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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

積算ソフトの導入と効果

2015年6月30日

営業部長兼設計積算課長 岡崎 明男 氏

営業部長兼設計積算課長 岡崎 明男 氏


エルゴテック株式会社
所在地:東京都港区
資本金:9,200万円
従業員数:約130名
営業内容:空気調和、給排水、地域冷暖房、産業空調、
防災等の企画・設計・施工・メンテナンス業務、
環境対策・省エネ商品取り扱い
http://www2.ergotech.co.jp/
 
 
東京都港区に本社を構えるエルゴテック株式会社。
1927年の創業以来、空調衛生設備の設計施工を長く手がけてきた。
同社は2000年に設備専門の積算ソフトを導入し、
見積り業務の大幅な効率化に成功したという。
今回は、積算ソフトの導入と効果について話を伺った。
 
 
 

はじめに

弊社の創業は主として繊維産業用などの除湿から始まり、
以来80余年建築設備(空調衛生設備の設計施工)を主力事業にオフィスの就労環境、工場などの生産環境、
病院や食品関連の衛生環境、学校・ホテル・住居などの生活環境をより良いものとする会社として
質の高い社会資本の整備の一役を担ってまいりました。
弊社の企業理念であります「設備事業並びに周辺関連事業を通じて、
人と社会と環境のために貢献する企業を目指す」ということを体現することが、弊社の社会的責任であると認識して、
今後とも永続的に発展するよう努力する所存です。
 
 

運用状況

積算システム「PICK-UP」を導入したのは、2000年7月からになります。
これにより、紙の図面にスケールを当てて測っていた材料の拾い出し作業が、
デジタイザーという機器を利用することで、コンピューターへ自動的に入力されるようになりました。
 

拾い画面

拾い画面


 
さらに現在では、画面拾いシステム(ディスプレイに図面を表示してのマウス拾い)へのバージョンアップを行い、
さらなる作業の効率化に成功しています。
 
また、他部署との連携に対応した弊社独自の要求事項にもスムーズに対応していただき、
より使いやすいシステムとして活用しています。
 
 

効率化ポイント1

「拾い業務の効率化」

 

アイソメ図

アイソメ図


 
材料を選択し、画面上をクリックすることで数量を拾うことができ、拾った部分は用途ごとに自動で着色されます。
しかも、数量と図面上の着色部分は全て連動しているので、
拾い落し等のチェック、拾い作業の分担や引き継ぎ時には、その利便性と操作性の良さを痛感させられました。
また、マルチディスプレイ方式に対応しているので、図面と拾いデータを別々の画面に表示でき、
ストレスを感じることなく、非常に効率良く拾い業務を行えています。
 
 

効率化ポイント2

「図面、仕様等の変更時対応」

設計変更等でデータの修正・削除がある場合には、拾った軌跡を残したまま図面だけを差し替えることができます。
そのため、図面上で変更となった部分のみを修正することが簡単にできます。
また、間違って拾ってしまった場合でも、修正・削除が簡単にできるので、気軽に・軽快に拾い作業を行えます。
 
 

効率化ポイント3

「複数人での同時作業」

 

見積画面

見積画面


 
大規模な物件や、提出期間の短い物件では、複数人で同時に見積書を仕上げていくことができるので、
安心して見積業務を進められています。
 
また、「PICK-UP」を導入している外注業者に拾いを依頼すれば、
ボタン1つで見積書に変換することができる上、データをメールにてやり取りできるので、迅速な対応が可能です。
しかも、画面拾いに対応していれば、チェックや変更が自社でできます。
 
作業風景
 
 

効率化ポイント4

「見積書から一次実行予算の検討」

 

一次実行予算画面

一次実行予算画面


 
一次実行予算の検討は、見積書を見ながらExcelに手入力して行っていたため、手間と時間がかかっていました。
そこで、「PICK-UP」の見積書データを自社のExcel帳票に変換し、一次実行予算を検討できるシステムを作成していただきました。
既存の帳票を利用しているため、複雑な操作方法を覚える必要がなく、
一次実行予算の詳細な検討を、余計な労力をかけることなく行えるようになりました。
 
 

効率化ポイント5

「安心なサポート体制」

「PICK-UP」はもちろん、コンピューター全般に関する相談にも親身に対応していただいております。
さらに、建築設備の知識にも詳しい技術者が多く、設備に精通した運用ノウハウも相談に乗ってもらえるので、
安心して使用することができます。
 
 

最後に

当社を取り巻く経済環境は、現政権の積極的な経済政策によるアベノミクス効果、
2020年東京オリンピック開催に伴う関連施設建設計画、東北復興支援事業の本格化等、回復基調が続くものと考えられます。
一方受注環境は、職人不足や材料コストの上昇、消費税率引き上げ等の問題から、
受注競争は今後も厳しい状況が続くと予想され、当社を取り巻く環境は決して楽観視できる状況ではありません。
そんな中で、見積書作成システムの導入は、弊社の業務効率化に大きく貢献しています。
今後とも、(株)カンキョウエンジニアリングの技術進歩に期待し、
さらなるスムーズかつ画期的なシステム開発・運用を実現できればと考えています。
 
社内風景
 
 
 
 

この記事に登場した製品

建築設備積算システム「PICK-UP」
 
 
 
 
【この記事は…】
建設ITガイドWEB
建設ITガイドWEB「成功事例集」(2015年2月掲載記事)より転載しています
※掲載データや人物の肩書など、いずれも掲載当時のものです
 
 



みつもりランド8

2015年4月27日

 
みつもりランド8
 

概要

①作業効率をアップさせる使いやすい画面構成。
②材工分離、複合単価、混合積算に完全対応。
③材料検索を容易にした調査および抽出機能。
④単価作成、丸め、シミュレーション等の金額調整機能多数。
⑤豊富な見積書出力タイプと役立つ管理帳票。
⑥請求と回収履歴をサポート。
⑦PDF、CSV等の入出力機能装備。
⑧多様な材料データを複数用意。
⑨Windows 8対応
 
 
 

みつもりランド8

標準価格(税別):98,000円
 
(株)エヌアイエス
Tel.0997-54-1319
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2015
積算資料単価データベース他提携ソフト
建設ITガイド2015
 
 



見積工助

 
見積工助
 

概要

「見積工助」は、20年以上の実績を持つ給排水衛生・空調・電気設備向けの見積積算システム。
長年の実績に基づいた扱いやすい操作性と、きめ細かな設定データによる高度な自動積算(計算)を両立させている。
さまざまなケースに応じたデータや積算方法をあらかじめ登録しておくことで、物件入力時(見積書作成時)には、
容易に積算検討を行うことが可能。
 
 
 

見積工助

標準価格(税別):42,000円~(1年間の使用料)
 
(有)エスエスシー
Tel.0248-94-6033
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2015
積算資料単価データベース他提携ソフト
建設ITガイド2015
 
 



土木積算システム TechnosV2

 
土木積算システム TechnosV2
 

概要

積算本来の目的である積上げ処理における高い操作性、高速性はもちろんのこと、工事価格シミュレーション、実行単価算出、
電子設計書(Excel、PDF形式)取り込みなど、さまざまな機能を提供する。
さらには外部ソリューションとの連携により土木実務のための施工計画、工程管理、写真管理、出来形管理、
原価管理など土木建設業務全般を広く支援する。
 
 
 

土木積算システム TechnosV2

標準価格(税別):オープン
 
(株)テクノ
Tel.0596-35-0141
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2015
積算資料単価データベース他提携ソフト
建設ITガイド2015
 
 



実録!土木現場におけるタブレット活用《後編》

 

株式会社 大本組
浅賀 泰夫

 

iPadでCADデータを扱う

現場や発注者事務所などで打合せを行っていると、現場における平面的な距離を知りたい時がある。
iPadのアプリにもCADファイルを開くことのできるアプリが複数あるため、こんな時に便利に使うことができる(図-5)
 

図-5 CAD上で距離を測定

図-5 CAD上で距離を測定


 
当現場ではインテリジャパン社製のフリーアプリ「IJCAD」を使用している。
当社ではAutoCADが標準ソフトとして配布されているが、この「IJCAD」はAutoCADファイルと完全互換なので、
開くことも編集後に保存することもできる。
もちろんオートデスク社からもiPad用のアプリが用意されているが、アプリを比較し、動作と使用感から、導入アプリを決定した。
 
「IJCAD」でファイルを開く場合、残念ながら直接現場事務所のサーバーを見に行くことができないため、
前述したサーバーアクセスアプリを経由してファイルをダウンロードしてから「IJCAD」に受け渡して開いている。
一度開いたファイルはiPad本体に保存することも可能だ。
iPad用アプリでは、寸法採りはもちろん、簡易な編集機能も備えているうえ、3Dにも対応している。
 
 

3Dモデルを「Google Earth」に表示して、完成形をイメージ

最近は、3Dモデルを作成している現場も増えていることだろう。
3DモデルをiPadで表示することにより、もっと施工に役立たせることができる。
 
現場では、2D上の紙に書かれている複数の図面を頭の中でひとつに組み合わせていることは言うまでもないが、
人それぞれの頭で浮かべた3Dイメージは見ることもできないし、
複数人がイメージすれば、同じものでも異なってイメージしている場合もある。
そんな今までの現場でのわだかまりを払拭することが可能になるのが、3Dモデルである。
 
当現場では、まず3Dの完成モデルを座標や標高に従い作成した。
これにより、橋脚の形状や特徴、杭の形状や深さなど、複数の図面を見なければならなかったものが、
ひとつのモデルで全て確認することができるようになる。
橋脚を並べることにより、特徴を一目で紹介することもできる(図-6)
 

図-6 杭も含めた橋脚の3Dモデル

図-6 杭も含めた橋脚の3Dモデル


 
また、地図上にモデルを配置することで、よりリアルな完成形を確認することが可能だ。
現場が地盤情報の少ない地方なこともあり、今回はGoogle社から無料で提供されている「Google Earth」を使用して、
モデルを配置してみた(図-7)
 
図-7 「Google Earth」に配置した3Dモデル

図-7 「Google Earth」に配置した3Dモデル


 
既設の構造物(当現場では既設高速道路)との離隔が少ないことが一目で分かり、
施工ヤードを考えると、さまざまな問題点が見えてくる。
複数の人で問題点を話し合うときも、同じイメージで話をすることができ、
他人が取り上げた問題点もモデルと合わせると共通認識を時間かけずに持つことができる。
 
さらに、自分のいるところからの完成イメージを表示することが可能なため、AR(拡張現実)的な使い方をすることもできる(図-8)
 
図-8 高速道路走行車から見たモデル

図-8 高速道路走行車から見たモデル


 
「Google Earth」では、ARの機能がないため、手動での表示設定が必要だが、
AR機能を備えたアプリであれば、iPadのカメラで映し出された現実の映像の上に3Dモデルが重なり、
iPadの移動や向ける方向によって、完成イメージをよりリアルに確認することができる。
初めて現場を見る人には、図面などの設計図書を見ることなく、現場のイメージを瞬時に確認することができる。
もちろん新規入場者教育資料としても有効だ。
 
 

キーボードを利用して、その場で議事録を作成

iPadのスクリーンキーボードで文字を素早く入力するには限界があるが、外付けキーボードを使用することにより、
会議や打合せを行いながら、その場で議事録やメモを作成することが可能となる。
 

図-9 外付けキーボード

図-9 外付けキーボード


 
外付けキーボードには、私が購入したはめ込み式のスタンドの他、
スタンドが別になっているタイプなどさまざまなスタイルが販売されている。
本体とはBluetoothで接続され、バッテリーが内蔵されているタイプがほとんどなため、
接続ケーブルや電源コードなどが必要になることはない。
キーボードのバッテリーもmicroUSBケーブルで充電できるタイプが多く、
使用状況にもよるが、数日間の使用にも耐えられる。
 
さらに、iOS8 からは、別の日本語変換アプリを組み込むことが可能となったため、
日本語変換で有名なATOKを導入することにより、ストレスのない日本語入力が可能となった。
 
 

現場で使いやすいスタイル

 

図-10 iPadの破損

図-10 iPadの破損


 
今までアプリの話をしてきたが、過酷な建設現場で使用するには、やはりカバーの利用が不可欠だろう。
iPad用のカバーも無数に登場しているが、現場に出て何度も使うことがあるなら、太めの肩ひもがついて、
背中に回せられるタイプが便利だ。
使用するときに背中から回して、そのまま開くことができる。
 
ここでは、大成建設が開発した「Field Pad オリジナルiPadケース」を写真に挙げているが、
同様な対応は他社からも発売されているので、好みに合ったものを選ぶとよい(図-11)
 
図-11 使いたいときに回せて便利なiPadケース

図-11 使いたいときに回せて便利なiPadケース


 
5,000円程度から1万円ちょっとといったところが相場となっている。
他では、LIFEPROOF社の「iPad Air frēCase」を使用している。
このタイプは、ガラス面にビニールシートが来ないため、閲覧性や操作性に優れている。
ガラス面の脇に密着することで防水性を保っているため、ガラス保護シートを貼り付けると、防水性に問題が生じる(図-12)
 
図-12 液晶面が露出される防水ケース

図-12 液晶面が露出される防水ケース


 
現場でも使用するが、現場事務所や発注者事務所などでの利用が多い場合は、Apple社純正のカバーなどスマートなものでもよい。
私の場合、防水のワンショルダーバッグにiPadをしまい、必要な時にだけ取り出して使用している(図-13)
現場での使用頻度を見ながらケースを変えていこうと思っている。
 
図-13 ワンショルダーバッグに収納したiPad

図-13 ワンショルダーバッグに収納したiPad


 
現場での操作にはタッチペンがあると意外と便利に利用できる。
最近ではスマートデバイスを操作することができる手袋や軍手が登場しているが、
タッチペンを使用した方が確実な操作を行うことができる。
タッチペンにもさまざまなものが登場しているが、大事に使うことができるなら、3000円から1万円弱と少し高価だが、
静電発生機能付きのタイプが、ペン先が細く、軽いタッチで操作することができるので、おすすめだ。
 
図-14 静電発生機能付きタッチペン

図-14 静電発生機能付きタッチペン


 
 

最後に

土木現場の場合、建築現場のように同じスタイルでの作業ステップが少ないため、
専用のアプリを導入することが難しいと感じている。
ExcelやPDFの調書に赤書きするアプリやPDF図面を素早く見ることができるアプリ程度なら共有できるが、
配筋検査や仕上検査アプリなどは残念ながら共用することができない。
分厚い書類や図面などを持ち運ばずに済むだけでもメリットはあるが、
端末の活用によって現場での施工管理がもっと省力化されるべきであると考えている。
今の業務スタイスに固執することなく、使用するハードウェアに合わせて、
業務のスタイルを変えていくことも考慮する必要があると考えている。
 
 
 

実録!土木現場におけるタブレット活用《前編》
実録!土木現場におけるタブレット活用《後編》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2015
特集3「建設ITの最新動向」
建設ITガイド 2015
 
 



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