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国土交通省におけるBIM/CIMの取り組み

2022年10月17日

はじめに

測量・調査、設計、施工、維持管理・更新の各段階において、情報を充実させながらBIM/CIMモデルを連携・発展させ、併せて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にすることで、一連の建設生産・管理システム全体の効率化・高度化を図ることを目的に、国土交通省ではBIM/CIM(Building / Construction Information Modeling, Management)の普及、定着、効果の把握やルール作りに向けて、2012年度から取り組みを進めている。
BIM/CIMを活用し、事業の初期において集中的に検討することにより、後工程において生じる仕様変更や手戻りの減少(フロントローディング)、複数の工程を同時並行で進め情報共有や共同作業を行うことにより、工期短縮やコスト縮減(コンカレントエンジニアリング)などの効果が期待される。
 
2020年は新型コロナウイルス感染症を契機とし、建設現場における新たな働き方への転換、デジタル技術を駆使したインフラ分野の変革が急速に進み、政府を挙げてデジタル化による社会の変革が求められているところである。
国土交通省においても国民目線に立ち、インフラ分野のデジタル化・スマート化をスピード感を持って強力に推進していくため、インフラ分野のDX推進本部を立ち上げ、建設生産・管理プロセスなどの全面的なデジタル化に向けた取り組みを進めている。
その施策の一つであるBIM/CIMは、2023年度までに小規模なものを除く全ての公共工事について、BIM/CIM活用への転換を目指す。
 
本稿では、これまでのBIM/CIMの導入に向けた取り組みと、今後の取り組みについて紹介する。

 
 

BIM/CIM実施状況

国土交通省では、業務については2012年度から、工事については2013年度からBIM/CIMの試行を進めている。
2020年度のBIM/CIM活用実績は515件(業務389件、工事126件)となり、前年度の361件(業務254件、工事107件)を大きく上回り、BIM/CIMの活用が進んでいることが分かる(図-1)。
 
さらなるBIM/CIMの活用に向けて、2019年3月、i-Constructionモデル事務所を10事務所、i-Constructionサポート事務所(i-Constructionモデル事務所を含む)を53事務所設置した。
i-Constructionモデル事務所においては先導的に3次元モデルを活用し、各地方整備局等内のリーディング事務所として3次元情報活用モデル事業を推進しており、i-Constructionサポート事務所では地方自治体からの相談対応などを行っている。
2020年度にはi-Constructionモデル事務所として新たに3事務所追加し、取り組みを進めている(図-2)。
各事務所におけるBIM/CIMの活用事例は「BIM/CIM事例集」として活用効果や課題をとりまとめ、公開している。

BIM/CIM活用業務・工事の推移

図-1 BIM/CIM活用業務・工事の推移


i-Constructionモデル事務所

図-2 i-Constructionモデル事務所



 

BIM/CIM原則適用について

2018年度にBIM/CIM推進委員会を設置し、関係団体が一体となりBIM/CIM推進に関する目標や方針について検討を進めており、具体的な施策の検討に当たっては、BIM/CIM推進委員会の下の4つの各WGにおいて議論を行うともに相互に連携を図っている。
2020年度には国際標準を踏まえた対応の重要性に鑑み、WGの体制を見直し、基準要領等検討WGと国際標準対応WGを統合し、基準・国際検討WGとして議論を行っている。
 
表-1に示すように、2023年度の原則適用に向け、段階的な適用範囲の拡大を検討している。
 
特段、先行させてBIM/CIMを活用する大規模構造物は2021年度から全ての詳細設計で原則適用としており、2022年度には全ての詳細設計と工事において原則適用とする。
また、大規模構造物以外については2022年度から全ての詳細設計で原則適用とし、2023年度から全ての詳細設計と工事で原則適用とする。
原則適用の対象とする工種は、従前から検討を進め、知見が蓄積されてきた一般土木と鋼橋上部を対象としている。
 
業務、工事におけるBIM/CIM原則適用において何を実施するのかということについては、2020年9月の第4回BIM/CIM推進委員会において示しており、詳細設計については2020年度に策定した「3次元モデル成果物作成要領(案)」に基
づき3次元モデルを作成し、納品を実施することでBIM/CIM原則適用とし、工事については2022年度以降、「3次元モデル成果物作成要領(案)」に基づく成果品がある場合、これを用いた設計図書の照査、施工計画の検討を実施することで
BIM/CIM原則適用とする。
 
これまでBIM/CIM活用業務または工事においては、円滑な事業の実施および基準要領などの改定に向けた課題抽出を目的に、リクワイヤメントとして発注者が要求事項を指定する、もしくは受発注者協議で決定し、検討してきたところである。
近年、事業においてBIM/CIMを活用する際に必要となる基準要領などがおおむね整備されてきたことから、2020年度にリクワイヤメント実施目的や内容について見直しを行い、2021年度から運用を開始した。
基準要領などの課題抽出を目的とした検討は別途行うこととし、今後は円滑な事業実施のために発注者が必要であると判断した場合にリクワイヤメントを設定し、受注者はBIM/CIMを活用してリクワイヤメントについて検討を行うこととしている。
BIM/CIM原則適用においては、先述した内容について実施することを必須としており、リクワイヤメントの検討は必須ではなく、発注者が指定した場合のみ行う任意の検討事項としている。
 
これらを実施することにより2023年度には図-3に示している内容が実現できると想定している。

令和5年度のBIM/CIM原則適用に向けた進め方

表-1 令和5年度のBIM/CIM原則適用に向けた進め方


令和5年度のBIM/CIM原則適用に向けた進め方

図-3 令和5年度のBIM/CIM原則適用に向けた進め方



 

原則適用に向けた取り組み

国土交通省ではBIM/CIMの効率的かつ効果的な活用に向け、BIM/CIM推進委員会などの議論を踏まえ、BIM/CIMに関する基準類の整備を進めている(図-4-14-2)。
これまでに整備した主たる要領とその他の取り組みについて紹介する。

各段階の事業実施において適用または参照する基準・要領等

図-4-1 各段階の事業実施において適用または参照する基準・要領等


BIM/CIM仕様・機能要件

図-4-2 BIM/CIM仕様・機能要件


(1)BIM/CIM活用ガイドライン(案)

2020年度には、「CIM導入ガイドライン(案)」を設計業務等共通仕様書の構成に合わせ「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」へ全面的に再編した。
「CIM導入ガイドライン(案)」は公共事業に携わる関係者(発注者、受注者など)がBIM/CIMを円滑に導入できることを目的に作成しているが、BIM/CIMモデルを作成することに重点を置いた記載となっており、事業におけるBIM/CIMの活用場面や効果に関する記載が希薄であった。
このため、BIM/CIM活用業務や工事で得られた知見を踏まえ、事業の実施に主眼を置き各段階の活用方法を示すとともに、各段階の構造物モデルに必要となる形状の詳細度、属性情報の目安を示すことを念頭に、「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」として改定した。

(2)3次元モデル成果物作成要領(案)

工事における契約図書を従来どおり2次元図面とすることを前提として、設計品質の向上に資するとともに、後工程において契約図書に準じて3次元モデルを活用できるよう、詳細設計業務における3次元モデル成果物の作成方法および要件を示すことを目的に、「3次元モデル成果物作成要領(案)」を策定した。
今後、詳細設計業務においてBIM/CIM原則適用とする場合は本要領に基づいてモデルを作成し、納品することとなる。
 
詳細設計の最終成果物として3次元モデルだけでなく2次元図面の作成も求めることから、2次元図面の全ての情報を3次元モデルとして作成するのではなく、本要領に基づくBIM/CIM活用目的を達成するために必要となる最小限の仕様を3次元モデルとして作成することを求めている。
単に3次元モデル成果物の要件を定めるだけでなく、設計当初から3次元モデルを作成し、関係者協議、受発注者による設計確認、設計照査を実施の上、最終的な3次元モデル成果物(本要領では詳細度300を基本とし、寸法線や注記などの付与は必須としない)につなげるための基本的な作成方法を掲示している。
 
現在の適用範囲は、「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」における道路土工、山岳トンネル、橋梁、河川(樋門・樋管)を対象としており、今後適用範囲の拡大および要領の見直しを行っていく。
 
また、2021年度は、ICT施工時の3次元設計データ作成の作業を省力化することを目的に、詳細設計時に作成した3次元モデルをICT施工で可能な限り活用できる3次元モデルの作成仕様について検討しており、検討成果を本要領へ反映することを予定している。

(3)人材育成等による受発注者支援

今後のBIM/CIM活用拡大に向け、人材育成についてもさらに積極的に取り組んでいく。
 
受発注者双方の人材育成において、3次元情報の活用のために習得すべき専門的な知識や技能を整理し、2021年6月に「BIM/CIM教育要領(案)」の改定を行った。
人材育成で目指す「人材」とは、土木工学分野の専門知識に加え、BIM/CIMなどの3次元情報の利活用(モデル作成、照査など)ができる能力・技術を有する者を想定している。
 
「BIM/CIM教育要領(案)」では、期待する学習目標を「入門」、「初級」、「中級」と「上級」ごとに設定し、「入門」では、「BIM/CIMの利活用の体系」の学習に向けた事前学習として「BIM/CIMの技術的な体系」の概要の理解を目標としており、「初級」では、「入門」の内容に加え、BIM/CIMに関する基礎的な技術の理解と「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」を理解し、自身が担当する実務能力の向上を目標としている。
 
また、本要領に合わせて入門編、初級編の受発注者共通項目に関する研修コンテンツを作成しており、全国の地方整備局などの研修や関係団体などで活用できるよう、「BIM/CIMポータルサイト」に公開している(図-5)。
公開しているコンテンツは、PDF形式の資料に加え、これらの資料をeラーニングとして学習できるよう、動画コンテンツも公開している。
 
また、BIM/CIMをより効率的、効果的に活用していくためには、基準類の整備だけではなく、それらを活用することができる環境を整備していく必要がある。
 
受発注者の支援については研修コンテンツの公開による人材育成だけでなく、国土技術政策総合研究所が主体となり受発注者がクラウド上で3次元モデルの作成や共有などを行い、BIM/CIMモデルなどのデータを一元的に集約するシステムの構築を進めている。
本システムが本格的に運用されることで、受発注者双方の作業環境の構築、円滑な情報共有を行うことができる。

BIM/CIMポータルサイト

図-5 BIM/CIMポータルサイト


(4)その他の取り組み

これらの取り組み以外に2021年度は、3次元測量において取得された点群データがデータ容量などの問題から後工程の設計段階で活用することが難しいという課題を踏まえ、精度を確保するための手法を検討した上で、設計段階で活用可能な測量時の3次元の仕様についてマニュアルとしてとりまとめる予定である。
 
また、これまでi-Constructionモデル事務所で行ってきた取り組み事例を基に、複数の業務・工事が並行して行われる際、BIM/CIMを活用して効率的に事業監理を行う場合の具体的な運用方法について検討し、ガイドラインとしてとりまとめる予定である。

 
 

おわりに

2012年度から検討を進めてきたBIM/CIMについて、これまで活用件数を着実に伸ばしてきたが、2023年度の小規模なものを除く全ての公共工事への原則適用の対象となる母数を踏まえると、活用件数は今後飛躍的に増加させる必要がある。
ただし、BIM/CIMの活用件数はその普及に関する指標の一つに過ぎず、BIM/CIMは生産性向上、受発注者双方の作業効率化・高度化に資する一つの手段であるということを念頭に置いて推進する必要がある。
 
測量・調査、設計、施工、維持管理・更新の各段階におけるBIM/CIMの活用だけでなく、建設生産プロセス全体で一気通貫したBIM/CIMの活用を見据えなければいけない。
 
また、建設現場の生産性向上を図るためには、i-Constructionの取り組みを国の直轄工事以外にも拡大していくことが重要である。
このため、地方公共団体などに対して、発注関係者の集まる発注者協議会などの場を通じて、BIM/CIMをはじめとしたi-Constructionに関するさまざまな基準類について周知を図りつつ、連携して取り組みを進めている。
 
このほか今後はBIM/CIMに係る各種基準類についてもより使いやすく、分かりやすい内容とするため、BIM/CIMを活用して得られた課題への対応や関連基準類の整備状況を踏まえて継続的に改善を図っていくこととしており、i-Construction、BIM/CIMの取り組みの普及、進展を図ることで建設現場における生産性向上をより一層実感できる環境の整備を進めていく。

 

 

国土交通省 大臣官房 技術調査課

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集1 建設DX、BIM/CIM
建設ITガイド_2022年


 
 



設計施工一貫方式におけるBIMワークフローの効果検証・課題分析-国土交通省BIM連携事業検証と運用について-

2022年10月15日

設計施工一貫のBIM標準ワークフローの定義、各ステージの効果検証・報告

 

はじめに

令和2年度、国土交通省にてBIM推進会議連携事業の応募者選定があり、当社が応募した「設計施工一貫方式におけるBIMワークフローの効果検証・課題分析」が、連携事業者として選定された。
ゼネコンにおける設計施工一貫方式でのBIMの効果的な活用方法の検証、それらを踏まえたBIMを主体とした新たな業務フローを見いだす目的として取り組んだ。

 
 

検証の概要について

本プロジェクトは、実施案件であった地上3階建てRC造の共同住宅を検証題材とした。
検証の方法として、従来の手法による実際の設計、工事と並行して、BIMを用いた場合の設計から工事まで活用効果を比較し、効果的な手法の抽出、ワークフローへの反映を行った。

検証物件外観

図-1 検証物件外観



 

プロジェクトの事前準備

着手時に実施設計から維持管理までのBIM活用について目的を明確化するためにBIM実行計画書を作成した。
この実行計画書を基に、定期的に関係者がプロジェクトの推移を確認し、目的の達成度合い、解決が必要な課題の抽出を行った。
 
また、各フェーズで目標とするLOD(LevelOfDetail)およびLOI(LevelOfInformation)を策定し、設計・施工・維持管理のプロセスそれぞれのステージでの情報の確定度を、エレメント別に定義する試みを実施し、検証の材料とした。

 
 

実施設計における取り組み

設計段階での取り組みの目的は、従来設計と比較しBIMによる設計のメリット、課題を抽出し、新たにBIMを中心とした設計ワークフローを作ることとした。
また、BIMのメリットである一つのデータを関係者全員で横断的に共有することでモデル・図書の精度向上、データ連携の効率化を図る。
 
設計段階での具体的な取り組みは下記の2点である。
 
①BIMを統括するBIMMg(BIMマネージャー)およびBIMOp(BIMオペレーター)による専門チームが参画し、モデルに関わる業務を選業することでモデルの精度、各種連携の効率化を検証。
②BIMデータの横断的な活用としてS4段階で施工技術者による施工図の前倒し作成(フロントローディング)。
 
結果としては、設計完了時に従来の2D設計に比べ不整合が約80%減少した。
これはBIMMgを主体とするBIM専門チームが実施設計に参画し、モデルの整理が行われたことにより、図面の整合性、積算や後工程との連携に一定の効果があった。
また、同じデータを活用し早期に施工図に着手することで、施工図レベルでの精度、整合性が確保できたことが大きい。
さらに、一つのデータを横断的に共有したことで、着工時に整合性の取れた設計図・施工図の提供が可能となり、現場で行っていた各分野間の調整を済ませた状態でモデルを引き継ぐことができたため、現場での手戻りが少なく生産性の向上の効果も大きかった。

 
 

BIM標準ワークフローの作成

今回の設計段階での取り組みから見えてきた、BIMによる効果を最大限生かすために、従来の設計ワークフローの変革を行った。
具体的には、①BIM専門チームによる実施設計、②施工情報を設計段階で取り込むフロントローディング、③プロセス横断型のBIMデータの一貫活用を主軸とした新たな設計ワークフローを作成し、運用を開始した。
 
さらに、本検証後の運用で見えてきた新たな問題点を解決し、より効果的にBIMを取り入れるため、ワークフローのブラッシュアップと併せて組織体制の見直し、BIM人材の強化を行っている。
 
竣工、維持管理についてもワークフローの見直しを行い、BIMのメリットを生かし会社全体の業務改革に取り組んでいる。

新たな設計ワークフローの構築

図-2 新たな設計ワークフローの構築



 

積算検証について

意匠、構造の設計Revitモデルを、積算ソフトΗΕΛΙΟΣ(ヘリオス)に取り込む手法を採用した。
対象部位は構造躯体および内部仕上げとし、整合調整されたBIMデータを利用することで、インプット情報の精度が上がり、より精度の高い積算手法が実現可能である。
 
一方、BIM連携後のチェックに一定数の時間が必要なため、BIM連携後のチェック項目の洗い出しを、より効率的に行うための改善案の検討を日積サーベイ社と共同で行った。

積算ソフトΗΕΛΙΟΣ(ヘリオス)との連携

図-3 積算ソフトΗΕΛΙΟΣ(ヘリオス)との連携



 

環境影響評価の算定積算手法

循環型社会の構築に向けた展開として、効率的に環境影響評価を行う手法について検討を行った。
LCA(Life Cycle Assessment)の中でも最も認知度が高いCO²の排出量を試算し、その算定結果を一般公表するカーボンフットプリント認証を取得した。
実務レベルでの積算数量内訳明細書を活用することは有効であり、単位換算データベース拡充など必要な対策を行った。

 
 

社内施工技術コンサル早期参画

実施設計2の段階で施工技術者が参画することで、施工図作成のフロントローディング効果を検証した。
着工時に、施工目線での納まり調整がされたBIMモデルと、モデルに連動した施工図があることで、作業所での検討作業の省力化ができ、着工から総合図の承認までの期間を、総じて前倒しにすることが可能となった。

 
 

共通データ環境の整備

設計・施工通して共通したBIMモデルを利用するため、共通データ環境を整備した。
 
アプリケーションの選定については、基幹ソフトと合わせた一社単独で検証を行ったが、操作性やコストにおいて最適解を求め複数のアプリケーションで検証を行っている。
 
また、データ権限設定・フォルダ構成やネーミングルールなどの定義を行い、運用を開始した。
引き続き、最新機能の確認や専門工事業者との連携手引きについて、運用しながら検証している。

 
 

設計確定範囲の掲示方法について

設計の確定範囲の提示方法として、モデルとセットでLOD、LOIの状態を示した資料を引き継ぐことが明確な方法と考えた。
当社標準のLOD・LOI表に則しているものよりも、特記として伝達する事項のみを受け渡すことで、業務負担とならないように考えた。
 
また、施工へ引き継いだ後に設計変更が生じた際の対応については、設計変更の起因別に「施主要望」「設計要望」「工事要望」に仕分けし、モデル更新者・責任者が誰になるかを明確に整理した分担表のもと対応することとした。

モデル更新分担表

図-5 モデル更新分担表



 

LODおよびLOIの最適解

当社ではBIMやその他の情報を横断して活用するための手法として、当社版のLOD指標によりマネジメントする試みを実施した。
当社従来版のBIMモデル作成区分表を元に、表記方法については米国や英国の事例も参考に検討を進めた。
 
形状と情報を分けて定義し、かつ3Dおよび2Dに区分した計4つの指標で状態整理することで、より明確な情報伝達が可能となった。
さらには、意匠、構造、設備の状態をあえて併記することで、どの情報を優先するか、より明確に定義できた。

 
 

本事業を経て

フロントローディングによる生産性向上実現のため、データ不連続の課題に対しては、設計と施工がワンチーム体制で共通データ環境の下、アジャイル型で業務を実施すれば解決すると考える。
当初懸念していたデータ引き継ぎに関しても、MET(ModelElementTable)に沿った運用により、特段引き継ぎをせずシームレスに受け渡すことができたと考えている。
 
今後の課題は、実践検証を重ね標準のMETを早期に確立することと、METのバリエーションを拡充すること、METのとおりBIMが構成されているかを判断する手法を確立することであり、S6竣工・S7維持管理に対する検証を継続し、実務展開を推し進めていく。

Model Element Tableの整理

図-4 Model Element Tableの整理



 

 

株式会社安藤・間 生産設計部 生産設計グループ
米満 雄太(左)
株式会社安藤・間 生産設計部 施工BIMグループ
福田 篤(右)
福田 篤

米満 雄太


 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集2 建築BIM
建設ITガイド_2022年


 



発注者目線のBIM -BIMとはナンナノカ-

2022年10月14日

じわり感じるBIM普及の実感

「いよいよBIMが普及期に入ってきている」とは言っても、設計や施工のためのツールとして、専門的に使用する人たちの間での話だ。
当然だが、専門性の高い業務に有用なツールの場合、まずはそのスキルを直接業務に反映させることを生業としている組織を中心に普及し、じわじわと裾野を広げ、一般化していく。
設計図面が手書きから二次元CADに置き換わっていくときも同様であったが、二次元CADの場合、発注者として成果品に含まれる情報量や成果品である図面の運用に本質的な差異は少なく、発注者が主体的に「ツール」そのものを指定したり、運用を規定したりする必要はなかった。

BIMとCADは似て非なるもの

しかし、実際のプロジェクトにおいてBIM運用を経験してみると、BIMとCADは全く異なるツールであり、発注者としてもBIM運用の方針と成果について、明確な意思を示す必要があると認識した方がよいことが分かった。
特にBIMモデルのLOD(※1)や付加される属性データの取り扱いによって、有効にBIMが運用できる業務範囲に影響が出ることに注意が必要だ。

(※1)Level of Development : 日本建築学会技術報告集 http://www.jstage.ist.go.jp/article/aijt/24/56/24_333/_article/-char/jp/

おまかせ時代の終焉か

発注者が竣工引渡を受ける建物そのもののスペックや品質ではなく、設計や施工の過程に使用されるツールに何らかの意思を示すことは、「請負」という日本特有の契約システムそのものに手を出し、目を向ける行為であり、問題は大きい。
しかしながら、その根本に踏み込むことがBIMの本質的普及につながり、日本の建築生産システムが真の国際標準に肩を並べるために不可欠なことと思う。

 
 

現場でBIMは大活躍

当社のBIM運用は、令和2年度から令和3年度にわたり国土交通省のBIMモデル事業に採択されたことが大きなきっかけである(図-1)。
令和2年度は、当社の「プレファス吉祥寺」建設(以下、本プロジェクト)に係る日建設計の設計が完了し施工者が前田建設工業に決定した後、その施工期間中に公募があった。
当社は設計段階からBIMの運用を積極的に行い、施工者に対しても現場運営においてBIMモデルの活用を見積要項に盛り込んでいた経緯もあり、維持管理BIMの検証をテーマに応募し、採択に至ったと考えている。(※2)

令和3年度は、「前年度の成果、知見をベースに、プロジェクトのより上流である設計段階において適切なBIM運用の指示を発注者として発信することが、より具体的な成果につながる」との思いで設計者と本プロジェクトを題材に再度応募し、採択に至っている。(※3)

(※2) 参照:国土交通省ホームページhttps://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000119.html
(※3) 参照:国土交通省ホームページhttps://r03.bim-jigyou.jp/

モデル事業に荒井商店が参加するに至った経緯

図-1 モデル事業に荒井商店が参加するに至った経緯
出典:国土交通省令和三年度BIMモデル事業中間発表


BIM調整会議は喧々囂々だが盛り上がる

本プロジェクトでは、現場運営において積極的なBIM活用を行った(図-2)。
着工後、初期段階において通常の現場定例と並行して、BIM調整会議を隔週にて開催し、発注者、設計者、施工者、サブコン、専門工事業者が一堂に会し、各社のデータを統合したクラウド上の三次元モデルをモニターで確認しながら、主に意匠、構造と設備の不整合、発注者から建物管理目線での設計変更指示を行った。
この段階で関係者が三次元モデルを共有し、問題点を目の当たりにしながら喧々囂々討議ができたことは非常に効果的で、実際に施工段階での手戻りは最小限にできたと感じている。
竣工引渡後の運用、管理においても適切な点検口、マンホールの配置、人の出入り、通行を考慮したバックヤード計画が実現した。

維持管理業務_施工時に保守点検ルート等の検証

図-2 維持管理業務_施工時に保守点検ルート等の検証
出典: 国土交通省令和二年度BIMモデル事業成果品  図版提供:前田建設工業株式会社


仮設計画の見える化

前田建設工業の現場所長とBIM運用の有用性について討議した際には、実際の施工建物に関しての有効性も認識しながら、より直接的な運用として、仮設計画への効果も強調している。
BIMモデルとして仮設計画を部材から可視化し、仮設材の数量を検証段階にて正確に把握しながら、効率的な計画、試行錯誤の検証を繰り返すことによって、通常生じる現場での不整合、余剰な発注、仮設の盛替えが大幅に減少し、仮設に関わる想定外の費用削減に大きく貢献したとのことである。

 
 

発注者目線とは何か

当社は発注者であり、所有不動産を長期運用するという事業形態から建物オーナーでもある。
発注者としてBIMの運用を主体的に推進するためには、単に「建物をつくる」という観点以外にBIMモデルを整備する必然性を社内に対して説明できないと、コストをかける合理性が成り立たないことになる。
そのためにも、当社に限らず多くの建物オーナーが直面しているであろう課題を抽出する必要があった(図-3)。
特に多数の不動産を所有している場合、長期にわたって所有、運用を続けることで蓄積しているエビデンスも多量で多岐にわたり、保管・活用に苦慮しているケースが多い。
これら貴重な社内資産を有効に活用することがBIM運用の有効性の大きな切り口となる。

建物オーナーにとっての課題とは

図-3 建物オーナーにとっての課題とは
出典:国土交通省令和三年度BIMモデル事業中間発表


BIM運用でどう変わる

この問題点を解決する一つの手段として、BIMモデル運用が起点になるのではないかと期待している。
 
当然ながら、BIMモデル活用は手段であり、目的ではない。
開発段階でBIMモデルが作成、活用され最終成果品としてBIMモデルが整備されている不動産については、維持管理システムとの連携をいかに実現するか、社内担当部署と外部管理会社との連携をどのように構築するか、長期間にわたる維持管理において、改修など建物に変更が生じた場合のBIMモデルの整合性を誰がどのように対応するか、といった実務的側面の検証が必要となる。
しかしBIM以前の不動産に対してはどのように考えるべきか。
紙ベースの竣工図から一物件一物件BIMモデルを作成する労力、コストに見合う合理性を見いだせるのかが、これから建物オーナーが真剣に向き合うべき大きな課題であり、この問題を認識して初めてBIM運用の意識が高まると思う。
そこで発注者が、BIMを積極的に推進する動機となるであろう項目をまとめてみた(図-4)。
結局、各種エビデンスがアナログデータからデジタルデータに置き換わっていく時代の変化と呼応し、BIM運用の可能性、合理性が高まっていくとも言えそうだ。

オーナーにとってBIMに期待すること

図-4 オーナーにとってBIMに期待すること
出典:国土交通省令和三年度BIMモデル事業中間発表


BIMは付加価値となり得るか

図-4を見ていただくと、他の項目と性質の異なる項目があることにお気付きいただけると思う。
「⑤付加価値の創出」である。
この項目を具体的に示せることにより、発注者がコストを投資する合理性、「錦の御旗」となり本格的な普及を加速する可能性は大きい。
そもそも、国内での不動産評価は長年にわたり「現物主義」であった。
そこに土地があり、建物が存在し、テナントが入居し、毎月現金として家賃収益がある、これこそが不動産価値そのもので、その価値を証明するエビデンスは二次的、付加的なもので「現状有姿取引」(※4)という用語が、当たり前に流通していることでその根強さは推して知るべきである。
 
ところが、この価値観を大きく揺さぶる大事件が二度起こっている。
「1991~1993年のバブル崩壊」と「2008年のリーマンショック」である。
 
これらによって、国内の不動産マーケットは大打撃を受け、多くの不動産会社が破綻や事業縮小を余儀なくされた。
これに代わって、海外から不動産投資資金が流入し、国内の不動産マーケットも息を吹き返すこととなるのだが、ここで海外不動産取引の常識の洗礼を受ける。
海外の不動産投資会社は不動産の価値を証明する「エビデンス」により重きを置いて取引を行っており、この頃から国内不動産会社でも「デューデリジェンス」「エンジニアリングレポート」といった単語が使われ始めるようになった。
 
つまり、もともとBIMを開発し、BIM運用の先進国となっている欧米と日本では不動産価値の考え方に根本的相違があり、BIMは「エビデンス」に基づく不動産価値の創出という概念を土台として構築されたシステムなのである。
 
このことをモデル化したのが、図-5のISO19650である。
ここで重要なのは図-5の上流である左側(デザイン、コンストラクション)より右側のAIMに起点番号である「1」が表示されていることだ。
つまり、不動産にまつわるエビデンスは結果として得られるものではなく、最上流で発注者が規定して、その契約に基づき納品されるべきものであるということだ。
 
(※4)現物の不動産の現状を最優先とし、そのままの状態を前提に売買等取引を行うこと

ISO19650情報管理プロセスの概要と図

図-5 ISO19650情報管理プロセスの概要と図


発注者として要件を明文化する

次にニュージーランドのEIRに添付されている「BIMUSE」という資料をベースとし、発注者の求めるBIMの目的をプロットした表を見ていただきたい(図-6)。
BIM運用に際し発注者の要件を明確に伝えるためにはプロジェクトの上流から下流まで細分化し、それぞれに発注者の意志を示す必要がある。
この考え方、作業は今までの不動産事業では行ってこなかった「新たな」プロセスだ。
前項で述べたAIMを起点とするプロジェクトフローを組み立てるために必須の作業であり、この作業をベースとしてBIM運用は構築されるべきだ。

ISO19650情報管理プロセスの概要と図

図-6 BIM活用の明文化



 

なぜBIM発注なのか

結局のところ、BIM運用は発注者にとってメリットはあるのだろうか。
多大な労力とコストを投下して「整ったBIMモデル」の納品を受けることに意味はあるのだろうか。
先ほども述べたように図面が手書きからCADになり、二次元モデルから三次元モデルへ、そしてBIMモデルに至るに従い、モデルに含まれる要素は多くなり複雑になる。
合わせて、データがアナログからデジタルに切り替わることで、データの情報の加工が容易になり、情報のコピーや伝達をしても、劣化しないという特性が加わり、データ運用の幅が広がると同時に、その管理にはより厳格な取り扱いと著作権などの権利に対する新たなルールが必要になる。
以前の「図面」はもはや「図面」ではなく、「不動産情報」(AIM)の集積体となっていくことが近未来の当たり前と考えるべきだろう。
そう考えれば、そのAIMを適切に維持管理、運用するためのツールが必要となり、BIMの本質はそこにこそある。
そうであれば、BIMは発注者こそ積極的に普及に取り組み、日常的に運用されることが重要で、労力とコストの対価として、新たなAIMという果実を得られるようにするべきだ。
不動産資産に対する付加価値たり得るか、は重要な問題ではあるが、付加価値とは結果として得られる評価であり、要は始めるか始めないか、鶏が先か卵が先か、の議論に近しいと思う。
 
いま目の前のコストではなく、直近の未来のことを考えれば、発注者目線でのBIM運用が必要な時期は既に到来している。

 

 

株式会社荒井商店 取締役 技術マネジメント部長
一級建築士 宅地建物取引士 認定登録医業経営コンサルタント
清水 浩司

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集2 建築BIM
建設ITガイド_2022年


 



建築BIM推進会議における検討や建築BIMの推進に向けた取り組みの状況について

はじめに

(1)Society5.0の社会へ

デジタル技術がもたらす社会像として「Society5.0」があります。
「Society5.0」は、内閣府の第5期科学技術基本計画において、わが国が目指すべき未来社会の姿として平成28年に提唱されたものです。
これまでの狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」とされています。
 
Society5.0の社会では、「IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、さまざまな知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。
また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要なときに提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。
社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合える社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。」とあり、これらデジタル化の進展による全体最適の結果、社会課題解決や新たな価値創造をもたらす可能性について提唱されています。

(2)i-Constructionの推進

わが国は、現在、人口減少社会における働き手の減少への対応や潜在的な成長力の向上、産業の担い手の確保・育成などに向けた働き方改革の推進などの観点から、生産性の向上が求められています。
 
こうした観点から、国土交通省では、平成28年を「生産性革命元年」と位置付け、社会全体の生産性向上につながるストック効果の高い社会資本の整備・活用や、関連産業の生産性向上、新市場の開拓を支える取り組みを加速化し、生産性革命プロジェクトを実施してきました。
本プロジェクトの中で、ICTの活用などにより調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆる建設生産プロセスにおいて抜本的な生産性向上を目指す「i-Construction」の取り組みを進めています。
 
「成長戦略フォローアップ」(令和元年6月21日 閣議決定)において、i-Constructionの貫徹やBIMを国・地方公共団体が発注する建築工事で横展開し、民間発注工事へ波及拡大させていくこと、国・地方公共団体、建設業者、設計者、建物所有者などの広範な関係者による協議の場を設置し、直面する課題とその対策や官民の役割分担、工程表などを令和元年度中に取りまとめることが盛り込まれたことを踏まえ、i-Constructionのエンジンとして先行して土木分野で重要な役割を担ってきた「BIM/CIM推進委員会」の下に、建築分野のBIMについて拡充を図るため、令和元年度からWGとして、後述する「建築BIM推進会議」を設置し、建築分野におけるBIM活用に向けた市場環境の整備について具体的な検討が開始されました。
 
 

建築分野におけるBIMの活用状況と課題

現在、諸外国では土木分野だけでなく、建築分野においてもBIMの活用が進んでいますが、わが国での建築分野におけるBIMの活用については、設計、施工の各分野がそれぞれのプロセスの最適化を目指して活用する段階に止まっており、さらなる生産性向上などのポテンシャルがあると考えられる、各プロセス間で連係した建築物のライフサイクルを通じたBIMの活用が進んでいない状況にあります。
この結果、維持管理段階のBIMの活用は低調となり、またBIMの利用効果も限定的となっています。
 
国土交通省が令和2年12月~令和3年1月の期間で設計や施工の関係団体に対して調査したところ、活用状況としては、導入率は全体として46%で、設計分野は、総合設計事務所が約8割、専門設計事務所が約3割、施工分野は、総合建設業、専門工事会社のいずれも約5割となっています。
一方、企業規模別では、1,000人以上の企業が7割以上となっている一方で、10人以下の企業では3割以下といった状況となっています。
特に中小事業者にとっては、導入・運用には多額の設備投資が必要である上に、習熟した人材が不足しているといった課題もあります。
 
 

建築BIM推進会議の設置と昨年度までの取り組み状況

(1)建築B I M 推進会議の設置(令和元年6月)

国土交通省では、前述の「成長戦略フォローアップ」に基づき、建築物のライフサイクルにおいて、BIMを通じデジタル情報が一貫して活用される仕組みの構築を図り、建築分野での生産性向上を図るため、官民が一体となって「建築BIM推進会議」(以下、推進会議)を令和元年6月に設置しました。
 
推進会議では、官民が連携し、建築業界全体が一丸となって今後の建築BIMの活用・推進について幅広く議論し、対応方策をとりまとめていくラウンドテーブルとなり、BIMの活用による建築物の生産・維持管理プロセスなどの「将来像」とそれを実現するための「ロードマップ」(官民の役割分担と工程表など)の検討・策定、当該「ロードマップ」に基づく官民それぞれでの検討などが進められました。
 
なお、推進会議は、松村秀一東京大学大学院工学系研究科特任教授を委員長とし、学識者のほか、建築分野の設計、施工、維持管理、発注者、調査研究、情報システム・国際標準に係る幅広い関係団体により構成されています。
国土交通省においても、住宅局建築指導課、不動産・建設経済局建設業課、大臣官房官庁営繕部整備課の3課で事務局を務めています。

(2)「建築BIMの将来像と工程表」の策定(令和元年9月)

令和元年6月に第1回推進会議が開催され、同年9月の第3回の推進会議において、「建築BIMの将来像と工程表」が了承されました(図-1)。
 
特に「将来像」として、「いいものが」(高品質・高精度な建築生産・維持管理の実現)、「無駄なく、速く」(高効率なライフサイクルの実現)、「建物にも、データにも価値が」(社会資産としての建築物の価値の拡大)、の3つの視点で整理されるとともに、その将来像を実現するための「ロードマップ」が、次の(1)~(7)の7項目に整理され、連携しつつ検討していくこととされました。
 
① BIMを活用した建築生産・維持管理に係るワークフローの整備
② BIMモデルの形状と属性情報の標準化
③ BIMを活用した建築確認検査の実施
④ BIMによる積算の標準化
⑤ BIMの情報共有基盤の整備
⑥ 人材育成、中小事業者の活用促進
⑦ ビックデータ化、インフラプラットフォームとの連携
 
また、これらに取り組む基本的な戦略として、以下の3点を掲げています。
 
・マーケットの機能を生かしながら、官・民が適切な役割分担の下で協調して進める
・先行的な取り組みを進め、その後に一般化を図る(PDCAサイクルによる精度の向上)
・可能な限り国際標準・基準に沿って進める
 
特に1点目の役割分担に留意し、①のワークフローの検討など、さまざまな業界間の調整が必要な部分については国が主体的に事務局を行う部会「建築BIM環境整備部会」を設置することとし、②~⑤については既に民間の関係団体などにおいて検討が進められていることから、それらの各団体の活動を部会と位置付け、個別課題に対する検討などを進めることとされました。(令和元年10月~)
 
なお、当面は①~⑤の取り組みを先行して行うこととされていましたが、令和3年度から⑥と⑦の取り組みにも着手したところです。
 
現在も、これら部会において官民が一体となってBIMに関する議論を進めています。

建築BIMの将来像と工程表-7つの取り組みと工程表-

図-1 建築BIMの将来像と工程表-7つの取り組みと工程表-


(3)ガイドライン(第1版)の策定(令和2年3月)

①の検討を行う「建築BIM環境整備部会」(以下、環境整備部会)は、志手一哉芝浦工業大学建築学部建築学科教授を部会長とし、推進会議と同様に幅広い関係団体などにより構成されています。
 
令和元年10月から環境整備部会において、BIMのプロセス横断的な活用に向け、関係者の役割・責任分担等の明確化などをするため、標準ワークフロー、BIMデータの受け渡しルール、想定されるメリットなどを内容とする「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」(以下、ガイドライン)の検討が行われ、推進会議での承認を経て、令和2年3月にガイドラインが策定、公表されました(図-2)。
 
特にガイドラインでは、「維持管理BIM作成業務」と「ライフサイクルコンサルティング業務」の2つについて言及されています。
 
維持管理BIM作成業務は、設計段階のBIMをベースとしつつ、施工段階で決まる設備施工情報や設備機器の品番、耐用年数などの必要な情報を入力・情報管理し、竣工後、維持管理段階にBIMを引き継ぐ役割です。
 
また、ライフサイクルコンサルティング業務は、維持管理段階に必要と想定されるBIMおよびそのモデリング・入力ルールを、設計者との契約前に事前に検討し、設計者・維持管理BIM作成者・施工者に共有する業務です。
 
これら業務を組み合わせることで、設計、施工、維持管理段階をBIMで効率的につなげ、デジタル情報を一貫して活用することが可能となるとしています。

建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)

図-2 建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)


(4)モデル事業の実施など(令和2年度)

令和2年度から、第1版であるガイドラインの実証などを行うため、ガイドラインに沿って試行的にBIMを導入し、コスト削減・生産性向上などのメリットの定量的把握・検証や、運用上の課題抽出を行う、「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」を実施しています。
本事業では、ガイドラインの実証だけでなく、BIMを活用した場合の具体的メリットを明らかにするとともに、BIM実行計画書(BEP(BIM Execution Plan))、BIM発注者情報要件(EIR(Employer’s Information Requirements))を含む検討の成果物を公表することとしています。
 
令和2年度は、本事業について40件の応募から8件を採択するとともに、別途、モデル事業に採択されなかった提案のうち、推進会議と連携し検討内容の熟度を高めることで、今後成果物が公表された場合に当該成果物の発展性・波及性等が見込まれるものとして学識経験者などにより評価されたものを「連携事業」として14件選定しました。
各事業で検討が進められ、環境整備部会において、検討の進捗状況や成果について報告・議論されました。
 
これらの事業等による検証の結果、標準ワークフローの大きな枠組みについては、汎用的に各プロジェクトで適用され標準ワークフローに基づく運用上の留意点などや、BIMの定量的な活用メリットなどが提言されました。

 
 

令和3年度の取り組みと今後の展開・展望

(1)ガイドラインの改訂

令和3年6月に閣議決定された成長戦略フォローアップ(令和3年6月18日 閣議決定)において、ガイドラインに基づき、官民などが発注する建築設計・工事などにBIMを試行的に導入し、コスト削減・生産性向上などの効果検証や、運用上の課題抽出を行い、その結果を踏まえ、令和3年度中にガイドラインの改定に向けた検討を行うとされました。
 
これを踏まえ、本年度中の改定(第2版の策定)を見据え、検討をしています。
 
第2版については、モデル事業などの試行プロジェクトに基づいた具体的な修正案などの意見を踏まえ、環境整備部会などにおいて議論・調整を行い、改定することを基本方針として検討・作業を進めています(図-3)。

ガイドライン改定の検討方針について

図-3 ガイドライン改定の検討方針について


(2)モデル事業の実施など(令和3年度)

令和3年度は、昨年度の成果なども踏まえ、「先導事業者型」、「パートナー事業者型」、中小事業者BIM試行型」の3つの枠に分けて募集をしています(図-4)。
 
「先導事業者型」は、昨年度のモデル事業と同様のものとして、発注者メリットを含む検証など昨年度に検証されていないもの、もしくは発展させたものであることを応募の要件として募集を行い、16件の応募から7件を採択しました。
 
また、「パートナー事業者型」は、昨年度の「連携事業」と同様の位置付けで、推進会議に連携・提言を行っていただく事業として募集を行い、5件を選定しました。
 
最後に、「中小事業者BIM試行型」は、BIMの普及に向けた取り組みの一環として、中小事業者が事業者間でグループを形成し、試行的にBIMを活用し、BIMの普及に向けた課題解決策の検証などを行うものであることを応募の要件として募集を行い、24件の応募から9件を採択しました。
 
これらの事業については、本年度から新たに設置したBIMの活用による生産性向上などのメリットや課題の検証を行うWG(先導型BIMモデル事業WG)と、BIMの導入や普及に向けた課題解決策の検証などを行うWG(中小型BIMモデル事業WG)において、検討の進捗状況や成果について報告・議論いただく予定です(本年度は既に10月に同WGを開催)。
 
これら官民の事業が推進会議と連携し、同会議において検討内容が議論・公表されることで、さらにBIMの検討が加速することが期待されます。
 
なお、これらの事業については、昨年度と同様、本年度末に報告書が広く公表されるだけでなく、成果報告会を開催する予定です。

令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業

図-4 令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業


(3)今後の展開・展望

建築BIMの推進においては、官民一体となって個別課題に対する検討などを進めるとともに、共通する課題に横断的に取り組むことが重要となります。
このため、昨年度から、それまで①~⑤の課題に対し個別に検討を進めてきた各部会について、部会間の連携をさらに深め、共通する課題への取り組みを進めています。
 
また、各部会だけでなく、例えば設計三団体((公社)日本建築士会連合会、(一社)日本建築士事務所協会連合会、(公社)日本建築家協会)では、設計プロセスについてさらに深掘りした「設計BIMワークフローガイドライン建築設計三会(第1版)」を令和3年10月に策定するなど、推進会議に参加している各団体においても、ガイドラインを踏まえ、検討を進められています。
 
引き続き推進会議の下で部会間・関係団体間で連携し、官民一体となってさらに検討を行ってまいります。
 
特に環境整備部会では、前述のガイドラインの改定に係る議論を通して、発注者メリットと発注者の役割や、BEP・EIRの策定、維持管理BIMの作成方法、ライフサイクルコンサルティング等に係る検討を行う予定です。
また、今後も継続して、契約や業務報酬、竣工モデルの定義、著作権などについても議論を進めていきたいと考えています。
 
こうした継続的な取り組みにより、マーケットのさまざまな事業でBIMが広く活用され、関係団体の検証も進み、将来的にはさまざまな人材の育成や幅広い事業者への普及、さらにはビッグデータ化、インフラプラットフォームとの連携などに広がっていくことを期待します。

 

国土交通省 住宅局 建築指導課

 
 
【出典】


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特集2 建築BIM
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橋梁維持管理における複合的3次元計測

2022年10月13日

はじめに

ここ数年来、構造物維持管理において3次元点群データや3次元モデルはその活用についてめざましい発展を遂げている。
とりわけ橋梁維持管理においては、損傷などが多様にわたり従来の2次元データでは実現できないような劣化状況を表現することができる。
3次元データを取得する場合さまざまな計測機器および技術が市場に提供されており、本稿においては地上型レーザースキャナー、ハンディースキャナー、およびSfMを活用した橋梁損傷部の3次元計測について報告する。
また本計測では名古屋大学内橋梁長寿命化推進室教育施設N2U-BRIDGEを計測対象とした。

 
 

橋梁維持管理における課題

橋梁定期点検は基本的に近接目視にて行い、損傷図や損傷写真、部材ごとの健全度を評価し調書として記録することとなっているが、現状では以下の課題がある。
 
・点検調書の損傷図は部材の形状や損傷を正確に表現したものではないことから、定量的に活用することは難しく、その後の追跡調査や工事に活用しにくい
・損傷の進展を確認するには、点検調書の限られた写真と現状の目視によるピンポイントの比較となるため、損傷の全体像や経年変化を把握することが難しい
・架橋条件によっては、交通規制を伴う橋梁点検車や高所作業車が必要であるため、近接目視作業が非効率なものとなり、点検に多くの日数や費用が必要となる
 
以上の課題を解決するため、現地作業の効率化、既設構造物形状や損傷情報の定量的な把握、および損傷の全体像や進展性の確認が可能な方法として、損傷を含めた橋梁全体の3次元データ取得を行うこととした。

 
 

計測対象(国立大学法人 東海国立大学機構 名古屋大学 橋梁長寿命化推進室N2U-BRIDGE)

N2U-BRIDGE(ニュー・ブリッジ)は国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学、中日本高速道路株式会社、中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社が共同管理する施設であり、さまざまな劣化・損傷が生じ撤去された橋梁の部材を全国から集めた実橋モデルである。
名古屋大学橋梁長寿命化推進室(室長 名古屋大学大学院 中村光教授)は、N2U-BRIDGEを活用し臨床型の橋梁維持管理技術者の養成・研修などの事業を行っている。
今後急速に増加していく供用後50年以上となる老朽化した橋梁の点検・診断には、3次元データの効率的な活用が期待されることから、名古屋大学橋梁長寿命化推進室の協力を得てN2U-BRIDGEの3次元計測によるデータ取得を実施した(写真-1)。

N2U-BRIDGE全景

写真-1 N2U-BRIDGE全景


計測方法1 地上型レーザースキャナー

橋梁の形状計測において、地上型レーザースキャナーは既設形状の3次元データ取得をする上で欠かせないツールである。
完成図が存在しない橋梁や、また完成図にはない添架物の追加や改修による補修補強部材の設置など、供用のうちに形状が変化していることがあるため、既存図面では得られない構造物の最新状況を把握することが可能となる。
さらに周辺状況も3次元データ化されるため、将来の補修補強工事の際の仮設計画や施工計画の立案も容易となる。
また計測対象物に近接せずに離れた位置からの計測が可能なため、危険箇所などに立ち入ることなく安全な場所からの計測作業(データ取得)が可能となる(写真-2)。

地上型レーザースキャン状況

写真-2 地上型レーザースキャン状況


計測方法2 ハンディースキャナー

地上型レーザースキャナーは広範囲の3次元形状の把握に適しているものの、小型構造物や狭隘な部位など、死角となりやすい形状を有する場合はデータに欠落を生じることがある。
この点はハンディースキャナーを用いてデータを補完することができる。
対象物をスキャンしながらリアルタイムで計測中の3次元モデルを確認ができ、撮り残しがあれば追加でスキャンを行えばよい。
また3次元カラーカメラを搭載しているため、3次元モデルに写真データを元にしたテクスチャを貼り付けることで、形状だけでなく色調も正確にモデル化される。
 
ハンディースキャナーは機械製品や人体などの医療分野、文化財など幅広い分野で利用されており、橋梁においては支承や鋼橋の部材単位での形状計測においても有効なツールとなる。
なお今回の計測ではパソコンレス仕様のハンディースキャナーを使用した。
現場にパソコンを持ち運ぶ必要がないため、従来モデルに比べ操作性、利便性が飛躍的に向上している(写真-3)。

ハンディスキャン状況

写真-3 ハンディスキャン状況


計測方法3 UAVの活用

高所にある橋梁や、広範囲の径間・部材を有する橋梁の場合、損傷部位へのアクセスや作業効率が悪いため、調査時には多大な労力を必要とする。
UAV(Unmanned Aerial Vehicle)は人が移動することなく動画や写真による情報収集が可能なことから、損傷調査作業の効率化が期待できるものの、鋼橋などの複雑な構造を有する構造物に適用する場合、UAVの特性を理解した上での機種選定が必要となる。
 
通常のUAVは橋梁下面など非GPS下となる電波の届かない場所では手動の操縦となるため、機体が障害物に接触して墜落する恐れがある。
一方、今回使用したUAVは機体上下にある計6個の魚眼レンズによる「VisualSLAM」技術を搭載しているため、全方位の3次元地図を作成し自機と障害物との全方位の距離を把握できる。
さらに機体のAIが周囲の形状を認識して自動で障害物を回避するため、非GPS下においても安定した飛行が可能となる。
このように熟練の操作技術や経験を必要としないことは、橋梁の維持管理におけるUAV調査手法の普及を促進する点において大きな利点といえる(写真-4)。

UAV調査状況

写真-4 UAV調査状況


計測方法4 SfMの活用

SfM(Structure from Motion)とは大量に撮影された写真から特徴点を抽出し、撮影時のカメラの位置および向きを推定することで撮影対象の3次元形状を復元する技術である。
SfMにより作成された3次元モデルからメッシュデータ(objなど)、点群データ(lasなど)、オルソ画像(jpgなど)の出力が可能なため、近年では簡易地形測量や概略土量計算など、土木分野においても活用事例を増やしつつある。
 
N2U-BRIDGEにおいては、舗装や小部材は一眼レフによる静止画撮影(写真5-1)、高所にある床版下面や下部工はUAVによる動画撮影(写真5-2)を行った。
これらのデータをSfM処理して橋梁の部材ごとに3次元モデル化を行い、各出力データを作成した。
これにより損傷した部材はパソコン上で再現ができ、かつ3次元モデル上で計測が行える。
また床版下面などのコンクリート面は格間単位で1枚のjpgデータにて作成できるため、画像処理機能を持つひび割れトレースソフトを活用することで、ひび割れなどの損傷をリアルに再現(写真5-3)した状態で広範囲の損傷記録として保存が可能となる。

一眼レフ写真撮影状況(舗装面)

写真-5-1 一眼レフ写真撮影状況(舗装面)

UAV動画撮影状況(床版下面)

写真-5-2 UAV動画撮影状況(床版下面)



 

床版下面のオルソ画像にひび割れなどの損傷を記録

写真-5-3 床版下面のオルソ画像にひび割れなどの損傷を記録



 

橋梁維持管理マネジメントシステム

橋梁の維持管理は、点検結果のほか、対象物の諸元や補修履歴などの多くの情報集約を必要とする。
現在これらは橋梁台帳、点検調書、補修補強設計図などとして紙ベースで管理されているものの、複数の書類が年度別に存在し、情報の一元管理が難しい。
この点は点群データ上に2次元、3次元のさまざまなデータを展開できるソフトウエア「Arena4D DataStudio-J」(以下、Arena4D-J)を活用することで解決できる。
これにより橋梁全体の維持管理情報の一元化ができ、次の点検や補修工事に役立てることが可能となる。
N2U-BRIDGEの3次元データ取得においても、これまで紹介した計測手法のデータを点群上に集約するためArena4D-Jを活用した。
なおデータの配布方法としては、紹介動画作成のほか成果物をデータパッケージ化することで、事前にソフトをインストールしていない場合でも閲覧可能な無償ビューワーを提供できる(写真-6)。

床版下面のオルソ画像にひび割れなどの損傷を記録

写真-6 床版下面のオルソ画像にひび割れなどの損傷を記録



 

複合的3次元計測の効果

今回の計測ではN2U-BRIDGEの全ての部材の3次元データ化を行うことで、従来の2次元の成果に対し、より現実的な3次元のアウトプットで表現することができた。
また複数の3次元技術を活用することで効率的な調査が可能となり、予定より早く調査を終えることができた。
N2U-BRIDGEのような鋼・コンクリート橋、また大小の部材で構成された施設を3次元データ化するには、複数の技術についてそれぞれの技術の長所を生かし適材適所で活用することが重要と考える。
 
なお今回の3次元データ取得は調査員4人が1日半で行い、3次元データ処理はひび割れの画像処理を含め1カ月であった。
本計測結果として3次元データイメージを約5分にて閲覧できる動画を作成している写真7はその動画タイトルである(写真-7)。

床版下面のオルソ画像にひび割れなどの損傷を記録

写真-7 3次元データイメージ動画タイトル



 

今後の課題とまとめ

今回のN2U-BRIDGEでの3次元計測を通じ、現地作業の効率化、既設構造物形状や損傷情報の定量的な把握、および損傷の全体像や進展性の確認という現状の課題を解決し得る成果が得られた。
現場作業の効率化が見込める点においては特に有効と考えている。
以下の課題を挙げたい。
 
1.3次元データは容量が大きく処理時間を要するため、高性能なパソコンは必須である。
2.3次元による損傷の表現の仕方が見えてきたことから、次の段階として損傷判定の適切な表現方法を考えていく必要がある。
 
 

今回使用機材、ソフトウエア
・地上型レーザースキャナー:FARO Focus3D S120
・ハンディースキャナー:Artec Leo
・UAV:Skydio J2
・一眼レフカメラ:Nikon D7500
・SfMソフト:Context Capture
・3次元データ総合マネジメントソフト:Arena4D DataStudio-J
・コンクリート構造物劣化調査支援ソフト:Crack Imager

 
 

あとがき

株式会社補修技術設計が主導するM-CIM研究会では構造物調査において3次元技術を活用し調査技術の新たな展開を図る賛同者を会員として募っている。
また技術研修会では会員中心に3次元データの取得および活用での技術情報ミーティングを実施している。
本趣旨に関心を持つ方は法人および個人を問わず本部事務局へ問い合わせいただきたくお願いします。
 
M-CIM研究会事務局(株式会社補修技術設計内)
〒134-0088
東京都江戸川区西葛西6-24-8尚伸ビル5F
e-mail ire@ire-c.com
電話 03-3877-4642
 
最後になりますが、本稿執筆に当たり3次元データ取得のため施設を提供していただいた、名古屋大学長寿命化推進室中村光教授ならびに橋梁長寿命化推進室関係各位に心より御礼申し上げます。

 

 

株式会社補修技術設計 兼M-CIM研究会
小出 博/斎藤 雅信

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集1 建設DX、BIM/CIM
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