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2025年6月26日
はじめに生産年齢人口の減少、災害の激甚化・頻発化、社会資本の老朽化という社会的背景を受け、生産性向上の取り組みをこれまで以上に加速することが必要となってきました。 BIM/CIMの取り組みこれまでは、紙図面や手作業により事業(調査・設計・測量、施工、維持・管理)を実施してきましたが、BIM/CIM(3次元モデル活用、DS(Data-Sharing )の実施)を活用することで、建設生産システムの効率化・高度化を図る取り組みを実施しています(図-2)。
BIM/CIM原則適用2023年度より全ての詳細設計、工事でBIM/CIM原則適用となり、業務・工事で 3次元モデルの活用を推進しています。
3次元データの活用設計段階で構築された3次元モデルを活用し、ICT土工の工事発注時の効果的な活用手法を検討しています。 人材育成近畿地方整備局では2020年に「近畿地方整備局インフラDX推進本部会議」を設置し、インフラ分野のDXの推進に取り組んでいます。 BIM/CIM研修BIM/CIMによる建設現場の生産性向上について理解を深めるとともに、3次元モデルの基本操作、業務および工事での活用に関する知識を習得することを目的として2022年度から整備局職員、地方自治体職員を対象として実施し、3年間で209名が研修を受講しています。 BIM/CIM施工研修BIM/CIMは、調査・設計段階から3次元モデルを導入し、その後の工事施工、維持管理の各段階においてもデータを引き継ぎ、さらに各段階での情報を付加し、後工程で活用することで建設分野の生産性向上を目指すものですが、現状として各段階での活用にとどまっており、次工程への引き継ぎが十分に行われていません。 おわりに近畿地方整備局においては、今回紹介した取り組み以外にも、管内各事業におけるBIM/CIM活用推進、関連基準改定に向けた検討、3次元データ・デジタル技術を活用できる人材育成などに取り組んでいます。 国土交通省 近畿地方整備局 企画部 技術管理課
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2025年6月23日
はじめにBIM/CIMとはBIM/CIM(Building/Construction Information Modeling, Management)とは、建設事業で取り扱う情報をデジタル化することにより、調査・測量・設計・施工・維持管理などの建設事業の各段階に携わる受発注者のデータ活用・共有を容易にし、建設事業全体における一連の建設生産・管理システムの効率化を図ることである。 BIM/CIMの実施状況これまでの実施状況国土交通省では、業務については2012年度から、工事については2013年度からBIM/CIMの試行を進め、段階的にBIM/ CIM適用の対象を拡大してきた。
2023年度からのBIM/CIM原則適用国土交通省では、2023年度から、原則として全ての直轄土木工事・業務において、BIM/CIMを適用している。 インフラ分野のDX、i-Construction2.0とBIM/CIMインフラ分野のDX(Digital-Transformation)国土交通省では、インフラ分野においてデータとデジタル技術を活用して、国民のニーズを基に社会資本や公共サービスを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、文化・風土や働き方を変革することを目的として、インフラ分野のDXの取り組みを進めている。 i-Constructionからi-Construction 2.0へ国土交通省では、2016年度から、建設現場の生産性向上の取り組みとして、ICT施工や設計・施工におけるデジタル技術の積極的な活用などの、i-Constructionを進めてきた。 データ連携のオートメーション化に向けた取り組みについて調査・測量、設計、施工、維持管理といった建設生産プロセス全体をデジタル化、3次元化し、必要な情報を必要な時に加工できる形式で容易に取得できる環境を構築するBIM/CIMにより「データ連携のオートメーション化」を推進する。 3次元モデルと2次元図面の整合2023年度からBIM/CIM原則適用を開始し、3次元モデルの活用を本格的に開始しているものの、3次元モデルと2次元図面の整合性を確認していないことから、3次元モデルは参考資料として活用している。
属性情報の積算への活用(BIM/CIM積算)今後、設計の効率化や施工の自動化を目指す上ではデータのさらなる活用が必要不可欠であるが、各段階において、どのようなデータが必要か明確に決まっていないため、データを効果的に活用できていない。
設計データの施工での活用設計データをICT建設機械や工場製作など、施工段階で活用する取り組みも進めている。
デジタルデータを活用した監督・検査などの実施デジタル技術の進展は日進月歩で進んでおり、施工管理、監督・検査などにおいても、3次元モデルの活用やARなど、 i-Construction 2.0の柱のひとつである「データ連携のオートメーション化(ペーパーレス化)」につながるさまざまな技術が導入されている(図-10)。
好事例の横展開好事例の横展開を目的として、BIM/ CIMにより生産性が向上した事例を「BIM/CIM事例集」としてまとめ、BIM/ CIMポータルサイトに掲載している(図-11、12)。 おわりにBIM/CIMは、i-Construction 2.0で掲げる「データ連携のオートメーション化」の中核となるものである。 国土交通省 大臣官房参事官(イノベーション)グループ 課長補佐
髙橋 典晃
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はじめに当社は山陰地方の建設業界で売上規模1位のゼネコンです。 デジタル技術活用の狙いと目的当社では「分かりやすい情報を顧客へ提供すること」は建設会社の使命であると考えており、その目的達成を目指して建設DXに積極的に取り組んでいます。 改修工事でのBIM活用における課題BIMは新築だけでなく、改修工事においても効力を発揮します。 1日がかりの測量も2時間で完了具体的な効果を列挙すると、下記のような点が当社での実際のケースです。
BIMで業務効率化を実現BIMの導入や活用へのハードルとして、BIM作成には時間や手間がかかるといった声も少なくありません。 デジタルツインは若手育成に有効当社に限らず、若手人材の不足や技能継承の問題は業界全体の構造的課題です。 デジタル化で人々の思い出・地域の記憶を残す当社では、BIMに関連するデータや機器の管理をBIM戦略部にて一元化しています。 おわりに当社では「BIM+M(マネジメント)」を提唱しています。 美保テクノス株式会社 建築本部BIM戦略部 主任
寺本 弘志
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2025年6月18日
松村組のBIM推進を担う大阪支店に取材株式会社松村組は、1894年の創業から130年の歴史を刻む建設会社。 時代の流れを捉えたBIM推進課の創設同社では2017年に大阪本店建築部建築課および設計課にてBIM導入を開始。 現場に直結したテーマでBIM講習会を実施BIM推進課の主な役割は、現場でのBIM活用の推進と、業務サポートによる現場作業の省力化や現場監督の負担軽減である。 AI StructureとBI Structureの連携一方、現場の業務サポートには課題もある。 「BI for ac」も現場サポートで活用BIM推進課創設時には、設計から見積り、施工までBIMによる一気通貫が話題に上がっていたと言うが、現在は目標を一つひとつ設定しながら進んでいる状況だ。 着実な成果を踏まえてさらなるBIM活用へ「BI for ac」をはじめとするBIMソフトに対する要望も聞いた。 建設ITガイド2025 ![]() |
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2025年6月16日
はじめに株式会社日積サーベイでは、BIM対応建築積算システム「ΗΕΛΙΟΣ(ヘリオス)」を開発・提供しており、2024年12月には、最新版「ΗΕΛΙΟΣ 2025」をリリースした。 「One Click LCA」との連携に至った背景今回の連携に至った主な背景として、CO2排出量の算定において、内訳書を基に資材数量を把握していることから積算業務との親和性が高い点、CO2排出量の算定を今後、積算技術者が担うことが想定される点である。 エンボディドカーボン算定とは?現在、世界のCO2の約37%が建設セクターから排出されている。 「One Click LCA」の特長「One Click LCA」は世界170カ国以上で導入され、11カ国語に対応しているソフトウエアである。 「One Click LCA連携」の全体図「One Click LCA連携」の流れとしては、まず、住友林業株式会社が提供している原単位コード一覧表をΗΕΛΙΟΣへ取り込む。 「One Click LCA連携」機能の特長今回の機能の特長として、「原単位コードの仕分け作業の省力化」、「単位換算作業の省力化」、「出力除外設定機能」の3点になる。 また、原単位コードとして「コンクリート」を選択する場合において、摘要表現からコンクリート強度を取得し、可能性の高い原単位コードを初期表示する機能も併せて実装している(図-5)。 次に「単位換算作業の省力化」では、明細上の単位「ton」、原単位コードの単位「kg 」の場合に換算値を自動入力する機能、ΗΕΛΙΟΣで数量算出を行っている場合において、建具本体のW寸法、H寸法を換算値として自動入力する機能を実装している(図-6)。 最後に「出力除外設定機能」では、「One Click LCA取込用フォーマット」へ出力したくない項目(CO2算定除外項目)について、科目単位、明細項目単位で設定できる機能も実装している。 CO2算定における今後の展開「One Click LCA連携」においては、「原単位コードの仕分け作業」、「単位換算作業」の省力化につながる機能開発を進める予定である。 株式会社日積サーベイ システム開発部
田川 彰
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