2023年9月7日
長谷工版BIMモデルの活用長谷工では、BIMに取り組み始めた当初から“BIMはCADの代替えではない”という方針で、BIMデータを設計・施工・サプライチェーンで活用することをテーマに取り組んできた。 施工情報の入ったBIMモデル設計段階から施工段階で活用できる精度の高いBIMモデルを作成することで、着工前にDynamoによるコンクリート数量拾いが可能となった。
Dynamoを活用した積算長谷工版BIMモデルからコンクリート数量拾いに必要な情報だけを表示したBIMモデルビューを作成し、Dynamoで平面図上の範囲の指定と高さを入力するだけで、数十秒後には計算結果が表示され数量拾いが完了する。 実施数量との比較実際に発注シーンで活用するためには、作業所で実際に使用される数量との差異をいかに少なくできるかが重要となる。 活用状況施工計画の際や、作業所でのそれぞれの実務に合わせ、打ち継ぎ位置や高さ方向の範囲を指定して数量拾いを活用している。 まとめ今回の長谷工版BIMモデルを用いたコンクリート数量拾いが活用できている一番の要因は、BIMモデル自体の精度が高いことが挙げられる。 今後の展開設計図書や施工図を出力している長谷工版BIMモデルには、設計や施工に関わるさまざまな情報が入力されている。 株式会社長谷工コーポレーション 建設部門 建設BIM推進部
原 英文
建設ITガイド 2023 特集2 建築BIM |
2023年9月5日
はじめにコロナの影響で長らくBIMによる成果の発信がWEB等のデジタル空間での事例説明に限って行われてきた。 全体BIMの体制全体BIMの体制は、合意形成のためにモデリングをした建築モデル、構造モデル、Revitモデルを基に実施設計モデルを行い、確認申請や現場発行時に主要な設計図をモデルから切り出した。 全体工事の把握スタジアムの工事は、屋根スライド工法の採用やガーダー架構の早期構築など全体工程として複雑に組み合わされている一方、調整工事が場内の至るところで絶えず行われているため、工事動線や重機配置など場内計画と合わせた全体の計画を厳密に調整する必要があった。 躯体数量積算Revitの集計機能を利用し、現場打ちのコンクリートとなるエリアにおいては、設計モデルから工区別のパーツモデルを作成し、工区割の妥当性を検討した。 ビジュアル工程管理システム(プロミエ)固定屋根と可動屋根の鉄骨工事を対象とし、現場施工管理者が出来高を管理するのに、大林組開発システムをプラットフォームとして、情報を共有し、連携管理を試行した。 システム連携実例ドローン、点群活用土木班の土量管理と全体工事状況確認を目的に導入し、生成された現況の地盤点群データをRevit上で計画モデルと重ね合わせ、計画・現況の比較や仮設工事の計画に利用した。 4D管理システム実証実験の取り組みとして、4D施工管理支援システムにBIMを活用した。 関係各社に関わる課題解決施工確定には、施工が実現可能な詳細度の作成が必要で、なおかつ、同時並行の限られた時間内で関係各社との課題解決を求められる。
意匠と設備意匠とダクトの納まり確認では、電光掲示版と後ろに設置の設備ダクトをそれぞれに組み込まれている情報を連携しBIM360で確認をした。
揚重機検討・搬入計画Revit建築モデルをCDE・BIM360へリアルタイムで共有していただくことで、信憑性のある建築データを基に、搬入時の揚重機検討、搬入機設置、ルート選定計画が可能となった。
お客様と合意形成テクスチャーというパラメータを用いて、お客様に見せる努力、ISO19650で必要不可欠な承認行為へ活用し、設置をした。
海外設計事務所・他拠点との意思伝達海外の設計事務所や他拠点の意思決定者へBIM360のCDE内でデータを届け、見える化以上の意思決定の活用をした。 ダクトファブリケーション新菱冷熱工業㈱は、BIMモデルから部材を抽出し、製造製作・加工データとして工場に渡すファブリケーションに取り組んだ。 ステータス管理システム現場施工管理者が管理していく上で、オブジェクトの状態を把握することが大切である。 風量測定・制気口リストモデル内に設置している制気口を利用し、現場内検査として必要不可欠な風量測定の利便性向上を試行した。 課題と対策今回の大規模スタジアム建設のBIM活用から生まれた今後の課題と対策について述べる。 今後への期待全体に関わる課題をCDE活用し解決することに関して、ISO19650もしくはEIRに準ずるBIMデータ利用環境により、課題解決を軌道に乗せていきたいと期待する。 おわりに元請建設会社である(株)大林組が準備したCDEの環境が全体最適をもたらし、関係者間で利用をしていこうと提案し、活用していった。 BIMチーム
谷内 秀敬
建設ITガイド 2023 特集2 建築BIM |
株式会社アーキテクト・ディベロッパー(architect developer,Inc.)創業2008年10月1日。 全社的なBIMを視野にこれは、BIM導入と同時に積算との連携をワンモデルで成功させた、ある会社の挑戦の物語だ。 ワンモデルでの積算検証プロジェクトの第一関門は3月の役員プレゼンだった。 設計データの情報不足BIM導入のための検証プロジェクトは、第1から第3までの3フェーズで行われた。 当然ながらデータ不整合、入力手間、部材重複登録などが生じ、むしろこれまでより人工がかかるという事態になった。 積算を考えた設計モデルアーキテクト・ディベロッパーのBIM導入プロジェクトは、積算精度の結果を受けて第3フェーズに入っていった。 縦割り体制が変わる第2フェーズで全体の6%に過ぎなかった積算出力項目数は、10月の時点で184の発注項目数に対し積算出力項目 建設ITガイド 2023 特集2 建築BIM |
はじめに株式会社日積サーベイでは、BIM活用積算の普及を目指し、BIM対応建築積算システム「ΗΕΛΙΟΣ(ヘリオス)」を開発、提供しており、2023年1月には、新3Dビューワ機能などを搭載した最新版「ΗΕΛΙΟΣ2023」をリリースした(図-1)。 「COST-CLIP」の概要「COST-CLIP」は「ΗΕΛΙΟΣ」のBIM連携機能をリリース以降、多くの方々から要望いただいた「設計初期段階のBIMモデルの活用の幅を広げたい」、「BIMモデルによって概算の効率化を図りたい」、「コストを意識したBIM設計を推進したい」などといったニーズに対応するべく開発、提供しているシステムである。 BIM概算ツールの役割BIMモデルを活用して概算するために最低限求められる役割は大きく4つあると考えている(図-2)。 役割1.「BIMモデルの数量算出」BIMモデルに描かれた数量を単に集計するだけでなく、“概算数量”として集計することが求められる。 役割2.「BIMにない数量算出」概算に必要な部材が、必ずしもBIMモデルに描かれているとは限らない。
役割3.「単価データの連携」単価情報は、理論的にはBIMモデルの各部材に入力できるが、現実的な話ではない。
役割4.「算出したコストのチェック」BIM概算ツールには、単に概算コストを算出するだけでなく、算出した概算コストの妥当性や、設計変更の必要性をチェックしやすいことが求められる。 「COST-CLIP」の深化「COST-CLIP」は、BIM概算ツールの役割を果たすことを重視し、BIMソフトの標準機能にはない付加価値の提供を心掛け、日々機能改良を進めている。 1.「BIMモデルの数量算出」の深化-全てのBIM部材への対応- 2.「BIMにない数量算出」の深化-構造計算ソフトの数量対応- 今後の展開2019年に国土交通省が設置した「建築BIM推進会議」では、BIMを活用した概算やコストマネジメントが、主要なテーマに位置付けられており、「BIM活用概算/積算」の流れは広まりつつある。
会社概要会社名:株式会社日積サーベイ 株式会社日積サーベイ BIMソリューション部
高橋 肇宏
建設ITガイド 2023 特集2 建築BIM |
2023年9月1日
工事特性として3D活用i-Construction施策により、3Dモデルを活用していくことは、これからの土木技術者にとって必要なスキルである。 3Dモデルを使った施工管理の魅力3Dモデル制作は、自己学習の範囲で帰宅後の夜2~3時間程度、週末は1日中没頭し10日~1カ月程かけて制作していたが、これが全く苦ではなかった。 ④施工計画書における説明図として活用。 ⑤完成予想図として活用 ⑥新工法の説明看板に活用 このように良いことずくめな3Dモデル活用であるがいくつか課題もあると考える。 ラーンカルチャー・学ぶ文化全社員の活用促進につなげていく方法をどうするかが課題の一つである。 3Dモデルをもっと活用せっかく時間をかけ苦労して制作した 3Dモデル。 3D 模型活用事例橋梁耐震補強工事における活用事例耐震補強用の部材がどのような形状をしていて、どのように取り付くのか、模型化することでよく分かる。
砂防堰堤工事における活用事例全国ニュースにも取り上げられた台風災害の発生した場所で、県内の注目度が高く、無人化施工の取り組みも実施していることから外部の人が多く訪れる現場であった。 無人化施工への挑戦宮崎県椎葉村にて2020年9月7日台風 10号により地元建設会社が被災した箇所に砂防堰堤工が計画された工事で、砂防堰堤背面に直高200mの崩壊法面を背負う環境下において施工される工事である。 3D設計のススメ掘削に際し事前に砂防堰堤工および砂防背面の掘削形状を3Dモデル化。 安全は全てに優先する私自身、現場の施工効率をアップさせるには、安全施工であることは必須条件だと考えている。 現代の土木工事はICT施工i-Constructionの施策に従いICTを活用すれば、安全施工が可能ではと考えたが、現在の市販技術ではICTモニターは車載式のため、無人化バックホウ技術とトレードオフの関係が成立する。 試行錯誤の遠隔ICTキャビン内のモニターを外部のタブレットで見ることができれば、遠隔でICTが可能ではないかと考え、カメラを設置しモニターに照準を合わせ、インターネット回線を使用してiPadで見られるようにした(写真-4)。 写真-4 どこでもICT誕生試行錯誤を繰り返しながら、弊社とタッグを組んで無人化施工に協力してくれた㈱アクティオへ技術開発要請をしており、一緒に検討を行っていたが、ついに外部タブレットにICT操作モニターを映し出すことに成功した。 創意工夫に終わりなし砂防堰堤の掘削工事は、完全無人化を実現し、災害ゼロから危険ゼロを達成し無事完了した。 旭建設株式会社 工事統轄部門 土木部長
河野 義博
建設ITガイド 2023 特集1 建設DX、BIM/CIM |