2022年11月1日
はじめに国土交通省では、デジタル技術を駆使して業務や働き方などの改革を目指す「インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)」が動き出しました。 中国地方整備局のBIM/CIM活用状況令和5年度までに小規模なものを除く全ての公共事業におけるBIM/CIM原則適用に向けて中国地方整備局においてもBIM/CIM活用業務および工事の活用拡大を進めています。
国道2号大樋橋西高架橋(3次元情報活用モデル事業)の事例集中的、継続的にBIM/CIMを活用し、3次元データの活用やICTなどの新技術の導入を加速化する『3次元情報活用モデル事業』の対象である国道2号大樋橋西高架橋の事例を紹介します。 (1)ECI方式の活用交通量の非常に多い交差点で行われる工事であり、かつ、道路占用物件の移設や交差点内の建築限界確保、既設水路および架空送電線との離隔確保、施工ヤードの用地制約など、設計与条件が多いため、早い段階から施工者の意見を聞きながら詳細設計を進めていくECI方式を採用しました。 (2)施工を見据えたBIM/CIMモデルの構築設計者のモデル作成段階で施工者の意見(上部工のブロック分割(図-1)、付属物のモデル化(図-2)など)を取り入れたことにより、施工者が新たにモデル化する手間が省け、効率化が図れました。 (3)3Dモデルを活用したWeb工場検査を実施CIM-LINKを活用してデータの重い3次元モデルを画面上に表示させ、遠隔臨場検査を実施しました(写真-1)。 (4)BIM/CIMを用いた施工計画交通量の非常に多い場所で、かつ、限られた施工ヤードでの施工となるため、施工計画は十分に検討して計画する必要がありました。 (5)関係者間での情報連携3次元情報共有クラウドサービスCIM-LINKを導入し発注者・設計者・施工者でBIM/CIMモデルなどを共有し情報連携を行いました。 BIM/CIM活用拡大に向けた人材育成BIM/CIMの活用促進に向けて、発注者である中国地方整備局の職員に対しても、BIM/CIMに関する講習や3次元CADソフトを使った操作の実演などを実施し、3次元情報を利活用できる職員の育成に取り組んでいます(写真-2)。
おわりに令和5年度までに小規模を除く全ての公共工事についてBIM/CIMを原則活用する目標に向け、業務および工事のBIM/CIM活用が進んでおりますが、一方で3次元測量データの設計段階への活用や後工程を見据えた3次元データの詳細度の設定など、調査、設計、施工の各段階で作成している3次元データ活用の課題もあります。 国土交通省 中国地方整備局 企画部 技術管理課 建設専門官
村上 友章
建設ITガイド 2022 特集1 建設DX、BIM/CIM |
はじめに地域の産業・暮らしや生産空間の維持などに不可欠なインフラ整備のみならず、激甚化・頻発化する災害への対応などを担う建設業の役割は極めて重要であり、地域の守り手としての期待も増している。 北海道開発局におけるBIM/CIMの取り組み北海道開発局では、地域を支える建設業の健全な発展を後押しし、建設業などの働き方改革の実現と建設現場の生産性向上に向けた取り組みを行うため、「北海道開発局建設業等の働き方改革実施方針」を策定している。 (1)令和3年度 北海道開発局建設業の働き方改革実施方針の策定「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」、「新・担い手3法」などを踏まえ、北海道開発局では働き方改革および生産性向上を推進する取り組みを実施している。 (2)令和3年度北海道開発局インフラDX・i-ConstructionアクションプランインフラDX・i-Construction推進にあたり、アクションプランを策定し、「i-Constructionの推進」、「BIM/CIMの推進」、「インフラDXの推進」、「フォローアップ活動」について、具体的な取り組み項目を設定している(図-1)。 (3)i-Constructionモデル事務所での取り組み北海道開発局では小樽開発建設部(小樽道路事務所)が、i-Constructionの取り組みを先導する「i-Constructionモデル事務所」となっており、一般国道5号倶知安余市道路について、調査・設計から維持管理までBIM/CIMを活用しつつ、3次元データの活用やICTなどの新技術の導入を加速化させる『3次元情報活用モデル事業』を実施し、集中的かつ継続的に3次元データを利活用することで、事業の効率化を目指している(図-2)。 (4)北海道開発局インフラDX・i-Construction先導事務所の設置令和3年度のアクションプランの取り組みのひとつである「BIM/CIM活用工事・業務のモデル事務所の取組を他開発建設部にも展開」を推進するため、各開発建設部に「インフラDX・i-Construction先導事務所」を設置し、「i-Constructionモデル事務所」である小樽開発建設部(小樽道路事務所)のノウハウを全道に展開する取り組みを令和3年8月に開始した(図-4)。 (5)講習会や研修の取り組み人材育成推進や地方公共団体・民間企業への情報共有を図るため、講習会や研修、セミナーなどを開催し、北海道開発局職員、地方公共団体職員、民間企業担当者を対象として、インフラDX・i-Construction・BIM/CIMの取り組みなどについて説明を行っている。 おわりに北海道開発局では、地域を支える建設業の健全な発展を後押しするため、建設業などの働き方改革の実現と、建設現場の生産性向上に向け、引き続きBIM/CIM活用に関する取り組みを推進していく。 国土交通省 北海道開発局 事業振興部 技術管理課
建設ITガイド 2022 特集1 建設DX、BIM/CIM |
2022年10月24日
はじめに建築の業界で、BIMが普及してきたように感じる昨今ですので、実際に基本計画や、基本設計でBIMを使用して積算までを行えるような仕組みを構築している企業もあるかと思います。 データ連携まず従来、建築積算を行うには建築数量積算基準にのっとった数量の算出が必要となり、その作業に特化したものが積算ソフトです。 実例(1)Revitモデルまずは、Revitで作成された延べ床面積が約6,000m²、4階建ての庁舎を実例としてご紹介します。
実例(2)Archicadモデルでは次に、Archicadで作成された延べ床面積が約3,000㎡、9階建ての事務所ビルを実例としてご紹介します。
仕上情報について最後に、仕上情報の連携について紹介します。
まとめ実例を通して、モデル自体の連携や仕上情報の連携について紹介してきましたが、これらのBIMデータを弊社で連携可能な形に調整するために要した時間と、従来の積算業務時間から連携によって削減された時間は相殺され、効率化という点でメリットが劇的にあるとはまだ言い切れません。 今後に向けて従来のように各社各様のルールで書かれていた設計図書で積算を行っていたように、各社各様のルールでBIMが作られること、同じ社内であっても作成者によって作り方が違うことは問題ではありません。 株式会社 エステム建築事務所 DX推進室長
草苅 秀和
建設ITガイド 2022 特集2 建築BIM |
BIMの良いところ2008年からBIM(Archicad:図-1)を使用して設計の仕事をしてきて思ったこと。 困るところ
設計、デザイン検討ツールとしてのBIM今となっては当たり前のことですが、各図面が連動しています。
コミュニケーションツールとしてのBIM自社で検討した設計案、デザインをクライアントに正確に伝えることは何より大切だと考えます。
Zoomなどの遠隔コミュニケーションに役立つBIMコロナ禍でリモート打合せが浸透してきましたが、BIMとZoomの親和性は非常に素晴らしいです。
スタッフの成長、仕事の共有について社内で若いスタッフを見ていて思うこと。 テンプレ化一人でArchicadを使用して仕事をしていくのであれば、自分だけがモデルの内容を理解していればよいのですが、複数の人間が関わって仕事をするためには秩序が必要になります。
教育について僕たちはBIMをメインツールとして仕事をしているので、新しくスタッフが入った際に通常の仕事の進め方に加えてBIMツールの教育が必要になります。
社外とのネットワーク仕事を進めていく上でさまざまなパートナー企業との連携が必要となります。 [BIMを全く使用していないパートナーの場合] [BIMをすでに使用しているパートナーの場合]
解決するためのBIMスクール(2022年8月オープン予定)僕はもともとGRAPHISOFT(Archicadの会社)で講師をしたり、専門学校でBIMを教えていたりしたので教えることは楽しいと考えています。
株式会社 横松建築設計事務所 代表取締役
横松 邦明
建設ITガイド 2022 特集2 建築BIM |
2022年10月17日
はじめに測量・調査、設計、施工、維持管理・更新の各段階において、情報を充実させながらBIM/CIMモデルを連携・発展させ、併せて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にすることで、一連の建設生産・管理システム全体の効率化・高度化を図ることを目的に、国土交通省ではBIM/CIM(Building / Construction Information Modeling, Management)の普及、定着、効果の把握やルール作りに向けて、2012年度から取り組みを進めている。 BIM/CIM実施状況国土交通省では、業務については2012年度から、工事については2013年度からBIM/CIMの試行を進めている。
BIM/CIM原則適用について2018年度にBIM/CIM推進委員会を設置し、関係団体が一体となりBIM/CIM推進に関する目標や方針について検討を進めており、具体的な施策の検討に当たっては、BIM/CIM推進委員会の下の4つの各WGにおいて議論を行うともに相互に連携を図っている。
原則適用に向けた取り組み国土交通省ではBIM/CIMの効率的かつ効果的な活用に向け、BIM/CIM推進委員会などの議論を踏まえ、BIM/CIMに関する基準類の整備を進めている(図-4-1、4-2)。 (1)BIM/CIM活用ガイドライン(案)2020年度には、「CIM導入ガイドライン(案)」を設計業務等共通仕様書の構成に合わせ「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」へ全面的に再編した。 (2)3次元モデル成果物作成要領(案)工事における契約図書を従来どおり2次元図面とすることを前提として、設計品質の向上に資するとともに、後工程において契約図書に準じて3次元モデルを活用できるよう、詳細設計業務における3次元モデル成果物の作成方法および要件を示すことを目的に、「3次元モデル成果物作成要領(案)」を策定した。 (3)人材育成等による受発注者支援今後のBIM/CIM活用拡大に向け、人材育成についてもさらに積極的に取り組んでいく。 (4)その他の取り組みこれらの取り組み以外に2021年度は、3次元測量において取得された点群データがデータ容量などの問題から後工程の設計段階で活用することが難しいという課題を踏まえ、精度を確保するための手法を検討した上で、設計段階で活用可能な測量時の3次元の仕様についてマニュアルとしてとりまとめる予定である。 おわりに2012年度から検討を進めてきたBIM/CIMについて、これまで活用件数を着実に伸ばしてきたが、2023年度の小規模なものを除く全ての公共工事への原則適用の対象となる母数を踏まえると、活用件数は今後飛躍的に増加させる必要がある。
国土交通省 大臣官房 技術調査課
建設ITガイド 2022 特集1 建設DX、BIM/CIM |