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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

意匠設計から設備設計へ “i”をつなぐBIM設計とは

2020年7月28日

 

はじめに

現状、各社においてBuilding Information Modeling(BIM)を用いて作図、シミュレーション、コストなどさまざまな用途に上手く活用する方法を模索している段階である(図-1、図-2)。
 
しかし、設備設計者目線でBIMを考えた場合、誰しもが日々の業務においてBIMとの関わりが深いとは言い難いのも事実である。 
 
その背景には、BIMがより複雑な設備配管を有するプラント設計の分野で導入したことが普及の発端とも言われており、設備機器、配管類の干渉チェックを含めた3次元納まりを設計段階で深度化することにより、施工段階での検討手間をできる限り減らすことを背景に普及したのに対し、ビル系の設計は、施工図に比べ深度化するにも、建築情報が実施設計段階にまとまることが多く、作図レベルを2次元で検討せざるを得ない。
 
理由として、意匠・構造モデルは基本設計では2次元が主流であったこと、そして最も大きな要因は作図するための建築情報(面積、天高など)がアナログデータのため、負荷計算・換気計算などの技術計算に多くの時間を費やし、3次元図面に避ける時間が少なかったことが挙げられる。
 
こうした状況がしばらく続く中、世界は、社会はBIM普及への動きが加速しているが、どうすれば設備設計者がBIMの恩恵を受けられるか、考えた一つの答えが「i:Information」、を如何に部門間でつなげるかであった。
 
社内発表時によく使う言葉としてBIMと い う 言 葉 は、B(I BuildingInformation)とM(Modeling)の複合用語であると説明し、設計者が最も重要なのは「Building Information」、つまり設計情報「i」が意匠・構造・設備でコンカレントにつながっていることがBIMを活用する最大のメリットであり、これを上手く使えないと「M」、3次元図作成のためのBIMツールとなってしまい、設計者は益々BIMと深くない関係になってしまう恐れがある。
 
本稿では、「i」を設計に生かすための取り組み、データ連携の先に見えてくる課題と展望について、1,000床を超える大規模病院での設計事例をベースに紹介したい。
 

図-1 当社のBIM活用イメージ

図-2 BIM検討例




 

そもそも設計手順がBIMの課題?!

日建設計だけの問題とは限らないが、これまでのBIMは、各部門内の狭い範囲で最適化を図ってきたといってもよい。部門ごとに適したBIMソフトを選択して使い続けることで、部門内の標準化を図り、それぞれのBIMソフトの特長を生かした効率的な設計を可能にしてきた。
 
その一方で部門を超えた連携はなかなか進められてこなかった。基本設計を例にすると、第3図に示すワークフローがどこかで止まってしまい、結果として部門間連携が進まなかった。その問題は以下と考える。
 
①連携するモデルの作り方が統一されていないため、一つのモデルに統合することが困難または非常に手間がかかる。
 
②意匠、構造で”正確”に整合されたBIMがないため、設備側で個々の情報をBIMへ入力する作業が習慣化し、統合モデルを作成する意義を共有できていない。
 
③最も大きい問題と感じたのは、意匠・構造を整合したモデルの作成時期・手順と、設備が欲しい情報を入手したいタイミングがずれていることが大きな要因であると考えている。
 

図-3 ワークフローイメージ


 
一例を挙げると、基本設計作成段階では意匠がプランを作る際に機械室・シャフトなどの面積を整理する必要があるが、基本設計段階でその回答を出すには、階高、天高、梁伏、床下げレベルなどの情報を踏まえ、納まりなど検討し回答するが、入手できるものは一部BIMがあったとしても、多くは手書き図面などメモでの情報伝達といった2次元でのワークフローを踏襲した部門間の連携を行っている。さらにそうしたメモ書きの情報が出てくるのは基本設計中盤〜後半になりがちであるが、設備が欲しいのは初期〜中盤である(図-4)。
 

図-4 基本設計段階でのデータ連携項目とスケジュール


 
こうした現状を認識しつつ、意匠・構造・設備が密に連携できる総合設計事務所の強みをBIMと融合させられていない点が課題であった。
 
 

コンカレントエンジニアリングへ

設計手順の在り方が課題とするなか、2019年以降のいくつかのプロジェクトではこの課題を乗り越えるような取り組みが進められるようになってきた。
 
例えば図-5に示すように、意匠・構造が構築するBIMモデルに含まれる建築諸元情報をExcelに取り出し、シームレスに引き継いで設備検討に反映させることで、これまでより早く正確に検討サイクルを回すことができるようになった。その結果を意匠・構造と共有することで、密に部門間連携を図ることができつつある。
 
誰がどこまでのデータをどのタイミングで入力するかというワークフローを、総合設計事務所の強みが発揮できるようにBIMをプラットフォームとして再構築することで、意匠・構造・設備が早い段階から連携するコンカレントエンジニアリングへシフトにシフトし始めようとている。
 
一方、各部門でデータ連携するには、入力する内容によっては意匠ではなく設備が入力した方が良い項目もある。今回検討した病院設計では、意匠側がRevitモデルで進めているのに対し、Excelで書き出した諸元データに清浄度、室圧、空調与条件などをExcelに入力し、Revitへ戻すのではなく、設備がRevitモデルへ直接諸元情報を入力した。One ModelでRevitを操作した例は本件が初めての試みであったが、設備プロット図作成後の建築プラン変更への追従性、部門間の不整合防止、諸元情報の色塗り平面図作成などトータルで設計プロセスを考えるとOne Modelでの作業は効率的であったといえる。
 

図-5 BIMと連携した建築設備諸元の整合確認ツール




 

Revitを使った「i」

前項では、意匠・構造・設備が早い段階から連携するコンカレントエンジニアリングのツールとしてRevitを使った取り組み例を紹介したが、部門間連携の潤滑油としては非常に有効であったが、設備の作図ツールとしては一切使っていない。
 
それでも、設備がRevitを使いOnemodelに拘ったのは「i」をコンカレントにつなげたことで、基本設計→実施設計→確認申請→施工→運用を一貫したデータ管理により、部門間連携の強化、設計・施工の効率化、LCCの縮減とった点が挙げられる。そうなることを期待しOne Modelでの入力がもたらした効果を紹介する。
 

(1)データ受領方法
現状、設備の実施図面では建築と同じBIMソフトを使うことが少ないため、ifcファイル形式をベースとした連携となっている。一方、ifcデータによるデータ連携の課題もあるが、正確に意匠と構造データが整合していれば、ソフト互換については、あまり重要ではないと考えている。
 
そうした視点のもと、まず意匠・構造でのデータ連携は、意匠、構造が同じソフト系なのか否かでアプローチが変わってくるが、第6図で示すようにRevitデータによるデータ連携方法をタイプA、タイプB1、B2の3つに区分した。
 
 

a)タイプA
意匠で梁伏、床下げ情報などを入れる方式である。基本設計初期において、設備がBIMによる納まり検討をするにはなるべく早い段階で梁伏、床下げ情報が欲しいがこの方式の場合、納まりが厳しそうなエリアについて意匠との調整だけで可能となる。
 
ただし、意匠側で構造情報を入れるため、モデルが古くなった場合のアップデートタイミング、入力ミス、構造変更が構造設計者へ伝わるかなど課題もある。
 
 

b)タイプB1、B2
構造が作成するモデルを反映するので図面の精度が上がる。B2はさらに発展し、意匠と構造が別のモデルで作成しリンクするため、より精度が高いが、構造解析モデルでは床下げ、ブレースなどの情報が実施設計後半まで反映しないまたはBIMでは作成しないなど使えないモデルとなる可能性があるため、設計図としてはタイプB1からB2へ移行していくのが多くの流れと考える。
 

図-6 意匠・構造データ連携のパターン分け


 
 

(2)データ連携による便利機能
今回取組んだ病院では防水対応の二重床や医療機器の床下げなど仕上げレベルが複雑なため、梁高さ、床下げレベル、天井高などバラバラな図面を重ねてどこが設備の納まりが悪いのか検討するのは、多大な労力を要する。
 
こうした状況を打破するためにタイプB1の手法で意匠情報と構造モデルを重ね、“DynamoとExcel”を使い梁下から天井までの有効懐が500mm下回る個所を平面図に表記させた(図-7)。
 

図-7 天井内有効寸法確認


 
この機能により、梁下500mmを切る場所は納まり上リスクがある場所と考え、BIMによる納まり対象場所が絞れるため、従来手書きで断面図を書いて検討に比べ、よりスピーディーに、効率的に納まり検討を行うことができた。
 
 

(3)データ連携を活用するには
今回、BIMを活用するために最も重要視したのは、複雑な設計条件や設備から意匠・構造への要求条件を如何に部門間で「i」を共有するかであった。病院設計を通じて感じた成功への秘訣は以下である。
 
・基本設計初期に設備検討用の意匠・構造BIMデータを意匠が作成し、さらに階高、天高など建築条件変更要望をBIMで随時意匠が修正し、データで建築図を供給できたこと。
 
・Revitモデルをifc、PDF、Autocadへの変換を定期的に実施し、図面変更箇所を共有。
 
・意匠のRevitモデルに設備が設備プロット、設計条件(室圧、空調・消火範囲等)を同じデータにて行うために、Revitの同時作業許可、設備のファミリー、ビューテンプレート作成協力。
 
上記内容は、コンカレントにデータ連携するために必要な対応ではあるが、実際の設計では(現場も同じであろうが)、部門間(会社間)の壁、お互いが必要とする作業内容の理解度、時間的制約などさまざまな要因から意匠側が同様の対応をする例は多くないと思われるが、本件ではみんなでRevitを使うと決めた段階で従来とは違ったアプローチをプロジェクトメンバーで進めていった。
 
余談になるが、社内に手戻りが少なく効率的に設計を進める設計フローが示されているが、BIMを使う前提でフローを考えた場合、思った以上にこれまでの設計手法を修正すべき点があることが分かった。今後、BIMを推進するために必要な設計フローがどうあるべきか、より深く考える必要があると思われる。
 
 

「i」から技術計算へ

これまで意匠・構造・設備がデータ連携を進めることを書いてきたが、みんなで苦労したけど、その先に設備は何をしたいのか?と聞かれることがあるが、答えは「技術計算」に尽きる。 
 
空調設計の例となるが、技術計算を進めるには図-8の建築情報が必要となる。このデータが意匠よりルールに沿った形で設備へデータ提供されることで基本設計段階であっても精度が高い検討が可能となる。次に、そのデータをもとに空調側では技術計算に移行させ、換気計算、負荷集計をまとめ、図-9の例に示すように外調機、室内空調機器選定までを自動化させようと試みている。そこからさらに機器表へ展開し動力リストを電気設計側に渡すことで、設備間のコンカレント強化を目指している。初期段階はプランが動くため、どこから自動計算化を進めるか判断に悩むが、いったん技術計算の骨組みを作ると実施設計、現場段階での変更にも柔軟に対応ができるため、トータルで考えた場合効率化になると考えている。
 

図-8 建築→設備へのデータ連携


 

図-9 設備内での技術計算フロー




 

おわりに

今回紹介した病院におけるBIM取り組み事例は、これまで多くのBIM取り組み紹介では作図という視点が多かったが本稿では作図については紹介していない。私自身3次元による作図は10年以上前から取り組んできたが、ずっと感じていたのは、BIMによる恩恵が大きいのは作図より情報、すなわち「i」をコントロールすることではないかと。
 
RevitをOne Modelで操作することでその第一歩を踏み出した段階ではあるが、データ連携もたらす未来は非常に明るいと考えており、今後もさらに「i」を生かすための研究を進めていく次第である。
 
 
 

株式会社 日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ 浅川 卓也
吉永  修

 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集2「建築BIMの”今”と”将来像”」



 
 
 



建築データ連携で技術継承

2020年7月22日

 

はじめに

生産性向上を目的としたBIM実装は、国土交通省の建築BIM推進会議での成果創設に見られるように大きな加速を見せている。日本の人口構成や生産人口の減少により、これまでの手法では品質を維持して施工を進めていくことが不可能であるといわれている。われわれ建設業が扱うものは、一品一様同じ条件がない。それを一定の期限と品質を確保して取り組まなくてはならない。BIM環境でいかに業務に価値をつくっていくか、BIMでどのようなメリットをつくり出していくか…が問われている。
 
私は新人の頃、空調設備配管を施工管理する現場で配管の生き字引のような先輩と時間を共有することができた。
 

配管技術 施工に必要な情報


 

見様見真似だが、配管図を描くことを教わり、施工に必要なポイントを検討して、一緒に仕事をする仲間と検討結果を共有することを教わった。図面を描く場面と同時進行で、設計段階で表現されるシステムの「在りよう」を現す設計図作成手法から、実際に配管工事をお願いする技術者が現場という制限のある空間と時間で配管を吊りこむまでに必要な情報「やりよう」の違いを現地現物の配管を目の前に体感し、その情報の質と粒度の違いを体で理解した。
 
配管図面に記載する寸法一つをとってもルートの確定を表現するに留まる記載だけでは、実際の配管加工は実現できない。継手・配管のジョイントを例にする。
 

接続部 部材の位置関係が決められている


 
凹凸の重ね合わせが配管加工に必要な長さを決定する。私の先輩が描く確かな施工情報が詰まった図面は、表記こそ控えめながら配管加工に必要な情報が内包されていた。その証拠に、実際に加工する職人さん達が図面を渡された後「段取りが良くて仕事がはかどる図面だ」と言っていたことを思い起こす。あの図面が大きな信頼と安心で効率の良い作業化を実現していたのである。
 
建築データ連携を語る上で、規約や業務フローを整備する際に、施工計画や品質管理に携わる職能が発信する施工情報に、確実な情報を込めることができる社会を確立することが技術継承も含めた次世代へのBIM連携ではないかと思っている。
 
世界中で建築配管技術者が扱っているRevit MEPのジェネリックファミリで構成されたモデルをAUTODESK FABRICATION ESTMEPで作った部材データと連携することで、より加工手間がかからない確実な施工情報を提供できると思い、手法と効果を以下に記載する。
 
 

世界中の配管施工に必要なものは共有できる

CADからBIMへ環境が変わった際、MEPの技術者がどの部分を活用すれば働く仲間の効率化を実現できるか、何に着目するか、最先端のRevit MEPを実際に活用しながらワークフローを示す。
 

設備工事 配管工事データフロー


 
配管は流体をA点からB点へ搬送することを目的としたシステムである。設計者は、何を目的にした流体を運ぶか、空調システムか加湿のシステムか、またどのような種類の流体を使うか、水、冷媒ガス、蒸気なのか、搬送にかかる環境に耐えうるか、内部圧力に耐えうる材料か、耐候性は確保できるか…という設計の情報である「在りよう」を設定する。
 
施工の技術者は施工の実現性という「やりよう」を表現するために、技術検討を施し、施工情報にデータの質を高める。
 
経路の特定や固定箇所の特定支持の方法は同じものは存在しない。建築情報の中で整合性を確保しながら、建築空間で施工が実現可能なレベルまで情報を高めるための作業に労力の多くを費やす。現在のできうる役割はここまでであるといわれたBIM情報を、ちょっとした操作を加えることで効率化が得られる情報となると考え、配管加工に欠かせない情報として切断長さを算出できないかと考えた。
 
かつてベテラン技術者が脳内で構築した接続情報を用いて、当時図面情報に込められた「思いやりのひと手間情報」を「役に立つ」「欲しくなる」「誰もが扱える」根拠としてBIMによる配管加工情報に込めることができないか。業務プロセスで実現するために「どうやって」「誰が何を準備して」を具体的にした事例を紹介する
 
 

業務フロー役割、データフロー

配管の管路確定までのフロー整合性確保までは現行と同様である。BIMの見える化成果で調整意思決定の効率化が図られていることは周知のことである。
 
現在、現場でできることは、人依存。Revitを使う環境において、現時点で大きなメリットが得られるものは、建築・構造・設備が同じ環境下でデータコラボレーションを実現できることである。
 
コンカレントな施工情報付与作業ができる、建築プランの修正に伴う配管ルートやサイズ選定の再検討を、同じプラットフォーム共有環境下で操作できることは労力の削減が図れるからだ。図面を完成させる作業の7割は修正作業であり、実際のものを決定する時間にはごくわずかな時間しか充てられていない。修正に必要な判断基準材料として建築・構造・設備のRevitを同じ環境に据え置くことができるメリットは大きい。同じ環境に置くことができるが故に、新しいアイデアが現実性をもって意見交換され、モデルに価値が生まれていくのである。
 
われわれは、設計の意図を踏襲した施工情報となったRevitデータをすでに獲得している。
 
がしかし、この共有できるという環境、すなわち人が理解し脳内で再生し自分の理解で他者に伝えるコミュニケーションに頼っていることが多く、現時点でできていることは各自の創意工夫、積極的な承認依頼を頻繁に行うことによる成果、勤勉で能動的な行動の成果であろう。この成果を確実にするために、今一つデータにひと工夫を図ったのがITMの活用による配管加工情報の構築である。
 
具体的な作業を紹介する。
①FABRICATIONESTMEPにより配管部材ごとのITMと呼ばれるデータベースを作成する(下図)
 

配管加工に必要なFABRICATION ITMを
作るためCADMEP ESTMEPを起動する

  • デファクトで一般的なITMが収納されている

  • 溶接 継手部分 仕様・管材・サイズによる


②ITMをRevitプロジェクトへ導入する

REVIT プロジェクトを立ち上げ

プロジェクト内 配管加工に必要な情報を付与
対象の部位を特定、レベル特定する

FABRICATION ITMを配置する



③配管加工を必要な部位を特定し、配管の仕様にサイズ・継手との相関関係をカタログ化した情報を持ったITMという部材データベースを付与する
 

VICTAULIC REVITへアドオン 図面化

カテゴリー表記のために集計表の準備

シートに自動レイアウトされる集計表単品モデル


 

いったん作ったデータを共有することでブラッシュアップを図り、仲間を増やしていける。部材を共有する企業がITMの提供を開始している。
 

WEB配信される製造者ITM


 
データベースが確定すれば、何につなげるか誰に見てもらえるか、どう評価してもらえるかの作業に移る。パイプの加工はまず切断から開始される。
 

ITMデータが付与された配管モデル
加工情報


 
ITMで構築された部材の組み合わせから、外形寸法で表記された「管⇔芯」の記載寸法のみならず、BIMモデルの情報が継手の位置関係を仕様通り、施工要領通りに再現し、そこから切り出されるカッティングレングス切断長さが確かな施工情報として表記され、配管工事の仲間である加工する技術者へ届けられる。
 

プロジェクトにて仕様の確認・修正、置き換え可


 
カッティングレングスが確かであれば、開先加工、螺子切加工、フランジ接合におけるフランジ面からのセットバック寸法値を加味した数字が届けられる。
 

部位・部材 個々の詳細仕様が表記される


 
従前は、わずかではあるが異なる接続点情報を人の勘や記憶に頼ることで、配管加工の最初の作業である寸法マーキングいわゆるケガキにおいて、不確かな情報で加工を始めてしまうことがあったであろう。
 

パイプカッター 刃の当たりの位置を決める


 
今回紹介するITM情報を連携させることで、配管切断というたった一つの工程ではあるが、BIMとリアルを確実に結びつけ、FABRICATIONに必ず伴う切断作業を効率化できるのである。
 
プラント配管ではスプール図面という表記を用いて加工に必要な部材仕様・接続情報・切断・溶接ギャップを一枚の図面に表現していた。経験を積んだ技術者の成果である。
 
しかしながら図面という絵を、加工に必要な姿に高める過程に、技術力といわれる「情報を組み合わせるテクニック」を確かな成果に発展させる技術者が少なくなってきている。たかが配管カッティングレングスではあるが、特記仕様に沿った、部材と部材の組み合わせから生じる情報をRevitから簡単に得られるメリットは大きいのではないか。実際の現場450φの配管ジェネリックモデルで作業して空間調整まで終了した段階でFABRICATIONにした際見出された改善が必要な部位を以下に示す。
 

ジェネリックモデル FABRICATIONに
詳細な形状にすることで事前に課題解決


 
金額は明示しないが、この不整合を現場で発見した場合いかほどの労力がかかることだろうか。運搬・仮設足場・試験等一カ所の溶接手直しという範囲では解決ができないかもしれない。
 
 

ムーブメント

●ITMを増やしていく仲間
建設プロジェクトにおいて同様なものは2つと存在しない。しかしながら配管の組み合わせには必ず同形状の接続点が存在する。言い換えれば、いったん整備したデータベースはいくらでも使い回しが適用できる。
 
規格・基準が異なる配管が発生すれば、ひと手間データを整備する時間を設ければよい。このITM構築作業ができるようにオースティンより専門講師を招いてノウハウの共有を行った。
 

ITM作成講習会 修正くらいはインハウスで


 
接続情報を伴う部材情報はバルブ等の製造者でもビジネスチャンスになるとの動きがある。一部の製造者はカタログ値を無償で配信している。
 

WEB配信されるカタログデータ 多くの仕様


 
ユーザーグループでは、AUTODESK社との協業でJISのITMを整備して、順次Revitに同梱する計画がある。
 
 
●ダクト製作
ダクト工事に関わる板取り情報にも同様な動きが見られる。外形のみのダクトモデルをCADMEPのFABRICATION ITMをつなげることで、ダクト切断プラズマカッターとダイレクト連携を図り、現状は一部材ずつ手入力で行っているダクト切断情報の入力手間の削減を計画している。シェアの大きい製造機メーカーである株式会社フカガワとのコラボレーションを実現したいと考えている。
 

ダクトの展開図を作成するための入力要素


 
 
●配管自動切断機・配管フランジ溶接機
前述のカッティングレングスをマーキングする作業は、人間がスケールを携え、マーキングして切断箇所に配管をセットしている。オーストラリアの事例では配管カットマシンにデータが連携しており、人の入力を介さないで配管の加工を行うことを実現している。製造工作機のソフト面を更新することで、自動切断・開先加工・フランジ位置決めもできるのではないかと期待している。
 
 

働く仲間に情報連携

オーストラリアの配管溶接工と呼ばれる職業の平均年収は2千万円程と聞いたことがある。オーストラリアの設備工事における必要な情報を発展させる取り組み、言い換えるならば「BIM活用」は先進的で学ぶべきことが多いとMEP AUSという設備技術者の会議に参加した友人から聞いた。
 
FABRICATIONという分野で設備工事に必要なデータをうまく連携させているカッティングレングスを、計画業務を実施する職能がしっかり提供する。その情報を受け継いだ配管加工を行う職能が確かな情報として配管を切断する作業に安心して流用する。配管図という絵を見て、再度自分で電卓を叩くことは少ない。不確実な作業で非効率時間を少なくした結果、その職能の技術力・技能が十分に発揮できる時間に多くを費やせる。探したり、待ったり、勝手な判断をしたりする非効率的な時間を少なくする。故にオーストラリアの設備工事は労働生産性が高く、魅力ある生活が送れているのではないか。
 
統計的には日本の技術者の能力は高いといわれている。がしかし、一緒に働く仲間として現場で時間を共有する配管加工専門業者へ、いかようにも解釈できる不確かな情報を渡してしまうことで、建築工事プロセスに部分的なほころびが生じてしまい、予想外の取り繕いに時間を使うことがあるのではないか。働く仲間に宛てた情報連携に、ほんの少しのITM情報を付与することで、仲間が増える魅力ある環境の創設ができると思っている。28年前、私の師匠が夜10時に黙々と配管加工に必要な準備を自ら示してくれた配管の切断寸法の算出方法、その時は電卓を叩いて手作業で行っていたが、現在RevitのITMというデータベースをそろえることで、技術伝承とまでいかずとも役に立つ情報を次世代に残していくことができればうれしく思うし、師匠も喜んでくれると信じている。
 
建築BIM推進会議においてデータ連携のガイドラインを整備している。誰がどのタイミングで、現在用いることができるBIM環境で、いかようなデータを整備して、次のプロセスに関わる職能に渡していくか…を示してくれる。
 
BIM環境が整備されることで、一人当たりGDPが少なくとも10位以内に返り咲けることを信じている。
 
 
 

新菱冷熱工業株式会社 技術統括本部 BIMセンター 専任課長 谷内 秀敬

 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集2「建築BIMの”今”と”将来像”」



 
 
 



設計から施工へデータをつなぐ。元請けから専門工事会社へデータをつなぐ。−東急建設BIM−

2020年7月17日

 

はじめに

建築生産において、「設計」と「施工」は求める成果が違うことからBIMモデルを【つなぐ】ことは難しい、といわれてきた。
 
当社では、昨今BIM取り組み案件が増加し、BIMモデルを扱う現場技術者が増えている。また、会社は声高に「品質向上」や「業務改善」という成果を現場技術者に課している。この社内環境の変化に付随して、現場技術者や専門工事会社のBIMに対する意識は確実に変わりつつある。
 
これらの状況を背景に、BIMというツールを使って設計から施工へデータを【つなぐ】、元請けから専門工事会社にデータを【つなぐ】ことにより、品質向上や業務改善を目指す新しい取り組みが始まった。
 
 
都内某オフィスビルプロジェクト

設計から施工へデータを【つなぐ】

意匠設計では、室内からの景観検証やファザードのデザインスタディ、内装検討等にBIMモデルが活用されている。施工に【つなぐ】ことを考慮すると、同時に構造設計・設備設計がBIMで足並みをそろえることが重要となる。
 
本プロジェクトでは、定例的にBIMモデルの重ね合せによる意匠・構造・設備の「整合確認」を行い、設計精度を高めてきた(図-1)。結果として施主への提案力を高め、モノ決めのスピードを上げる結果を導いたといえる。
 
また、「施工を考慮した設計検証」を「生産設計」と定義し、設計から施工へ【つなぐ】プロセスとして位置付けた。
 
実現に向けては、設計者・現場技術者が参画したプロジェクト体制を早期に立ち上げ、専門工事会社も合流して関係者全員で情報を共有する、新しいワークフローが必要となる(図-2)
 

図-1


図-2




 

施工〜元請けから専門工事会社へデータを【つなぐ】

「構造BIMモデル」は、鉄骨造の場合そのまま仮設計画や鉄骨建方計画、躯体工事計画のベースモデルとなる。かつ実施設計の段階で計画に着手できるというメリットがある。
 
また、このワークフローは、専門工事会社も早い段階でプロジェクトに参加できる土壌を作ることができる。
 
「構造BIMモデル」は、ある段階で鉄骨ファブが作成するBIMモデルに置き換え、現場、工事計画部署、鳶工事会社および仮設リース会社、山留施工会社へ引き継がれ、外部足場計画や鉄骨施工計画、山留・構台の計画に発展する(図-3、4)
 
そしてこのBIMモデルは、関係する各専門工事会社が、相互の取り合い検討や干渉チェックに活用することができる(図-5)。
 
このように、BIMモデルを専門工事会社に【つなぐ】ことにより、精度が高い「施工BIMモデル」として進化するのである。
 

  • 図-3

  • 図-4

  • 図-5



 

【つなぐ】を可能にするBIMツール

BIMに対する一番の意識変化は、現場で施工管理技術者自らがタイムリーにBIMモデルを扱いたいというニーズの高まりである。
 
そのニーズに応えるためのBIMツールを紹介したい。
 
●仮設計画ツールの活用
現場でニーズが高いアプリケーションひとつが、仮設計画ツールである。ベースモデルを受け取って、施工計画を立てる際に活躍する。クレーン・足場・重機車両・仮囲い・山留構台等数多くのアイテムがある。
 
●VDIの導入
「ネイティブソフトを扱いたい」という現場のニーズに応えるため、当社ではVDIを2017年度から本格稼働させた。ユーザーが高性能ワークステーションやBIMソフトを用意する必要がないので、BIM活用のハードルを下げる効果を発揮している。
プロジェクト協働のため、協力会社にも開放できるシステムを模索している。
 
●関係者全員が簡単に使えるアプリケーション
関係者のBIM環境に関わらず、WEBブラウザ上でモデル閲覧と情報共有ができるアプリケーションが充実してきた。インターネット環境さえあれば、登録している誰でもBIMモデルにアクセスすることが可能だ。もちろん携帯端末でも対応できる(図-6)。
 
●実践的な施工BIM教育
以上のさまざまなツールを用意しても、BIMユーザーのスキルがなければ役に立たない。当社では施工管理の職責に応じた3コースの実践的なBIM教育プログラムを用意し、施工管理技術者全員に受講を課して、スキルアップを行っている。
 

図-6




 

おわりに【つなぐ】ことによる効果

設計から施工へ
生産設計を介して施工的検討を設計にフィードバックし、施工BIMモデルに【つなぐ】新しいワークフローは、施工検討の開始を前倒しにし、リスク回避と着工後にかかる負荷低減を実現できる。
 
またオートマチックな整合確認を通過することで、設計精度を向上させることができる。
 
元請けから専門工事会社へ
BIMモデルを専門工事会社に【つなぐ】ワークフローは、納まり検討と取合い調整の精度とスピードを上げることを可能にした。
 
BIMは情報をクローズするのではなく、オープンにしてこそその威力を発揮することが分かってきた。【つなぐ】組み立てを今後も推進する上で、部署や会社の枠を超えた、さらなる協働のスキーム作りが必要である。
 
 
 

東急建設株式会社 建築事業本部 技術統括部 BIM推進部 プロダクトデザイングループ グループリーダー 吉村 知郎

 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集2「建築BIMの”今”と”将来像”」



 
 
 



情報伝達媒体・情報共有の改革−躯体施工図からデジタルデータへ−

2020年7月16日

 

情報化生産の取り組み開始

数年前に、施工部門でのBIM活用の検討を始めた頃、BIMの3次元のモデルがあるのに、成果物として2次元の躯体施工図を作成することに疑問がありました。その当時、BIMは情報を保持できるのに躯体施工図であまり活用できていなく、職長は躯体施工図の情報を読み取り、加工帳ソフトに手入力しているという実態があったからです。
 
製作物の情報化生産の取り組みでも同様に、製作図や承認図はなくなりますが、承認作業や情報を伝達する行為はなくなるわけではありません。承認作業の結果を伝える媒体が『躯体施工図』から『デジタルデータ』に変わるだけです。
 
 

情報伝達媒体の変化

情報伝達媒体の変化は過去にも起きています。私が入社した30年前は、手書きで躯体施工図を描き、職長が手計算で加工帳を書いていました。その後、手書きの躯体施工図がCADに変わり、また、その数年後、パソコンで作業する加工帳ソフトが登場しました。
 
ここで、紙からCADデータに媒体が変わりました。CAD時代の途中で、〇〇階の躯体施工図下さいと言っていた職長が、〇〇階の躯体施工図CADデータ下さいとCDを渡す時代に変わりました。躯体施工図が手書きからCAD、そしてBIMに変わったとき、職長は何が欲しいと言ってくるのでしょうか。
 
私はデータを活用できるようにしておきさえすれば、“何も言わない”のではないかと考えています。その理由として、職長は、加工帳ソフトにインポートするデータをクラウドからダウンロードし、活用することを描いています。入力手間がないので労務省力化、入力ミスがなくなる品質向上の成果も得られます。決められた期日までにデータをアップしていれば、職長は何も言いません。常に最新の情報がクラウドにある運用ができれば何も問題ないのです。
 
そこで、クラウドにアップする情報は誰宛てで、情報の種類・精度・量などがどのくらい必要なのかを整理することにしました。長谷工は、共同住宅に特化しているため、躯体施工図の情報伝達先は限られた人達に整理することができました。主要な工種は、鉄筋工事、型枠工事、電気工事、設備工事、墨出し工事、その他躯体と取り合う製作物および作業所所員に伝達されていました。電気工事、設備工事、その他製作物と作業所所員についてはBIMモデル上で情報連携する事を想定しているため、今後は躯体施工図から情報を得る必要がなくなります。次に、鉄筋工事、型枠工事、墨出し工事、作業所所員の情報伝達共有の取り組みについて紹介します。
 

躯体施工図情報の伝達媒体の変化




 

各工事の情報伝達手法化

鉄筋工事では、構造計算書などからのデータと設備電気からのスリーブ情報で統合BIMモデルを作成します。その中から鉄筋情報だけを加工帳ソフトに直接データを送る仕組みを構築しています。
 
型枠工事では、現在、躯体施工図を切り出しているBIMモデルにはコンクリートの増し打ち部や詳細形状が反映されているため、正確な躯体形状の情報が入っています。その形状情報を抜き出し、型枠割付ソフトに直接データを送る仕組みを構築しています。
 
墨出し工事では、BIMモデルの位置情報を活用し、タブレット端末と自動追従トランシットを連携することで、今まで2人で作業していた墨出し・位置出し作業が1人でできるようになり、労務省力化を実現しています。また、自動追従トランシットのレーザーによる距離測定で3次元座標を測定し、BIMモデルの座標位置と比較することにより、出来形検査にも活用しています。
 

鉄筋情報の伝達共有




 

作業所所員への情報伝達手法

躯体作業関係者に詳細情報を伝達するために、3Dモデルから画像を切り出した図や、3DPDFで回転しながら閲覧できる情報媒体を提供しましたが、難解な部位についてはBIMモデルから3Dプリンターで出力した模型が一番正確に情報伝達することができました。
 

情報のインプット・アウトプットの運用ルールが重要




 

情報システムの運用

システムの運用検証を行うと発注者・設計者からの変更要望や施工上の納まり検討などで、日々BIMモデルが進化しており、情報のインプット・アウトプットのズレが情報化生産の大きな課題となることが分かりました。例えば、アウトプットしたデータで施工図情報を発信した後に、施工図情報に変更を必要とする情報がインプットされた場合、BIMモデルは新しい情報で更新されますが、一度アウトプットした情報とはリンクできません。その後にBIMモデルからのデータで情報化生産した製品と施工図とで相違があり干渉問題が発生してしまいます。
 
BIMがソフトと連携し情報化生産システムが完成したとしても、BIMやデータベースが持っている情報が正確でなければ、システム自体が崩壊してしまいます。
 
情報化生産を軌道に乗せるには、関係者全員が最新の情報をクラウド上で共有し、フロントローディングによる早期の合意形成がカギとなります。現在、発注者・設計者・メーカー・専門工事会社との情報共有プラットフォームでの、時間軸を考慮した運用システムを検討中です。今までの慣習等もあり時間を要していますが課題を一つひとつ解決しているところです。
 

情報伝達手法の変化(発信受け手の意識改革が必要)




 

スマート デジタルファブリケーション

運用については非常に難しく時間のかかる課題ではありますが、現在はICT、IoTやAIなどの技術の進歩でインダストリー4.0と言われている第四次の産業革命時代です。生産工程のデジタル化、自動化、見える化、バーチャル化を進め、AIやロボット、3Dプリンターなどを活用したスマート デジタルファブリケーションを目指しています。
 
 
 

株式会社 長谷工コーポレーション 建設部門 建設BIM推進部 部長 原 英文

 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集2「建築BIMの”今”と”将来像”」



 
 
 



施工BIMの今 −仮設計画モデリングの取り組み−

 

はじめに

足場丸太の販売業を営む「杉孝商店」として1953年に創業した弊社は、60年を超える歴史を足場とともに歩んでまいりました。現在は仮設機材レンタルの専門会社として、建築・土木・橋梁・プラントなどのさまざまな分野で機材をご提供するとともに、設計や管理計画提案・安全教習等の安全ソフトも併せて提供しています。
 
また、安全と施工性の追求によって生み出された新発想の足場『アルバトロス』を保有しており、その保有量は業界No.1を自負しています。安全性だけではなく豊富なオプション品も取り揃えており、工事、工法の多彩な要望に多様に応えることができる商品となっておりますが、複雑な内部足場や、ボリュームの多い外部足場だと、部材の種類や点数が多くなり、見積作成時や搬入手配の数量算出の場面で負担となっていました。
 
 

BIM導入のきっかけ

上記背景の下、当初は2Dでの作図をベースに数量を拾えるシステムが作れないかという考えもありましたが、作図者への負担が非常に多く、納期にも影響が出てしまうことより断念、引き続き模索する中で「BIM」に出会いました。作図で使用するソフトは変わりますが、3Dであれば数量が拾えるため、「数量算出するためのBIM足場モデル作成」に取り組むべく導入に至りました。具体的には、社内(営業所向け)にてBIM作図による数出し支援サービスを実施し、3Dパースと数量表を作成し提供することに取り組み、一年間で約100 件の足場BIMモデルを作成し、数量算出を行いました。
 
しかし翌年の2018年には使えば使うほど、数量を出すだけではもったいないと感じるようになったこと、同時期にお客様より「BIMで足場の入れ込みができないか?」というお問い合わせを頂くようになったことが重なり、この年より、お客様のご要望に沿った実案件での足場BIMモデル作成対応を開始いたしました。
 
 

社内作図体制について

弊社は1993年より技術課にて足場計画図の作成を開始しており、現在は設計課に名を変えて、10名にて2Dでの作図対応を行っています。作図以外の案件(計算書のみ、修正対応)含む内容になりますが、月に200件〜250件の依頼を受けており、多くの案件を受けられる背景にはグループ会社であるSUGIKO-VNの存在があります(2013年設立、現在40名のスタッフにて運営)。作成内容としましては、88申請用資料一式作成(提出用図面、図面に付随する強度計算書、部材明細書等作成等)外部足場、型枠支保工、橋梁吊足場、イベント案件など自社で保有している商材(軽仮設材)全般の計画を行っています。
 
その基盤がある中で、2017年設計課にBIMチームを設立、同年SUGIKOVNにもBIMチームを立ち上げ6名のスタッフを育成、現在に至ります。
 
VNでの作業はBIMへの足場入れ込み作業や、ファミリの作成を委託しております。杉孝では、お客様との打ち合わせ、作図の指示、成果物のチェック、修正指示等細かくフォローすることで、短納期での多くの案件対応ができる体制を構築できております。
 
 

案件対応の実績

2018年から本格的にBIMでの対応を開始し、現在までの対応実績件数としまして、2018年約45物件、2019年71物件の実績を重ねております。
 
対応内容としましては、BIMを使って足場モデルを作成することで、①仮設計画の見える化による、現場共有のスピードアップと事前課題の抽出、②BIMモデルからの数量算出による足場材搬入サポート−になります(図-1)。
 

 

 

図-1 足場BIMモデル




1つ目の仮設計画見える化に関しては、足場BIMモデル納品時に「課題シート」という資料を活用し、足場モデル入れ込みする中での気付き(躯体と足場の干渉や、足場不足箇所、不具合等)を見える化し、代替案も合わせ提示することで作成した足場BIMモデルを活用いただける取り組みも合わせて行っております。その背景として、足場BIMモデルを現場で活用できない課題がありました。具体的には現場にてBIMを潤沢に扱える環境(現場にBIMソフトやハイスペックなPCの導入、BIMを扱える人材等)がないということです。そこで足場BIMモデルを使用したレビュー会や、課題シートでの投げかけを行うことで、現場での施工BIMの推進をサポートさせていただいております。まだ課題も多くありますが、実績を積んでいくことでより現場に根付いたサービスを目指し取り組んでおります。
 
2つ目のBIMを使用した搬入サポートに関しては、弊社で作成した足場BIMモデルを使用し、現場より指定いただいた範囲にて搬入単位での数量出しを実施、搬入時の数量出し作業(手拾いでの時間)の負担軽減や、事前に数量と総重量が分かるため、配車の手配への活用にも好評をいただいております。その他実行予算や、積算時の活用にも期待いただけているサービスとなります。さらなる手間削減として、弊社のWeb受注システムCOLAとの連携も進めており、この運用により、注文時にベースの足場資材数量が注文画面に表示され、最終の微調整にて注文作業をしていただける環境が整います(図-2)
 

図-2 工区毎の数量出し




 

今後の展開について

以上の実績を重ねる中で、さらなるサービスの展開として次の事も進めています。①BIMモデルVR化→バーチャル安全点検、②時間軸の反映→足場の組み立てステップ作成、③3Dスキャン→点群データからモデル化の3点です。
 
それぞれお客様のニーズより具現化を目指しているサービスの展開となっており、現在試行現場にて複数件対応を行っており、サービス運用開始に向けて準備を進めております(図-3)。
 

図-3




 

最後に

実際にお客様の声を頂きながら案件対応を進める中で感じるのは、BIMをただ使えば効率化できるわけではないということでした。現状上手くいかないことも多くありますが、「BIMを使う」という強い意志の下、諦めることなくお客様と一緒に進めていくことが、「足場BIM」のスタンダードになっていくと感じています。引き続き実績を積んでいくことや、新たな足場のBIMモデル活用(VR、ARや点群データとの連携等)も見据え、より良い現場支援を行っていきたいと考えております。今回の内容に関しまして、ご興味を持っていただけることがございましたら、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。
 
 
 

株式会社 杉孝 技術サポート部 部長 鎌田 健一
セールスエンジニアリング課 課長 三宅 祥子

 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集2「建築BIMの”今”と”将来像”」



 
 
 



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