2023年8月21日
はじめに国土交通省では、建設現場の生産性向上を図るi-Constructionの取り組みにおいて、これまで3次元モデルを活用し社会資本全体の整備、管理を行うCIM(Construction Information Modeling,Management)を導入することで受発注者双方の業務の効率化・高度化を推進してきました。 北陸地方整備局のBIM/ CIM 取り組み実績北陸地方整備局では、平成24 年度からCIMの導入検討や試行を行っています。 北陸地方整備局の BIM/CIM 取り組み方針令和4年度北陸地方整備局のBIM/CIMの取り組み方針は、国土交通省の実施方針である「令和5年度までに小規模を除く全ての公共事業についてBIM/CIMを活用」を踏まえ、さらなるBIM/CIMの活用・普及を図るため、適用可能な範囲から発注者自らBIM/CIMを活用していくこととしています。 地元企業参入拡大の取り組み北陸地方整備局におけるBIM/CIMの推進を図る上で、発注者はもとより地元企業の技術力向上も不可欠となるが、これまでのBIM/CIM活用業務実施件数のうち、地元企業の受注割合は1割程度となっています(図-2)。 (1)簡易(特別)型を活用した発注地元企業の受注機会を創出するため、入札参加の地域要件を「当該県内に本店を有すること」とする簡易(特別)型を活用した概略・予備設計などの発注および、要求事項(リクワイヤメント)の選択項目を2項目以内とする取り組みを令和2年度より試行し、地元企業への普及促進を図っています。 (2)ICT普及促進型工事ICT普及促進型工事は、ICT土工の起工測量から納品まで3次元データを活用する一連の技術を、実際のICT活用工事現場をフィールドに実技講習で習得するモデル工事であり、令和4年度より試行しています。 BIM/CIM人材育成の取り組み(1)職員向け研修の実施北陸地方整備局では、職員のBIM/CIMに対する知識習熟などの取り組みとして3次元CADソフトの操作実習などを含めた BIM/CIM研修を実施しています。
(2)官民連携によるBIM/CIM講習会の実施令和5年度からのBIM/CIM本格運用 に向けて、官民連携による人材育成を図るため、受発注者共有ルールの理解促進や、 BIM/CIM知識の習得に向けたWeb講習(録画配信)を令和4年2月18日~4月28日まで実施し、さらに令和4年5月25日~8月31日まで再配信を行いました。
おわりに建設現場の生産性向上を図る取り組みであるBIM/CIMの推進については、毎年、基準類やガイドラインなどが制定、改訂されるなど、令和5年度までの小規模を除く全ての公共工事におけるBIM/CIMの原則適用に向け、その環境整備が進められています。 国土交通省 北陸地方整備局 企画部 技術管理課
建設ITガイド 2023 特集1 建設DX、BIM/CIM |
2023年8月11日
はじめにBIM/CIMとはBIM/CIM( Building/Construction Information Modeling, Management )とは、建設事業をデジタル化することにより、関係者の情報共有などを容易にし、事業全体における一連の建設生産・管理システムの効率化を図る思想である。 国土交通省では、BIM/CIM(Building/ Construction Information Modeling, Management )の普及、定着、効果の把握やルール作りに向けて、2012年度から取り組みを進めている。 BIM/CIM実施状況国土交通省では、業務については2012年度から、工事については2013年度から BIM/CIM活用の試行を進めている。 さらなるBIM/CIMの活用に向けて、2019年3月、i-Constructionモデル事務所を10 事務所、i-Constructionサポート事務所( i-Constructio nモデル事務所を含む)を53事務所設置した。 令和5年度BIM/CIM原則適用の実施内容について前述のとおり、2023(令和5)年度までに小規模なものを除く全ての直轄公共土木工事で、原則としてBIM/CIMを活用することとしており、取り組む内容を紹介する。 3次元モデルの活用についてBIM/CIMといえば、3次元モデルを思い浮かべる方も多いと思う。 義務項目の概要(詳細設計)について詳細設計においては、「出来上がり全体イメージの確認」、「特定部の確認」を活用目的として3次元モデルを作成・活用する。 「特定部の確認」は、一言でいうと2次元図面では分かりづらい箇所を3次元モデルで作成することにより、設計内容を確認するものである。
義務項目の概要(工事)について工事における活用は、設計段階で作成された3次元モデルを閲覧することにより、2次元図面の照査、施工計画の検討に役立てるほか、現場作業員などへの説明に利用する。 推奨項目の概要について推奨項目については、義務項目より発展した項目として、以下のようなものを例示する予定である。
発注者によるデータ引き継ぎここまで3次元モデルの活用を中心に記載しているが、3次元モデルに関わらず前工程のデータを後工程に引き継ぐことが重要である。 今後に向けた検討令和5年度のBIM/CIM原則適用については、中小企業などへの3次元モデルの裾野の拡大という観点と確実に効果が見込めるものの有効活用という観点で義務的に実施することとしている。 中小企業などへの普及拡大これまでBIM/CIM(3次元モデル)の活用は、大企業を中心に活用されており、だんだんと中小企業にも裾野が広がっているところであるが、まだまだ未経験者も多く、令和5年度原則適用をきっかけに初めて取り組む者も多くいる。 おわりに本原稿の執筆は、令和4年11月に行っており、その際の最新情報を基に記載している。 国土交通省 大臣官房 技術調査課 課長補佐
近藤 裕介
建設ITガイド 2023 特集1 建設DX、BIM/CIM |
はじめにわが国は、現在、人口減少社会を迎えており、働き手の減少を上回る生産性の向上などが求められている。 インフラ分野のDXの取り組み状況インフラ分野のDXの加速化に向け、国土交通省では、省横断的に取り組むべく、2020年7月に「国土交通省インフラ分野のDX推進本部」を設置した。 まず1点目の「手続きなどいつでもどこでも気軽にアクセス」であるが、これはインフラに関係する諸手続きやサービスについて、その利便性向上を図るもので、例えば、特殊車両通行手続きの効率化や民間事業者・港湾管理者における手続きの効率化・非接触化、キャッシュレス化・タッチレス化などが挙げられる。 インフラ分野のDX「挑戦の年」-インフラ分野のDXアクションプランの策定-国土交通省では、インフラ分野のDXの推進に向け、2022 年をDXによる変革に果敢に取り組む「挑戦の年」と位置付け、取り組みを一層加速化させている。 アクションプランのネクスト・ステージ国土交通省では、2022 年4月に国土交通省第5期技術基本計画の策定を行い、新たな取り組みとして「20~30年後の将来の社会イメージ」を示した。 一方で、組織横断的な取り組みとは、業界内外、産学官連携による施策展開を図ることを示した。 おわりに本稿では、国土交通省が推進しているインフラ分野のDXについて紹介した。 国土交通省 大臣官房 技術調査課 建設情報高度化係長
小泉 陽彦
建設ITガイド 2023 特集1 建設DX、BIM/CIM |