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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

建設業を変えるIoT -世界で戦う競争力をつけるために-

2017年7月30日

 

はじめに:IoTの定義と市場動向

すっかり身近な言葉となったIoT(Internet of Things)は、モノのインターネットと訳される。IoTとは、一言で言えば、センサーで集めた情報を、ネットワーク経由でクラウドに上げ、情報を人工知能などで解析・処理する仕組みである。
 
デバイスとオブジェクトが相互につながることで、データが蓄積される。さらに、そのデータを解析し、可視化することで改善のヒントが得られるようになる。そして、プロセスを最適化し、解析・処理したデータを適切な形で、ヒトやマシンに自動的にフィードバックするようになると、リアルタイムでの情報活用が可能になる。本稿でのIoTは、モノだけではなく、結果としてコトやヒトもつなぐ、「ものごとのインターネット」であると定義する。
 
では、IoTの企業における導入率は、どの程度かを見てみたい。IDCJapanの調査によると、従業員規模100 名以上の日本におけるIoTの利用率は2016 年時点で5.4%であるという調査結果が出ている。話題になるIoTではあるが、国内企業での導入・普及・活用はこれからの段階であることが分かる。

 
ここで海外の情勢に目を向けてみる。2016 年10 月にスペイン・バルセロナで開催されたIoTにフォーカスした展示会、「IOT SOLUTIONWORLD CONGRESS 2016」において、HCL 社のSukamal Banerjee氏は、「2015 年のIoTビジネスの状況は、例えるならば、胎児の段階であり、2016 年になってようやく立って歩けるようになった幼児の段階に進んだ、つまり、2016 年になって、ようやく“Ready t o Run”の状態になったといえる」と述べている。さらに、IntelのJonathan Ballon氏のゼネラルセッションにおける講演の表題は「IoTFrom Hype to Reality」、つまり、期待の高さから過大な期待がされていたIoTがようやく現実のものへ、といったニュアンスが読み取れる。
 
このように、現在、世界規模で着実に企業での利用率は向上しているものの、IoTの市場これから急激に成長していくことが見込まれる。つまり、IoTへの取り組みは、積極的に早い段階でアクションを起こし、早く成果を得て、さらに国際社会で勝負できる仕組みを構築することが大切である。
 
 

建設業界でのIoT活用:2つの方向性

一方で本稿で言及したい建設業界でのIoT活用は、2つの方向性に大別できる。
 

図-1 建設業界におけるIoT活用・2つの方向性




 
 
一つは、「現場のためのIoT」、つまり、建設に関わる工事や作業そのものの可視化や効率化、省人化を目的としたIoTの利用である。センサーやICタグを用いてヒトや建設機械、資材などのリソースの位置や状態を管理・把握するケースや、作業員の入退室管理、点検・検査や設備の監視などもこちらに分類できる。
 
国内での実現例としては、竹中工務店が取り組む次世代建物管理システム「ビルコミ」による建物情報の可視化と自動制御(http://www.takenaka.co.jp/news/2014/11/01/images/20141106.pdf)や、東急建設の建機の稼働状況のリアルタイム監視(http://www.tokyu-cnst.co.jp/topics/864.html)などが例として挙げられる。
 
さらに、建設業界では、BIM(BuildingInformation Modeling)が浸透し、急速に部品を含む3次元データが普及し、活用への取り組みが進んでいる。そこへ、センサーを用いて取得した各種の情報と、人やモノの流れを統合し、3次元データをマスターデータとして活用するアイディアもある。マスターデータとしての3次元データは、工事の効率化、現場作業の安全性向上、リソース・スペースの管理や可視化、さらには部材制作・加工にも活用ができるだろう。
 
もう一つの方向性は、「利用者のためのIoT」である。建物はもちろん、建築物を含む街区全体の付加価値を高めるスマートビルディング、スマートシティ、スマートコミュニティ構築の取り組みを通じ、利用者に新しい価値を与えるサービスを提供する。ビルや街の専用アプリを作り、利用者の位置情報やプロファイルと結びつけ、商業施設の案内や、旅行者向けの案内を行うといったアプローチや、防災、エネルギーマネジメントへの応用も考えられる。こちらは、多くの場合、既存の建築物も広く対象とするため、建設業に携わる企業のみならず、地域の住民、自治体を含む幅広い連携が必要になる。
 
例えば、スペイン・バルセロナ市の取り組みもこちらに分類される。市内に整備されたWi-Fi網を基盤とし、スマートパーキング、スマートライティング、スマートゴミ箱、鉄道やバスなどの交通機関のスマート化など、先進的なIoT活用に取り組んでいる。
 

図-2 バルセロナのIoTゴミ箱、スマート地下鉄




 
 

IoTプロジェクトの構築ステップ

IoTは、それ自体が目的ではなく、課題解決の手段であることは忘れてはならない。IoTプロジェクトに取り組む際は、初めに解決すべき課題を整理し、IoTを活用して、どのようにそれを解決し、ビジネスにインパクトをもたらすか、コンセプトを明確にする。つまり、IoTを活用したビジネスモデルの構築とKP(I 評価基準)を明確に定義しておくことが必要である。例えば、現場の効率化であればコストや工数削減などのインパクトを、スマートコミュニティであれば、エネルギー消費量や、新しいサービス提供によるマネタイズなどの目標を十分に検討する。
 
次のステップでは、PoC(Proof ofConcept)の設計と実施を行う。これは、実運用の前に小規模なテストベッド(試験用のプラットフォーム)を構築し、実地での検証を行うことで、IoTソリューションがもたらす効果と課題を明確にするわけだ。
 
PoCで想定通りの結果が得られた場合は、実環境での大規模導入と実運用の開始に向け、さらに基盤や技術を選定し、運用に耐えうる環境構築に向けて設計・開発・導入を実行する。導入後、運用が開始した後も、運用の中から上がってきた要望やアイディアを基に、新たなビジネスモデルの構築、マネタイズのモデルづくりなどのマーケティング視点を持った施策を打ち、テストベッドを標準化して横展開することで、新たなビジネスチャンスを生むことが期待できる。
 

図-3 IoTビジネスの基本的なアプローチ




 
 
つまり、初期構築した成功したテストベッドが重要である。成功したテストベッドは、当初の目的である自社での運用はもちろん、それをスケールして実装したり、横展開することで、グローバルビジネスの基礎となり、新たな価値を生み出す可能性がある。これこそが、業界のイノベーションにつながっていく。次章では、国内外における建設・建築向けのテストベッドの構築の状況について、解説する。
 
 

IOT Solution World Congress 2016に見るテストベッド

2016年10月、スペイン・バルセロナにて、IIoT (Industrial Internetof Things)をテーマとしたイベントが開催された。全世界から、24 カ国、8,000 人を超える参加者を集めるIOT Solution World Congress2016である。
 

図-4 IOT Solution World Congress 2016




 
 
このイベントでは、展示会で展示可能な規模のものを中心に、米国のIIC(Industrial InternetConsortium)のリファンレンスアーキテクチャに合致した10のテストベッドが展示され、建設・建築分野でのIoT活用に関わるテストベッドも多く見られた。
 
IICは、2014年に設立されたインダストリアル・インターネットのデファクト化と産業向けの実装を目的に、AT&T、シスコシステムズ、ゼネラル・エレクトリック、インテル、IBMが立ち上げた団体で、現在では30カ国250組織以上が加盟して活動を行っている。日本企業では、日立、東芝、富士フィルム、富士通、三菱電機、NEC、オリンパスなどが参画している。
 
IICが承認する27のテストベッドのうち、建設業に密接に関係するスマートシティ分野では、2つの承認されたテストベッド構築が進んでいる。一つは、Infosys(インド)、PTC(アメリカ)とSchneider Electric(ドイツ)が率いるエネルギーマネジメント、そして、もう一つは、中国広西チワン族自治区にある欽州市を舞台とした水の供給、品質、信頼性を確保するための都市部向け給水マネジメントのためのテストベッドである。IICのテストベッドプロジェクトは、参加社がグローバルに連携し、スピーディにビジネス化を見据えた協力体制を構築して推進するのが特徴である。
 
スマートコミュニティ・スマートシティに関連したテストベッドとして、音が都市環境に与える影響の研究のためのモニタリングシステムのテストベッドが展示されていた。
 

図-5 FIWARE、FI-Sonic、ETConceptのテストベッド




 
これは、FIWARE(EU)、Fi-Sonic(ポルトガル)、ET-Concep(t ポルトガル)が合同で出展しており、環境騒音の評価と、都市部で起こる事故や犯罪の検知や抑止を目的に、360度集音可能なマルチチャンネルマイクを街に設置する。そして、集音した音の解析と処理を行うことで、事故や銃声、悲鳴などの特徴的な音を、その他の環境音などから区別して、継続的に監視する仕組みである。街の安全性向上、犯罪率低下、事故などのアクシデントを即座に検知するシステムとして、特に暗い場所や視認性の悪い場所などでの効果が期待できる。現状では、異常音が検知されたエリアの特定は行えるものの、 正確な位置や詳細な状況を把握する必要性がある時は、360度をカバーする監視カメラなどとの併用も効果的だろう。
 
また、Schneider ElectricとPTCが構築するスマートグリッドのテストベッドでは、PTC社のAR(AugmentedReality)技術を活用したソーラーパネルのコントロールを模したデモを行っていた。
 

図-6 Schneider Electric、PTCのテストベッド




 
 
専用のアプリケーションを入れたタブレットで、実空間に設置した六角形のマーカーを参照すると、3DのバーチャルモデルをAR表示させることができる。ソーラーパネルの角度や向きは、バーチャルモデル上に数値で表示されているが、実際にタブレット上で数値を変更して、実物の角度や向きを制御することができる。
 
ここで、ソーラーパネルの実物を専用のアプリケーションを通して見ると、現在の発電量など、IoTで取得した情報を参照することもできる。すでにこうした技術が確立されていることから、建設業界でも、IoTで取得した情報とBIMモデルとの情報連携、設備・機器のメンテナンスに応用ができるだろう。
 
さらに、Intelは大気の状態を監視するテストベッドを展示しており、PM2.5、PM10、酸化炭素、二酸化窒素、二酸化硫黄などの大気中の物質を、手の平サイズの大きさの基盤に複数のセンサー類を設置し、リアルタイムに監視するデモを実施していた。
 

図-7  Intelの大気の状態のマネジメント向けテストベッド




 
 
スマートシティ・スマートコミュニティのプロジェクトにおいては、安全性、快適性、フローの最適化、エネルギーマネジメント、環境の評価など、さまざまな指標があるため、こうした取り組みを応用することが期待されるだろう。
 
一方で、SAPは、中国の南京市をターゲットとした商用車のトラッキングによる「Live Connected City」と題した渋滞回避のスマートシティソリューションを、Huawe(i ファーウェイ)は、6LowPAN(Bluetooth上でIPv6を利用する規格)を活用したスマートライティングソリューションのコンセプト展示を行っていた。
 
注目すべきは、開発するIoTソリューションのターゲットは、自国を必ずしもメインの対象としていないことである。日本国内でのテストベッド構築プロジェクトは、主として自社、そして国内をターゲットとしていることが多い点からみると、大きな違いであると言える。国外のプロジェクトを手がけることも多い建設業においては、海外での実装や運用を念頭に置いたIoTソリューションの構築とサービス化を視野に入れて活動する必要がある。
 
こうしたところからも、各社のスマートビルディング・スマートシティ・スマートコミュニティを対象としたソリューションへの興味度の高さと期待が伺える。
 
さらに、これらのテストベッドを用いた実証実験が、国際的な協業をベースにワールドワイドに始まり、結果が共有されるのも、もう間もなくであろう。
 
成功したテストベッドは、標準化され、市場の拡大とともに全世界をターゲットに広く市場に流通するようになる。つまり、初期の段階からテストベッド構築に関わった企業・団体は、現在の収益モデルとは異なる新たなビジネスとして、恩恵を受けることができるようになる。建設業においても、テストベッドの企画・積極的な参加が望まれる。
 

図-8 テストベッドに積極的に参加する意義




 
 
一方で、海外で開発・展開されるテストベッドは、開発コストの削減や期間の短縮の点から考えれば、国内のプロジェクトへの応用も考えていく必要がある。
 
 

国内のIoTを取り巻く状況

国内では、経済産業省と総務省が、産官学が参画・連携し、IoT推進に関する技術の開発・実証、新たなビジネスモデルの創出を推進するために「IoT推進コンソーシアム(ITAC)」を2014年に立ち上げた(http://www.iotac.jp/)。
 
ITACは、前述の米国のIIC、そして端末側に近いところで情報処理を行うフォグ・コンピューティングを推進する団体である米国のオープンフォグコンソーシアムと、2016 年10 月にIoT分野での連携を行い、グローバルに協調した活動を展開している。
 
一方、国内の組織においても、テストベッド構築と実証実験のはじめの一歩を踏み出した事例がある。現在、40 社ほどが加盟するIoTパートナーコミュニティ(http://iot.uhuru.co.jp/partner/)のスマートビルディングワーキンググループにでは、多数の機器の監視の効率化を目的に、安価なセンサーや機材を用いた簡易的なIoTソリューションを構築し、振動と電流のデータの相関性を可視化して分析する実証実験を行った。簡単に、そして安価に、監視の仕組みの構築が可能になれば、多数の機器の状態をほぼリアルタイムに監視できるようになる。今後は、予兆保全や効率的なメンテナンスの実施につなげていく考えである。
 

図-9




 
このように、日本国内で生まれたテストベッドや取り組みの内容を、世界に市場を広げて勝負できるようにするための活動も始まっている。実際のテストベッドの構築と、標準化、そして世界市場へのチャレンジを目的に、2016年6月、IICの事務局を務める日本OMGはi3(Industrial Internet Institute)を設立し、インダストリー、アグリカルチャーの2分野でワーキンググループの活動がスタートしている(http://omg.or.jp/i3/)。
 
ここでは、IICのリファレンスアーキテクチャに沿ってソリューション構築を進めているために、ソリューションを海外展開する際の理解度向上が期待できる。最初は自社向け、国内向けにスタートしたIoTソリューションをグローバルな視点でビジネスにつなげる土壌が生成されつつある。
 
建設分野でも、リーダーシップを発揮できる企業が、こうしたコンソーシアムをなどの組織へ参加・連携しながら、IoTの取り組みを進めていくことで、建設業の課題の解決に向けたIoTソリューションの構築と標準化、新しいサービスやビジネスモデルの創出につなげることが期待される。
 
 

建設業向けIoTプロジェクト推進の課題と提言

建設業は、多数の規模・役割の異なる会社が協力体制の下で、建設プロジェクトを遂行する。特にIoTソリューションの適用に向け、大企業と中小企業の連携で課題の一つにとして挙げられるのは、構築費用の配分である。
 
その点については、IOT SolutionWorld Congress 2016で講演したドイツのState Secretary at the federal Ministry for Economic Affairs and EnergyのMatthias Mac hinig 氏も、「International Cooperation to Accelerate theFuture of Manufacturing」と題した講演の中で、Industrie 4.0における課題の一つとして、「われわれは、デジタルフューチャーの実現に向けて、 中小企業を支援しなければならない」と述べ、中小企業の支援がドイツ政府としても重要な観点であることを述べていた。
 
また、われわれが実施したIICの幹部へのインタビューでも、テストベッドの構築や実証実験に中小企業が参画するケースでは、大企業がプロジェクトにかかる資金をカバーするケースや公的資金を活用するケースがあると述べている。特徴のあるソリューションや得意分野を持つ中小企業の参画を増やすためには、元請けやデベロッパー、そしてIoTプロジェクトに関わる大企業や、活動を支援する団体が資金面での支援を考えていく必要があるだろう。
 
最後に、建設業でのIoTの活用促進のために、5つの提言を行いたい。まず、早く決断して、早くデータを収集すること。これは着手が早ければ、データが時系列で蓄積され、さまざまな分析を通じて活用することができるようになるためである。2番目に、的確なパートナーを見つけて協業すること。1社では決して実現できないIoTビジネスについて、コンソーシアムへの参画などを通じたコラボレーションモデルで実現する必要があることだ。3つ目は、これまで日本が得意としてきた生産性改革では縮小均衡にしかなり得ないため、IoTへの取り組みによってビジネスモデルを変革し、イノベーションを起こすことを目指そうということだ。4つ目はグローバルに展開するケースであっても、日本ならではの「夢」のあるサービス、おもてなし感のあるIoTビジネスの実現を視野に入れて容易にまねされなくする必要があるということだ。5つ目に、ビジネスが成長するにつれてコストが逓増しないよう、さまざまなパートナー、顧客も含めたエコシステムを構築していくことが大切であるということだ。
 



 
2020年のオリンピックイヤー、そしてその後に続く将来の建設事業のIoT化を見据え、日本発の建設業向けのIoTソリューションの実現と発展に向けてのメッセージとしたい。
 
 
 

株式会社 ウフル IoTイノベーションセンター
マネージャー 松浦 真弓



 
 
【出典】


建設ITガイド 2017
特集3「建設ITの最新動向」



 
 



施工BIMの今 -前田建設工業における施工BIMへの取り組み-

2017年7月29日

 

はじめに

最近の建設業界では、施工段階のBIM(以下、施工BIM)に注目が集まっている。いままでのBIMは、どちらかといえば設計者が活用するものと考えられがちだったが、施工BIMでは現場の職員が活用するものとして位置付けられている。国土交通省では、2016年度を「生産性革新元年」と呼んでおり、ICTを積極的に活用して建設現場の生産性向上に向けた取り組みを進めていることも関係しているであろう。
 
このような動きに呼応するかたちで、一般社団法人日本建設業連合会は、2016年4月に『生産性向上推進要綱』を策定した。その中では「施工段階におけるBIM、ICTの啓発、普及促進」と具体的に記載している。生産性を向上させる武器として、それらは必要不可欠と宣言したのだ。
 
前田建設工業では、すでに2007年より設計、施工そして維持管理にわたりICTやBIMを活用する新しい建設生産システム【TPMs(ティピーエムエス)】の構築を行い、運用を始めている。【TPMs】の推進は、まさしくこれらを先取りした活動であったと言えるであろう。【TPMs】による取り組みの主な目的は以下の通りである。
 
①設計や施工段階のBIM化、施工管理のICT化(写真-1)により、職員や協力会社担当者の生産性を向上させること。
 

写真-1 ICTを活用した施工管理




 
 
②施設管理のICT化により、施設所有者に対して、施設のライフサイクルコスト低減を支援すること。
 
そこで本稿では【TPMs】の中から施工BIMに関する取り組みを紹介することで、建設業における生産性向上を考えたい。
 
 

施工BIMの概要

施工BIMの考え方と狙い
 
施工BIMは、作業所を中心とした取り組みである。そのため社内の調達部門、支援部門や専門工事会社が施工BIMに取り組む目的、作業手順や作業工程などを共有するところから始まる。
 
たとえ設計段階が従来型の2 次元であっても、工事を着工する前後からBIMに取り組んでも良いとする。もちろん設計者から整合性が確認された設計BIMと連携ができればなお良い。その際に目指すことは、作業所と専門工事会社のお互いの担当者の業務を楽にすることだ。また、作業所長をはじめとする作業所の基本方針を「この現場はBIMに取り組む!」として、取り組む目的を明確にすることも重要になる。
 
BIMにはいろいろなメリットが考えられるが、「見える化」が何と言ってもメリットの一番である。これを施工段階でも活用しない手はない。
 
施工段階からBIMを始めた場合、仕事を進める情報のスタート地点は設計図であるが、設計変更などの作業により情報が更新されると、それらは施工図や製作図に盛り込まれる。つまり工事を進めるためには、作業所において設計図の情報から施工図(総合図、躯体図、割付図など)を作成し、専門工事会社は担当工事部分の製作図を作成することになる。工事の進捗は施工図や製作図の承認工程に左右されると言っても過言ではない。
 
ところが施工図の担当者は、それらの図面類を調整するために、多ければ数百枚の2次元図面をひたすら見比べ自分の頭の中で空間を想像しながら調整業務をするのが一般的だ。そのため、机の上は図面だらけになる場合が多い(写真-2)。
 

写真-2 机のまわりは図面だらけ




 
 
BIMでは施工図・製作図レベルのBIMモデルを統合し空間を把握する。数百枚の図面を見なくてもXYZの位置関係を直観的に把握でき、多くの担当者と空間を共有することが容易になる(図- 1)。
 

図-1 統合されたBIM




 
 
そこで、前田建設工業が施工BIMに取り組む狙いは主に以下の3項目である。
 
①【図面】施工図・製作図の調整業務の効率化
②【品質】品質不具合の防止
③【安全】作業安全性の向上
 
すでにさまざまな施工BIMの取り組みを行ってきたが、ここでは上記の3つの狙いからひとつずつ適用事例を紹介する。
 
 
①図面】施工図・製作図の調整業務の効率化
 
今までの図面調整と施工BIMによる図面調整の手順の違いを示す(図- 2)。BIMにより効率的に図面調整を進めるポイントは以下である。
 

図-2 図面承認までの作業手順




 
 
①専門工事会社を早期選定し、BIMモデルを作成する
②作業所は基準となるBIMモデルを各業者に提供する(躯体、仕上のモデル)
③変更履歴などの最新版をきちんと管理する
④最新のBIMモデルを共有できるクラウドなどの情報一元化ツールを活用する(設計者・専門工事会社も閲覧可能)
⑤BIM調整会議を開催する(隔週程度の開催。設計者も参加が望ましい)
⑥BIMモデル合意後、スムーズに2次元図面を作成し承認する
 
業務の進め方はBIMモデルで異工種間の調整を行い、関係者間で合意をしてから図面を作成し図面承認を行う。合意するまでは、作業所のBIM担当者と専門工事会社のBIM窓口が参加する調整会議を開催し、整合性が確保されたBIMモデルを更新する(図-3)。
 

図-3 統合された施工BIM




 
 
これらの取り組みは「BIMモデル合意(※1)」と呼ばれている。場合により2次元図面を先行させてBIMモデルを作成する場合もあるが、いずれにしても避けなければいけないことは、BIMと2次元図面の作成を同時にすることだ。
 
取り組みを確実に実施するためには、社内事前打合せで目的を設定することが大事である。それと同時に参画する専門工事会社との協創によりBIMモデル合意に取り組む方針を立案する。
 
その際は全てのBIMモデルを専門工事会社が作成するのではなく、作業所側でも各社にBIMモデルの提供やモデルを統合する体制を整備しておく必要がある。
 
BIMモデル合意に期待できる大きな効果としては、逸失利益の低減がある。また検討時間の短縮(20 ~ 30%の低減)や検討するための2次元検討図の枚数低減などの効果もある。それらの効果を享受するためには、作業所のBIM担当者のリーダーシップと専門工事会社のBIM窓口がお互いにBIMにより作業を効率化させる目的を共有し、実際の仕事の流れに組み込むことだ。
 
BIMモデル合意では、BIM調整会議を概ね隔週で開催している場合が多い(写真-3)。
 

写真-3 BIM調整会議の開催




 
 
参加者は作業所のBIM担当者と専門工事会社のBIM窓口の方々だ。必要に応じて設計者も参加する。
 
BIM調整会議の開催前には、参加者間で最新版の情報共有ツールを通じて検討課題を共有し、対応可能な範囲で各社が新たな質疑や回答を用意する運用が望ましい(写真-4)。
 

写真-4 検討項目のリスト




 
 
②【品質】部分の検討
 
施工BIMでは、必ず対象物件の建物をすべてBIM化する必要はない、と考えている。
例えば作業所から必ずと言っていいほど依頼される項目の一つに鉄筋の納まり検討がある(図- 4)。
 

図-4 鉄筋の納まり検討




 
 
建物全ての鉄筋を入力するのではなく、部分的でも十分な検討時間の短縮効果がある。さらに鉄筋を組み立てる職人さんとの作業手順の確認もできる。
 
また、物流倉庫ではランプ部分のPCa手摺壁と鉄骨との関係をBIMにより調整する場合もある(図-5)。
 

図-5 鉄骨と腰壁PCaの干渉確認




 
 
初めての施工BIMでは、確実に作業所のニーズがあるこのような場所から
取り組んでも立派な施工BIMの一つと言えるだろう。
 
作業所長からは「分かりやすい」「施工図や製作図の進捗状況の確認が容易」「安心感がある。おかしいと思うところを施工前に指摘できる」「若手職員のOJTに活用した」などの評価が得られた。このような評価が建物全体のBIMモデル合意への取り組みに挑戦する素地となる。
 
所長の感想が口コミで広がり、「今の施工BIMは以前に話を聞いたBIMとは違う。施工でも活用するメリットがある」と認識が変わりつつある。
 
 
③【安全】施工手順の「見える化」
 
施工図や製作図の図面調整に活用したBIMモデルをそれだけで終わらせるのはもったいない。このようなBIMモデルは現実にこれから施工する完成形に近い精度で作成されていることもあり、付加価値として施工手順や安全設備の検討にも活用できれば同じく精度の高い施工手順を職員、職長や作業員と共有することができる。
 
施工BIMに取り組んでいる作業所では、本支店の支援部門が参加する施工検討会や専門工事会社を交えた作業手順の説明(写真-5)などへの活用も始まっている。
 

写真-5 BIMを活用した施工検討会




 
 
特に鉄骨建方手順の「見える化」による事前検討(図-6)では、主に以下の関係性が分かりやすいことを確認している。
 

図-6 鉄骨建方のステップ図




 
 
①作業工区分けと重機・荷取りヤードとの関係
②先行取り付け鉄骨と後取り付け鉄骨・仮設材との関係
③取り付け手順と材料積込順との関係
④外部足場せり上げと鉄骨組上げの関係
⑤鉄骨組立とデッキ材の荷上げの関係
現場内の「見える化」ボードには、工事工程表と一緒に時間軸で表した建方
 
手順などの現場状況を貼り出している現場もある。作業員が作業の開始前に出来形をイメージすることで、安全作業への啓蒙にもつながっていると思われる(写真-6)。
 

写真-6 「見える化」ボードへの掲示




 
 

施工BIMに関する教育

先日、作業所職員向けの施工BIMに関する研修会を開催した(写真-7)。
 

写真-7 施工BIMの社内研修会




 
 
開催場所は実際に施工BIMを実践している作業所である。参加者は今後施工BIMに取り組む予定の全国から集まった職員だ。年齢層は所長から若手の担当者まで幅広く集まった。
 
研修はBIMツールの操作教育ではなく、BIMモデル合意や施工計画への適用などBIMの活用事例を社内で共有できるような内容を企画した。
 
講師は施工BIMの支援部門だけでなく、作業所のBIM担当者も担った。実務の担当者が工事概要を説明するように実際の施工BIMの取り組みを説明したことで、参加者の多くが施工BIMを身近に感じることができたようだ。
 
作業所で施工BIMに取り組む予定の担当者からは、具体的な作業所の体制づくりやBIMモデル作成のタイミング、期間などの質問があり、質疑応答の時間は活発な情報交換の場となった。
 
このような地道な活動が、施工BIMの社内展開や取り組みの改善などには必要と改めて感じた。
 
今後も作業所で開催する施工BIMの研修会は続ける予定である。
 
 

今後の展開

本稿では施工図や製作図の図面調整を中心として取り組みを紹介してきたが、施工BIMの可能性は、図面調整だけではない。作業所におけるその他のICTとの連携にも期待できる。例えば墨出し作業の効率化、写真測量による数量把握などのような測量技術との連携が思い浮かぶ。また、自動施工をするための要素技術には施工BIMが必要になるに違いない。
 
スマートデバイスの活用によるフィールドでのBIMモデルを活用した作業員への分かりやすい作業指示などへの活用にも展開できる。すでにタブレット端末を活用した各種検査での活用が始まっており、それらの検査情報との連携も考えられる。
 
ようやくBIMに「見える化」だけを期待するのではなく、BIMに付加されている情報(information)を現場で活用する環境が整い始めたと言える。
 
施工BIMを活用した取り組みはさらに広がるであろう。
 
 

おわりに

施工BIMのひとつの進め方として、工事が始まってから専門工事会社とBIMモデルを連携しながら作業を進める手法は、作業所における図面調整業務を大きく変える可能性があることを確認した。今後はBIMを建物全体や部分とかという議論ではなく2次元CADによる図面作図が一般化してきたように、どのような用途・構造の建物であっても当たり前のように作業所においてBIMが活用できる環境が整備されてゆくと思われる。
 
過去を振り返って見てもBIMやICTの活用を挑戦する機会は何度かあったが、今の社会背景を考えると今回が最後のチャンスではないか。施工BIMの確立には、発注者や設計者・監理者がどのように施工BIMに参画してゆくのかも視野に入れた運用方法を確立させる必要がある。
 
設計からの一気通貫を実現させるのもまさしく今であろう。施工段階でのBIMの活用方法が見えるようになったことで、情報を設計者にフィードバックさせることができるようになりつつある。
 
維持管理段階では前田建設が独自開発したアイクロアとBIMが連携(※2)して施設やインフラの管理が実務で始まっている(図-7)。
 

図-7 BIMを活用した維持管理




 
 
IOTやAIなどの技術の進歩により、建物に合った修繕や改修を計画するところにもBIMの技術が活用されるのも近い。
 
今後もいろいろな取り組みを通じて、施工BIMの確立を進める予定である。
 
 
(※1) 一般社団法人日本建設業連合会BIM専門部会:『施工BIMのスタイル 施工段階における元請と専門工事会社の連携手引き2014』、2014.11、一般社団法人日本建設業連合会
 
(※2) 曽根巨充、他:維持管理システムの実績からニーズを的確に反映-BIMと連携し、3次元の“見える化”を簡単に実現-、『建設ITガイド2016』、2016.2、一般財団法人経済調査会
 
 
 

前田建設工業株式会社 建築技術部 TPM推進グループ長 曽根 巨充



 
 
【出典】


建設ITガイド 2017
特集2「BIMによる生産性向上」



 
 



施工BIMの今 -戸田建設のBIM-

2017年7月28日

 

はじめに

今回のテーマである施工BIMの本題に入る前に、当社におけるBIMの位置付けについて話をしたい。
 
当社は現在、会社全体として「フロントローディング」による生産性向上の取り組みを進めている。この取り組みを実現するために必要なものとして、①ワークフローの全体最適化、②そのワークフローを実行可能にするための体制と役割分担、③全体を取りまとめるマネジメント思考(統合マネジメント思考)、④BIMの活用、を挙げている。
 
当社はBIMをワークフローと密接に関係する、生産性向上のための一つの要素として捉えている。具体的にはプロジェクトの客先要件とリスクの見える化を行い、スケジュールおよびタスク(作業/業務内容)管理により課題を先行して解決するためのツール、またこれらのリスクや課題などの情報を統合するプラットフォームとして捉えている。
 
 

施工BIMの考え方/進め方

当社が考える施工BIMは、着工前に生産設計や施工側でフロントローディングを実践し、その中でいかにBIMを利用するかである。これを「プレコンストラクション」と称しているが、具体的な進め方は、まずプロジェクトの客先要件とリスク、特性からBIMの利用目的を特定する。次に生産設計視点による設計図のチェックを行うことによって、リスクを洗い出すとともにタスクを整理し、そのタスクの内容に基づいたBIMモデルを構築する。そして、これらの流れの中で抽出された課題を、BIMモデル中心の打合せによって調整や解決を図っていくという流れである。この進め方は2D図面の質疑により、繰り返し訂正を行う従来の流れよりも、作図のロスタイムやロスコストを抑えることが可能と考えている(図- 1、2、3)。
 

図-1 プレコンストラクションにおける生産設計ワークフロー




 
 

図-2 BIMモデルの流れと成果物




 
 

図-3 モデル中心の打合せ(BIMマネジメント会議)の様子




 
 

プレコンストラクションの取り組み内容

①生産設計業務のフロントローディング
 
当社は従来の2D作図先行による訂正を繰り返し行う課題解決の進め方からBIMと2Dを併用した課題を先行して解決する進め方に転換することを進めている。従来の2Dに加えて、設計内容や課題の見える化にBIMの3D情報を活用する進め方である。この方法を実施した事例では、関係者に対して分かりやすく伝わり、回答のスピード化につながった(図-4)。
 

図-4 課題の見える化の一例




 
 
また課題を「課題シート」という形でまとめている(図- 5)。
 

図-5 課題シートの例




 
 
ビジュアル的に見やすく、伝わりやすいものにし、経過や回答状況も併せて記すことで履歴管理のドキュメントとしても活用している。
 
次に取り組む体制だが、初動期支援を行うためのフロントローディング推進体制の構築を進めている。参画時期が従来と変わって前倒しとなってくるため、生産設計リソースの割り当てや役割の分化が必要である(図-6)。
 

図-6 生産設計のフロントローディング体制とその参画時期




 
 
現状は各部門への役割の割り当てやタスク工程の策定を推進部門であるBIMCM室が担っている。来期から本社以外の支店にも同様な推進部門を展開する予定である。
 
また設備のBIMモデル統合による調整の早期化や早期の課題解決を図るべく、専門工事会社との協働も進めている。図-7は従来2Dにて重ね合わせを行っていたものをBIMモデルによる統合確認を行うことで、課題解決のスピード化につながった事例である。
 

図-7 設備施工図と建築モデルの統合確認




 
 
このような取り組みの中で、設備会社を始め、さまざまな専門工事会社との連携を開始しており、製作図作成も視野に入れている。また施工図に関しても、現状はBIMから下図として出力し、2Dにて仕上げる流れで進めているが、将来的にはBIMモデルから直接施工図の作成ができるような手法の検討も行っている。
 
 
②施工計画のフロントローディング
 
施工計画の取り組みとして、生産設計や技術、工事の視点による施工上の課題を抽出するためにBIMモデルを利用している。これは2Dによる事前検討資料では気が付かない課題を3Dでより詳細に検討を行うためであり、施工計画におけるステップ図の作成も行っている(図- 8)。
 

図-8 仮設計画の検証




 
 

施工部門におけるBIM対応力およびマネジメント教育の強化

プレコンストラクションをより推進していくために施工部門のBIM対応力やマネジメント教育を強化することも重要である。4つの取り組みについて紹介する。
 
①BIM利用環境の整備
 
生産設計や施工側で利用できるBIMのネットワークライセンス環境を昨年末までに整備した。ハード環境に関しては、今期中に現場社員に対してVDI環境(BI Mをサーバー側で稼働し、画面をPCに転送する仕組み)を整備する予定である。
 
②BIM基本操作教育の実施
 
生産設計課や設備課、技術課、工事課に対してBIMの基本操作教育を行い、その上で推進部門であるBIMCM室にて、実務としての施工計画や施工管理におけるBIMの活用方法の研修を必要に応じて行っている。
 
③スターターBIMモデルの供給
 
上記2項目により、環境が整い、操作スキルが身についても、実際に自分が担当する案件でBIMモデルを利用しなければ本当の意味でのフロントローディングの部門展開は進まないと考えている。そこでスターターBIMモデルと称する、躯体モデルをベースとしたモデルを各作業所へ供給することで、日常的にBIMモデルが活用できる環境の整備を始めている。
 
④PM(プロジェクトマネジメント)教育
 
フロントローディングを進めていく上での協業作業を取りまとめることができる中心的な人材を育成するためにPM教育を行っている。対象者はフロントローディングの推進担当者やプレコンストラクション案件のプロジェクトマネージャ、生産設計課員、現場工務などである。この教育を行うことでゼネコン内部に根付く部門間の縦割りの考え方が少なくなることを期待している。
 
 

最後に

ここまで「施工BIMの今」として話を進めてきたが、途中、アウトプットとしての成果物や社内の体制、専門工事会社との体制など今後に向けた話も行ってきた。
 
今後はフロントローディングによる社内改革の動きを会社全体へより迅速に進めていくため、推進部門としてのBIM-CM室主導から各支店主導へ移行していきたいと考えている。
 
 
 

戸田建設株式会社 建築本部BIM-CM室 北川 剛司



 
 
【出典】


建設ITガイド 2017
特集2「BIMによる生産性向上」



 
 



3次元情報の活用による被災損傷した下水道管きょの査定設計の効率化

2017年7月20日

 

齊藤 計介氏

平成28年4月14日、16日に発生した熊本地震は、これまでに相当の費用と期間をかけて建設を行ってきた下水道施設に甚大な被害をもたらした。被害施設の早期復旧のためには、短期間で被災状況を調査し、災害査定を完了することが必要であった。
 
本町の災害査定の件数は、最終的に管きょ施設27 件と処理場施設5 件の計32 件となった。これは隣接する熊本市(39件)に次ぐ、県下2番目の件数であったが、下水道課の技術系職員は数名しかいなかったことから、支援自治体やコンサルタント、関係業界団体の協力を得ながら早期に災害査定を完了することができた。
 
本報告では、維持管理データと損傷度調査データを融合した3次元情報の利活用により、災害査定図書を作成した経緯を紹介する。
 
 

はじめに

益城町の位置および地勢

益城町は、図-1に示すように熊本県のほぼ中央北よりで阿蘇山の麓、熊本市の東側に位置し、豊かな水と緑に恵まれ、農村部と都市部が融和した自然豊かな町である。
 

図-1 益城町の位置




 
 
町内には“阿蘇くまもと空港”があり、交通の要所となっている。
 
平成27 年度末の人口は約34,000人と県下45市町村中、13 番目と上位に位置し、人口減少社会の中で、熊本市のベッドタウンとして人口が増加してきた都市である。
 

益城町の下水道

益城町の下水道は、公共下水道1処理区(益城処理区)、特定環境保全公共下水道2処理区(飯野処理区・津森処理区)から成り、特定環境保全公共下水道の2処理区は公共下水道の処理場である“益城町浄化センター”へ接続して処理を行っている。
 
平成27年度現在の下水道事業の概要を表-1に示す。
 

表-1 下水事業の概要




 
 

熊本地震の発生と被害

熊本地震の概要

4月14日21時26 分、熊本県熊本地方を震央とする震源の深さ11km、気象庁マグニチュード6.5 の地震(前震)が発生し、益城町では震度7を観測した。
 
その28 時間後の4 月16 日1時25分には同じく熊本県熊本地方を震央とする震源の深さ12km、マグニチュード7. 3の地震(本震)が発生し益城町では震度7を観測した。
 
マグニチュード7.3 は1995 年(平成7年)に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)と同規模の大地震である。
 
14日の地震は日奈久断層帯の北端部の活動、16日未明の地震は布田川断層帯の活動によるもので、隣接する二つの断層帯が連動することで発生した連動型地震で南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型であった。
 
震度7以上を観測する地震が2度も連続して発生したのは初めてであり、余震の回数においても9月末までに震度1以上を観測した地震は4,068回となり、過去の大規模地震の余震回数を上回っている。
 

下水道の被害

地震発生後、益城町職員で0次調査(発災後の緊急点検)を行ったところ、14日の前震では秋津川周辺の地域や処理場の流入幹線等で被害が確認された。16日の本震後は、被害の範囲と規模がさらに拡大していた。
 
本震前後の下水道管きょの被害写真を図-2に示すが、前震で被災した施設が本震でさらに被害が拡大したことが見て取れる(ほぼ同一地点において本震前後に撮影)。
 

図-2 本震前後の被害状況(撮影日:上4月15日、下4月16日)




 
下水道施設の被害は処理場施設、管きょ施設の両方に見られ、そのうち管きょ施設の被害は最も早くから整備を開始した益城処理区に多く見られた。
 
1次調査において目視による点検を行った結果、テレビカメラ調査による2次調査が必要な管きょ延長は総延長の約4割近くとなる約37kmとなった。本稿では、これら管きょ施設の災害査定について述べることとする。
 
 

地震発生から査定までの流れ

4月16日の本震以降から災害査定完了までの流れを時系列で整理したものを表-2に示した。
 

表-2 地震発生以降の流れ




 
 
地震発生後、1次調査を完了させるまでには10日間程度しかなく、さらに2次調査においては、対象延長が非常に長いにもかかわらず、5月25日には完了させる必要があった。
 
2 次調査の完了後は、査定対象施設を抽出し、査定設計、積算、査定資料の作成という手順となる。下水道の査定は3次査定から始まることとなり、甚大な被害を受けた益城町は3次査定から臨んだ。実に本震発生から2カ月後には査定受験、資料提出〆切(目論見書提出)までは発災から1カ月半、テレビカメラ調査の報告が上がってから3日後となるタイトな作業を余儀なくされた。
 
 

情報の活用

事業計画情報の活用

災害査定設計を進める上では、既存の管きょが現状からどのように被害を受けているかを確認し、被害状況を明確にする必要があることから、既設管きょの縦断図の作成が第一歩となる。
 
益城町では平成17年度以降の事業計画設計から、(株)シビルソフト開発により開発された管きょ設計支援ソフトPipe Rapidを用いた管きょ設計を行っている。このため、平成17年以降の事業計画管きょに関しては全て電子化されたデータで管理されており、台帳図、竣工図のデータに値を置き換えることで、縦断図の作成は容易に行うことが可能であった。
 
なお、上記ソフトは管きょ設計の一連の作業をシステム化したソフトで平面図-縦断図-流量表-数量が連動しており、地形図(DMデータ等)上に平面線形、地盤高、地下埋設物等のデータを入力し、これらの情報を基に縦断設計が行えるシステムである。
 

台帳情報の活用

平成17年度以降の拡大区域については縦断図作成が容易に行えるが、地震による被害が大きかった益城処理区は、平成17年以前に事業計画が立案された区域であり、管きょ設計支援ソフトを用いていなかったことから、縦断図の作成には多くの時間がかかることが想定された。しかしながら、益城町では下水道台帳をGISで構築しており、平成25 年度末のデータまで整備を行っていたことが査定設計の効率化に当たっては功を奏した。
 
下水道台帳は(株)パスコが提供しているPasCAL下水道で整備を行っている。この台帳データの活用に関し、(株)パスコ、(株)シビルソフト開発、(株)東京設計事務所の3社で協議を行ったところ、下水道台帳データをPipe Rapidのデータに変換することが可能であることが判明した。
 
これまで構築してきた下水道台帳のデータ(3次元情報)を有効活用することで縦断図作成に関する時間を大幅に削減できた。
 
なお、下水道台帳のデータ変換は被害が大規模であったことを考慮し、下水道整備済み区域全域を対象に4月下旬から着手し、3次元情報を基に全体的な整合性のチェックを含めて概ね5日間程度で図-3に示す全路線の管きょネットワークをPipe Rapidへの変換を完了し、縦断図の作成を可能にした。
 

図-3 全路線の管きょネットワーク




 

災害査定図書作成

災害査定延長

災害査定を受ける延長は最終的には約14.4kmとなった。この内訳を表-3に示す。
 

表-3 復旧延長




 

災害復旧方針

災害復旧方針は、熊本県下である程度の統一を図る必要があることから、熊本県、熊本市、被災自治体、支援自治体、(社)全国上下水道コンサルタント協会(水コン協)現地対策本部(熊本市)と連携しながらベースを作成した。その後、益城町の支援自治体並びに町に設置した水コン協現地対策本部とともに益城町の状況へ適合したものに補正を行った。
 
査定時に提出する図面の作成方法としては、縦断図1枚を原則とし、以下の事項を表記する方針となった。
 
・図面1枚当たり1スパンもしくは100m程度を標準とする。
・管きょがたるんでいる場合はたるんだ縦断を追記する。
・たるみ量はその数値を明確にする。
・管本体の亀裂、破損、継手のズレ等は位置を明確にし、その量を旗揚げする。
・損傷度合いの写真を縦断図の余白に貼り付ける。
 
このように、テレビカメラ調査結果の情報で復旧判定基準に適合する事項は全て表記する方針となった。
 

図化作業の効率化

①図化作業の煩雑さ
災害復旧方針に基づき、通常の手順で作業を進める場合、以下のような手順が必要とされた。
 



 
このような多くの手順を繰り返すことで査定図を完成することができる。
 
②作図上の課題
査定スケジュールに間に合わせるためには、早急に作図を行う必要があったが、作業着手当初は査定対象箇所の特定が行えておらず、どの程度、査定対象となるかが不明であった。しかし、作図の量が膨大となることは十分想定された。
 
膨大な査定対象箇所についてⅲ)~ⅳ)の作業を行うことは非常に手間であり、これらを簡略化することが急務とされた。また、査定官への分かりやすい説明を行うためにも丁寧な図面作りが必要とされ、作図に関する手間が大きな課題となった。
 
さらに、タイムスケジュール上、テレビカメラ調査を行った日本下水道管路管理業協会の最終成果を待たずに、益城町でも適宜、テレビカメラデータを確認する必要があった。また、最終成果がまとまった際にはデータ確認結果により損傷度合いが修正される可能性もあったことから、作図に要する時間を減らすことに加え、修正時の対応を迅速に行えることが必要とされた。
 
③作図作業の効率化
損傷度合いの作図を効率的に完了するには以下の事項が必要と判断した。
 
最も効率化を図るには、損傷位置および度合いをExcelにより数値データとして入力し、縦断図作成に使用しているPipe Rapidへ機械的に設定させる必要があった。しかしながら、PipeRapidにはこの機能を実現するインポート機能はなく、改良を行わない限り実現は難しいこととなった。
 
このため、益城町の水コン協現地対策本部のコンサルタントを通じて、開発元のソフト会社と協議し、改良の協力をいただいた。
 



 
ソフトの改良を行った結果、作図フローは前記の手順に変更となった。
 
このようにⅱ)損傷データの入力に多少の時間は要するものの、効率化以前の作図ステップから2ステップ減少させることができ、大幅な時間の短縮が図れたことに加え、より正確な損傷の位置を示すことが可能となり、説明のしやすい図面を作成することができた。また、Pipe Rapidへのデータ化により、損傷位置および度合い、査定対象箇所等の修正時も迅速な対応を行うことができた。
 
 

Pipe Rapidを用いた図面作成

Pipe Rapidを用いた具体的な縦断図の作図方法を以下に紹介する。
 
Pipe Rapidは管きょ設計の支援ソフトであり、地形、他企業の埋設物の3次元情報および集水面積等を基に管きょ設計を行うことが可能で、縦断図を作成する際には割り付け方法を指定すると、おのずと平面縦断図が自動的に作成される。
 
災害策定に使用する縦断図の作成を行う上ではこの機能に加え、再構築設計等に使用する損傷位置および度合いを縦断図に自動作図する機能、細部の修正にはCAD機能の利用を行うことで被災状況の図化を可能にした。以下に災害策定図作成までのプロセスを紹介する。
 
まず、図-4 のようにExcelにて抽出された損傷データの入力を行い、そのデータを図-5 のようにCSV出力しPipe Rapidにインポートする。
 

図-4 Excelにて入力情報シートを作成(損傷データの抽出・損傷データの入力)




 

図-5 入力情報をCSV出力 ⇒ CSVをPipe Rapidへ取り込み (損傷データの抽出・損傷データの入力)




 
 
管きょネットワークと損傷データが融合されたので、これら異常情報を含んだ縦断図を図-6のように自動的に作図し、補足事項の記入、写真の貼り付けを行い、図-7のような最終的な災害査定図書とした。
 

図-6 縦断図出力(縦断図データのCAD化)




 
 

図-7 細部修正(最終形) (補足事項の記入・写真の貼り付け)




 
 

おわりに

これまで、“九州には大きな地震が発生しない”という認識があったことから、熊本地震の発生とその被害の甚大さに改めて自然の驚異を再認識させられた。
 
幸いにも益城町では下水道台帳の電子化(GIS)を進めていたことに加え、事業計画に管きょ設計支援ソフトを活用するなど情報の電子化が進んでいた。このため、査定図書の作成は昨今のCIM(ConstructionInformation Management)の概念と合致し、維持管理データの有効活用を図ることができた。
 
震災発生から査定完了まで、各支援自治体、水コン協各社、管路管理業協会、ソフトメーカー等の多大な協力を得たことで、益城町の被害は甚大であったにもかかわらず、早期に査定を完了することができた。この場をお借りして、ご協力いただいた多方面の方々に感謝を申し上げる次第である。
 
下水道事業の災害査定は効率的に終えたものの、これから本格的な復旧工事に入っていく段階である。震災後に電子化されたデータの強みを生かせたことを考慮し、復旧段階においても、IT技術の活用、今後のデータリサイクル等、情報化社会の流れに対応していきたい。
 
 
 

熊本県益城町 下水道課 工務係 係長 齊藤 計介
株式会社 東京設計事務所 九州支社 宮崎 宗和

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2017
特集1「i -Construction時代の到来とCIM」



 
 



施工BIMの今 -竹中工務店における設計施工のメリットを生かした施工BIM-

2017年7月18日

 

はじめに

竹中工務店における施工BIM事例の第1号は、1988 年竣工のドーム建築であり、大規模な屋根を精緻に施工するため、3次元データで光波測量機を制御した事例である。当初は、このように特殊な施工条件へ対応する手段としての活用が主であったが、近年は、条件に関わらず広く施工BIMに取り組んでいる。特に設計施工案件のメリットをより生かす手段として、施工段階におけるゼネコン・専門工事会社の調整等での活用が進んでおり、本報では事例と、実施するための基盤整備状況を紹介する。
 
 

施工BI Mの事例(1)専門工事会社連携によるBIMモデル合意

当社では、「BIMモデル合意」と呼ばれる手法を活用した事例が多い。BIMモデル合意とは、日建連「施工BIMのスタイル」1)で定義された表現で、異工種間調整をゼネコンと専門工事会社がそれぞれ作成したBIMモデルの重ね合せによって実施することである。従来、打合せのためだけに作成していた2次元図面の削減や、課題の早期解決といった効果が期待できる。
 
当社におけるBIMモデル合意の運用としては、作業所に社内外関係者が集まり、重ね合せたBIMモデルをプロジェクター等で表示しながら、その場で課題解決する、もしくはビューア上で記録する打合せ(以下、重ね合せ会という)を定期的に開催する方法が多い。特に、設計施工案件では、設計段階から施工関係者を交えた重ね合せ会を実施し、生産情報を早期に反映させていくことで、課題解決の効率化を図っている。重ね合せ会の様子を図-1に、レポートの例を図-2に示す。
 

図-1 作業所における重ね合せ会の様子




 
 

図-2 ビューア上で作成する課題レポート




 
 
現状、BIM対応が可能な専門工事会社は鉄骨・設備・鉄骨階段・ELV・外部建具が主であり、その他の工種については当社が2次元の製作図を取りまとめ、適切にBIMモデルへ反映していく。重ね合せ会では、データマネジメントを行う担当者自身が課題抽出・解決を行う必要があるため、作業所の施工図担当者が務めると、うまく運用できているケースが多い。活用事例では、躯体と空調設備との重ね合せによるスリーブ調整における事例が多く、関係者全てでメリットが得られている取り組みである。例えば図-3のように、RCモデル上で梁貫通可能な範囲を視覚的に自動表示させることで、調整作業が大幅に効率化されている。
 

図-3 RC梁貫通箇所の検討例




 
 
さらに、自社開発の鉄筋BI Mツール「RCS」を活用し、鉄筋専門工事会社と連携した加工図・加工帳作成の取り組みも始まっている(図-4)。
 

図-4 自社開発の鉄筋BIM ツール「RCS」を活用した施工BIM




 
 

施工BIMの事例(2)BIMモデル承認の取り組み

先端的な取り組みとしては、合意だけでなく、承認までBIMモデル上で行う「BIMモデル承認」にも取り組んでいる。対象は鉄骨承認が多く、鉄骨モデルのプロパティに確認記録を残すツールを活用する等、エビデンスの残し方に工夫をしている。BIMモデル承認を実施することで、体裁が細かく決められている2次元承認図が不要となり、ファブの作図労力・ゼネコンのチェック工数が削減される。ただし、関係者間での確認や、工場における鉄骨製作、現場での施工では2次元図面が必要となる。それらでは、鉄骨製作のために工場で必ず作成される単品図を使っている。省略した承認用の詳細図と、製作用の単品図の違いは、図-5に示す通り、通り心や寄り・下がり寸法の記載有無等が主である。これらは製作上必要ないが、ゼネコン承認のためだけにファブが手間をかけて作成しているものである。
 

図-5 省略する承認用詳細図と、必ず作成される製作用単品図の違い




 
 
このように、BIMによって省略できるもの、できないものを事前に仕分けすることで、施工BIMによる効果をより享受できる。
 
なお、BIMモデル合意・承認におけるポイントは、BIMモデルの信頼性に尽きる。2次元図面が正になってしまうと、BIMモデルでの合意内容に意味がなくなってしまうためである。信頼性確保のためには、作業所長のリーダーシップが不可欠となる。途中で2次元図面を作成せず、プロジェクトとしてBIMモデル合意に取り組む体制、雰囲気作りが重要である。
 
 

施工BIMの事例(3)図面・モデル支給を実現する施工BIM

設計施工のメリットのひとつは、先述した通り、設計段階から早期に生産情報を盛り込むことができる点である。また、BIMモデル合意の効果として、2次元よりも早期に課題抽出・解決が可能となる点がある。この2点が組み合さることで、納まり調整のみに留まらず、ゼネコン・専門工事会社の作業範囲・責任範囲を、より合理的に変革することが可能となってきている。具体的な例として、他製作物との取り合いまで調整した製作図基図、もしくはそのまま製作可能なレベルのBIMモデルまでを当社が責任を負って作成し、工場へ支給する取り組みを始めている。
 
図-6に、鉄骨製作を題材に、従来と新手法の違いを示す。
 

図-6 従来手法と新手法の責任範囲の違い




 
 
従来は、製作図作成と他製作物調整が並行して発生するため、ファブがモデル・図面の変更修正作業で多大な工数を要していた。そこで、当社ではBIMモデル合意によって早期に附帯鉄骨との取り合いを確定させることで、ファブへ変更のないモデル・図面を支給する取り組みを始めている。
 
適用対象として、S造の大規模曲面屋根、および「燃エンウッド」という木材の柱部材で実施した際に支給したBIMモデルと製作図の例を図-7、8に示す。
 

図-7 屋根鉄骨部材の支給モデルとパネル図

図-8 燃エンウッド部材の支給モデルと加工図




 
 
特に、S造の大規模曲面屋根の事例では、BIMモデルからのCAM連動が可能な鋼材メーカーと連携することで、1次加工までの作図手間を最小限に削減した鋼材を、当社からファブに支給する取り組みまで実施している。
 
 

推進体制と基盤整備

先述のような施工BIMの取り組みを始め、当社では全社的にBIMを推進していく方針である。2015 年7月に「BI M 推進チーム」(2016 年12 月現在)という本社の推進組織が発足するとともに、設計・施工両職能の専任社員も配備した。具体的な基盤整備施策として、(1)ハード(2)ソフト(3)教育の3点を挙げる。(1)(2)では作業所への64bitPC配備、作業所ファイルサーバーのクラウド化、BIMモデルの部品整備、ソフトウェア開発等を実施している。(3)では施工BIMで先進的に取り組んでいる全国の作業所長同士の交流会を企画するなど、プロジェクトをマネジメントする人材の育成、ノウハウの展開を図っている。
 
 

今後の展開と期待

本報ではゼネコン・専門工事会社の調整における施工BIMを中心に、設計施工のメリットを生かした事例を紹介した。今後は、施工BIMの効果をさらに享受するためにも、業界全体へ施工BIMを広めるためにも、BIM対応が可能な専門工事会社・工種が増加することに期待している。
 
他産業では、製造業を中心にICT技術が鍵となってIoT・Industry4.0と言われるものづくり革新が進んでいる。同じように、建設業ではBIMが鍵となり、ものづくりの仕組み自体を変革する、産業革命につながる可能性を秘めていると言っても過言ではないだろう。当社の施工BIMが、その一助となれば幸いである。
 
参考文献
1)日本建設業連合会:「施工BIMのスタイル施工段階における元請と専門工事会社の連携手引き2014」、2014.1
 
 
 

株式会社 竹中工務店 BIM推進室 主任 生産担当 染谷 俊介



 
 
【出典】


建設ITガイド 2017
特集2「BIMによる生産性向上」



 
 



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