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復興計画の3Dモデル活用が広がる岩手県大槌町

2014年3月26日

センター長と主任講師

センター長 黒瀬 左千夫 氏(右)
主任講師 榊原 健二 氏(左)


岩手県大槌町 いわてデジタルエンジニア育成センター(いわてDEセンター)
所在地:岩手県上閉伊郡大槌町
事業主体:岩手県、北上市、北上職業訓練協会
所在地:岩手県北上市
http://www.iwate-de.jp/
 
 
東日本大震災で被災した岩手県大槌町では、2011年末に東日本大震災津波復興計画基本計画(以下、復興計画)を策定。
これを受け、いわてデジタルエンジニア育成センター(以下、いわてDEセンター)では大槌町を支援するため、復興計画をオートデスクの土木インフラ設計ソフト「AutodeskInfraWorks」で3Dモデル化した。
この3Dモデルは復興計画の内容が分かりやすいため、住民説明会の他、動画化して町役場のモニターでの上映や、
拡張現実感(AR)を使って災害復興公営住宅の建設予定地で完成イメージの確認など、幅広く活用されている。
 
 

Autodesk InfraWorksで復興計画を3D化

東日本大震災で、町の中心部が壊滅的な被害を受けた大槌町では、2012年12月に「大槌町東日本大震災津波復興計画」を策定した。
これを受けて、いわてDEセンターの黒瀬左千夫センター長と主任講師の榊原健二氏は、
この復興計画をオートデスクの土木インフラ設計ソフト「AutodeskInfraWorks」(以下、InfraWorks)を使って
3Dモデル化する支援を行ってきた。
 
InfraWorksは、さまざまな形式のデータを読み込んで1つの3Dモデルに統合する土木インフラ用の3次元設計ソフトだ。
陸地や海、河川などの3 次元地形をGoogleEarthやGIS(地理情報システム)、衛星写真などのデータで読み込み、
その上に防潮堤や造成地、道路、鉄道、そして上下水道やガス管などの土木インフラや建物の3DモデルやBIMモデルをインポートし、
復興計画案を1つの3Dモデルにまとめることができるのだ。
 
InfraWorksは複数の計画案を切り替えて表示できる他、さまざまな視点や角度からの計画案の検証、
3D空間の中を動き回って見るウォークスルーも行える。
平面図や断面図などの平面的な情報では、土木・建築の専門家以外の人は実物をイメージしにくいが、
こうした3Dモデルだと、誰もが理解しやすい。
 

Infraworksで3D化された大槌町の復興イメージ

Infraworksで3D化された大槌町の復興イメージ


 
 

3Dモデルにお年寄りが身を乗り出した住民説明会

大槌町では、AutodeskInfraWorksで作成した復興計画の3Dモデルを、幅広く活用している。
まずは、震災から1年も経たない2012年1月16日に、大槌町の碇川豊町長や職員の前で行われたプレゼンテーションだ。
いわてDEセンターの黒瀬センター長と榊原氏は、スクリーンに防潮堤や新市街地などのリアルな3Dモデルを映し出し、
復興計画を地上や上空などさまざまな角度から見られることを説明した。
3Dモデルを復興計画コンセプトの確認や、複数のプロジェクト案の検討、合意形成などに使えることを大槌町に提案するためだった。
 
このプレゼンを見た碇川町長は「復興計画の内容がとても分かりやすかった」と語り、
復興計画で3Dモデルを活用していく方針を明らかにした。
 
そして同年3月に開催された復興計画の住民説明会では、初めて地域住民に、3Dモデルを基に作られたムービーが公開された。
 

「大槌町では全家屋の約6割が被災した。その復興計画を3Dで見せると、住民はスクリーンにくぎ付けになった。
 『うちの家はどこだ』と身を乗り出して探すお年寄りの姿も見られた」

 
と、大槌町復興局復興推進室主事の松橋史人氏は振り返る。
 

復興計画の住民説明会 3Dモデルが映しだされたスクリーンを熱心に見る住民

復興計画の住民説明会 3Dモデルが映しだされたスクリーンを熱心に見る住民


 
翌4月には、大槌町はホームページにこれらのムービーを掲載・公開した。
また、大槌町には岩手県他、さまざまな自治体から1カ月~1年程度の期間、派遣職員が応援に来る。
その研修会で行われる復興計画の説明にも、これらのムービーを活用している。
 
 

最新情報を反映し、すぐに情報共有できる

復興が徐々に進み始めると公営住宅や道路の建設計画なども具体化してくる。
大槌町では3カ月に1回のペースで復興計画の図面を更新している。
いわてDEセンターもそのたびに3Dモデルを更新している。
そのため、約1年後の3Dモデルは、当初のものよりも街並みがよりリアルになった。
 
岩手県沿岸広域振興局経営企画部復興推進課課長の菊池学氏は
 

「模型だと作ったり、修正したりするのに時間がかかる。その点、3Dモデルはすぐに更新し、まちづくりのイメージを共有できる」
 
と当時を振り返る。
 
「高さ14.6メートルという高い防潮堤の整備計画もある。
 岩手県内でもこんなに高い防潮堤はほとんどないので、実感が湧かない。
 その点、3Dモデルは市街地から海や防潮堤がどのように見えるかや、近くで見たときに圧迫感などがよく分かるというメリットがあった」
(菊池氏)。
 
大槌町では復興計画の作成に当たり、地域住民とともに作るという考え方を持っている。
これまでのように図面や地図だけによって復興計画の説明を行うと、
住民には分かりにくく、ともすれば町や企業だけで復興計画づくりが進んでいると感じる人も出てきやすい。
その点、復興計画の内容を3Dモデル化し、誰もが分かりやすいようにすることで、
町と住民との間で認識を同じにし、意見のキャッチボールを行いながら計画を進められる。
住民説明会でも、3Dモデルのムービーを上映すると、それまで硬い表情を見せていた住民も、和やかな雰囲気になったという。
 

地域整備部(現・復興局)にある公営住宅の情報提供コーナー

地域整備部(現・復興局)にある公営住宅の情報提供コーナーではノートパソコンでムービーを上映している


 
 

職員自身が使える3Dツールに

「InfraWorksから書き出した3Dモデルをパソコンに入れて、行政関係者や議員などの現地視察で使ったことがある。
 使い方は5~10分程度、いわてDEセンターに教えてもらっただけで、すぐにマスターできた。それほど難しいとは感じない」

と松橋氏は言う。
 
InfraWorksで作成した復興計画などの3DモデルとiPad、そしてInfraWorksforMobileがあれば、
町の職員自身がiPadを現場で操作し、ARによる復興計画の説明などに活用できそうだ。
1つの3Dモデルを作ることで、必要に応じて場所や視点を変えることで、活用の場面は大きく広がることになる。
 

iPad上で復興計画の3Dモデルをウォークスルー

iPad上で復興計画の3Dモデルをウォークスルーする大槌町地域整備部 管理用地課の伊藤聡氏


 
公営住宅の建設予定地で行った完成イメージの確認。

公営住宅の建設予定地で行った完成イメージの確認。
現場には何も建っていないが、iPadを通して見ると、まるで完成後の公営住宅がそこに建っているかのように感じられる。


 
津波で壊滅的な被害を受けた市街地

津波で壊滅的な被害を受けた市街地にはプレハブ事務所も建ち始め、復興が着々と進み始めている


 
 
 

この記事に登場した製品

AutoCADⓇ Civil 3DⓇ
AutodeskⓇ InfraWorks
 
 
 
 
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建設ITガイドWEB
建設ITガイドWEB「成功事例集」(2014年2月掲載記事)より転載しています
※掲載データや人物の肩書など、いずれも掲載当時のものです
 
 



全てをカバーするワンストップBIMツール

藤岡 郁 氏

藤岡 郁 氏


藤岡郁建築設計事務所
所在地:横浜市都筑区
設立:1991年
http://www.k-fujioka.com/
 
 
横浜で建築設計事務所を主宰する藤岡郁氏。
ゼネコン、建築設計事務所を経て1991年に独立、
藤岡郁建築設計事務所を設立した。
東京、神奈川、千葉を中心に個人宅、共同住宅、商業施設の新築、
リフォームを数多く手がける。
早くからCADによる3D設計を取り入れ、施主との打ち合わせ、きめ細かい設計、
的確な監理を実践している。
 
 

Vectorworksとの出会い

大学時代はもちろん、ゼネコン就職後も設計事務所勤務時代も基本的には手描きだった。
平面図からパースまで全てが手描きで、図面の修正も楽ではなく、常に時間に追われていた記憶がある。
独立して今の設計事務所を立ち上げた時も、当初は手描きで図面を作成していた。
 
ちょうどその頃、雑誌でVectorworks(当時MiniCAD)の存在を知った。
手描きの延長で図面を描けそうに感じ、PowerMac7300を導入した。
また、MiniCADは当時から3Dモデリングが可能であり、これまで取り組んだことのなかった3次元にも興味があった。
 
 

CAD導入当時の使い方

実は、Vectorworksを導入した当初から3Dモデリングを活用していた。
ただ、BIMのような使い方ではなく、主にパース作成用として3Dモデルを作成していた。
図面は2D機能を使っていたため、3Dモデルと図面はリンクしていなかった。
 
3Dモデルを作成すれば、あらゆるビューで検討でき、自分の思い描いていることをモニター上で確認できる。
基本的にモデルを作り込んでいくタイプであり、3Dモデルをもっと効率的に活用したいという気持ちはこの頃から持っていた。
 
 

BIMへ近づくワークフロー

以前設計した海辺の住宅のリフォームを計画する際、新築の時に作り込んだ3Dデータがあった。
このプロジェクトでは躯体データを流用し、インテリアの什器レベルまでVectorworksで再現、
さまざまなパターンをモデル上で検討していった。
 
3Dで作り込んでいくと、クライアントとの打ち合せにも有効で、
キッチンテーブルの高さなど、内観パースと併せて検討していくことができるようになった。
 
当時のVectorworksには、モデルを切断し、切断面を2D図形として抽出する機能があり、
このプロジェクトからこの機能を使い始めた。
あらゆる3Dオブジェクトを切断してくれるため、図面作成の効率化が高まった。
 
この頃は、モデルと図面がリンクしておらず、オブジェクトの情報も集計できないことから、
まだBIMと呼ぶレベルにまでは達していなかった。
 

  • 室内空間(内観パース)

    室内空間(内観パース)

  • 室内空間(完成写真)

    室内空間(完成写真)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Architectの導入

大きな転機が訪れたのがバージョン2011の時である。
RenderworksのエンジンがCINEMA 4Dになったので、パース品質向上と作成時間の短縮を求めてバージョンアップした。
併せて、BIMを活用しようという気持ちが大きくなり、BIM機能が搭載されたArchitectにグレードを上げた。
 
これまで汎用モデリング機能であったものを、Architectに搭載されている壁ツールやスラブツールで活用し始めた。
これらのツールは実際の壁やスラブと同様に、構成要素を持たせることができ、
躯体から断熱材や仕上げまでを一つのオブジェクトとして作成できるメリットがある。
 
また、BIMとして必須なモデルと図面をリンクさせるビューポート、断面ビューポートが充実し、
今までの願いであった「3Dモデルの有効活用」を実現することができた。
 
先に書いた通り、自分はモデルを作り込むタイプであり、2D図面を描いていくのは楽しくない。
結局、図面を描くことが目的となってしまい、設計ではなく製図をしている感覚にとらわれてしまう。
 
Vectorworks Architectを使うと、3Dモデルで検討しながら、目的とする建築を追い求めることができる。
建築ツールや汎用ツールを使って意図する空間を組み立てることができるため、設計に没頭することを可能にしてくれた。
さらに、これまでの2D機能を併せ持つため、
断面ビューポートで取り出した図面に寸法や注釈を記入していく作業もスムーズに行うことができる。
 
ここに、汎用CADから出発したBIMツールの強みがあるのではないかと感じている。
 
 

プラグインの活用

設計業務においてはVectorworksのプラグインも活用している。
日影計算「A&A SHADOW」や天空率計算「A&A天空定規」で、集団規定を考慮した設計を進めている。
 
物件によっては、
建物を10mm単位で動かしながら日影計算や天空計算を何十回も繰り返し最大ボリュームの確保の検討を行うケースも多い。
検討をしながら計算を繰り返すことができるのは、
Vectorworksのインターフェースの良さと、シームレスに動作するプラグインの存在が大きいと思う。
 
また、竣工イメージを作る時には「CameraMatch」を活用している。
現況写真を背景に、作成したモデルを簡単に重ね合わせることができるため、クライアントにイメージを伝えやすい。
 
 

最近のプロジェクトについて

現在進めているプロジェクトは集合住宅で、ここでもArchitectの機能をフルに活用している。
 
建築ツールや汎用ツールを駆使し、全ての要素をモデリングしているため、必要な図面や情報をいつでも取り出せる。
例えば、断面図については断面ビューポートで取り出した後、必要な寸法を入力するだけで確認申請に使える図面を作成できる。
平面図や展開図も各種ビューポートを使いモデルとリンクさせているため、
設計変更があればモデルを調整するだけでアップデートできる。
 
このプロジェクトに必要なものが、全て3Dで存在している。
そして、出力に必要なものはシートレイヤにまとめられているため、いつでもPDFや紙に出力できる。
 
思い描いていた理想を実現できた。
 

  • 図面
  • 図面
  • 図面

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

今後について

意匠設計ではBIM化を進めることができた。
ただ、関係業者とのやり取りはJW-CADの形式で出さなければいけない。
せっかく3Dを活用しても、2Dのファイル形式で取り出す時に手間や問題が発生してしまう。
より多くの分野でBIM化が進めば、今よりずっと楽になるのだろう。
 
最初から3Dで考えると自分自身の中でクリアになる。
建築的な納まりなどの細かいところを確認できるため、現場がスムーズになる。
各分野がBIM化してもらえれば、本当の意味でのBIMのメリットを享受できるのではないだろうか。
 
今後について 
 
 

この記事に登場した製品

Vectorworks Architect 2014
 
 
 
 
【この記事は…】
建設ITガイドWEB
建設ITガイドWEB「成功事例集」(2014年2月掲載記事)より転載しています
※掲載データや人物の肩書など、いずれも掲載当時のものです
 
 



小規模設計事務所のBIMチャレンジ奮闘記

専務取締役 横松 邦明 氏

専務取締役 横松 邦明 氏


株式会社 横松建築設計事務所
所在地:栃木県宇都宮市、東京都渋谷区
創業:1981年10月
従業員数:6名
主な業務内容:建築設計・監理、建物の耐震診断、建物のリフォーム・リノベーション等
http://www.yokomatsu.info/
 
 
小規模ながらいち早くBIMの導入に成功した株式会社 横松建築設計事務所。
専務取締役の横松氏は、操作は比較的スムーズに覚えられたが、
使っていくうちに「BIMツールだけでは何でも自動的にできるわけではない」
と気付いたと言う。
自己流でBIMを学び、スタッフ教育も模索の毎日。
しかし、自ら習得していったノウハウの蓄積が、設計のスピードアップ化、
プレゼンクオリティの向上、そして受注増などBIMによる目に見える成果につながった。
 
 

ArchiCADを選んだ理由

BIMについて知ったのは、約5年前に見たインターネットの記事でした。
 
最初に受けた印象は、平面をいじると自動的に立面図ができ、さらに建具表、仕上げげ表、面積表も連動して、
非常に仕事が楽になるな、ということでした。
 
早速、他社の3DCADの体験版をダウンロードして、仕事の合間や夜中にひたすら練習し、一通り操作を覚えました。
その後、真剣に購入を考え初めた時に、他の3DCADソフトも試してみようと思い、
ここで 初めてArchiCADの体験版をダウンロードしました。
 
他社の3DCADをかなり練習していたのでArchiCADはそれほど苦労することなく、すんなり操作できるようになりました。
 
検討した結果、結局ArchiCADに決めたのですが、選んだ理由としては、
操作性の良さ、インターフェイスの分わかりやすさ、設備メーカーがGDLのパーツを配っていたことで将来性を感じたことです。
 
購入してさらに使い込むうちに、決して、何でも自動的にでき、全てが連動するほど簡単ではないことに気付き、
本当にこのソフトで実施設計図の作成が自由にできるようになるのかと、途方に暮れそうになったこともありました。
しかし、諦めるわけにはいかないので、一つ一つ実施設計図作成が困難になる部分を洗い出し、
マニュアルを読んだり、ネット検索したりしながら自分なりに方法を模索しました。
 
最初
 
ArchiCADとしては変則的な方法で解決したり、
バージョンアップによりいつの間にか解決していたりと、問題は少しずつ少なくなっていきました。
 
そしてそのうちに、実施設計図一式をArchiCADで作成できるようになりましたが、また次の課題が出てきました。
 
それは、小規模な建築であれば一人で実施設計モデリングもこなせるが、
建築物がある程度以上の規模を超えると、実施設計モデリングが、恐らく非常に大変であろう、ということでした。
 
そこで、ArchiCADのチームワーク機能をうまく活用するべく、スタッフを雇用し、一からArchiCADを教えました。
やがて彼も、一通り実施設計図をモデリングできるようになりましたが、その頃にはさらに次の問題点が出てきました。
 
それは、多数にわたるArchiCADの属性設定や、モデリングのルールについてでした。
例えば各々がレイヤーを好き勝手に作ってモデリングを進めると、
その後モデルをカットして図面化する時に管理が煩雑になり、編集することが困難になってしまいます。
 
そこでスタッフと相談しながら、
属性設定をなるべくシンプルにすることや、モデリングの方法もなるべく統一することで解決を図りました。
 
ここまでの流れの中である程度のノウハウが構築されたので、
3人目のArchiCADメンバーの教育は非常にスムーズにすることができました。
 
チームワーク機能使用(店舗)
チームワーク機能使用(店舗)
 
 

ArchiCADによる効果

これまでは、まず2Dにて平面の検討を行い、立面、パースにて確認、その後平面の調整…と繰り返していましたが、
ArchiCADを使用してからは、3Dモデルを作成して、それがそのまま2D図に切り出せるので、
検討・確認・調整が非常に素早く容易になり、
最初に依頼があってからプレゼンテーションまでの時間がかなり短縮されるようになりました。
その結果、以前より多い案件をこなせるようになりました。
 
また、施主はもちろんのこと、さまざまな工事関係者とのコミュニケーションが格段に良くなりました。
 
設計初期プレゼンテーションの時点でも、パースでなく3Dモデルによる説明が可能なため、
(2次元的な間取りでなく)空間として施主に説明することができるようになり、
プレゼンテーションにおけるインパクトやその効果を実感しています。
 
実施設計時にも、モデルを見せながらイメージを共有しつつ詳細を詰められるので、
施主と設計者の目的地のズレが解消されたことを感じます。
 
また、実施設計作業をする社内スタッフとの連携についても、
初期プレゼンテーションの時点で、建物の高さ、開口部のサイズ、仕上げ等をある程度詰めており、
そのデータを元に実施設計モデルとなるように肉付けしていくため、
設計者間の意識の共有という点において非常に有効だと思います。
 
工事監理時には実施設計で作成した詳細なモデルを用い、外壁や内装の仕上げ選定はもちろん、
家具の棚板の変更、敷地の勾配の調整等さまざまなことを視覚化して施主、施工者との打ち合わせに役立てています。
 
後々は現場監理で調整した竣工モデルが建物の維持管理、増築、改築などにも非常に有効になると思います。
 
住宅
 
 

苦い経験も糧に

ArchiCADを実施設計に導入した初期(当時はVer.13)、某マンションデベロッパーの下請けでマンションを設計した際に、
実施設計図一式をArchiCADにてモデリングしました。
それまではDRACADにてデー タ納品を行っていたのですが
その際はArchiCADのレイアウトブックデータをJWCADデータに変換し納品しました。
 
紙ベースとPDFは問題なかったのですが、
当時は壁等の包絡が上手くできていない部分については上から白い線をなぞって修正していたので、
その部分が他CADでは色のついた線となってしまい、CADデータとして非常に精度の悪いものになってしまいました。
その結果、何日も徹夜をしてJWCADを使って変換データを修正するという事態になりました。
 
今までArchiCADを使用していて一番きつかった経験はこれです。
 
しかし最近では、大部分の案件の最初のプレゼンから工事完了まで、
ArchiCADの3Dを、施主、建設会社、その他関係者との意思の疎通に利用するので、
各々の理解が早く、非常に作業がスムーズになり、あの苦い経験も決して無駄ではなかったことを実感しています。
 
施工中
 
 

ArchiCADに望むこと

ほぼ満足していますが、強いて今後の希望を挙げるとすれば、
サッシの詳細を既製品メーカーの納まりに合わせられるようにして欲しいです
(現在、サッシ納まりは別図参照として2D図面で対応しています)。
キッチン、窓などのメーカー物で2D、3D対応のものが配られると非常に楽になりますね
(現在3D部分は、自分でモルフツールにてモデリングして対応しています)。
 
作業中
 
 
 

この記事に登場した製品

ArchiCAD
 
 
 
 
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建設ITガイドWEB「成功事例集」(2014年2月掲載記事)より転載しています
※掲載データや人物の肩書など、いずれも掲載当時のものです
 
 



施工現場における3次元レーザー計測および3次元モデリング実例

主査 金子 究 氏

首都圏事業部 技術五部 技術一課
主査 金子 究 氏


新菱冷熱工業株式会社
所在地:東京都新宿区
設立:1956年2月
資本金:35億円
従業員数:1955名
http://www.shinryo.com/
 
 
空調・衛生を中心とした建設設備の施工を手がける新菱冷熱工業株式会社。
施工情報にいち早くBIMや3次元モデルを取り入れてきたが、
最近ではレーザースキャナを活用した3次元レーザー計測による高精度な3次元モデルを作成し、
さらなる生産性向上を実現している。
今回は、3次元レーザー計測と3次元設備CADの活用により、
施工期間の大幅な圧縮に成功した事例を紹介していただいた。
 
 

プロジェクト概要

本プロジェクトは、地下2階、地上10階、延べ床面積約70,000㎡の商業施設の売場エリアを約5ヶ月でリニューアルするものであった。
弊社は空調・衛生工事を担当し自社3次元CAD(※)で施工検討を行った。
本建物の1階、フロア面積約5,000㎡でレーザー計測を実施した。
※自社CADは、デザインドラフトをカスタマイズしたCADである
 
 

3次元レーザー計測導入経緯

非常に短工期のリニューアル工事を完成させるために、より一層の効率化が必要であった。
その手法の一つとして、今回「3次元レーザー計測」の導入に至った。
私自身、リニューアル工事を長年担当してきたこともあり3次元レーザー計測について興味があった。
私自身として初の現場導入となるが、この機会に検証し、今後の現場運用に活用できればと考え導入を決めた。 
 

本工事が抱えていた課題への対応

本工事は、工期約5ヶ月で全体の9割強に当たるリニューアル工事を完成していなければならず、
相当な負荷がかかることが施工検討段階で予測できていた。
今回計測した1階は、現場調査を行う上で2つの課題があった。
1つ目は1階が資材の搬入・搬出口として使用されること、2つ目は天井内ダクトなどの計測に高所作業を要することであった。
短工期かつ上記課題解決のため、レーザー計測を実施することを決めた。
 
1階の不要設備を撤去後、3次元レーザー計測器を設置し夜間工事が開始されるまでの数時間をレーザー計測作業に充てた。
その結果、雑然とした環境下での煩雑な作業を回避することができ、手作業による実測よりも安全かつ短時間で現場調査が行えた。
さらに、3次元レーザー計測はリニューアル工事が潜在的に抱える課題
「現状の把握と図面化にかかる膨大な時間」の短縮に寄与した(図-1)。
 

図-1 現状把握と図面化作成時間-従来との比較

図-1 現状把握と図面化作成時間-従来との比較


 
 

レーザー計測からの図面作成について

レーザー計測作業は自社の専任部署に依頼、現場担当者1名立ち合いで実施した。
計測範囲は1階のフロア全体、対象物は、再利用資源である躯体(柱、梁)と天井内の既設ダクト、スプリンクラー配管であった。
レーザー計測器を現場に設置してから約6時間、2名で計測作業が完了した。
通常、人の手で実測する場合、基準墨とレベル墨を作成し採寸作業を開始するが、
レーザー計測では、計測エリア内の適切な場所にターゲットと呼ばれる治具を設置し、複数箇所から計測する。
当現場では約60箇所の計測を行った(図-2)
 

図-2 レーザー計測器と治具の設置イメージ

図-2 レーザー計測器と治具の設置イメージ


 
計測後、計測データを合成し、ビューワーソフトやCADで表示できる形式の3次元点群データに変換した(図-3)。
 
図-3 3次元点群データを自社CADで表示

図-3 3次元点群データを自社CADで表示


 
3次元点群データの読込みに対応している自社CADで、
各既存資材のサイズを計測し、属性付3次元部材を3次元点群データに重ねて配置した(図-4)。
自社CADの干渉チェック機能で、迅速な新設・既設設備の取り合い検討・調整をするために、
取り合い検討が厳しくなる箇所に絞って3次元モデルを作成した。
 
図-4 点群データから柱と梁を3次元モデリング

図-4 点群データから柱と梁を3次元モデリング


 
図面化作業は、2名で約6日間の作業であった。
取り合いに影響が少ない場所は、自社CAD上で3次元点群データをそのまま表示させ3次元モデルと重ね、目視で確認した。
 
3次元モデルの作成がひと通り完了したところで、通り芯を加え最新図面とした。
 
レーザー計測した動かしようのない実物から作成しているため、
正確な位置情報として取り扱え施工検討に有効利用できると実感した(図-5)。
 
図-5 既存設備まで3次元モデリング

図-5 既存設備まで3次元モデリング


 
従来の方法では、同じ日数を現場調査に費やすことになり図面作成まで至っていない。
建設当時の竣工図や施工図が、全く存在しない場合でも、
3次元レーザー計測から3次元モデル作成までを、一貫して自社CADで行えることが実証され、
3次元レーザー計測の現場導入は生産性向上ツールであると確信できた(図-6)。
 
図-6 既設と新規設備の3次元モデリング

図-6 既設と新規設備の3次元モデリング


 
 

まとめ

最後に3次元レーザー計測について、次の3点をまとめとする。
 
①現場調査が迅速かつ安全に行える
②現状建物の図面作成時間を短縮できる
③自社CADで点群データと3次元モデル
 
を一緒に取り扱える
全体工程を圧迫する現状図面の作成作業は、大型物件である程、その割合が高くなり、
このような物件こそ3次元レーザー計測の費用対効果が高いと感じている。
新技術を現場導入するには予測できないリスクを抱えることにもなり、手が出しにくいのが本音であったが、
今回のように新技術の価値を実感できたことで、
今後も現場の作業効率につながる技術の導入・活用に取り組んでゆく所存である。
 
 
 

この記事に登場した製品

デザインドラフト
 
 
 
 
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建設ITガイドWEB「成功事例集」(2014年2月掲載記事)より転載しています
※掲載データや人物の肩書など、いずれも掲載当時のものです
 
 



「Rebro(レブロ)」を駆使し、大林組のフルBIMプロジェクトをサポート

横山氏、楯氏、小野氏

東京支社 工事部 生産設計担当
グループ長 横山 雅之 氏(左)
楯 いく江 氏(中)
小野 葵 氏(右)


オーク設備工業株式会社
所在地:東京都中央区
設立:1963年11月
資本金:3億円
従業員数:258名(2013年11月現在)
事業内容:空気調和、冷暖房、恒温恒湿、冷凍・冷蔵、クリーンルーム、
     プラント等の設備工事に関する設計、監理、工事他
http://www.oaksetsubi.co.jp/
 
 
2013年4月、かつて東京・表参道の象徴といわれた「ハナエ・モリビル」が
「oak omotesando(オーク表参道)」として新たに生まれ変わった。
スーパーゼネコン大林組が初めて設計施工一貫でBIMを活用したフルBIM物件
として、大きな注目を集めた本プロジェクトに、
設備分野で参加したのがオーク設備工業である。
設備業界でいち早く3次元化を推進してきた同社は、
建築設備専用3次元CAD「レブロ」を駆使して大きな成果を挙げた。
その同社の取り組みについて、
生産設計を担当する横山氏ら3名に話を伺った。
 
 

大林組のフルBIMプロジェクトに参画

「オーク表参道のプロジェクトでは、BIMの運用全般を大林組のBIM推進室が主導しています。
 私たちはこのBIM推進室と創設当時から交流があり、月1回のペースで会議に参加して、BIMで何ができるか議論してきました。
 オーク表参道プロジェクトへの参加も、その流れから生まれたのです」

 
オーク設備工業東京支社で生産設計グループを率いる横山雅之氏はそう語る。
同グループは、オーク設備工業の3次元化を牽引する部署であり、10年以上前から3次元化を推進してきた。
その豊富な経験を生かし、大林組BIM推進室の取り組みを支援してきたのである。
例えば、BIM活用を競うバーチャル設計コンペ「Build Live」にも、2010年、2011年と続けて大林組チームに参加し、
最優秀賞・審査員奨励賞受賞に貢献した。
オーク表参道は、そうした活動の集大成でもある。
 
「フルBIMということで、意匠、構造ともいち早く設計データを受け取れたので、
 私たちも早期の段階で施工図に近い図面を作成できたのは収穫でした。
 取り合いなどもレブロで作った設備モデルを意匠モデルと重ね合わせ、プロジェクタで映写して、皆で検討・調整したのです」

 
結果として、施工部隊が現場入りした時には、すでに施工図も完成しており、現場の負担は大きく軽減された。
また、各分野間のコミュニケーションも、より緻密なものとなったという。
 
「意匠・構造・設備の三者がBIMで結ばれた結果、現場での変更があれば、それによる各分野への影響もすぐ分かり、
 対応もスムーズに行えたと感じます。
 あの手この手と皆がアイデアを出し合い、解決できたのです」

 

オーク表参道におけるレブロ活用

オーク表参道におけるレブロ活用


 
 

2D/3D、BIMも3次元で取り合いを検討

このように、BIMへの取り組みに積極的なオーク設備工業だが、これを牽引する横山氏らに特段の気負いはない。
 
「設備の場合、上流から来るデータ次第で3次元の活用はどんどん変わるのです。
 無論いずれは全てがBIMになるにせよ、今はまだ多様な活用法の一つに過ぎません」

 
実際、生産設計では、現場支援部隊として、主に現場始動前の初動図面作成を担当しているが、
大林組からのBIM案件もあるものの、それ以外はほぼ通常案件だという。
 
「2D、3D、BIMを問わず、まず躯体図など建築側が作ったデータを基に、
 レブロ上で梁の情報などを入力し、3次元で取り合いを確認しています。
 これは、3次元の方が目で見て分かりやすく、検討しやすく、顧客への説明も容易だからです。
 意匠、構造とも容易にイメージを共有できる点も同様です」

 
このことが現場で大きなアドバンテージになると横山氏は話す。
2次元図面が主体の頃は、取り合い検討でも設備としての提案を構造や意匠に理解してもらいにくく、
結果として、「設備側で狭いスペースでの納まり検討」となることも多かったのだ。
生産設計担当としてレブロを使う楯氏は語る。
 
「3次元で可視化すれば、誰でも具体的にイメージできます。
 また、裏付けをもって説明できますので、相手の理解も早いです。
 こちらの案も分かりやすく提案できますので、合意も得やすいわけです。
 結果、私たち設備側がある程度の主導権を握りながら進められることがメリットだと感じます」

 
もちろん、初期段階で3次元データを作成するには一定の手間がかかる。
だが、現場が始まる前に3次元モデルを作成できれば、設備の現場作業は大きく変わるのである。
レブロの3DCGをプロジェクタで映写し、実際に動かして見ながら検討すると、より具体的な打ち合わせも可能となる。
そして、そのような3次元の幅広い活用はすでに始まっているのだ。楯氏と同じくレブロを使う小野氏はこう語る。
 
「進行中のBIM物件の打ち合わせでは、平面図の横にCG画像を貼り付けて、資料として使っています。
 これを見せれば、ゼネコンの現場担当や意匠・構造の設計者にも意図を明確に伝えられますし、承認も早くスムーズです。
 初めて見る人には“こんなことができるの?”と驚かれたりもしますね」

 

  • BuildLiveの成果物

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BIM対応のベスト3次元設備CADはレブロ

このように現場支援に特化して3次元活用に取り組む横山氏らにとって、いまや「レブロ」は単なるCADを超えた存在だ。
 
「BIMへの取り組みの中で当社が大林組に声をかけられたのも、
 大林グループの一員だからという理由だけでなく、レブロユーザだった点が大きかったようです」
(横山氏)
 
「レブロは“見せたい場所”の断面を、どこでも自由に切り出して見せられるのが良いですね。
 打ち合わせでお見せすると“おおっ!”と反応が返ってきます。
 見せたい場所や部分をすぐに表示できるので、ちょっとしたプレゼンにも簡単に使えます」
(楯氏)
 
「レブロには、新人や現場未経験者、CAD未経験者でも分かりやすく、なじみやすい敷居の低さがありますね。
 何よりも、直感的に空間を把握できる点が強みだと感じます」
(小野氏)
 
これらはいずれも、3次元モデルという一つのデータから各種情報を出力するレブロならではの特長といえる。
どの図面を修正しても、それはそのまま3次元モデルに反映され、
全ての図面情報にも反映されるため、常に全体の整合性が保たれるのである。
 
「だから修正にも圧倒的に強いのです。
 2次元CADだと全ての図面を遡って修正しなければならず、
 度重なる修正があると、どこをどう直したかが分からなくなってしまいますが、
 レブロにはそんな心配がありません」
(楯氏)
 
まさになくてはならないツールとなったレブロを中心に、
その他の2次元CADも活用しながら、横山氏はさらに取り組みの幅を広げていく計画だ。
 
「これからのBIMの普及を考えると、技術者は、レブロはもちろんのこと、
 その他の2次元CADも扱えないと現場対応が難しくなっていきます。
 だからまず両方に対応できる技術者を育て、部署の強化を図りたいですね。
 これは現場技術者も同様で、今後は2D/3D双方を駆使できるようスキルアップが不可欠です!」
(横山氏)
 
集合写真
 
 
 

この記事に登場した製品

設備専用3次元CAD Rebro 2013
 
 
 
 
【この記事は…】
建設ITガイドWEB
建設ITガイドWEB「成功事例集」(2014年2月掲載記事)より転載しています
※掲載データや人物の肩書など、いずれも掲載当時のものです
 
 



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