![]() |
2023年8月11日
はじめにBIM/CIMとはBIM/CIM( Building/Construction Information Modeling, Management )とは、建設事業をデジタル化することにより、関係者の情報共有などを容易にし、事業全体における一連の建設生産・管理システムの効率化を図る思想である。 国土交通省では、BIM/CIM(Building/ Construction Information Modeling, Management )の普及、定着、効果の把握やルール作りに向けて、2012年度から取り組みを進めている。 BIM/CIM実施状況国土交通省では、業務については2012年度から、工事については2013年度から BIM/CIM活用の試行を進めている。 さらなるBIM/CIMの活用に向けて、2019年3月、i-Constructionモデル事務所を10 事務所、i-Constructionサポート事務所( i-Constructio nモデル事務所を含む)を53事務所設置した。 令和5年度BIM/CIM原則適用の実施内容について前述のとおり、2023(令和5)年度までに小規模なものを除く全ての直轄公共土木工事で、原則としてBIM/CIMを活用することとしており、取り組む内容を紹介する。 3次元モデルの活用についてBIM/CIMといえば、3次元モデルを思い浮かべる方も多いと思う。 義務項目の概要(詳細設計)について詳細設計においては、「出来上がり全体イメージの確認」、「特定部の確認」を活用目的として3次元モデルを作成・活用する。 「特定部の確認」は、一言でいうと2次元図面では分かりづらい箇所を3次元モデルで作成することにより、設計内容を確認するものである。
義務項目の概要(工事)について工事における活用は、設計段階で作成された3次元モデルを閲覧することにより、2次元図面の照査、施工計画の検討に役立てるほか、現場作業員などへの説明に利用する。 推奨項目の概要について推奨項目については、義務項目より発展した項目として、以下のようなものを例示する予定である。
発注者によるデータ引き継ぎここまで3次元モデルの活用を中心に記載しているが、3次元モデルに関わらず前工程のデータを後工程に引き継ぐことが重要である。 今後に向けた検討令和5年度のBIM/CIM原則適用については、中小企業などへの3次元モデルの裾野の拡大という観点と確実に効果が見込めるものの有効活用という観点で義務的に実施することとしている。 中小企業などへの普及拡大これまでBIM/CIM(3次元モデル)の活用は、大企業を中心に活用されており、だんだんと中小企業にも裾野が広がっているところであるが、まだまだ未経験者も多く、令和5年度原則適用をきっかけに初めて取り組む者も多くいる。 おわりに本原稿の執筆は、令和4年11月に行っており、その際の最新情報を基に記載している。 国土交通省 大臣官房 技術調査課 課長補佐
近藤 裕介
建設ITガイド 2023 特集1 建設DX、BIM/CIM ![]() |
![]() |
![]() |
はじめにわが国は、現在、人口減少社会を迎えており、働き手の減少を上回る生産性の向上などが求められている。 インフラ分野のDXの取り組み状況インフラ分野のDXの加速化に向け、国土交通省では、省横断的に取り組むべく、2020年7月に「国土交通省インフラ分野のDX推進本部」を設置した。 まず1点目の「手続きなどいつでもどこでも気軽にアクセス」であるが、これはインフラに関係する諸手続きやサービスについて、その利便性向上を図るもので、例えば、特殊車両通行手続きの効率化や民間事業者・港湾管理者における手続きの効率化・非接触化、キャッシュレス化・タッチレス化などが挙げられる。 インフラ分野のDX「挑戦の年」-インフラ分野のDXアクションプランの策定-国土交通省では、インフラ分野のDXの推進に向け、2022 年をDXによる変革に果敢に取り組む「挑戦の年」と位置付け、取り組みを一層加速化させている。 アクションプランのネクスト・ステージ国土交通省では、2022 年4月に国土交通省第5期技術基本計画の策定を行い、新たな取り組みとして「20~30年後の将来の社会イメージ」を示した。 一方で、組織横断的な取り組みとは、業界内外、産学官連携による施策展開を図ることを示した。 おわりに本稿では、国土交通省が推進しているインフラ分野のDXについて紹介した。 国土交通省 大臣官房 技術調査課 建設情報高度化係長
小泉 陽彦
建設ITガイド 2023 特集1 建設DX、BIM/CIM ![]() |
![]() |
![]() |
2022年11月8日
はじめにわが社は沖縄県に本社を置く総合建設業、いわゆる地場ゼネコンである。
設計事務所とのBIM連携に至る経緯グラフィソフトジャパン(株)が公認したArchicadユーザーグループが全国各エリアにある。
BIM連携事例:保育園改修工事前項のイベントにて出会った鹿児島県の設計事務所(株)ixreaの吉田氏より、沖縄県那覇市での保育園改修工事のご依頼をいただいた。 ①現場と図面の食い違いの把握 ②既設配管の把握および新設配管のBIM納品
BIM連携の効果1.設計BIM引き継ぎのメリット
2.施工BIM納品の重要性 BIMを実務に活用するための参考私が実務でBIMを活用してきた中での重点項目をまとめたので、僭越ながら掲載させていただく。 さいごに今回、保育園改修工事が短期間で納期内に完成できたのは、設計者をはじめ、現場代理人と技術員の技術力、協力業者の協力や施主の対応のおかげだと考えている。
金秀建設株式会社 工務部 課長
大木 篤史
建設ITガイド 2022 特集2 建築BIM ![]() |
![]() |
![]() |
2022年11月1日
はじめに国土交通省では、デジタル技術を駆使して業務や働き方などの改革を目指す「インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)」が動き出しました。 中国地方整備局のBIM/CIM活用状況令和5年度までに小規模なものを除く全ての公共事業におけるBIM/CIM原則適用に向けて中国地方整備局においてもBIM/CIM活用業務および工事の活用拡大を進めています。
国道2号大樋橋西高架橋(3次元情報活用モデル事業)の事例集中的、継続的にBIM/CIMを活用し、3次元データの活用やICTなどの新技術の導入を加速化する『3次元情報活用モデル事業』の対象である国道2号大樋橋西高架橋の事例を紹介します。 (1)ECI方式の活用交通量の非常に多い交差点で行われる工事であり、かつ、道路占用物件の移設や交差点内の建築限界確保、既設水路および架空送電線との離隔確保、施工ヤードの用地制約など、設計与条件が多いため、早い段階から施工者の意見を聞きながら詳細設計を進めていくECI方式を採用しました。 (2)施工を見据えたBIM/CIMモデルの構築設計者のモデル作成段階で施工者の意見(上部工のブロック分割(図-1)、付属物のモデル化(図-2)など)を取り入れたことにより、施工者が新たにモデル化する手間が省け、効率化が図れました。 (3)3Dモデルを活用したWeb工場検査を実施CIM-LINKを活用してデータの重い3次元モデルを画面上に表示させ、遠隔臨場検査を実施しました(写真-1)。 (4)BIM/CIMを用いた施工計画交通量の非常に多い場所で、かつ、限られた施工ヤードでの施工となるため、施工計画は十分に検討して計画する必要がありました。 (5)関係者間での情報連携3次元情報共有クラウドサービスCIM-LINKを導入し発注者・設計者・施工者でBIM/CIMモデルなどを共有し情報連携を行いました。 BIM/CIM活用拡大に向けた人材育成BIM/CIMの活用促進に向けて、発注者である中国地方整備局の職員に対しても、BIM/CIMに関する講習や3次元CADソフトを使った操作の実演などを実施し、3次元情報を利活用できる職員の育成に取り組んでいます(写真-2)。
おわりに令和5年度までに小規模を除く全ての公共工事についてBIM/CIMを原則活用する目標に向け、業務および工事のBIM/CIM活用が進んでおりますが、一方で3次元測量データの設計段階への活用や後工程を見据えた3次元データの詳細度の設定など、調査、設計、施工の各段階で作成している3次元データ活用の課題もあります。 国土交通省 中国地方整備局 企画部 技術管理課 建設専門官
村上 友章
建設ITガイド 2022 特集1 建設DX、BIM/CIM ![]() |
![]() |
![]() |
はじめに地域の産業・暮らしや生産空間の維持などに不可欠なインフラ整備のみならず、激甚化・頻発化する災害への対応などを担う建設業の役割は極めて重要であり、地域の守り手としての期待も増している。 北海道開発局におけるBIM/CIMの取り組み北海道開発局では、地域を支える建設業の健全な発展を後押しし、建設業などの働き方改革の実現と建設現場の生産性向上に向けた取り組みを行うため、「北海道開発局建設業等の働き方改革実施方針」を策定している。 (1)令和3年度 北海道開発局建設業の働き方改革実施方針の策定「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」、「新・担い手3法」などを踏まえ、北海道開発局では働き方改革および生産性向上を推進する取り組みを実施している。 (2)令和3年度北海道開発局インフラDX・i-ConstructionアクションプランインフラDX・i-Construction推進にあたり、アクションプランを策定し、「i-Constructionの推進」、「BIM/CIMの推進」、「インフラDXの推進」、「フォローアップ活動」について、具体的な取り組み項目を設定している(図-1)。 (3)i-Constructionモデル事務所での取り組み北海道開発局では小樽開発建設部(小樽道路事務所)が、i-Constructionの取り組みを先導する「i-Constructionモデル事務所」となっており、一般国道5号倶知安余市道路について、調査・設計から維持管理までBIM/CIMを活用しつつ、3次元データの活用やICTなどの新技術の導入を加速化させる『3次元情報活用モデル事業』を実施し、集中的かつ継続的に3次元データを利活用することで、事業の効率化を目指している(図-2)。 (4)北海道開発局インフラDX・i-Construction先導事務所の設置令和3年度のアクションプランの取り組みのひとつである「BIM/CIM活用工事・業務のモデル事務所の取組を他開発建設部にも展開」を推進するため、各開発建設部に「インフラDX・i-Construction先導事務所」を設置し、「i-Constructionモデル事務所」である小樽開発建設部(小樽道路事務所)のノウハウを全道に展開する取り組みを令和3年8月に開始した(図-4)。 (5)講習会や研修の取り組み人材育成推進や地方公共団体・民間企業への情報共有を図るため、講習会や研修、セミナーなどを開催し、北海道開発局職員、地方公共団体職員、民間企業担当者を対象として、インフラDX・i-Construction・BIM/CIMの取り組みなどについて説明を行っている。 おわりに北海道開発局では、地域を支える建設業の健全な発展を後押しするため、建設業などの働き方改革の実現と、建設現場の生産性向上に向け、引き続きBIM/CIM活用に関する取り組みを推進していく。 国土交通省 北海道開発局 事業振興部 技術管理課
建設ITガイド 2022 特集1 建設DX、BIM/CIM ![]() |
![]() |