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2013年12月2日
国土交通省関東地方整備局 営繕部整備課
はじめに官庁営繕事業におけるBIM導入プロジェクトについては、国土交通省が策定した「国土交通省CALS/ECアクションプログラム2008」における目標の一つである「③調査・計画・設計・施工・管理を通じて利用可能な電子データの利活用」のうち、具体的な実施項目として掲げられている「3次元データを活用したモデル設計・施工の実施」の一環として実施するものであり、BIM導入の効果・課題等を検証することを目的としています。 設計段階におけるBIM導入の試行内容国土交通省における初のBIM試行プロジェクト「新宿労働総合庁舎外設計業務」では、設計段階におけるBIM導入の試行を実施しました。 各プロセスにおける業務実施内容与条件把握段階【実施内容】
基本設計方針策定段階【実施内容】
基本設計段階【実施内容】 1.各部材を入力した一般図(1/100)程度のBIMモデルを作成する 2.意匠モデル、構造モデルを重ね合わせて整合性を確認する 3.BIMモデルより、数量算出機能を用いて算出した数量によりコスト概算を行う 4.環境シミュレーション(採光・通風)を行い、開口の検討に反映させる 5.意匠、構造、設備モデル相互の干渉チェックを行う 【考察】 ここでは、設計の初期段階から各分野間で綿密な意思疎通や調整が可能となるなどフロントローディングのメリットがありました。 これは、容易にシミュレーションが可能なため計画にフィードバックさせやすく、採光や通風等の影響が可視化されることからさまざまなパターンが検討可能で、担当者間の共通認識が図られやすかったためです。 例えば、自然採光を執務室内へ取り込むためのライトシェルフ採用の可否については、シミュレーション結果により効果が少ないことを確認しこれを取りやめています。 自然換気に関しては、取り入れを南面窓のみとしてシミュレーションを行いましたが、これも効果がないために西面窓からも自然換気を取り入れています。 また、外部からの階段室の見え方とリフレッシュスペースの位置取り等、モデルを自由に動かしながら討論し、最適解を導き出したことも可視化がもたらしたメリットでした。 一方で干渉チェックに関しては、建築、構造、設備の干渉している部分が表示されるため、容易に把握ができ迅速な対応が可能となりましたが、設備モデルに関しては作成に手間がかかり負担が大きいことが分かりました。 また、構造モデルは一貫計算ソフトからモデルを生成可能ですが、構造計算上のモデルと実際の躯体形状との整合をとる必要があり、調整に時間がとられることもわかりました。 実施設計段階【実施内容】 積算段階【実施内容】 試行結果まとめ以上、試行を通じて見えてきたBIMのメリットについて、「可視化」「整合性」に関するポイントをまとめます。 見えてきた課題このようにBIMを活用することにより、発注者と受注者の双方にメリットがある一方で、設計段階での作業の進行が従来よりもスピーディになり、意志決定の段階が前倒しになることから、発注者側の設計与条件の整理が不十分だったり判断が遅くなったりすると作業が滞ってしまいます。 施工段階におけるBIM導入の試行平成23年末から着工している新宿労働総合庁舎建築工事において、設計段階で作成されたBIMモデルを活用し、以下の項目について施工段階における試行を行い、設計段階での試行と同様にプロセスの違いやBIM導入の効果・課題を検証しています。 おわりに営繕部は設計・工事の発注者としてだけでなく、官庁施設の企画・計画、設計監理、施工監理・検査、保全指導等を通じ、建築物のライフサイクル全般に関わることができる立場にあります。 建設ITガイド 2013 特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」 ![]() |
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2013年11月27日
株式会社 山設計工房
BIM導入前夜
図面データが開けない!2011年の秋、苦心の末にプロポーザルで勝ち取った某団地建て替えのプロジェクトで、それまでの「些細な不都合」が突然「致命的な問題」へと変わってしまった。 …BIM?上司の指示で、最新のPCとソフトの現状についてすぐに情報収集を始めた。 先輩、BIMって知ってます?新しモノ好きな私は一気に興味が湧いたので、インターネットで集めた資料を持って先輩のもとへ駆けつけた。 ツールを求めて数日後、エーアンドエー社の担当者の方に来所いただき、先輩と上司にも同席してもらった。 BIMとCADの違いに戸惑いBIMはCADと異なり「線を引く」のではなく、柱や壁を「立てる」、窓を「取り付ける」ことで3次元空間に建物を建設し、そこから図面を作り出すことが分かった。 ワクワクとドキドキBIM導入を決めた時、もう少し待てばさらに新しいバージョンが発売される状況だった。 BIM入門とにかく使ってみよう!私が担当していた当時進行中のプロジェクトに含まれる自転車置場と小さな付属棟設計でBIMを試してみることにした。 エーアンドエー社のホームページから事前にダウンロードしていたVectorWorksのためのBIM参考書『BIM実践講座』を横に置きながら、まずはRC壁式造の付属棟から始めた。 参考書の手順通りに壁ツールで壁を立てて、スラブツールで屋根を架けて、アクソメで確認しながら修正して…シンプルな形状だったので比較的スムーズにモデリングできた。 モデリングが終わるといよいよ図面を生成してみる。 こちらも参考書を見ながら平面図、立面図、断面図、ついでにパースも生成した。 思ったより簡単かも! 始める前の不安は吹き飛び、しばらくの間、意味もなく壁を動かしてみて、全ての図面が連動して自動に変更されていることに一人で驚き歓喜する私。 早速つまずいた!ひとしきりBIMの基本機能を堪能したところで、次に自転車置場の設計に取りかかる。 いよいよBIMを全面導入! ところが…さまざまな機能を試しながら少しずつBIMに慣れてきた頃、新しいプロジェクトを担当することになった。 新しい感覚BIMの操作に慣れ始めてから感じている新しい感覚がある。 私たちのBIMを求めてテンプレート=財産木製建具、アルミサッシ、キッチン、椅子、テーブル、壁仕上げ、床仕上げ等建築に関わる材料、部品を挙げるときりがないが、それらがある程度テンプレート化されているとモデリング等の時間は格段に短縮できる。 実務レベルの情報が足りない今も少しずつではあるがBIMのスキルを上げている実感はある。 将来の私を夢見ながらBIMは2DCADと同様に標準的なツールとして広く浸透していくことだろう。 建設ITガイド 2013 特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」 ![]() |
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