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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

BIM coordinatorの業務紹介 −BIMマネジメントのキーパーソン−

2018年7月31日

 

BIM普及に伴う新しい役割

BIMの普及に伴い、設計業務に新しい役割りが必要とされている。「BIMマネージャー」「BIMファシリテーター」「BIMオペレーター」等の肩書きを持つ人材が、チームの一員として設計業務に参入するようになった。現段階ではそれら新しい役割の呼称は統一されておらず、各社各様に扱われているものの、呼称が何であれ、重要なのは、それらの人材が担う業務内容をチームが理解していることである。彼らあるいは彼女らが担うのは、チーム全体のデジタル・スキルを底上げするだけではカバーできない、プロジェクトの重要な側面である。
 
筆者は、設計プロセスを円滑にするワークフローの提案、それに伴うソフトウェアのトレーニング、BIM導入を推進するプロジェクトリーダーへの技術サポートを専門としている。設計業務においてその重要性は認識されながらも、依然日本では従事者が少ない「BIM coordinator」が担当する業務を、設計段階のBIMに携わる筆者の経験をもとに紹介する。
 
 

プロジェクト開始時の役割

1.施主の要求を理解する
 
BIM coordinatorがプロジェクトを担当する際の最初の仕事は、BIM成果品に対する施主の要求を理解することだ。英国では、施主の要求を「EIR:Employers Information Requirements」と呼び、設計者および施工者を選定する際に、施主が一定のフォーマットに従って提示すべきドキュメントとして位置付けている。しかし日本では、BIM成果品の要求方法に特定のガイドラインは存在しない。例えば、プロジェクトの各フェーズではどの程度の情報を要求するのが適切かといったことも、施主側の担当者が手さぐりで定めている場合がほとんどである。
 
施主が「BIM成果品」を要求する場合、その意図はさまざまだ。ファシリティー・マネジメントに利用するために積極的に投資している施主もいれば、各設計チームの整合性を高めることが目的なので、3Dモデル自体は参考資料としての提出で構わないという施主もいる。設計チームと意見交換しながら成果品の内容を調整したいという施主もいる。BIM coordinatorは上記どの場合でも、まず施主にヒアリングを行い、提示された「BIM成果品リスト」の根拠や、施主側チーム担当者のBIM実情を知っておく必要がある(図- 1)。
 

図-1 施主要望として提示された多様なBIMモデル活用の例 ?Arup




 
施主の要求が現実的ではないと思われる場合には、BIM coordinatorから代替案を提示することも視野に入れながら施主へのサポートを行う。そうすることで双方の混乱を防ぐことができ、活用される可能性が低い成果品のために作業のハードルを不要に上げてしまうこともなくなる。BIMへの取組みが日本国内では自発的なものである以上、施主の意図と立ち位置を理解した上でBIM成果品の内容を調整する余地、あるいは行き違いを修正する余地は必ずあると思っている。
 
 
2.BIM実行計画を作成する
 
成果品を調整した後、BIM coordinatorが担当するのが「BIM実行計画(BEP:BIM Execution Plan)」の作成だ。BIM実行計画は、施主要望に対する設計チームからの返答である。成果品の内容、コーディネーションミーティングの頻度、情報共有の方法等を、設計チームがどのように実現するのかを示すことが目的だ。設計チームを選定する際に発行するものと、契約後に発行するものの2種類があるが、後者は、チーム編成や業務のマイルストーンをより具体的に示して前者の精度を上げたものと考えて問題ない。
 
BIM実行計画は本来、チーム全体のBIMプロセスの方向性を定めるためのものである。意匠、構造、設備、ファサード等、分野別に作成するものではない。従って、BIM coordinatorは各専門分野の設計業務からは独立していることが望ましい。自身が担当する図面やモデルを作成しながら、他チームの進行状況を把握し、集めたモデルの干渉チェックをレポートにまとめることは、主要な図面提出直前になるほど難しくなる。英国では、各専門分野のプロダクションに携わる人を「BI Mauthor(BIM作成者)」と呼んで「BIM coordinator」と区別することが通常であり、BIM実行計画にもその点を明記する。
 
BIM実行計画の中で筆者が最重要視しているのは、モデルの活用目的を示す箇所だ。モデルは、「この目的のために使用してほしい」という作成者の積極的な意図を前提として参照するものであって、百科辞典のように完成度が高いモデルを目指すことは現実的ではない。設計チームが図面作成の目的で作った3Dモデルを、施主が積算やファシリティー・マネジメントに利用するつもりだったというような行き違いを防ぐためにも、モデルの活用目的については、早い段階で施主と設計チームの合意を取る必要がある。
 
 
3.共有データ環境を管理する
 
次に担当するのは「共有データ環境(CDE:Common Data Environment)」の構築と管理だ。共有データ環境とは、プロジェクト進行中にやり取りする情報を一元管理するクラウド環境のことだ。組織を限定せず、施主、設計者、施工者、コンサルタント等、多様なプロジェクト参加者間で利用する。この共有データ環境の構築と管理が、BIM coordinatorにとって一番肝心な仕事だと思う。なぜなら、施主がBIMデータを要求しない場合や、設計チームがBIM実行計画を正式には発行しない場合でも、プロジェクトチームが情報共有をする限り、共有データ環境は必要なはずだからだ(図-2)。
 

図-2 共有データ環境の例。アップロード通知、データにコメントを残す機能、アクセス制限を備えている。 ?Arup




 
BIM coordinatorとして優先すべきは、必要なデータを個別に送り合う状況の打開だ。ドキュメントマネジメントに特化したプラットフォームサービスの種類は多岐にわたり、建築業界で利用されているものだけでもAconex、Asite、Autodesk BIM360、 Bentley ProjectWise、Flux、Panzura、Sharefile、SharePoint、Viewpoint4Projects(アルファベット順 2017年1月)等が挙げられる。最終的にはデータを施主に提出することを考えると、具体的なプラットフォームは施主が指定することが望ましいが、指定がない場合にはBIM coordinatorから提案する。また、これらのサービスに準ずる機能がなくとも、GoogleDrive、Dropbox、OneDrive等のファイルシェアサービスを利用することで、データを個別に送り合うことは防げる。そもそも個々のファイルを別送パスワードで守るよりも、データをやりとりする環境全体にセキュリティをかける方が効率的である。
 
BIMとは一見、手の込んだ3Dモデルのことを指しているようだが、モデルはあくまでプロジェクトに関係するデータの一部である。BIMcoordinatorが担当するのは、モデルを含むデータ環境全体のマネジメントだ。モデルに必要な情報を詰め込むのではなく、モデルも、適切なバージョン管理を行った上でその他のドキュメントと同様に共有データ環境に保存し、参照されて初めて有益なものとなる。
 
 
4.モデルの詳細度を設定する
 
モデルの詳細度とは、成果品として提出するモデルに含まれるデータ量の目安である。専門分野別に設定はするものの、設計チーム全体で合意し、作業計画を立てる前提にする。モデルの詳細度は「LOD:Level of Detail/Development」と呼ばれ、LOD100〜 500 の指標で表されており、数字が大きいほどモデル内の要素数が増え、データ量も多くなる。
 
モデルの詳細度に関する仕様書としては、BIMフォーラム(builingSMART インターナショナル)による仕様書と、AIA(米国建築家協会)による仕様書の2種が、国内外で広く参照されている。ただし、それらの仕様書が、より詳細に各専門分野の対象要素の種類を定めているわけではない。例えば、設備系の配管に注目すると、給水配管、雑用水配管、給湯配管、排水管、雑排水管など、複数の要素が存在し、それらをいつの提出までに(基本設計終了時、あるいは実施設計終了時)どの程度(立て管のみ表す、あるいは横引き管も表す)作成するのかについては比較的自由に決められる。BIM coordinatorは各分野の設計者と共働し、プロジェクトに応じてその目安をコントロールする。具体的には、「BIM実行計画」あるいは「BIMスタンダード」という実務用文書の中に(図-3)に類する表を示し、各チームの作業を進めるマイルストーンとして共有する。
 

図-3 モデルの詳細度の例。横軸に設計フェーズを、縦軸に設備のモデル要素をリストアップした。 ?Arup




 
フェーズによって本来の利用目的が異なるBIMモデルを、フェーズを超えて引き継ぐためには多くの課題がある。モデル内の要素数やデータ量を増やすだけでは、モデルを、設計BIMモデル → 施工BIMモデル → 運用管理BIMモデル、と進化させていくことは難しい。実際のところは、設計BIMモデルに含まれるデータの一部なら施工BIMモデルにも利用できるという程度ではないだろうか。専門分野間、組織間、フェーズ間で共有されるモデルは、現段階ではシンプルなものであることを踏まえて、BIM coordinatorはモデルの詳細度を設定する必要がある。
 
 

プロジェクト進行中の役割

本章では、プロジェクトが順調にスタートした後、BIM coordinatorが設計業務とどのように関わるかを紹介する。主に担当するのは、1)定期的に専門分野のモデルを統合する、2)干渉チェック(図-4)、3)コーディネーションレポートの作成、4)アニメーションやVR環境の作成、の4つである。どの場合にも共通するのは、施主と設計者がコミュニケーションの手段としてBIMモデルを利用しやすいように、モデル内の情報を展開することだ。
 

図-4 干渉チェックの例 ?Arup




 
統合モデルには情報が多い。特定のソフトウェアを使用して図面やモデルを作成する人材は増えてきたものの、それらBIMオペレーターは各分野専任であるため、プロジェクト進行中に本人の専門分野以外のモデルの更新内容に随時気を配ることは難しい。だからこそ、統合BIMモデルから汎用性のあるデータを取り出す、あるいはソフトウェアの初心者にとっても参照しやすいコンテンツを作成してチーム全体と共有するのは、BIM coordinatorの業務だと筆者は考えている。
 
例えば、コーディネーションミーティングで使用したモデルを、その時のキャプチャや解決に至った経緯とともに共有データ環境内に保存する。または、発行図面と対応する統合モデルのバージョン管理を徹底するといったことによって、BIMデータはより多くの人にとって扱いやすくなる。このように、統合モデルそのものにアクセスしなくても各設計担当者が必要な情報を得られる環境を整えた上で、干渉チェックやコーディネーションレポートをチームに展開することが望ましい。
 
 

プロジェクト終了後の役割

プロジェクトで得た経験を、後続するプロジェクトに生かすためのフィードバックの時間を設けることも、BIMcoordinator の業務に含まれる。アラップでは半年に一度、その期間内に進展があった設計プロジェクトに対して、世界中の全事務所で「BIMMaturity Measure(BIM成熟度評価)」(図- 5)の提出を必須としている。
 

図-5 アラップ「BIM成熟度評価」 ?Arup




 
専門分野別に、BIMに関する複数の項目に対して5 段階評価を行ったものを集積し、プロジェクト全体のBIM成熟度(%)を測定する形式だ。ここで評価の対象となるのは、いかにモデルや共有データ環境を介して「設計プロセス」を円滑にコントロールしたかであり、3Dモデルの情報量や完成度が問われているわけではない。
 
例えばプロジェクトのBIM実行計画(BEP)に関する項目は次のように評価する。評価1)BEPなし→ 2)アラップ社内用BEPあり→ 3)設計チーム全体用BEPあり→ 4)施主要望に対応するBEPあり→ 5)契約文書にBEPを含む。このような評価をプロジェクトに関わる各専門分野から集積し、プロジェクト全体におけるBIMマネジメントのさまざまな側面を定量化することで、より具体的な目標を立てやすくなる。プロジェクト単位で得たデータは事務所単位で集計し、それを世界中の全事務所で集計して、アラップ全体のBIMマネジメント向上の指標としている。
 
BIM成熟度評価の項目には、プロジェクト専任のBIM coordinatorがいることが前提のものがある。「プロジェクト開始時のBIM coordinatorの役割」に示したように、施主要望を反映してBIM関連成果品の調整を行う、BIM実行計画を作成する、共有データ環境を管理する、モデルの詳細度を設定する等は、従来の設計チーム編成のままでは対応することが難しい項目である。各項目の理想的な姿(評価5)を意識することによって担当プロジェクトで挑戦すべき課題を明確にし、プロジェクト終了時には、上手く進められた点・反省点を含めた経験をフィードバックし、他プロジェクトに生かしていこうと思う。
 
 

まとめ

以上、「BIM coordinator」の業務内容を、設計段階のBIMマネジメントに携わる筆者の経験をもとに紹介した。BIMデータを作成するための環境は、参加者たちがそこで本来の創造性を自在に発揮するためにこそ設けるものである。そのようなコラボレーションの環境を整える場面では、専任のBIM coordinatorが重要な役割を担う。プロジェクト関係者のデジタル・スキルを考慮して情報の流れを整理し、共有データ環境にアクセスするための手続きが煩雑にならないよう管理する。多様なソフトウェアを扱う人材の育成に携わりながら、そうでないメンバーにも随時情報を展開する。このようなBIM coordinatorがチームにいることで、プロジェクト関係者はより自由にBIM環境に参加できるようになるのではないだろうか。本記事が、若手の育成を急ぐプロジェクトリーダー、手探りでBIM成果品の内容を定めている施主側の担当者、BIM推進リーダーに任命された方、その他、BIM coordinatorを目指す若手の参考になれば幸いである。
 
 

Arup BIM/CADテクニシャン 平島 ゆきえ

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2018
特集2「BIM」



 



現場の困った!をCIM/ICT活用で解決 −中小建設業の駆け込み寺を目指す−

2018年7月27日

 

CIMを活用して現場の困ったを解決

一般社団法人 CIM解決研究会は、CIM・i-Construction・ICT工事とは何をどうやったらいいのか、現場でCIMを活用して時間削減、工期短縮、コスト削減、生産性向上などの観点から何かいいヒント・アイデアはないかなど、「現場の困った!」をCIMで解決できるように勉強・研究する会として設立しました。会員同士で解決していきながら技術向上を図る目的で偶然にも平成27 年4月6日「シム」の日に設立しました。
 

「現場の困った!」を解決したい




 
この設立同期に賛同した元建設省大臣官房審議官の天本俊正氏や緒方正剛氏を参事として迎え入れ、会員の顔ぶれは12月現在、法人正会員27社、個人正会員19名で構成され、土木建設会社、測量設計コンサルタント会社、建機レンタル会社などの土木分野に限らず、UAVパイロットを育成する企業、ソフトベンダーやIoT(Internetof Things)関連会社なども参加しており、会員同士のタイアップ、コラボレーションも実現しています。
 
国土交通省では、i-Constructionのトップランナー施策である「ICTの全面的な活用」の推進に関連して、3次元モデルを活用し社会資本の整備、管理の効率化・高度化を図るCIMを、土工、トンネル、橋梁、ダム等へ本格導入するための動きがさらに活発化してきています。この取り組みは、「計画測量調査設計」から「施工」そして「維持管理」と建設生産システム全体の生産性向上を図る目的があるため、それぞれのフェーズでのネットワーク構築、連携、情報共有が重要となるためCIM解決研究会はまさに、CIM・i-Construction・ICTを解決する「ハブ」の役割を担っています。
 
 

毎月の勉強会で相互に意見交換

研究会は設立以来毎月欠かさず勉強会を開催し、平成29 年12月で第32回を数えます。各分野からランダムに毎回2 名ほどの講師を招いて、CIM・i-Construction・ICT等の取り組みや事例、ソフトウェアの活用提案を講演していただき、各会員は情報収集や活発な意見交換の場となり、毎回大盛況で行われています。注目すべき点は、ただ発表を聞く場所としての一方通行ではなく、その場で参加した会員が「こんなことできないか?」「ここをこうしたい!」「ここが分からない」の困った!をそれぞれのプロが集まっているためその場で解決できるコミュニケーションの場ということです。毎回集まった参加者が何か一つでも役に立つヒントを持ち帰ってもらうため、講師、講演内容のバランスも工夫しています。また毎回事務局発表として、現場の3次元化事例や、i-Construction・ICT活用工事の事例等を現場目線で発表しており、実際現場で困っていることや課題、解決したいことを参加者に問いかけています。どうしても高額なソフトウェアに圧倒されがちですが、「身近な無償ツール、ソフトウェアでもここまでできる」事例紹介や、3次元データの利活用事例、アイデアを発表しています。情報通信系の企業で構成されるIoT分会ではセンサー技術や情報通信技術を研究、ICT建設系の企業で構成される技術部会では、UAV写真測量や点群処理のノウハウや、新技術の情報交換、相互協力で強力なネットワークを構築しています。
 
10月開催時には初の試みで、東京の会場と青森の河川工事でi-Construction・ICT活用対象現場を生中継しライブビューイングを企画。工事着手時の問題から施工管理プロセスなど現場の概要説明、UAVドローンの展示紹介と実機のデモフライト、ICT建機の操作モニターや稼働状況の解説、そしてドローンからのリアルタイム配信映像でICT現場を空から中継リポートし東京会場の参加者と相互通信で見学会を成功させました。参加者からは、「リアルで迫力があった!」「実際の現場をなかなか見ること、体験できることが少ないので貴重だった」「またやってほしい」と多くの評価があり好評でした。
 

ICT建機の操作モニター




 



 

UAV実機のデモフライト




 



 

i-Construction・ICT活用対象現場を生中継しライブビューイング




 
 

i-Con対応の技術習得を支援

平成29年7月にはi-Constructionを一気通貫で学び技術習得できる環境を構築したいということで、UAV事業パイロット養成センター埼玉を展開する株式会社Taskと建機レンタル大手の株式会社アクティオ、測量会社の株式会社マナブ測建、建設会社のユタカ工業株式会社などと連携し、i-Construction専用の講座フィールドを開設しました。UAVの基礎知識はもちろん、写真測量の撮影計画、実習から写真解析処理、3次元データ作成、ICT建機の3次元データ活用まで一気通貫で体験習得できます。I-Construction対応を目指す中小建設関連企業の“駆け込み寺”として、さらなる充実した講座環境を目指しています。また、会員企業と連携、タイアップして出前講座も行っており、企業の研修・勉強会、現場見学会でのUAVデモフライトや実機体験フライトやICT活用講座も行っています。
 

勉強会の様子




 



 

懇親会の様子




 
 

仲間と共に生産性向上を

「生産性向上」とは何か。CIM・i-Constructionの取り組みである「生産性向上」を実現、実感するためには企業連携が不可欠であり、一層の連携強化を推進する必要があります。
 
一般社団法人CIM解決研究会はそんな「現場の困った!」を会員企業が情報を持ち寄り、各企業や自治体、産官学の連携活動を活性化して課題や問題を仲間とともに解決していこうとする集まりです。少しでも安く、少しでも早く、少しでも楽に楽しくやるために知恵を絞り、最新の動向を踏まえて最適な道具を選びながら、今困っていること、今まではできなかったことを題材に調査、研究、技術向上を一緒に取り組んで「生産性向上」を実現する仲間を求め続けています。
 
 

一般社団法人 CIM解決研究会

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2018
特集1「i-Construction×CIM」



 



i-Construction×CIM時代のソフトウェア

2018年7月26日

 

i-ConsrtuctionとCIM時代の始まりにどう考えていくのか

2017年3月に国土交通省より「CIM導入ガイドライン・CIMの運用に関する基準」として「CIM導入ガイドライン」と「CIM事業における成果品作成の手引き」が発表され、本格的にCIMの取り組みが開始された。CIMはi-ConstructionにおけるICT施工のように適用箇所を指定する個別適用とは異なり、事業全体で3次元データを活用することでの生産性向上を目的としており、取り組む側が生産性と効率化の度合いや実現性を考えて進める必要がある。何をすべきかが分かりにくい点が、CIM実現の難しさを招いていると考えている。
 
そんな中、2018年度は地質・地盤モデルや3DAモデル(3Dアノテーションモデル)、積算モデルの取り組みが追加される。また、IFCの活用拡大や国際対応の本格化など、建設3次元モデルの活用は拡大していく。取り組みを開始している企業と躊躇している企業の間に、今後は知識・経験の点で大きな差が発生することが想定される。
 
今回はCIM時代に知っておくべきこととソフトウェアの活用をテーマとして、関連する企業はどのように準備していくかをソフトウェア側の視点から書いていく。
 
 
「オープンCADフォーマット評議会」と「Open CIM Forum」について
 
(社)オープンCADフォーマット評議会(以下、OCF)はCALS/EC以降のi-Construction、CIMや電子納品など、情報技術を活用した電子データの形式を標準化するための活動を行っている。
 
活動の具体的な内容は以下のとおり。
 
・「OCF検定」
会員ベンダーのソフトウェアにおけるSXFファイル(2次元図面)の互換性を認定している。
 
・「SXF技術者認定試験」
電子納品に携わる人にとって必要とされる、「1. 電子納品全般についての基礎知識」、 「2. 電子納品全般の正しい運用」、「3. 電子納品のためのCAD製図」、「4. OCF検定に関する知識」、「5. CIM・i-Constructionに関する基礎的知識」に関わる全般的な情報をまとめ(リファレンスマニュアル)、必要とされる基礎知識に対する能力を客観的に評価し検定するもので、これをもってSXF標準の普及とSXF技術者の利用能力の向上を図ることを目的としている。
 
 
「Open CIM Forum」について
 
OCFにはCIM活動を行う「Open CIM Forum 」がある。CIM・i-Construction関連動向の情報収集、3次元や属性を扱える既存データ形式の調査・検証等を継続しつつ、「CIM導入推進委員会」へも参加し、建設系ソフトウェアベンダーの立場から取り組んでいる。データ互換の取り組みとしては、国土技術政策総合研究所からのCIMにおけるLANDXML(後述)への対応と、buildingSmartJapan(後述、以下、bSJ)と協力してIFCの交換と具体的な実装活動に取り組んでいる。また、CIM 取り組み推進を目的として、毎年国内3会場にて「CIMセミナー」を開催、CIMの現状とソフトウェアの状況を参加者に説明している。
 
 

CIM時代のソフトウェア活用について

CIMにおいてはデータの3次元化が目的のような話を聞くことが多いが、国土交通省の「CIMの拡大方針」からも分かるとおり、3次元化は一つの手段であり、目的は生産性2割向上である。単なる3次元化ではなくCIMモデルを活用してこれまでの作業を効率化することが本来行うべき取り組みである。
 



 
 
これに伴いCIMへの取り組みには、生産性向上のためのツールとして活用するソフトウェアの選定が必要になる。
 
2017 年度のOpen CIM Forumの「CIMセミナー」ではCIMの各段階において生産性向上を支援するための内容とソフトウェアの紹介を行ってきた。今回はその一部をご紹介する。CIMセミナーでは「道路・河川・橋梁・トンネル」の各分野に対して説明を行ったが、ここでは道路を例として挙げている。
 
 
CIMにおいて道路モデル実現について
 
下の図を参考にしていただきたい。測量から維持管理までの流れの中で「画像・点群ソフトウェアの活用」「3D道路設計システムの活用」「出来形・LANDXML編集ソフトウェアの活用」「統合モデル」が必要になる。これらの作業を行っていくに当たって「現況地形における点群活用」や「3次元上での道路設計」、「構造物のIFC化」、「地形や基本設計データのLANDXML化」、「施工の納品成果としての出来形の面的管理」など、専用のソフトウェアの利用が必要になることは十分にご理解いただいていると考えているが、どのような取り組みを行っていくかについて迷われている方が多いのではないだろうか。自社内でどの作業を内製するのか、どの作業を外製化するのか、それぞれの作業のデータを社内においてどのようにデータ運用するか。そして、作業を実現するにはどのようなソフトウェアを購入する必要があるのかはやはり悩みどころだと考える。これらの資料はOpen CIM Forumのホームページ上でダウンロード可能なので是非ご確認いただきたい。
 



 
 

LANDXMLとIFCについて

2017年3月に公開されたCIMの運用に関する基準において、CIMの納品フォーマットは以下の通り規定されている。
 
線形モデル(LAMDXML)
土工モデル(LAMDXML)
地形モデル(LAMDXML)
構造物モデル(IFCとオリジナル)
地質モデル(オリジナル)
 
大文字で書かれているこのLANDXMLとIFCはどのようなものなのか。
 
 
LANDXMLについて
 
線形・土工・地形については大文字のLANDXMLとなっている。このLANDXMLは国土技術政策総合研究所にて規定されている「LandXML1.2に準じた三次元設計データ交換標準Ver1.1」を指している。CIMに取り組む際には必ず確認が必要である。LandXMLという一般的な記述方式と「LANDXML」は異なるものであるため、十分な理解と周知が必要になる。先述した通り、このLANDXMLに沿ったモデル作成には専用のソフトウェアが必要になる。対応ソフトウェアについてはOpen CIM Forumホームページ内の対応ソフトウェア一覧をご参照いただきたい。
 
 
「LandXML1.2 に準じた三次元設計データ交換標準」
 
国土交通省の道路事業、河川事業の設計および工事において、i-ConstructionやCIMで必要となる
交換すべき3次元設計データの形式を定めた仕様書
http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bunya/cals/des.html(国土技術政策総合研究所ホームページ)
 
「Open CIM Forum 国土交通省 国土技術政策総合研究所『LandXML1.2に準じた3 次元設計データ交換標準(案)』対応ソフトウェア一覧」
http://www.ocf.or.jp/cim/LandList.shtml
(Open CIM Forumホームページ)
 
 
IFCについて
 
構造物モデルについてはIFCの活用が明記されている。現在は構造物にのみ適用されているが、CIMと国際化の取り組みの中でIFCの活用範囲が広がっていくと思われるため、IFCとは何なのかについて十分に理解する必要がある。IFCについて書いてしまうとそれだけで今回の執筆が終わってしまうくら
い大きな話であるので、詳細はbSJのホームページ(http://www.building-smart.jp/wp/)を参照してほしい。
 
IFCは以下のように説明されている。
 
I(Industry):建設業界
F(Foundation):共有のプロジェクト・モデルの基礎
C(Classes):合意のもとに構築するための共通な言語としてのクラス
 
つまり、建設業界で活用されるデータを規定するための記載方法ということになる。CIMではこの記載方法を生産性向上のツールとすることが国土交通省の方針として進められている。
 
このIFCの策定や標準化活動を国際的に行う団体が「buildingSMART(以下、bSI)」であり、その日本支部が「一般社団法人buildingSMARTJapan」である。
 
CIMにおいては、モデルデータの記載方法をbSJが規定し、Open CIM Forumがソフトウェアにおいて実現していくという協力関係で進めている。
 
 
IFCの取り組みはダブルスタンダード
 
「IFCの取り組みはダブルスタンダード」という表現を読むと疑問を感じる方が多いと思われる。先ほどご紹介した通り、bSJのホームページの内容を学習していくと、IFCは国際標準であること、IFC内のモデルの規定には時間がかかることなどから、IFCの普及には時間がかかると捉える方が多いと思われる。この点はIFCを理解する上で少し注意が必要である。私としては、データの標準化という観点や最終的な到達点に違いはないが、今後の取り組みの順序や時間軸という点では「国際標準のIFC」と、「CIMのためのIFC」は分けた方が分かりやすいと考えている。
 
 

国際標準化のためのIFCの取り組み

国際的なモデルの標準化を視野に入れた取り組みであり、bSJとJACICが「国際土木委員会」を共同で設置し、国際対応を開始していく(2017 年12月時点)。
 
国際標準化については、トンネルや橋梁、鉄道、道路など他国を中心にすでにモデルの構築が進められている。学術的な取り組みだけでなく国家施策としての取り組みもあるため、bSIの動向を常に意識している必要がある。
 
 

CIMのためのIFCの取り組み

CIMにおける各工程間のモデル交換の定義として2017年3月に「土木モデルビュー定義」を作成した。IFCの形状の交換のための決め事を記載したもので、bSJとOpen CIM Forumが共同で取り組んでいる。
 
土木モデルビュー定義は、国際的な記述方法を定義していくものではなく、現行のIFCの記載方法を利用して、CIM構造物の形状モデルなどを複数のソフトウェアで交換するための、IFCの記載方法を記述している。CIMでは、土木モデルビュー定義から進めていくことが必要である。
 
下の図は土木モデルビュー定義を活用したデータ交換の例である。土木モデルビュー定義において座標系の取り扱いが定義されているため、橋梁上部工・下部工のモデル、国土地理院の地形データを取り込むだけで、重ね合わせを意識することなくデータの整合が保たれる。
 



 
CIM導入ガイドライン・CIM 事業における成果品作成の手引き対応ソフトウェア一覧
http://www.ocf.or.jp/cim/CimSoftList.shtml
 



 
 

2018年度に向けたOpen CIM Forumの取り組み

2017年3月に国土交通省より発表された「CIM導入ガイドライン」では、IFCのモデル交換において属性情報は外部参照ということになっている。オリジナルにおいては属性を直接付与してもよいことになっているが、IFCの納品が必要になることを考えた場合、現実的には属性情報は外部参照を利用した関連付けということになると考える。
 



 
Open CIM Forumとしては迅速にこの課題を解決するため、bSJと協力しソフトウェアの改良を行い、2017年12月時点で、属性情報の直接付与のために、外部参照と併せて、「文字列による各項目」・「フォルダ」・「URL」の交換を実現した。
 



 
 

土木モデルビュー定義の属性情報の直接付与が実現すること

2018 年度は地質・地盤モデルや3DAモデル(3Dアノテーションモデル)、積算モデルの取り組みが行われることは先述したとおりであるが、このような情報を各工程間で交換していくには、ソフトウェア側では3D形状と属性情報がひも付いた情報をして、エクスポート・インポートできる必要があるが、上記の対応により基礎部分の対応は準備できたと考えている。また、CIMにおいて各段階で追加された情報も次の工程に引き継がれることになる。
 



 
また、モデルと属性情報が一つのパッケージとして作成できることにより、建設分野において必要な重機や二次製品などの部品化が進み、部品データを配置するだけでモデルの形状が3次元空間に配置されるだけでなく、現場のデータに各部品の属性情報が配置されるため、拾いや積算、解析に活用できる。製品提供者による部品の提供による差別化などもビジネスモデルとして検討可能と思われる。
 
 

3次元モデルの活用




 
これまでCIMモデルについて話を進めてきたが、CIMの取り組みと3次元活用という話は分けて考えた方が良い。建設現場の本来の目的は生産性を上げることである。間違いによる手戻りをなくすこと、安全に作業を進めることなど3次元の活用により効果を発揮できる作業がある。ドローンによる写真点群、3次元レーザースキャナーと3次元モデルの活用により作業を進めている事例をご紹介したい。
 
既設の構造物については図面がない、もしくは図面が正しくない場合が少なくない。計画図面を基に作業を進めるわけであるが、想定した現況と実際の状況が異なっている場合、想定した作業を進められないことが考えられる。手戻りなく作業を進めるに当たり、関係者間での打合せを行うが、その際に点群と計画の3次元モデルを重ね合わせることで、事前に課題がないか確認して作業を進めている。
 
また、関係者間のデータ確認では、3次元モデルデータを2次元図面に変換するだけでなく、点群データもそのまま2次元図面として活用することで、データ活用のハードルを下げるだけでなく、関係会社のソフトウェア購入の負担も下げている。
 



 

画像提供:清水建設株式会社




 
3次元モデルと新技術の活用では、構造物(側溝)の3次元設計を行い、AR対応ヘッドマウントディスプレイ(HoloLens)用のデータとして活用。丁張レスで側溝の据付を行うなども進んでいる。
 



 

画像提供:株式会社 大林組




 
このように3次元の取り組みはCIMと分けて柔軟に取り組む必要がある。
 
今回はCIM時代のソフトウェアの活用をテーマとして、関連する企業はどのように準備していくかをソフトウェア側の視点から書いた。Open CIM Forumとしては2018年もCIMにおけるソフトウェアを利用した支援の取り組みを中心に活動していく。ホームページやCIMセミナーという場を通じて、皆さまに情報を薦めていくので是非ご参考にしていただければと考えている。
 
 

一般社団法人オープンCADフォーマット評議会 浅田 一央

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2018
特集1「i-Construction×CIM」



 



地方発! i-Construction×CIMチャレンジ事例 −ドローン事業部とICT土工と女性の活躍−

2018年7月23日

 

ドローン空撮事業部

今から4年ほど前、「ドローン」というワードが今のようにメジャーではなく、空撮ヘリなどと呼ばれていた頃、地方の土木工事を施工するわれわれは、現場全体の写真撮影に苦慮する事が多々あり、ラジコンヘリコプターを所有する外部の会社に写真撮影を依頼することがしばしばあった。
 
「これって、自分たちでできないか?」
 
ドローン空撮事業部が誕生するキッカケだったように思われる。
 

図-1 空撮事業部ビラ




 
 

i-Construction推進

建設現場の生産性向上として、国土交通省が推進しているi-Construction(ICT土工)は、実務として、自ら取り組んでいくことが自社の技術力向上と技術の蓄積として大事なことだと考える。
 
従来業務に加え、ICT関連業務がプラスされるため大変ではある。しかし、理解が進み慣れさえすれば、従来の管理方法と比較すると業務効率は確実に向上していると実感している(図-2)。
 

図-2 ICT対象土量算出。起工測量データと三次元設計データを重ねあわせて土量を算出




 
 

女性の活躍

弊社の空撮事業部には女性も在籍しており、i-Construction(ICT土工)現場で活躍中である。
 
現在、私が現場代理人を務める国土交通省 九州地方整備局 宮崎河川国道事務所発注の「宮崎10 号南横市地区改良(その5)工事」にて、ICT土工におけるUAV起工測量や、毎月の出来高計測(土量把握)、完成部の出来形計測、残土処理場のポケット土量の迅速把握と、強力な現場の戦力として第一線で活躍中である。まさにi-Construction推進と女性の活躍推進の両方を担っている存在である(図- 3、4)。
 

図-3 ドローン点検、笑顔の女性技術者二人




 

図-4 ICT横断幕




 
 

UAV起工測量および3次元設計データ

弊社では、前述のとおり空撮事業部があるためUAVを用いた起工測量を実施している。
 
使用機械は以下のとおり。
UAV:DJI社のInspire2
デジタルカメラ:ZENMUS X5S
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8
対空標識は、60cm四方のプラ板で製作し設置した。
 



 

図-5 対空標識、空撮の様子




 
UAVにて撮影した多くの画像をつなぎ合わせ、点群化処理を行うが、これは当現場に配属されたもう一人の女性技術者の担当で、画像解析・点群化ソフトを駆使し、点群データを作成しているところである。
 
次に3次元設計データ作成だが、自主制作は敷居が高いように感じるが、3DCADと思えば良いのではないかと考える。ただし、制作時間はそれなりにまとまった時間が必要となる。2次元の図面に表現されていない部分の3次元化が作業量増の要素である(図-6)。
 

図-6 点群データ




 
 

UAV計測の応用

今回の現場は、掘削予定土量がV=48500m3 あり、毎月の出来高進捗度を正確に把握するために毎月1回UAVによる出来高計測を行っている。
 
従来は、ダンプ運搬台数×1台当たりの積載土量で進捗度を把握していたが、UAVを使うことで地山土量を迅速に把握できるため業務効率が向上した。
 
その出来高算出方法は至ってシンプルで、当初と当月それぞれの地形データの差分を算出するのみである(図-7)
 

図-7 土量計測




 
 

3DCADによる完成イメージの共有

弊社では、5年ほど前から3DCADに取り組んでおり、工事受注後の設計図書の照査や工事中に発生する施工協議などの説明資料として活用している。
 
また、その他の活用の範囲は、現場見学会の説明資料、完成予想図、工法説明看板、道路規制の検討図など多岐にわたっている(図-8)。
 

図-8 3Dフロー図




 
 

取り組み感想と課題

昨年度より始まった「i-Construction」だが、実際に取り組んでみると、起工測量においても、3 〜 4人必要な従来の測量と比較して人数や日数を軽減でき、ICTバックホウによる掘削・法面整形もNO丁張が可能なレベルであるなど作業効率の向上が実感できた。
 
残土処理場の処理可能な概算土量の迅速把握などでは大きな成果があった。
 
今後の課題として
①UAV起工測量などで得られるデータ処理作業は、専用ソフト操作のため初めての人にとっては大変。
②ソフト面・ハード面とも導入費用が高価。
③出来形評価は、検証にデータ解析などで2日間ほどの時間を要する。
 すぐに出来形判定ができないので次工程(植生工など)に影響が出ることも考えられる。
④計測機器が雨天に弱い。
 
など、課題点がいくつか考えられるが、まだまだ始まったばかりである。今後の技術発展に期待しつつ新しい技術に今後も挑戦し続けていきたい。
 
 

旭建設株式会社 技術部 河野 義博

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2018
特集1「i-Construction×CIM」



 



地方発! i-Construction×CIM チャレンジ事例

2018年7月17日

 

はじめに

弊社は昭和59 年9月、中央アルプスと南アルプスを望む伊那谷の長野県飯田市で発注者支援業務を目的とした会社として創業しました。
 
その後34年間、地域のインフラと関わり続け現在では施工管理部門、測量・設計部門、そしてインフラインスペクション部門と3部門を柱に厳しい自然環境にあるこの地域のインフラにさまざまな形で関わらせていただいております。
 
 

M-CIM研究会への入会

M-CIM研究会代表で株式会社補修技術設計の中馬社長と初めてお会いしたのは、今から10年ほど前、知人からの紹介でした。当時からクラックイメージャーや赤外線カメラの活用を精力的に行っておられ、アイデアと行動力のある方だと感銘を受けた覚えがあります。
 
その後、弊社でも社会インフラの点検業務が大幅に増え、業務の効率化を図るため新たな技術の導入を検討する必要が出てきました。
 
そのような時、中馬社長より3D点群技術を活用されていることとM-CIM研究会での活動内容をお聞きし、M-CIM研究会へ入会することとしました。
 
 

3Dスキャナーの活用

3D点群モデルの活用技術も大変興味深い技術でしたが、それよりも従来通りの技術を使うことで業務の目的を達成することしか考えていなかった弊社には、新たな技術の導入を積極的に行い・活用し、さらに広めようとしているM-CIM研究会の会員の皆さんの姿勢には見習うことが多くありました。
 
現在ではM-CIM研究会で3D点群技術を習得し、完成図の整備されていない橋梁の台帳作成や補修設計等の図面作成に活用しています(図-1)。
 

図-1 3Dスキャナー




 
 

ドローンの活用

弊社では道路構造物、砂防構造物、河川構造物の点検業務を受託しており、その業務の実施に当たりドローン(UAV:Unmanned aerial vehicle)の活用を検討しました。
 
当地域は「暴れ天竜」と言われ多くの災害を起こしてきた天竜川と中央構造線や断層の影響により、土砂災害が発生しやすい地域であり、多くの砂防施設が建造されています。
 
多くの砂防構造物には管理用道路がなく、中には河川敷を徒歩で登って行かないとたどり着けない場所に建造されている施設もあります。
 
そのような砂防構造物を目視点検するためには、危険な箇所の通行も避けられず、ヒヤリとすることもありました。
 
そこで、昨年度より中部地方整備局天竜川上流河川事務所発注の「砂防施設・渓流状況点検業務」において、技術提案を行い下記の項目についてドローンの活用を始めました。
 
 
①ドローンを活用した座標・撮影角管理による定点写真撮影(図-2)
 

図-2 砂防堰堤(提供:天竜川上流河川事務所)




 
②接近が困難な場所や出水や地震時の緊急点検への活用
 
特に出水時や地震時の緊急点検については、点検時に安全確認を行いながら進むため、点検に時間を要してしまいます。しかし、ドローンを活用することで上空から安全確認などに必要な情報を素早く得ることができ点検がスムーズとなりました。
 
橋梁の点検や補修設計の事前調査では、ドローンで撮影したデジタル写真データを基に、3D点群モデルを作成し、橋梁付近の構造物や障害物となる架空線等とのクリアランスの計測等、橋梁の点検計画や補修設計時の資料として活用しています(図-3)。
 

図-3 ドローン3Dスキャナー




 
また、ドローンに搭載できる赤外線カメラを導入し、モルタル吹付法面等の大規模構造物の点検に活用しています(図- 4)。
 

図-4 吹付法面と赤外線画像




 
 

水中ドローンの活用

砂防構造物の点検では、砂防堰堤本体の根入れ部分や水叩き部・側壁等、構造物が水中にあるため正確な点検ができない箇所があります。
 
今までは
①渇水期を待って点検する
②水中カメラを竿のような物の先に取り付け、状態を確認する
 
等の方法で点検してきましたが、①の方法では見える範囲が少し増える程度の点検しかできず、常時水中にある箇所の点検はできません。②の方法では、水中でのカメラ操作が難しく、水流の激しい箇所では不明確でした。
 
その問題を解決するため、水中で自由に移動し、リアルタイムで水中構造物の状態を確認しながら直接撮影もできる、水中ドローンの導入を検討しました。
 
今年度他県の業務において、試験的に使用し、多くの成果を上げることができました。内陸部にある弊社にもかかわらず海洋関係の方からの問い合わせを頂くこともあり、今後の新たな活用が見え始めています(図- 5)。
 

図-5 水中ドローンと水中写真




 
 

おわりに

当地域でも点検する必要のあるインフラは膨大にあり、技術者不足も簡単には解決しない問題です。
 
M-CIM研究会の活動では、地方で精力的にアイデアと工夫を発揮されている会社から常に刺激を頂いております。
 
弊社で開発したレディーミクストコンクリート供試体の識別用シール「品質証明シール」(図-6)はNETISの事後評価実施済み技術(CB-130013-VE)に登録され、多くの現場で採用していただいております。
 

図-6 品質証明シール




 
弊社は、今後もアイデアと工夫と行動力をモットーに、地域の重要な社会基盤に関わり続けていきます。
 
 

技建開発株式会社 施工管理部 次長 田島 敦

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2018
特集1「i-Construction×CIM」



 



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