会社が加工図と加工帳、鉄筋加工工場が絵符をそれぞれ「作成」する。
 
これ以降の生産プロセスは、<図面作成>で確定された生産情報を、業務内容に合わせて使用する、または手を加えながら「活用」しているにすぎない。
例えば<鉄筋加工>では、自動加工機と連携するための専用ソフトウエアが存在・確立されており、その業務に特化したソフトウエアを使用する方が効率的と思われる。
 
BIMのデータを建築生産の全プロセスでそのまま使用することは現実的でなく、それぞれの業務に特化したソフトウエアと正しい生産情報のデータ連携を考えるのが「活用」になる。
 

構造設計者と施工者の共創が必要

鉄筋納まりに関する生産情報の「作成」を構造設計者だけに依存するのは分業化が進む今では理想論になりつつある。
そこで、総合建設会社の技術者、鉄筋専門工事会社の職長らが一緒に検討できる舞台(場)をつくることが望まれるだろう。
 
配筋・組立の知見は施工者にあり、構造的な判断は構造設計者に知見がある。
全体最適で考えれば、一緒に検討をして生産情報が流通する以前に答えを出した方が効率的であることは一目瞭然だ。
 
<図面作成>プロセスで生産情報が正しく「作成」できれば、後工程では「活用」することに集中でき、納まりの再検討や鉄筋加工のやり直し、配筋・組立の不具合を低減しやすい。
 
そのためには間違いなく配筋・組立できる鉄筋の納まりを考慮した生産情報を「作成」する武器(システム)と実施設計図書に盛り込めるワークフローの確立が必要になる。
 
 

鉄筋/配筋BIM(アトアレ)

今回は鉄筋工事で使用する生産情報の「作成」を効率的にできるシステムとして、 Revitのアドオン機能で開発を進め、「アトアレ」と名付けた(3)
「アトアレ」には以下のように6つの機能を盛り込んだ(図-4)。

図-4 アトアレの主な機能
図-4 アトアレの主な機能

 

(1) 鉄筋の自動配置

設計図書を作成する構造計算データを使用して鉄筋BIMモデルを作成する。
作成の際は、躯体の形状や配置位置、配置のレベルが必要になるため、躯体(柱・梁・基礎・など)の生産情報も重要だ。
躯体に入力されている部材情報と配筋の規定から鉄筋部材を自動配置させる。
 
配置のロジックは構造設計者や元請の技術者、鉄筋専門工事会社の職長らが頭の中でシミュレーションしている内容をプログラム化した。
 

(2) 鉄筋の自動干渉回避

鉄筋の配置は、設計図書で決められた配筋の規定に基づいて最適な配置位置になるように自動的にシミュレーションをさせていったん確定させる。
 

(3) 自動干渉回避の結果表示

自動干渉回避では最適解を自動で導きだそうとするが、設定された柱や梁の構造寸法では鉄筋の間隔距離が確保できない(主筋が並ばない)、アンカーボルトと鉄筋が干渉する(主筋位置の移動が必要)などの事象が残る。
システムでは判断できない箇所は、構造設計者の判断とし、必要な箇所はリストとして抽出させる。
 
構造設計者と施工者は不適切な箇所をBIM調整会議で討議する。
鉄筋の並べ方や躯体の構造寸法、ヨリ寸法などを変更し、正しく納まっている鉄筋BIMデータをあらためて作成する。
この結果を基にして実施設計図書を出図する。
 

(4) 鉄筋専用CADとデータ連携

鉄筋BIMデータは仮想空間上で正しく配置されたデータである。
このデータは鉄筋専門工事会社が使用する加工図・加工帳の作成システムと連携する。
従来は設計図書、躯体図などのデータから職長らが自らシステムに手入力をしていた。
 
正しいBIMデータと連携することにより、職長らの入力作業が大幅に短縮され、加工寸法の調整や加工帳作成に専念することができる。
 
作業の終了後は加工図として作成された生産情報をBIMで再現するために、「アトアレ」に戻すデータを作成する。
入れ替えたBIMデータは配筋BIMとし、段階ごとにデータの持つ意味を区別した。
配筋BIMはその先の<鉄筋加工>や<配筋・組立>、<配筋検査>に活用できるDBになりえる。
 

(5) 数量を自動算出

鉄筋BIMデータから数量を算出する。
継手箇所数や定着箇所の集計が容易になるが、活用は概算レベルと位置付けている。
 

(6) 納まり図を自動作図

鉄筋BIMモデルや配筋BIMモデルから図面を作図する。
鉄筋情報はBIMモデルのタグから配置し、1カ所ずつのテキストの手入力を不要にできる。
 
検討する段階に応じて、出図する図面表現を簡素化させることで、図面とBIMの共存による作図手間を極力少なくすることにも配慮する。
 
 

アトアレを適用したワークフロー

適用したワークフローの概要

アトアレを活用したワークフローを図-5に示す。
対象は設計施工一貫方式で発注された案件とした。
行は鉄筋工事の生産プロセスに登場する主なアクター(登場人物)、列は建築生産プロセスを示している。
行の「アトアレ推進」は総合建設会社のBIM支援部門と鉄筋専門工事会社の共創チームである。

図-5 鉄筋納まりを検討するワークフロー
図-5 鉄筋納まりを検討するワークフロー

 
列は鉄筋工事の生産プロセスである<図面作成>を細分化し、<基本計画>→<基本設計>→<実施設計>→<確認申請>→<施工準備>とした。
前述したように設計段階から検討を始めるワークフローを考えているため、<基本設計>が完了した段階(概算見積)と<実施設計>が完了した段階(精算見積)の2段階で鉄筋の納まりを検討することにしている。
 
<基本設計>の終了段階では、構造設計図面として全てはそろっていないが、躯体のヨリ寸法や躯体レベル設定を想定し、主に主筋の配置を対象に検討を進める。
 
鉄骨造の基礎を検討した結果(部分)を図-6に示す。
地中梁主筋の定着や通し方、柱の主筋とアンカーボルト(フレーム)の干渉などが見られた。
施工性を考慮して主筋を通せるように構造躯体寸法の変更などを構造設計者に提案し、その結果を実施設計図書に反映させた。

図-6 鉄筋の納まり検討(基本設計段階)
図-6 鉄筋の納まり検討(基本設計段階)

 
<実施設計>が終了した段階では、構造設計図面が一式そろっているため、<基本設計>で指摘した項目が反映できているのかを確認する。
問題があれば構造設計者に伝達して構造設計図面を修正する。
ここまで検討された実施設計図書で<確認申請>を提出する。
 
構造設計者に施工できる生産情報を渡すとともに、生産現場には「配筋納まり図」の施工図としてBIMから作図する。
作図した図面の例を図-7に示す。

図-7 配筋納まり図(断面)(実施設計終了段階)
図-7 配筋納まり図(断面)(実施設計終了段階)

 
<実施設計>段階での検討結果は、生産現場の図面担当者と実際に鉄筋工事を担当する専門工事会社に引き継ぐ。
引き継ぎをするBIM調整会議の開催状況を写真-2に示す。

写真-2 検討結果のポイントを生産現場の担当者に伝達
写真-2 検討結果のポイントを生産現場の担当者に伝達

 
設計段階でアトアレを活用したワークフローの成果物は以下の通りである。
 
(1)構造設計者は施工者が提案した納まりの検討結果を反映した実施設計図書を作成する
(2) アトアレ推進では構造設計者に渡した納まりの検討結果を「配筋納まり図」として生産現場に引き継ぐ
(3) BIMデータ、図面データ、ビューアの各データは設計者と施工者で共有する
 
 

おわりに

現在、設計施工一貫方式の案件を中心にしてアトアレのワークフローが進行中である。
今回のワークフローを適用した案件は、まだ工事が着工していないため、生産現場における効果や課題などは、あらためて検証する予定だ。
 
現在は従来のワークフローで困っていない、と話す構造設計者や鉄筋専門工事会社が見られる。
しかしながら、これから先の時代は、生産現場で働く熟練工が減り、配筋・組立の完成形がイメージできない技能労働者が増える可能性を否定できない。
生産情報が流通する前の設計段階で、納まりの検討を確実に実施する体制を構築し、施工段階と連携するマネジメントの重要性がますます高まると思われる。
 
今後も建設産業を持続させるためにも、設計者と施工者がBIMを道具として共創し、お互いに正しい生産情報を作成・活用するワークフローが一般的になることを期待したい。
 

(1) 「生産性向上推進要綱2022年度フォローアップ報告書」、p12、日本建設業連合会、 2023年9月
(2) 「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第2版)」p.10、国土交通省 建築BIM推進会議、2022年3月
(3) アトアレ( At_ARe )はATELIER FOR ASSEMBLING REBAR IN A VIRTUAL SPACE(仮想空間で鉄筋を組み立てるアトリエ)の略称です。
前田建設工業の商標登録です。
 
 
 

前田建設工業株式会社
曽根 巨充
渡邉 寛也

 
 
【出典】


建設ITガイド2025
建設ITガイド2025



大阪・関西万博工事のBIM活用-建設事業の情報基盤としてのBIMの成熟とその後の「あるべき姿」を目指して-

2025年7月14日

はじめに

2008年の研究開発チーム発足から始まった大林組のBIMの取り組みは、今や全国のプロジェクトにおいて、設計から生産段階までの一貫利用が通常となっている。
本報では、大林組が考えるBIMの「あるべき姿」と、大阪・関西万博プロジェクトにおけるBIM利活用の実例、そして将来展望についてご紹介する。
 
 

大林組のBIM

BIMの「あるべき姿」

大林組のBIMは、「正しい情報で建設を行う」という基本的な理念に基づき「ワンモデル」を目指して始まった。
この「正しい情報」を作るために、全ての関係者がBIMを理解できるように、標準化されたモデリングルール「Smart BIM Standard(SBS)」を開発した。
 
BIM自体を目的とするのではなく、「業務プロセスの変革」が目的である、という考えに基づき、「鉄骨デジタル承認」や「次世代型生産設計図)、ビジュアルプロジェクト管理システム「プロミエ®」などのデジタル情報の連携手法やツールを開発・推進し「生産情報」の向上を図ってきた。
 
最近では、BIMから得られる「生産情報」とプロジェクトの進行から得られる「プロジェクトレベルの経営情報」を基に、データウエアハウス(DWH)の構築を進めている。
また、地図情報や気象情報、自治体が公開しているソーシャルデータなどの「オープンデータ」を統合し、コンピューターが自動で作業する「自働化」や、デジタルインサイト技術による「インフォームド・ディシジョン」(意思決定のための情報提供)を目指している。
これらの取り組みは、BIMの「あるべき姿」と考えており、BIMを基盤にした建設情報を中心とした建設業のあり方を追求している。
次に、大阪・関西万博工事での実例を紹介する。

大林組が目指す「あるべき姿」
大林組が目指す「あるべき姿」

 
 

大阪・関西万博工事

工事の概要

大阪・関西万博は2025年、大阪湾を望む夢洲で開催される。
甲子園球場40個分の敷地に100を超える建設プロジェクトが同時進行し、2023年6月から2025年3月まで工事が行われる。
大林組は個々の施設を建設するとともに、内林隆文所長のもとPW北東工区の幹事会社ならびに万博工事全体の安全やルールを統括する全体統括管理会社の役割も担っている。

大阪・関西万博における大林組の施工範囲(赤枠部)と大林組施工パビリオン
大阪・関西万博における大林組の施工範囲(赤枠部)と大林組施工パビリオン

 
 

大屋根リング

プロミエの活用

プロミエはBIMモデルが持つ情報を施工段階で活用するために自社開発したツールである。
Webブラウザ上で稼働するWebアプリケーションで、BIMモデルとモデルに付随する情報をクラウド上でリアルタイムに共有できる。
パソコンからスマートフォンまでさまざまな端末で利用でき、施工現場だけでなく、発注者、設計者、工事支援部門、専門工事会社も利用可能である。
 
施工段階におけるBIM利用の一つとして、モデルを部材単位に展開しそれぞれに工程情報をひも付け、工事のプロセスを4D表示するニーズがある。
プロミエではこの機能をタイムラインと呼び、施工計画と工事実績を並べて比較することができる。
施工完了部分の出来高数量や割合のグラフ表示や帳票出力機能も備えている。
また、外部アプリと連携するためのAPI(Application Programming Interface)を備えており、クレーンの挙動データから部材の取り付けを検出してプロミエに自動登録する、などの応用が可能である。

プロミエ4D表示(大屋根リング)
プロミエ4D表示(大屋根リング)

 

製作工場の製作状況管理

大屋根リングは109ユニットの木架構を円形につなぐ。
大林組はそのうち北東部35ユニットの施工を担当した。
主要部の柱・梁・根太だけでも、全部で1万個以上の部材で構成されている。
 
部材は福島県の製造工場で製作され、海路で運ばれて和歌山県のストックヤードに保管される。
部材をタイムリーに施工現場に搬入し、部材の製作・保管の状況を管理するために、プロミエを導入した。
製造工場やストックヤードでは、製造管理システムからプロミエのAPIを呼び出し製作・保管実績データを登録する。
これによって施工現場では、部材の製作・保管の状況をリアルタイムで確認できた。

プロミエによる製造工場での製作管理
プロミエによる製造工場での製作管理

 

現場施工進捗管理

プロミエは、大屋根リングの施工進捗の管理にも活用した。
各ユニットを、施工手順を考慮した複数工区に分類し、工区単位で施工日を管理した。
BIMモデルから抽出した部材の体積から重量を算出し、プロミエ上でこれを毎月の施工数量の把握に利用した。
 
 

東ゲート施設

デジタルモックアップと合意形成

東ゲート施設大屋根部は船底のような形をしており、木製のパネルで構成されている。
断面の切断箇所ごとに形状が異なっており、部位ごとに詳細に部材寸法を検討する必要があった。
また、設計図に記載の断面図や外形寸法を頼りに、部材を制作するための詳細な断面図などを作成しなければならなかった。
そこで設計モデルを基に検討モデルを作成し部材の製作に必要な検討を行うことにした。

デジタルモックアップ 調整前(左)と調整後(右) 調整前は調整後に比べ目地部の段差が目立つ
デジタルモックアップ 調整前(左)と調整後(右) 調整前は調整後に比べ目地部の段差が目立つ

 
まずは舟底を形成するパネルを960×2000のグリッドに切り分け、各グリッドにパネルを一つずつ配置し、製作するパネルをパターン分けした。
外形の通りに配置を行うと、数ミリずつサイズが異なる平行四辺形のパネルが数百パターン出来上がった。
部材の製作パターンは少ない方が、効率よく製作・施工をすることができる。
そこで製作パターンを減らしたモデルを作成し、デジタルモックアップとして外観の違いを確認できるようにした。
パターンを減らすほどパネル間の段差が大きくなり、目地部分が目立つようになってしまう。
モデル上で外観を確認しながら、部材の製作パターン数を検討し、製作・施工効率の調整を行い、最終的には数十パターンまで減らすことができた。

パネル寸法検討時の当初案
パネル寸法検討時の当初案

 

BIMを利用した足場数量算出と発注

東ゲート施設の形状は場所によって断面形状が異なり、施工用の足場を計画するのは簡単ではなかった。
そこで、足場のモデルを作成し納まりを確認した。
また、外部のシステムを利用し、モデルから足場材の数量を算出した。
このシステムでは、モデル上で範囲を選択すると、その範囲に必要な足場材の数量と重量をすぐに計算でき、そのまま足場材の発注ができるため、足場材の数量計算から部材発注までの時間を大幅に短縮できた。
足場の計画と発注は、BIMを活用することで従来の作業フローに大きな変化をもたらし、労力の削減が期待できる分野である。

船底の足場施工図
船底の足場施工図
システムでの足場数量算出
システムでの足場数量算出

 
 

パナソニックグループパビリオン「ノモの国」

Mixed Realityを活用した現地確認

パナソニックグループパビリオン「ノモの国」のファサードは、金属繊維をコーティングした布を、蝶の羽のような形をしたパーツに張り付けたものを積み重ねて構成されている。

© パナソニック ホールディングス株式会社パナソニックグループ
© パナソニック ホールディングス株式会社
パナソニックグループ

 
完成後のイメージをスケッチやモデルで想像することはできるが、特殊な形状のため、他のパビリオンとの関係や青空の下での印象など、実際に建物が完成するまで分からないことが多かった。
そこで、完成した建物のイメージを設計者等と共有するために、大林組が開発したMixed Realityアプリ「holonica®」を使用した。
このアプリでは、施工場所にBIMモデルを重ねて表示できる。
設計者が作成したBIMモデルを基にMR用のモデルを作成し、外装のフレームが完成した段階で、「holonica」を使って布部分のBIMモデルを重ね合わせた。
 
建物の躯体が完成した状況で設計者と現地確認することで、従来のワークフローより具体的に「蝶の羽のような形の布」のイメージを確認できた。

holonicaでのBIMデータ重畳
holonicaでのBIMデータ重畳

 
 

ウーマンズ パビリオンin collaboration with Cartier

QRコードを利用した部材の仕分け

ウーマンズ パビリオンの外装は、2020年ドバイ万博の日本館で使用された組子ファサードを再利用している。

© Cartier ウーマンズ パビリオン外観
© Cartier
ウーマンズ パビリオン外観

 
ファサードは、骨組みとなる棒状のチューブとそれらをつなぐ球状のノードで構成されており、そこに白い膜を取り付けて完成する。
ウーマンズ パビリオンのファサードは約4500本のチューブ、約1500個のノード、約1000枚の膜を使用している。
 
真田久親所長はドバイ万博の日本館建設工事にも従事しており、その経験がウーマンズ パビリオンの工事にも生かされている。

所長のチェック状況
所長のチェック状況

 
ノードは、自身の大きさやチューブを差し込む穴の位置・サイズが一つ一つ異なり、識別のために固有の番号が刻印されている。
ドバイ万博日本館で解体されたノードは倉庫で管理されていたが、今回の工事のために整理する必要があった。
そこで倉庫から施工現場への搬入に先立って、ノードごとに固有番号を確認し、施工順に並び替えて搬入日ごとに仕分けを行うことにした。
 
プロミエにはQRコード連携機能があり、デバイスのカメラでQRコードを読み取ることで、部材に関連付けられた情報の確認や実績の入力、3D表示での部材の取り付け位置の確認が可能である。
これらの機能を活用し、全てのノードにQRコードを貼り付け、管理することにした。
 
BIMモデル上のノードに工区と位置情報を与え、倉庫内で全てのノードの固有番号を確認し、対応するQRコードを貼り付けた。
その後プロミエのQRコード読み取り・情報表示機能を使用してノードの使用場所を確認する手順で仕分けを実施した。
プロミエとQRコードの使用によって従来方法に比べて、25%程度の労力削減となった。

QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です 組子ファサード部材とQRコードを使用した部材仕分け状況
QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です
組子ファサード部材とQRコードを使用した部材仕分け状況

 

図面チェック時のプロミエ利用

ウーマンズ パビリオンの設計データはRhinocerosモデルで提供されており、施工図の整合チェックを行う必要があった。
この整合チェックを簡便かつ正確に実施するため、設計データをプロミエに取り込み管理した。
取り込みに際しては、事前にGrasshopperを用いて膜部材の追加生成などを行った。
その後、プロミエに取り込んだモデルと施工図を見比べながら図面のチェックを行い、かつ同時にチェック作業の進捗管理を行った。

Rhinocerosモデルを取り込んだプロミエの操作画面
Rhinocerosモデルを取り込んだプロミエの操作画面

 

QRコードを利用した施工進捗記録入力および品質記録作成

ノードとチューブを組み立てる際には、ノードの向きや膜取付金物の数と向きを正確に管理する必要があった。
 
そこで、仕分け時に貼り付けたQRコードを活用した。
プロミエでQRコードを読み取ることで部材を特定し、設計図どおりに金物が取り付けられているか確認し、施工の進捗を記録した。
またチューブとノード取り付け部の品質記録書もプロミエから出力した。
このQRコードは、仕分けから施工進捗管理、品質管理、書類作成まで、何度も活用され、生産情報を利用したBIMによる一貫した施工管理が実現した。

BIM上のファサード部材情報
BIM上のファサード部材情報

 
 

全体統括管理

広大な敷地管理に自律飛行ドローンを採用

万博工事では約160haという広大な敷地で、数多くの工事会社が個々の工事を担当している。
 
全体統括管理会社である大林組は、日々進行している敷地内の工事状況や車両動線・安全通路の確保など効率的に行うため、敷地全体の現況をデジタル情報として取得することを目的に、完全自動型の自律飛行ドローンを採用した。

自律飛行ドローンとドック
自律飛行ドローンとドック

 

日々の写真や点群データを取得

ドローンは毎日定刻にドックから離陸し、プログラムされたルートに沿って地上を撮影する。
帰還すると撮影データをサーバーにアップロードし、点群データを生成する。
離陸から撮影、データのアップデート、バッテリー充電まで全て自動で行われるため、現場管理職員の手間をかけることなく広大な敷地全体を把握できた。
また、常に最新の画像や点群データを共有することにより、現場管理職員だけでなく遠隔地からの進捗確認や寸法計測も可能であった。
 

CONNECTIA®による大容量モデルや点群データを重ね合わせ

現実世界から収集したさまざまなデータを、双子のようにコンピューター上で再現する技術をデジタルツインと呼ぶ。
大林組は、BIMの情報だけでなくその他の建築情報の融合を図り、意思決定に資する情報提供を可能とする環境の構築=「あるべき姿」を目指して、デジタルツイン基盤「CONNECTIA」を開発した。
 
万博工事では、自律飛行ドローンで取得した点群データと3次元設計したBIMモデルをCONNECTIA上で重ね合わせることで、最新のデジタルツインを構築した。
CONNECTIAは複数のBIMモデルや点群データを重ね合わせても操作しやすいように設計されている。
そのため万博工事の複数のモデルにとどまらず、広大な敷地の点群データや敷地境界線情報なども同時に表示することができる。

CONNECTIA 上での重ね合わせと施工計画検討
CONNECTIA 上での重ね合わせと施工計画検討

 

CONNECTIAで効率的施工管理を実施

このCONNECTIAを用い、敷地モデル上にクレーンやダンプトラックなどの重機モデルを配置し、搬送経路の設定や揚重計画など工事の正確なシミュレーションを実施した。
 
またプロミエとも連携しており、プロミエ上の施工予定や実績情報をCONNECTIAに取り込みタイムライン表示することで、施工段階ごとの計画立案に役立てた。
 
大阪・関西万博では自社だけでなく複数の施工会社が同じ敷地内で工事を行っているため、CONNECTIAを利用して日々変わる車両の動線を検討し、効率的な施工管理を実現した。
 
 

今後の展望

万博後の展開と大林組の未来

ウーマンズ パビリオンで使用された組子ファサードは万博終了後さらなる転用が検討されており、今回使用されたQRコードやプロミエ上のデータも再利用が期待されている。
情報のプロジェクト単位でのサイクルを確立させたい。
 
万博工事では、プロミエやQRコードの利用、足場の数量算出から発注まで、BIMの情報を活用することで「業務プロセスの変革」を実践した。
 
大林組は今後もDWHを活用して建設情報を広く集め、デジタルツインなどを通じた情報の利活用を進化させ、BIMの「あるべき姿」を目指して取り組みを続けていく。
 
 
 

株式会社大林組DX本部iPDセンター制作第三部 制作第二課 主任
小山 洋登
生産デジタル部 生産第一課 副課長
西田 拓也

 
 
【出典】


建設ITガイド2025
建設ITガイド2025



沖縄総合事務局におけるBIM/CIMの取り組み

はじめに

国土交通省では、令和5年度より、BIM/CIMの原則適用(図-1)を進めており、国土交通省職員だけでなく、国土交通省の業務や工事を受注する民間企業などもBIM/CIMを活用できるように環境整備を図っています。
 
BIM/CIMの活用に当たっては、測量・調査・設計などの各段階から3次元データを導入し、施工や維持管理などの各段階への3次元データの連携が重要となります。
これにより、事業段階ごとの関係者との情報共有が容易になります。

図-1 BIM/CIM の原則適用
図-1 BIM/CIM の原則適用

 
 

沖縄総合事務局における取り組み状況

沖縄総合事務局での取り組みとして、モデル事務所を中心に進めてきましたが、令和5年度より業務・工事でのBIM/CIMの原則適用を受け、管内の他事務所でもBIM/CIMのさらなる活用を図っています。
BIM/CIMを効果的に活用し、建設生産システムの効率化を図るためには、発注者および受注者双方の人材の育成が不可欠です。
 
沖縄総合事務局では、BIM/CIMの適用が十分に浸透していない現状を踏まえ、受発注者を対象としたWebや対面での講習会を開催(図-2)し、効果的に活用を推進しています。
 
また、人材育成の拠点として沖縄総合事務局開発建設部に「沖縄インフラDXルーム」の整備し、令和4年12月20日より運用を開始しました。
 
インフラDXの推進に向けて、VRコンテンツなどの体験が可能なDX技術を活用しています。
 
今後、DXルームで体験できるコンテンツの充実と人材育成に向けた環境整備に取り組んでまいります。

図-2 令和6年度 BIM/CIM 講習会
図-2 令和6年度 BIM/CIM 講習会図-2 令和6年度 BIM/CIM 講習会

 
 

デジタルツインの作成および活用1)

沖縄総合事務局では、令和元年10月に発生した火災により焼失した首里城の復元整備を進めており、それに併せて復元作業の見える化「見せる復興」に取り組んでいます。
 
BIM/CIMを軸とする「首里城デジタルツイン」を作成し、復元までの首里城正殿の可視化を図ることで、工事関係者間での工事中・完成後のイメージを共有するツールとしての活用、また、一般の方への復元整備に関する理解を促進する情報発信ツールなどとして活用しています(図-3)。

図-3 デジタルツイン取り組み事例
図-3 デジタルツイン取り組み事例

 
 

フロントローディングの取り組み事例

BIM/CIMモデル事務所において、BIM/CIMの原則適用を受け、調査・測量・設計・施工の各段階でのフロントローディングの取り組みを進めています(図-4)。
 
特に施工段階においては、ICT活用工事に際し起工測量時にUAVレーザー測量を行い、設計データと点群データを合成した統合モデルを作成し、当初設計と施工計画作成時に手戻りを防ぐ意味でフロントローディングで活用するなどの取り組みを進めています。

図-4 フロントローディング取り組み事例
図-4 フロントローディング取り組み事例

 
 

おわりに

建設現場の生産性向上を図るためには、インフラDX、i-Construction、BIM/CIMなどの取り組みを普及・推進することが重要です。
これらの取り組みが社会全体に浸透し、一般化することで、魅力ある建設業へつなげていくことが期待されます。
 
 
〈参考文献〉
1)勝美 直光、新垣 博愛:首里城公園におけるBIM/CIMを活用したインフラDXの推進
-首里城デジタルツインの効果と課題-、令和5年度国土交通省国土技術研究会概要論文集 ~イノベーションⅡ部門~、2023
 
 
 

内閣府 沖縄総合事務局 開発建設部 技術管理課

 
 
【出典】


建設ITガイド2025
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