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生成AIによる建築デザインの可能性 建築設計アシストAIツール「AiCorb」の開発を通して

2024年8月19日

はじめに

建築設計の初期段階では、設計者は複数のデザイン案を用意した上で発注者との合意形成の場に臨むのが一般的である。
発注者はこの合意形成を通して自身の要望を明確化しながら、理想の形に近づけることができる。
これは発注者にとっては望ましい状況であるのに対し、設計者にとっては望ましい合意形成の在り方にならないケースもある。
設計者は、合意形成を円滑に進めるために、合意形成の場で提示する設計案以上にさまざまなパターンを検討する必要がある。
また、合意形成の場で提示した複数のデザイン案のうち選ばれるのは多くて2つであり、次の合意形成の場では発注者から選ばれたデザイン案をベースにしたバリエーションを提示する、というプロセスを繰り返す。
用意した提案が採用されず、別の切り口でデザインを検討し直すということも少なくない。
 
建築設計初期段階における合意形成は、このように発注者が求めるデザインの探索が目的であり、最終的に採用する設計方針が見つかるまでは非常にやり直しの多いプロセスである。
当然のことながらこのプロセスには時間の制約がある上、設計のやり直しやバリエーションの作成は非常に時間を要する。
結果として、求められる要求に対し、考えられる時間が少ないというアンバランスな関係となっている。
 
大林組では上記のような課題の解決に向け、建築設計業務をアシストするAI「AiCorb」の開発に2018年から取り組んでいる(図-1)。
本プロジェクトでは、探索できるデザインの幅や深さを広げるために生成AIの活用を検討している。
ここでは、AiCorbの紹介と、建築設計における生成AI活用の課題・展望について述べる。

図-1 AiCorbで生成したファサードデザイン案
図-1 AiCorbで生成したファサードデザイン案

 
 

設計業務における生成AIへの期待

設計業務の分類

設計にはさまざまな段階があり、大きく分けると概念設計・基本設計・実施設計に分類できる。
概念設計では敷地条件などを満たす範囲で、いくつかの設計案を素早く検討し、施主の要求に応える案を提案することが優先される。
ここでは大まかな建物形状、間取り、外観のデザインが要求される。
これに対して、基本設計以降では設計案を一つに絞り込んだ上で徐々に各要素を具体化し、仕様を確定しながら細部の検討へと移る。
また、建築法規や構法、各種製品への知見が重要となり、これらを参照しながら設計案を最終的に施工できる形まで具体化していく。
 

建築設計における生成AI利用の現状

2022年を境に生成AIの利用は急速に一般化し始めており、今では話題にならない日はないほどである。
チャット形式でAIと対話できるChatGPTやテキスト入力に沿った画像を生成できるMidjourneyなどさまざまなサービスが既に提供されており、建築設計でもファサードデザインや設計コンセプトの検討のほか、建築パース作成の補助ツールなどへの応用が進んでいる。
 

現在の生成AIの課題

急激な成長を遂げている生成AIではあるが、現状ではまだ概念設計までの段階が適していると思われる。
その理由として、今のAIはまだ具体的な寸法や形状の扱いに課題があり、さまざまな条件を考慮する必要がある基本設計以降では適用が難しいことが多いことが挙げられる。
また、説明性の面でもまだ課題がある。
ChatGPTをはじめとするLLM(Large Language Models)は会話形式の学習をしているため、説明を求めれば回答として説明文が得られる。
問いの投げかけ方にもよるが理論立てた正確な回答が得られることも多く、一見すればAIが説明性を獲得としたとも解釈できる。
しかしながら、実際のふるまいとしては問いに続くもっともらしい説明文を生成しているに過ぎず、どのような前提知識があり、何の情報を参照した上でその回答が得られたかを正確に把握することは難しい。
 

本プロジェクトにおける生成AI利用

これらの課題は、業務への生成AIの組み込み方によってその影響が大きく変わってくるため、一概に基本設計以降で生成
AIの利用ができないということではない。
また、現状の生成AIでも命令の仕方により得たい回答に近づけることもできるため、今後もさまざまな作業への応用提案が続くと思われる。
 
本プロジェクトではこれまでに述べてきた技術的課題なども考慮した上で、以下の2つの実現に生成AIを活用することが有効であると考えた。
 
①設計者が探索できるデザインの幅と深さを広げる手助け
②合意形成において発注者が言語化できていないデザインの要望を明らかにする手助け

 
上記から、AiCorbを設計者をアシストするツールとして位置付けている。
 
 

建築設計アシストAI「AiCorb」

開発の経緯

大林組は2017年にシリコンバレーにオープンイノベーションを活性化することを目的とした新拠点Obayashi SVVL( Silicon Valley Ventures and Laboratory)を創設し、Obayashi Challengeと称したイベントを実施した
(写真-1)。

写真-1 開発着手前のワークショップ
写真-1 開発着手前のワークショップ

ここでは建設業が解決すべき課題に対して現地スタートアップなどからソリューションを募集し、「AIを活用した自動設計」という課題に対して選ばれたのが本プロジェクトである。
大林組とシリコンバレーを拠点とする研究機関SRI Internationalとの共同開発としてスタートし、実現可能性の検証が終わった段階で建築設計向けWebプラットフォームを提供しているHyparも加わり、3社で共同開発に取り組んできた。
2018年の開発着手時点では生成AIという言葉もなく、「AIは創造性を持つのか」というのが最初の問いであった。
そこで、図-2のような完成形のモックアップを最初に作成しメンバー間で目標を共有した上で、研究開発をスタートした。

図-2 開発着手時に作成したモックアップ
図-2 開発着手時に作成したモックアップ

 

AiCorbの使い方

本プロジェクトでは、AiCorbと名付けた建築設計アシストAIツールを開発している。
AiCorbは2つのAIで構成されており、それぞれファサードデザイン案の検討とそのデザイン案の3Dモデル化する補助を行う。
 
図-3にAiCorbを利用する場合のワークフローを示す。

図-3 AiCorb利用時のワークフロー
図-3 AiCorb利用時のワークフロー

現在構築しているAiCorbを取り入れた設計業務としては、顧客からの要望を受けた後、まずHyparでボリュームスタディーを行う。
これが完了したのち、AiCorbを利用してファサードデザインを検討する。
これを補助するAI(Designer AI)では、スケッチでデザインのベースとなる形状的特徴を指示し、さらにテキストで作風や仕上げなどを指示することで、瞬時にさまざまなファサードデザイン案を生成できる。
図-4にさまざまスケッチ・建物用途に対する生成結果を示す。
意図したデザイン案が得られたところで、3Dモデル化を補助するAI(Modeler AI)で、そのデザインの窓の大きさや配置などの特徴を読み取り、Hypar上のボリュームモデルのファサードに反映する。
これにより、設計者は画像のみではなく3Dモデルとしても設計案を提示できるようになる(図-5)。

図-4 さまざまなスケッチ・建物用途に対する生成バリエーション
図-4 さまざまなスケッチ・建物用途に対する生成バリエーション
図-5 入力画像のファサード特徴を3Dモデルに反映するAIの結果例
図-5 入力画像のファサード特徴を3Dモデルに反映するAIの結果例

 

AiCorbに期待する効果

以上のようなプロセスにより、設計者は効率よくさまざまな案を可視化しながら検証することができ、発注者側も具体的な形として設計案を確認できるようになるため、従来よりも早期に発注者の具体的な要望を引き出すことができる。
これにより、従来ではやり直しにかけていた時間を最終案のブラッシュアップのためのデザイン作業に利用できるようになり、品質の高い設計案の提案につながると考えている。
 
また、多くの生成AIは画像生成までを対象としているが、AiCorbではBIMデータ化までを対象としている。
BIMデータには各部材の具体的な寸法や材質などの情報を付与することができるため、これを利用した各種性能評価などの活用も視野に入れている。
 
 

実用に向けた課題と今後の展望

建築設計利用における生成AIの課題

生成AIは急速な発展を遂げており、今後も継続的な性能向上が実現されていくことが予想される。
しかしながら、汎用的な目的で学習された生成AIでは、建築設計における微細なニュアンスを伝えるのが難しいなどといった課題は今後も残ると考えている。
もちろん、現在公開されているサービスでもアイデア検討は可能であり、既に多数の利用報告がある。
一方で、現在の技術では任意の結果を得るためには非常に多くの試行錯誤が必要である。
画像生成AIはChatGPTなどと同様、入力するプロンプトにより得られる結果が大幅に変わるため、ユーザーは利用するAIごとの生成傾向を探るところからスタートする必要がある。
加えて、ある程度そのAIの特性がつかめたとしても、最終的に得られる結果をユーザーが完全にコントロールすることは困難であり、くじ引きのように運任せとなる側面もある。
この偶発性をセレンディピティとして好意的に見ることもできるが、設計者の創造性を引き出すために利用するのであれば、より意図した通りの生成を可能とした上で偶発性をコントロールできるようにすることが望ましい。
 
また、ある程度コントロール性が高まったとしても、生成AIはこれまでのペンやCADなどといった手の延長にあったツールとは異なる性質を持つ。
実用に向けては、このような生成AIの特性を理解した上で最も高い利用効果が得られるような新たな建築設計のワークフローを確立することも重要だろう。
 

AiCorbの今後の展望

本プロジェクトでは、建築設計特化の生成AIを開発しており、現在のところ特にスケッチからさまざまなデザインを提案することに主眼を置いている。
詳細なスケッチだけではなくラフスケッチからでも設計の意図を読み取れるようにAIを独自に学習したほか、スケッチを忠実に読み取るAIや忠実性よりも生成結果の品質を重視したAIなど複数のAIモデルを用意するなどし、設計者の利用目的に応じた使い方ができるようなツールを目指している。
 
また、建築設計特化ではあるが、適宜汎用型AIの利用も必要だと考える。
汎用型AIと特化型AIのどちらが高い性能が得られるのかについては議論されているところではあるが、建築設計においては歴史・文化・慣習・地域などさまざまな事柄が設計案に影響を与えることから、汎用型AIが持つ知識の上に建築的な専門性を与えるべきである。
このような考えから本プロジェクトでは、汎用型AIの統合も検証しながら開発に取り組んでいる。
 
2023年7月には社内試験利用を開始した。
既に社内で延べ70名以上の設計者がAiCorbを試用しており、現在は課題やニーズの収集を行っている。
先に述べた生成結果のコントロール性は社内試行を通して得られた代表的な要望であり、コントロール性とセレンディピティのトレードオフに関する懸念も一部では見られたものの、総意としては既存をサービス含め、より任意の結果が得やすくなることが望ましいとの意見であった。
今後は収集した意見を反映しながら、早期に実用できるよう改良を続けていく。
 
 

おわりに

ChatGPTなど一部の生成AIは既に企業で活用されるまでになったが、画像生成AIに端を発した高性能な生成AIの一般公開は、始まってからまだ1年程度しかたっていない。
わずか1年で生成AIの実用方法が日々議論されるまでに至ったことは驚異的ではあるが、今後も「従来ではできなかったこと」の常識が次々と覆される状況が続くと予想される。
 
生成AIだけでなく、AIの活用は建設業の生産性向上における中核をなす。
建築設計におけるAI活用はまだ萌芽段階であり、試行錯誤を経て徐々に一般化が進むと思われる。
今後も本プロジェクトを通じ、積極的に試行結果を共有し、建築設計でのAI活用の発展に貢献していきたい所存である。
 
 
 

株式会社大林組 技術研究所 生産技術研究部 副課長
中林 拓馬
設計本部 アジア建築設計 部長
辻 芳人

 
 
【出典】


建設ITガイド 2024
特集2 建築BIM
建設ITガイド2024


 



設備BIMはグリーンに貢献している

2024年8月13日

欧州グリーンディール

グリーンに貢献するということに関してBIMデータの役割と、デジタル技術を活用する行動自体がグリーンに貢献するのではないかと思い、設備に関する話題を紹介します。
 
半年に一回ぐらい、定期的にbuilding SmartJapanのサミットに参加させていただく機会あります。
今年の春ローマで行われたサミットで、クロージングのところで、パトリックスさんが、「グリーンに貢献するんだよ、私たちの活動は」というお話をされていたことが非常に印象に残っています(図-1)。

図-1 BSIサミットクロージングセッションの様子
図-1 BSIサミットクロージングセッションの様子

 
設備環境小委員会の発足時は、設備FM分科会という名前でした。
環境小委員会という名前に変更した時に、強い意志を持って、私たちは環境をテーマに、環境負荷低減に貢献できるエンジニアリングを実現するためにIFCを運用していこうと、当時のメンバーと共有した記憶があります。
10月のオスロサミットではヨーロッパグリーンディールという言葉を聞きました(図-2)。

図-2 ヨーロッパグリーンディール (WEBにて詳細説明)
図-2 ヨーロッパグリーンディール (WEBにて詳細説明)

 
ディール、投資、環境負荷を低減するために、政策として建設業ばかりではなく、運送業マニファクチャー教育など、多くの産業全体にデジタルデータを効率よく回して、データ書式を整えて、計算書式を整えて運用のルールを決めて、仕事で最適な選択肢を導き出すことでデジタルデータを使うことが環境に貢献する。
設備に限らず産業全体でグリーンに貢献する。
現行の業務を改善する選択肢を持っていこうと、ディスカッションしていたことは大きく印象に残っています。
推進、加速化というプロセスを経て義務を伴う規制につながっているということを、ヨーロッパのグリーンディール政策で実施されていることが確認できました(図-3)。

図-3 エコデザイン規則 条文
図-3 エコデザイン規則 条文

 
 

IFCをつなぐデータにする

建設業というのは、具体的な成果を構築するには、設置場所に資材を運んで、建設資材を組み立て、建築物をつくるという業務で成り立っています。
つくるための「完成する形状や機能」をデジタル化したBIMモデル、設計の意図伝達の段階においても詳細度が異なるモデルも含めて、完成予想BIMモデルがスタートにあって、そのBIMモデルにデータが約束されたルールどおり仕込まれてあれば、そのデータを製造組み立て部分に渡せる、運送の皆さんにも渡せる。
もちろん、私たち建設業にも渡せるので、完成後はオペレーティングの部分にフェーズが移ります。
実際に建物を使う部分にも渡せます(図-4)。

図-4 建設デジタルデータの活用場面
図-4 建設デジタルデータの活用場面

 
最後には解体廃棄という、建設のライフサイクルは終焉を迎えます。
いろいろな場面で選択肢を導き出すための算出やシミュレーションができるデータになっている、デジタルデータの鍵になるものがIFCから派生したもの、データを関連付けたものとなっています。
 
今回のヨーロッパで聞いたインパクトの中で、基本データとしてのIFCは、他の産業との結び付きや、他の産業へのマッピングという可能性を非常に大きく持つものということが印象付けられました。
なおかつ、データが寸断されて渡らなかったことによって、今まで大きな損失をしていた、寸断されたデータをつなげる可能性がある、IFCの利用があるということを確認しました(図-5)。

図-5 ノルウェーオスロにおける水道インフラで使われるデータ基準
図-5 ノルウェーオスロにおける水道インフラで使われるデータ基準

 
 

環境、グリーンに寄与する活動

IFCは、Industry Foundation Classインダストリー=産業、建設業ばかりではなく運送業、製造業などと多くのデータをつなげるだけではなく、何に成果を見いだすか?その成果の一つがLCAの評価、これはIFCが流れるからこそ効率的にできると言えます(図-6)。

図-6 LCA評価を算出するフロー (国際標準クラスを採用)
図-6 LCA評価を算出するフロー (国際標準クラスを採用)

 
Life Cycle Assessmentは、低炭素社会を実現するための取り組みと言われています。
CO2をいかに抑制するか、材料を製造する時にどれぐらいCO2を出すのか、運ぶ時にどれぐらいCO2を出すのか、建設のプロセスにどんな重機・工具を使うか、どれぐらいの電気量を使うのか。
設備が大切なことは実際に運転する際の状態です。
どう運転するか、制御や運転の工夫でCO2を放出する量を削減できるのか、最後に廃棄、つまり材料が処分された時にどれぐらいCO2を排出するのかということを算出するに当たって使われるのは建設資材単位のデータです(図-7)。

図-7 CO2排出量を算出するために必要な原単位
図-7 CO2排出量を算出するために必要な原単位

 
材料の分類がしっかりとできて、それに対する原単位の扱いが大切です。
日本においてはイディア(IDEA)という原単位がよく使われていますが、数量へ原単位をかけることによって、どれぐらいのCO2が出るか、工場から運ぶ運送過程でどのような運送手段を使ったのか、どこの工場で作ったものでどんなトラックで運ぶか、をトラックの台数を少なくできる運び方としてロジスティックのデータと組み合わせることがあります。
 
春にサミットでヨーロッパに行ったら、切符を買おうとしてWebサイトにアクセスしたところ、この電車だとCO2がどれぐらい、飛行機だとどれくらい、バスだとどれぐらい、などと丁寧に表示されます。
なるべく低炭素に貢献できる選択をしなさいということです。
 
設備計画でも削減活動は同じです。
この設備の仕組みを作ると、例えば塩ビ配管でやりました、ステンレス配管でやりました、このポンプを採用しました。
省エネの機器を選びました。
それによってCO2排出量が大きく変わってきます(図-8)。

図-8 塩ビライニング鋼管の材料構成をBIMデータで分析
図-8 塩ビライニング鋼管の材料構成をBIMデータで分析

 
当然、労務も変わってきます。
私たちが判断に使いたい結果がBIMデータとuniclassや、さまざまなIDEA、いろいろなデータをマッピングすることで算出できるようになります。
BIMの最大の効果は「見える化」です。
設備環境性能の見える化にBIMデータが使われていますが、LCA評価は、一般的にはコンクリートと鉄骨しか出していません。
細かいところまで手間暇をかけて評価することに対して、時間が割けないことが現実です(図-9)。

図-9 分類を計算につなげるためにデータマッピング
図-9 分類を計算につなげるためにデータマッピング

 
BIMデータを組み合わせて運用する仕組みにおいて、設計や施工計画の段階で作られるBIMモデルが存在し、LCAの評価を半自動的に出すことができれば、グリーンに貢献できるBIMの成果ということにつながるのではないでしょうか。
 
 

設備IFCにできること

BIMオブジェクトデータを設備の機器・機材から出す、つまり運転も含めたものをLCAとして出せるような仕組みが、設備のIFCを使えばできると思います。
 
構成材料をスプレッドシートで仕分けして、どのデータベースに絡めたらいいのかなど、LCAの計算するときに工夫をしています。
このデータを計算に移行するために、他のデータとどうマッピングしたのかを示したものが下記の図です。
この部屋にある材料をどれぐらい、系統ごとに算出できるかというニーズに対して、BIMデータであれば答えを出すことができます。
一つの部屋にある製品について、この機械一つにどれぐらいCO2が発生するのかという判定したい単位ごとのLCAの評価を出すことも、BIMワークフローで発生するデータをつなげて実現できます(図-10、11)。

図-10 特定の部屋に設置された建設資材のLCA
図-10 特定の部屋に設置された建設資材のLCA
図-11 特定の材料ごとに仕分けされたLCA
図-11 特定の材料ごとに仕分けされたLCA

 
私たち設備環境小委員会メンバーは集計のツールにbuildingSMARTの設備IFCデータ利用標準に包含したIFCデータを、クラウド上のデータベースにインポートすることで、積算の見積書がViewerとともに出てくる仕組みを作ろうと活動しています。
要件を定義したり、そこの要件が回るためのルールセットというものを定めたりしています。
分類の書式に、いかにマッピングできているのかというところは、ワークフローを備えて要件定義をしたRFPを作っているところです。
 
積算をWeb環境で実施するために作っているのはRFPですが、ツール開発のための要件定義書を作っています。
要件定義書を作るためには、今のデータはどんな構造になっているのか理解していないとなりません。
ツールが出来上がった暁にはただ積算ができるばかりではなく、積算とはモノを特定して、どれぐらい数がどこの空間にあるのかによって、他の箇所の積算ができれば他の技術計算が行えます。
静圧計算、圧力損失計算、エアバランス。
さらにライサイクルアセスメントに代表される環境評価、どれぐらいのマテリアルがどこまでの材料に使われてどう運ばれてきたか?どう運転されたかといったことも、積算の基本情報があれば算出することができます(図-12)。

図-12 積算で使われる分類を技術計算にも活用
図-12 積算で使われる分類を技術計算にも活用

 
 

機器メーカーとの連携

設備構成において、機器は非常に大きなインパクトがあります。
その機器データ(BIMデータ)が回っていくのかが大切であると、ヨーロッパのグリーンディールにおいても大きなテーマとして取り上げられていました。
 
例えば、見積りの状況、積算の時の状態、実際に施工する時の状態、あと完成引き渡しの状態のデータは非常に重要で、機器の形状が変わるということではなく、データの中身がどんどん成長していくのです。
 
BIMライブラリ技術研究組合の部会2で、BIMオブジェクト利用標準2.0という電気・空調・衛生を包含した機器の利用標準を策定してリリースしています。
そのリリースしたものは、国内にある多くの空調機メーカー、送風機メーカー、ポンプメーカー、照明メーカーなどが保持しているデータです。
それらを流通する活動を同組合でやっているのですが、それらのデータをIFCにインポートすることをイメージしています(図-13)。

図-13 製造メーカーのカタログ情報 (製造情報を活用)
図-13 製造メーカーのカタログ情報 (製造情報を活用)

 
製造業が持っているデータをExcel形式で提供していただき、値をわれわれの検証にダイレクトに使うことができれば大きな社会貢献となります。
適切な機器の選定計算がBIMデータと製造者からもたらされる値によって計算が完結するからです。
生産現場で監理者が機器の能力仕様の確認を行うのに多くの時間を費やしており、デジタル確認が施工現場で実現でき、効率化と同時にグリーンに貢献できているシステム選択を確認できることがグリーン貢献であるのではないでしょうか。
 
 

グリーンなデザイン

スマートなビジネスを産業として実施してもらいたいとの思いで、日本においては建築BIM推進会議加速化事業が行われています。
標準データを整備して、標準ソリューションを使う、標準を運用できる人材を評価して産業をグリーンに貢献する形に回していくことが目的です。
 
BIMツールを扱う環境を増やしていくことも大切ですが、グリーンに貢献できる人材を育成して産業で活躍してもらうことが本来の目標です。
道具を売って、補助金が切れた途端に誰も使わないような道具を展開することが目標ではないはずです。
シンガポールで8年前に多くの補助金でBIMツールを使える状態にしましたが、現在シンガポールではIFCSGに代表される標準フォーマットを運用することで行政に係る申請確認などを実施することに集約しています(図-14)。

図-14 シンガポール政府 (IFCSGを採用)
図-14 シンガポール政府 (IFCSGを採用)

 
補助をして標準を推進している先には、官民合意で作り上げた標準を用いることが法的な義務を伴って実装されることが見えてきます。
 
ヨーロッパのグリーンディールDPPデジタルプロダクトパスポートに見られる、標準データで認証された確認検証計算ツールでグリーンのための計算を経たものしか、建設資材、製品を市場に投入できないということです。
 
建設ICTは、生産性を高めるという価値は十分果たしていると思われます。
一方で、設計・施工計画の立案過程で作られるBIMデータを使い、グリーンに貢献できる環境を作り上げることが大切な局面における判断のよりどころになるのではないでしょうか(図-15)。

図-15 BIER 建設情報環境責任という活動が活発になっている
図-15 BIER 建設情報環境責任という活動が活発になっている

 
 
 

一般社団法人buildingSMART Japan設備環境小委員会
谷内 秀敬

 
 
【出典】


建設ITガイド 2024
特集2 建築BIM
建設ITガイド2024


 



BIM/CIM・Plateau 連携デジタルツインによる資産価値創造

2024年8月5日

なぜBIM/CIMの普及が進展しないのか

建築物・構造物(以下、建築物など)の施工後の所有者は、施主と、分譲所有者の集合体という2つの形態が存在する。
現状では、この両者が施工後にBIM/CIMが提供する建築物のデジタルツインの利活用の方法とその価値を認識することができていない。
また、国外においては施工の工程表・計画の作成と管理にBIM/CIMが利用されることは常識となりつつあり、施工工程のデジタル化による効率化と迅速化が実現されている。
さらに、施工後の建築物などの運用開始後から解体までの「ライフタイムでの管理」が実現されつつある。
ライフタイムでの管理には、建築物などの運用管理だけではなく価値管理が含まれている。
建築物などは、施工後も改修や機器などの増設や入れ替えが行われるし、建築物ではテナントも変化することが一般的である。
すなわち、施工後も建築物などの構造・構成が変化することで要求・要望される新しい機能への対応が必要となる。
この新しい要求・要望への対応は、建築物などの経済的価値(資産価値)に反映されることになる。
日本においては、建築物などの経済的価値は、施工時がピーク(最大)であり、その後は、単純に減少すると考えるのが一般的であるようである。
適切な「ライフタイムでの管理」が行われれば、施工後よりも高い経済的価値を建築物などが持つことも可能であるし、経済的価値の減少度合を小さくすることも可能となる。
このような、BIM/CIMを用いた建築物などのデジタルツインが、ライフタイムでの経済的価値の最大化に貢献することと、その具体例(=ユースケース)を、施主と、分譲所有者の集合体が理解できていないことが、日本においてBIM/CIMが利活用されない最大の理由であると考えられる。
 
もう一つの理由としては、特に中小規模の建設関係事業者におけるデジタル化への移行に伴うコスト負担と労力、さらに人材確保・教育面でのコスト負担と業務変革の実現性への懸念である。
「鶏と卵問題」でもあるが、上述したBIM/CIM利活用の効果が認識されず、建築物などの設計・施工のみでの利用であれば、やはり、コスト・投資の回収を見込むことが難しいのは当然であろう。
また、BIM/CIMの適用が一部の案件にとどまっているという現状も原因として考えられる。
 
 

BIM/CIM利活用の効果

BIM/CIMの利活用に関して、「つくる段階」での短期的かつスポット的な効果としての、建築物などの「見える化」により、関係者間での合意形成が容易となり、設計の効率化が図られることは認識されている。
しかし加えて、以下で述べる「つかう段階」での長期的・継続的かつ広範囲への効果も広く認識されなければならない。
具体的には、以下の2つがその代表的なユースケースである。
 

(1)建築物などの効率的・効果的な{自動・自律的}運営・運用・維持管理

長期にわたる総合的な運用コスト削減が、デジタル技術とデジタル機器の付加的な導入によって実現される。
特に、少子高齢化が進展する日本および多くの先進国においては、ロボットやIoT機器の導入や人手による作業のデジタル化・人工知能を利用した高度な自動化によって、建築物などのデジタル技術を活用した自律的な機能の導入とそのアップデートが前提の建築物などの管理運用が可能となる。
「ファシリティ・マネジメント(FM:Facility Management)」のDX(デジタル・トランスフォーメーション)である(図-1)。

図-1 BIM CIMを活用したLCA(Life Cycle Assessment)
図-1 BIM CIMを活用したLCA(Life Cycle Assessment)

 

(2)資産価値の向上

「アセット・マネジメント(AM:AssetManagement)」、すなわちDCF(Discounted Cash Flow)に関する「資産価値創造のエコシステムの形成・創成」の実現である。
BIM/CIMを活用したDXをAMに関して実現させなければならない。
建築物などにとってFMは建築物などの経営・財務的において基本的には「コスト」とみなされる。
従って、FMはコスト(=キャッシュアウト)の削減である。
一方、AMはキャッシュインの増加を目指す施策である。
建築物などが産み出す価値を増加させる(あるいは減少させない)、すなわち建築物などの利用価値を向上させ、家賃や便益を増加させる(あるいは減少させない)施策・投資である。
建築物のテナントに対して、より快適な居住・就業環境を提供することが必要である。
そのためには、静的な躯体環境だけではなく、施工後に導入される各種の機器を利用して提供されるサービスが重要な要素となる。
スマートビルである。
スマートビルは、機能の追加やアップデートが可能な環境を持った建築物であり、ライフタイムでの建築物の持続的で継続的な進化を提供する。
スマートビルの実現には、ビルのデジタルツイン化が必須であり、そのためには、BIM基盤の活用が前提となる(図-2)。

図-2 デジタルツイン活用による資産価値創造
図-2 デジタルツイン活用による資産価値創造

 
 

今後の展開

国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)において1997年に合意された「京都議定書」は、2015年の「パリ協定」でその具体化が進められ地球温暖化に対する関心が高まり、同年9月に開催された国連総会でのSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の17の国際目標(169の達成基準と232の指標)へと進展することになった。
SDGsへの関心は、コロナ禍を契機として、また、自然災害の甚大化が顕著となり、急速に高まりを見せている。
 
われわれは、BIM/CIMに象徴されるデジタル技術を用いたSDGsに資する建築物などに関するDXを実現することで、地球環境の維持・改善に資する建築物など、さらには、キャンパス、街を創成しなければならない。
SDGsを実現・継続するという資産価値である。
 
建築物に関する全ての資源に関するエネルギー消費量の削減(=エネルギーの生産性効率(EP:Energy Productivity)の向上)の手法を考えてみよう。
すなわち、近年注目されているProduct Carbon Footprintの削減である。
この実現には、EP100では2つの柱がある。
EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入エネルギー生産性目標のため、10年以内にEMS導入を目指すとともに、企業が所有しているビルの「ZEB(ゼブ:Net Zero Energy Building)化」を目指すべきであると考える。
これらの実現のためにBIM/CIMに代表・象徴される対象とするシステムのデジタルツインの作成が前提となる。
 

(1)「新規に必要とするモノ」を「過去に製造したモノ」で代替する

リサイクルあるいはサーキュラーエコノミーと呼ばれる資源や部品の再利用・再生利用である。
産業革命以降、特に日本においては、Scrap&Buildを基本としてきた。
しかし、基本原料を製造するため(+資源から基本原料を製造するため)に必要となるエネルギーを、既に、製造済みの基本原料を再利用することができれば、大きなエネルギーおよび物理資源の削減が可能となる。
このような、「モノ」を再利用(リサイクル)する構造は、少子高齢化と人口増加の停滞・停止による“物理”経済の成長が鈍化・停滞あるいはマイナス成長となっている国や都市・地域に有効な構造であり、このような現象は、特に多くの先進国で加速することになるとともに、新興国や発展途上国においても地球温暖化を減少させるために有効な方策となると考えられる。
建築の領域においては、1960年代にMITのProf.Nicolaas John Habrakenが提唱した「Skelton&Infill」がこれに当たると言えよう。
Skelton(躯体)とInfill(内装)を分離して考えることで、耐久性のある構造体を保持しつつ、室内を作り替えて何世代に渡っても建物を使用することができるアーキテクチャである。
躯体を解体して、再構築する必要がないので、廃棄物(含産業廃棄物)の削減、再構築に必要な資源とエネルギーの削減を実現することになり、地球温暖化ガスの減少に大きな貢献を行うことになる。
 

(2)「新規に必要とするモノ」をデジタル&シェアリングエコノミーによって削減する

広義のデジタル化の導入によって、人類は排他的な物理資源の専用利用ではなく、物理資源の共有を行わなかった複数のサービス提供者間で物理資源を共用利用するシェアリングエコノミーを編み出した。
これにより、必要な資源(Resource)量の削減だけではなく、資源を作成するために必要となるエネルギー量も削減することになる。
Resource ProductivityとEnergy Productivityの飛躍的な向上である。
 
さらに、「物理的モノの移動」エネルギー(含電力)の移動≫デジタルビット(デジタル化されたモノとコト)の移動」を意識したデジタル化を実現するべきである。
物理的なモノを可能な限り利用しないようにデジタルビットを用いて、既存と等価あるいは新しいサービスを実現するシステム構造・アーキテクチャを実現することで、大きなProduct Carbon Footprintの削減が可能となる。
 
 

むすび

スマートなビル・キャンパス、そしてシティーの実現には、対象物の正確なデジタルツインが必須であり前提となる。
このデジタルツインを用いた建築物などや街のDXは、①キャッシュアウト削減だけではなくキャッシュインの増加、②Product Carbon Footprintの削減を含むSDGsおよびGXの実現、を可能にする。
なお、情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)のスマートビルプロジェクトでは、本稿で述べた、デジタルツインの活用と社会実装、さらに産業競争力、国際競争力の強化を目指した活動を行っており、2025年度にはコンソーシアムの組成を目指している。
 
 
 

東京大学/デジタル庁
江崎 浩
株式会社竹中工務店/IPA DADC
粕谷 貴司
株式会社日建設計/IPA DADC
中村 公洋
株式会社三菱総合研究所
長谷川 専
株式会社三菱地所設計
石橋 紀幸
株式会社シムックスイニシアティブ
中島 高英

 
 
【出典】


建設ITガイド 2024
特集2 建築BIM
建設ITガイド2024


 



海外におけるBIM動向 BIM情報マネジメント国際標準ISO19650におけるopenBIMの役割とは

2024年7月29日

はじめに

一般社団法人buildingSMART Japan(以下、bSJ)は、建設業界におけるデータ流通・相互運用の促進を目的として、国際組織buildingSMART International(bSI)の日本支部として1996年に設立され、BIMデータの国際標準規格であるIFC(Industry Foundation Classes)や、BIM推進に関連する標準化活動を、国際標準化機構(ISO)、欧州標準化委員会(CEN)などと協調しながら推進してきている。
2023年には、初の南米大陸からブラジル支部、BIMのビジネスアウトソーシング企業が多く、人口増加と経済成長が注目されているインド支部が、新たにbSIに加盟している。

図-1 buildingSMART支部の状況(2023)
図-1 buildingSMART支部の状況(2023)

 
2023年9月には、世界各地のBIM関係者がノルウェー・リレストロムに集い、建設産業におけるデジタル化についての標準化や実用化に向けての情報共有、議論を行うbSIサミット会議が開催された(図-2)。

図-2 buildingSMARTサミット会議の全体会議場
図-2 buildingSMARTサミット会議の全体会議場

 
bSIサミット会議では、ISO19650に基づいたBIMワークフローの事例研究、建築確認、サステナビリティ、デジタルツイン、デジタルサプライチェーン分野など、さまざまなテーマについての基調講演、パネルディスカッション、分科会、アワード表彰などが行われ、最新情報の共有、相互理解、気づきの場として発展してきている。
 
本報告では、bSIサミットの最新情報を基に、世界各地域におけるISO19650に基づいたBIMプロジェクト推進の状況、共通データ環境(CDE:Common Data Environment)におけるopenBIMの役割、建築確認へのIFC活用の最新状況について紹介する。
 
 

bSI Awards 2023

bSIでは、IFC、BCF(BIM Collaboration Format)、IDS(Information Delivery Specification)などbuildingSMARTが策定している標準を活用したopenBIMの普及促進を目的に、2014年からbuildingSMART Awardを年一回実施している。
春に応募を開始して、秋のサミット国際会議において設計、施工、運用・維持運営、学生、研究などの部門ごとの表彰を行っている。
2023年度も、全世界から137の応募があり、サミットではファイナリスト22チームが発表を行い、最終的に9の分野別優秀賞が発表された(図-3)。

図-3 bSI Awards 2023各カテゴリー優秀賞(bSIホームページから)
図-3 bSI Awards 2023各カテゴリー優秀賞(bSIホームページから)

 

各部門優秀賞9チーム
  • 資産管理部門:HOCHTIEF ViConおよびHOCHTIEF PPP Solution(ドイツ):「高速道路維持運営のためのデジタルツイン」
  • 建築施工部門:Tecklenburg GmbH(ドイツ):「警察署建築プロジェクトにおける持続可能な計画と施工」
  • 土木インフラ建設部門:中国鉄道科学アカデミー有限公司(中国):「杭州西駅におけるopenBIM活用」
  • 建築設計部門:Finavia Corporation(フィンランド):「ヘルシンキ空港開発プロジェクト2013~2023」
  • 土木・インフラ設計部門:ILFチューリッヒ(スイス):「鉄道トンネルへのopenBIM CDE活用」
  • ハンドオーバー部門:中国鉄道第一測量設計研究所集団有限公司および中国鉄道科学アカデミー有限公司(中国):「鉄道のマルチドメインopenBIMデジタルエンジニアリング認証およびハンドオーバー(引き渡し)」
  • プロフェッショナル研究部門:清華大学(中国):「openBIMに基づく自然言語処理技術による自動設計チェック」
  • 学生研究部門:ミュンヘン工科大学(ドイツ):「IFCとAI自然言語処理学習モデルを活用した初期設計段階での自動LCA設計意思決定支援システム」
  • テクノロジー部門:清華大学(中国):「openBIMおよび中国国家基準に基づいたカスタマイズ可能なBIM自動チェック」

 

ISO19650に基づくBIMプロジェクト推進

bSI Awardsにおける各チームのプロジェクト推進は、ISO19650に準拠して行うことが基本となる。
ISO19650は、BIMを活用した建設ライフサイクルにおける情報管理について規定している国際標準で、openBIMと密接な関連性を持っている。
ISO19650では、プロジェクト体制における発注者、受注者、タスクチームの構成の定義、役割を明確にし、次に示される情報要件の定義と運用が求められ、bSI Awardsの資料を理解するにも、これらの用語についての理解が必須となる。
 

  • OIR(Organisational Information Requirements):組織情報要:資産管理のニーズを満たし、組織内の高度な戦略的目標を達成するために必要な情報の要件。
  • PIR(Project Information Requirements):プロジェクト情報要件:発注者の意思決定に必要なプロジェクト情報への要件定義。
  • AIR(Asset Information Requirements):資産情報要件:プロジェクトの引き渡し時に、プロジェクトチームが運用とFMのために提出する情報の要件。
  • EIR(Exchange Information Requirements):交換情報要件(発注者情報要件):発注者がBIMプロジェクトに関する要件をまとめた文書。
    OIR、PIR、AIRの内容を直接、間接的に引き継ぐ。
  • BEP(BIM Execution Plan):BIM実行計画:EIRの内容に基づいてBIMプロセスを定義するためにプロジェクトチームが作成する文書。
    プロジェクト期間中の情報PIM(Project Information Model) が作成され、資産管理プロセスの情報AIM(Asset Information Model)へ引き継がれる。

 
BIMプロジェクトにおいて、特にEIRとBEPは密接に関連しており、これら情報要件の明確な定義は、発注者と受注者のBIM活用のゴール設定、竣工後のデータ活用などの成否に関わるため、bSI Awardsの評価ポイントの一つである。
今回のbSI Awardsにおいても、これらISO19650に準拠した文書定義がどのように活用されたかの事例を見ることができる(図-4、5)。

図-4 ISO19650の各種情報要件定義の事例(bSI Awards 2023資料から)
図-4 ISO19650の各種情報要件定義の事例
(bSI Awards 2023資料から)
図-5 EIRとBEP・LOD(LOG、 LOI)の関連性について(bSI Awards 2023資料から)
図-5 EIRとBEP・LOD(LOG、 LOI)の関連性について
(bSI Awards 2023資料から)

 

ISO19650実現におけるopenBIMの役割

ISO19650で規定されているBIMプロ ジェクト推進方法論に従い、各プロジェクトに固有のBIM活用ユースケースを選択してBEPを策定し、BIM推進の効果を最大限に発揮させるのが、BIMマネジメントにおいて重要な要素である。
BEP策定において、openBIMアプローチを活用することで、BIMユースケースを体系的かつ効率的に行う取り組みが、bSI Awardsの事例から見出すことができる。
ここで、ISO19650とopenBIMの関連性について、概要を示したい。
 
欧州標準化委員会のBIM部会(CENTC442)の発行したopenBIMに関するガイダンス資料を基に、ISO19650とopenBIMの関連性を示したのが図-6である。

図-6 ISO19650のBIMプロセスにおけるopenBIMの役割
図-6 ISO19650のBIMプロセスにおけるopenBIMの役割

 
openBIMとは、建設ライフサイクル全体において多種多様な関係者をつなげることを目的とした、「国際標準を活用」、「多種多様なソフトウエア、ソリューションが参加できる」、「長期的かつ持続可能な相互運用性を実現する」という特長を持つオープンなBIM推進手法を意味する。
関連する国際標準にはISO19650および、次に示すbSIが策定している国際標準が関係する。
 

    • IDM(Information Delivery Manual:ISO29481-1)とは、BIMプロセスにおける異なるソフトウエア間の情報受け渡し手順を定めたドキュメント形式。
      プロセスマップと交換情報要件から構成される。
    • MVD(Model View Definition)とは、IDMにより定義されたBIMデータ連携に対応する、IFCのデータ定義仕様範囲(サブセット)の定義。
    • IFC(Industry Foundation Classes:ISO16739):BIMのプロジェクト情報のデータ構造、データ形式の標準。
      2024年には、土木・インフラ分野に拡張されたバージョンが国際標準となる予定。
    • IFD(International Framework for Dictionaries:ISO12006-3)とは、オブジェクト指向に基づく建設分野辞書データ表現の標準。
      IFDを活用した建設辞書サービスはbSDD(buildingSMART Data Dictionary)と呼ばれ、IFCやプロパティセットなどのクラス・属性情報定義、OmniClass、Uniclass2015などの建設分野の分類体系情報が格納されており、WebやAPIを通しての検索が可能である。

     
     

    共通データ環境(CDE)におけるopenBIMの役割

    共通データ環境CDEは、ISO19650においてBIMライフサイクル全体における情報管理の要とされている概念である。
    国土交通省のBIM標準ワークフローガイドライン(第2版)には、建築生産ライフサイクルにおいて設計・施工・製造・運用・維持管理などの各段階の関係者が、設計・施工情報(2次元、3次元、その他関連情報)を共有し受け渡すための手続きや環境、とされている。
    bSI AwardsにおいてもCDEの活用方法が重要な評価ポイントの一つとなっている。
     

    openBIMとCDEの4つのステータス

    CDEに格納される情報には①「作業中」、②「共有」、③「公開」、④「アーカイブ」の4つのステータス(状態)が定義されている。
     
    ①「作業中」:タスクチーム(受注者の作業チーム)が他のタスクチームからはアクセスできない未承認の情報を扱う状態。
    ②「共有」:作業が完了した後にプロジェクト内の他タスクチームと共有した状態で、参照される情報。
    ③「公開」:確定・承認された情報を別の新しいプロジェクトや資産運用などで利用するためプロジェクト外に公開した状態。
    ④「アーカイブ」:全てのトランザクションおよび変更要求を含むプロジェクト履歴の記録を格納する。

    図-7 ISO19650におけるCDEの4つのステータス
    図-7 ISO19650におけるCDEの4つのステータス

     
    「作業中」状態の場合、通常各チームは業務に最適な特定のBIMオーサリングツー ル(モデリングソフトウエア)を活用し、ネイティブBIMデータの作成・修正を行う、いわゆるlittle bimによるBIM推進を行う。
    一方、「共有」以降のBIMプロセスでは、複数分野のプロジェクト関係者が関わることになるため、openBIMを活用したBIG BIMの状況となる。
     

    little bim/BIG BIM(リトルBIMとビッグBIM)

    「little bim」は、BIMプロセスが一つの会社または専門部署(タスクチーム)に限られ、自社・自部署特有の設計プロセスのニーズに合わせてカスタマイズされた手法・ソリューションを活用するBIMプロセスを指す。
    一方、「BIG BIM」は、プロジェクト全体の共同作業のための情報交換を行うBIMプロセスを意味する。
    BEPの策定において、この両方をどのように効率的に組み合わせるかがプロジェクトの成否に関わってくると言える。
     

    Single Source of Truthの実現

    SSOT(Single Source of Truth:信頼できる唯一の情報源)とは、組織内の全員が同じデータに基づいてビジネスの意思決定を行うことを保証するため、情報の一貫性と正確性を確保する慣習のことを意味する用語である。
    BIMプロジェクトの情報管理においては、CDE上における共同作業を通じてSSOTを実現することになる(図-8)。

    図-8 共通データ環境CDEにおけるプロジェクトメンバーの情報フロー例(bSI Awards 2023資料から)
    図-8 共通データ環境CDEにおけるプロジェクトメンバーの情報フロー例(bSI Awards 2023資料から)

     

    重ね合わせモデルの手法について

    CDEの「共有」以降のBIMプロセスにおいては、重ね合わせモデル(Federated model)作成をどのように行うかが、BIM総合調整(BIM Coordination)を成功に導く重要な鍵となる。
    小規模なBIMモデルの場合、BIMオーサリングツールで統合する単一モデル方式を選択することもできるが、ある程度の規模のプロジェクトの場合、openBIMによりSolibriやNavisworksのようなモデルチェック専用ソフトウエアによる重ね合わせモデル方式が有効である(図-9)。
     
    bSI Awardsにおいては、IFC,BCF,openCDE APIといったopenBIMを構成する標準を採用したCDEソリューション(例:Catenda Hub)により、クラウド上における重ね合わせモデル機能による効率的なコラボレーション運用を行う事例も出てきている(図-10)。

    図-9 重ね合わせモデルの構成例(bSI Awards 2023資料から)
    図-9 重ね合わせモデルの構成例
    (bSI Awards 2023資料から)
    図-10 openBIMに準拠したCDEによる重ね合わせモデル表示例(bSI Awards 2023資料から)
    図-10 openBIMに準拠したCDEによる重ね合わせモデル表示例
    (bSI Awards 2023資料から)

     
     

    建築確認におけるIFC活用

    日本国内では国土交通省が公開した「建築BIMの将来像と工程表(増補版)」において、2025年から「BIMによる確認申請」が位置付けられ、まず「BIM図面審査」が開始され、その後「BIMデータ審査」に発展していく。
    「BIM図面審査」についてはBIMソフトウエアから出力された整合性の担保された図面(PDF)を審査対象とし、BIMデータは参考扱いとしながらもIFC形式として提出することになる。
     

    海外の建築確認へのIFCとAIの活用

    bSIサミット会議においても、世界各国のIFC形式のBIMデータを審査対象とする建築確認プロセスへの取り組みが報告されてきている。
    今回のサミットでフィンランド、ノルウェー、オーストリア・ウィーン市、シンガポールにおけるopenBIMによる建築確認プロセスの試みの最新状況を確認することができた。
    bSI Awardsにおいてもテクノロジー部門、研究部門などで、IFCとAI自然言語処理学習モデルを組み合わせたBIMモデル自動チェック手法に注目が集まった。
     

    シンガポールCORENET X

    2000年代からBIMの建築確認への活用を行ってきているシンガポールにおいては、2023年中にこれまでの建築確認BIMプラットフォームCORENETを、CORENET Xとして更新し、openBIMに基づく建築確認プロセスに取り組んでいる状況である。
    CORENET Xは、申請側と審査側の行政機関のコミュニケーションを活性化させる建築確認CDEとして機能する。
    シンガポールでは、建築申請に必要な情報要件をIFC-SG(図-11、12)として定義し、CORENET X上でのコミュニケーションにはBCFの活用、提出側の事前チェックにはモデルチェッカー、建築審査側では自動法規チェックの仕組みを取り入れるとしている。

    図-11 IFC-SG:属性情報マッピング表(Industry Mapping 20 Oct 2023)
    図-11 IFC-SG:属性情報マッピング表
    (Industry Mapping 20 Oct 2023)
    図-12 建築確認機関側が要求するIFCに基づく情報要求の事例(防火扉の例)
    図-12 建築確認機関側が要求するIFCに
    基づく情報要求の事例(防火扉の例)

     

    今後の展望

    本稿では、BIM標準化団体bSIのサミット国際会議における、ISO19650活用事例、建築確認へのIFC活用の動向を紹介し、openBIMがどのようにISO19650と連携しているかについて述べた。
    これらの事例が日本のBIM展開へ取り込まれ、さらにはbSI標準策定への国内からの参画が活性化することを期待している。
    bSJとしては、今後も各国のopenBIMの最新動向を把握し、広く共有していくことで、我が国のBIM推進に貢献していきたいと考えている。
     

    参照情報:

     
     
     

    一般社団法人buildingSMART Japan理事(技術フェロー)鹿島建設株式会社
    足達 嘉信 博士(工学)

     
     
    【出典】


    建設ITガイド 2024
    特集2 建築BIM
    建設ITガイド2024


     



「維持管理」新時代の到来見えてきた課題に対して、新技術を導入して試すことが最初の第一歩

2024年7月22日

はじめに

5年に一度の点検業務も2024年度で3巡目に突入する。
1巡目、2巡目と実施され、順々に多くの橋梁やトンネルの延命措置が行われてきた。
しかしながら、維持点検における課題点は非常に多い。
2014年より始まった定期点検だが、いまだに打音調査がマストの状態にあるのもその一つだ。
確かにうきの有無の顕在化や位置確認に関して、現地で打音すること以上の技術はない。
しかし、多くの企業がアイデアを出しているにもかかわらず、打音調査をやらずに済むような点検はいまだ皆無であるのだ。
 

維持管理の方向性=新技術の活用

国土交通省では、これからの維持管理について「定期点検における新技術活用の方向性(案)」を2020年に提示している。
これは1巡目、2巡目を経過して分かってきた課題点から、次世代の新技術開発のヒントを示した形だ。
 
内容としては、「部位、部材の状態把握は目的に応じて最適な技術を組み合わせて効率的に実施すること」「健全性の診断は AIなどの技術を活用しつつ、人(知識と技能を有する者)が実施すること」が挙げられており、具体的には「AIによる診断の仕組みづくりと定量化」「どこがどれだけ変わったか、壊れた損傷部の動きの変化の可視化」「現場における点検の効率化と状態把握の質の向上」の3つのポイントについて注目していることが分かる。
このことからも今までの維持点検の業務が大きく革新され、技術的にも飛躍することが期待されていることは明白だ。
維持点検の需要が高まる中、これから始まる第3巡目以降の道筋、すなわち新技術の活用が、維持管理の本流となることは間違いない。

現在の定期点検における技術活用
現在の定期点検における技術活用

 

新技術の現在地

もちろん1巡目、2巡目の間にまったくの技術革新がなかったわけではない。
遠望目視および近接調査としては赤外線サーモグラフィー画像解析が浸透し、打音調査を支援する技術として多くの現場やインフラ現場の点検に使用されている。
これは浅い内部の空洞部やうきを検出するには最適な技術である反面、現場の気温や環境の影響を受けやすいという弱点もある。
計測時の対策等が必要であることを考えても、状況や人員に左右されないさらなる新技術の登場が求められているのは想像に難くない。
 
 

現在の課題を考える

ここで、今までの点検現場に立ち返り、長年点検の現場でその苦労を味わってきた一人としての視点から、どのような課題があったのかを検証してみたい。
初めに結論を言ってしまえば、課題とは時間制約と作業者の技術格差によって肝心の作業のクオリティーが低下する懸念があることだ。
その原因を大きく二つの観点から見ていこう。
 
まず前提として、点検を必要とするインフラ構造物は大量にある。
そのため発注規模として1業務当たりの構造物の施設点検数が多くなる。
一つの現場にかけられる時間は限られており、慌ただしく作業が行われ、危険が伴うこともある。
現場環境や交通事情によっては、夜間しか作業が行えない場合もあり、常に現場は緊迫感に満ちあふれていた。
一つ一つ慎重に点検することが絶対条件となるが、正直なところ特徴も違えば損傷の程度も異なる構造物を一つ見るだけでも大変な作業である。
 
そして最盛期に比べればわずかではあるが新設構造物も増えており、点検はやってもやっても終わらないというのが実情なのだ。

 

熟練でも難しい打音調査

このような状況下で、まず現場で特に注意を払われてきた印象が強い作業は、打音調査である。
なぜなら叩き漏れがあった場合、その後にうきが進行して剥離し、第三者被害を招いたという事例が少なくないからだ。
加えて音の変化でうきや内部空洞の有無を判断する技術でもあるが、熟練でも経験が浅い者でも、うきの領域判定をすることは極めて難しい。
触診して常に健全部の音で耳をリセットするなど細心の注意を払った点検を行う姿勢が求められている。
これだけでも簡単にできる業務ではないことは明らかで、特に時間を要する作業であることは否めない。
 
この点検をおろそかにするとインフラの長寿命化はおろか、私たちの生活も保障されないことにつながっていく。
だからこそ、この作業の背景に、私たちの生活やライフラインが常に表裏一体の状態であることを忘れてはならない。

 

損傷図作成における落とし穴

また現場から帰ってきてからの資料整理も大変な苦労を要する作業だ。
その中でも損傷図の作成については、地域性があるため必要がない都道府県があるのも事実だが、記録に残している自治体の方が依然として多い現状としては、注目すべき作業であろう。
 
まず、帰社後に資料をまとめ上げるには、打音検査の合間を縫って損傷図や写真撮影などの記録作業を行う必要がある。
これはただでさえ忙しい現場では大きな負担だ。
しかし記録がおざなりであれば、残せる資料も精度の低いものとなってしまう。
 
さらに記録者によって精度にばらつきが出ることも大きな問題点である。
この作業はただスケッチするだけではなく、寸法や長さ、位置関係がとても重要な情報となる。
しかし実寸とは言いにくいアバウトな損傷図となってしまっているのが現実である。
実はこれが正確に書かれていないため、
1巡目と2巡目の定期点検を行った際の損傷図を比較することは困難とされている。
一部では1巡目のデータに追記するケースがあると言われているが、1巡目のデータが正しく書かれていなかった場合、2巡目で修正しようとしても、時間も手間もかかるため、実用化された現場は少ないと聞く。
ここから読み解くと過去の損傷図の正確さと精度については二の次であった感は否めない。
これから始まる3巡目やその後の維持管理においても何らかの措置が必要であり、抜本的な改革が必要だ。
 
 

維持管理の未来は

これらの現状に加え、実際にはこれから間違いなく到来する人手不足や点検施設量の増加に伴い、作業面と内業の負担軽減をもたらす新技術の登場が必要なことは明白だ。
冒頭で述べた赤外線技術の他にも、最近ではロボットやAIを用いた点検支援技術で手間や時間短縮につなげる技術が多く開発されている。
これによりヒューマンエラーや人手の確保の必要性が改善されたのも事実だ。
今後もAI学習の効果が進めば、さらに業務改善につながることは確実だろう。

新技術 差分解析システム(写真データベース)
新技術 差分解析システム(写真データベース)

 

新技術の積極的な導入は不可欠

新技術はいまだ発展途上にある。
その中で今できることは、積極的に新しい技術を取り入れていくことだ。
どんな些細な技術であっても現場の効率化や作業の能率アップが図れるものであれば、まずは試していかなくては始まらない。
例えばいきなり「3次元化」といわれても、対応できるかどうかはやってみなくては分からないからだ。
もちろんそれを実行するためには人材確保や教育、計測機材の導入など前準備が必要となってくる。
すぐに人は育たないし、計測技術もすぐに上がるものでもない。
また何が有用な技術であるかは各会社の体制によっても違ってくるだろう。
自社に当てはまるものはどれか、どんな技術であっても自分たちで試してみて現場で使えるかどうかを検証することが必要不可欠なのである。
 
やってみて業務改善につながればそれが維持管理の答えなのだと私は考えている。
まずは、昔の技術にとらわれず、新しい技術があれば積極的にとりいれながら業務を改善していく。
その繰り返しこそが維持管理にとってのベストアンサーである。
われわれもソフト開発メーカーとして新技術開発に微力ながら貢献できるように、現場の声と業界の動きに注目しながらイノベーションを加速させていきたい。
 
 
 

株式会社アイ・エス・ピー 代表取締役

波場 貴士

 
 
【出典】


建設ITガイド 2024
特集1 建設DX、BIM/CIM
建設ITガイド2024


 



 


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