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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

工事写真は新たな時代へ −写真管理の現在、過去、そして未来−

2016年10月25日

 

NPO法人 建設スクエア北海道 理事 ダットジャパン株式会社
執行役員営業部長 柿崎 保生

 

はじめに

スマートデバイスの普及により、従来のメタデータだけではなく、撮影時にその他の情報を、EXIF(Exchangeable image file format エクスチェンジャブル・イメージ・ファイル・フォーマット)に自ら登録し、写真を高度利用することが可能になってきた。その恩恵を最も利用しようというのが、以前より実証実験が行われてきた工事黒板の電子化である。
 
本稿では、近年急速に進化、発展してきたデジタル工事写真のあらましについて述べていきたい。
 
 

デジタル写真黎明期のPC環境

今でこそ当たり前になっているデジタル写真の閲覧や編集操作が一般に普及し始めたのは、今から20年ほど前になる。それまでの主流だったMSDOSに代表されるCUIの味気ないOSから、MachintoshやWindows3.0、3.1等のGUIを装備したOSへと進化した1990年代から、写真をデータ化しパソコンで処理できるようになってきた。
 
この頃のWindowsOSは、MSDOS上で動作するランチャー的なイメージが強く、ロースペックのCPUに相まって、搭載メモリも少ないこともあり、今でこそ当たり前のマルチタスクも十分に機能せず、万一ソフトウェアがフリーズしてしまった際には、OSそのものをリセットしなければならないなど、不安定で信頼性も低い物であった。
 
当時主役であったNECのPC98シリーズのユーザーは、こぞってODP(オーバードライブプロセッサ=CPUアクセラレータ)に換装したり、CPUのクロックアップを行ったりと、少しでも快適にしようとしたが、実行速度はなんとなく早くなったという程度で、根本的な解決には新しいPCに買い替えるより他になかった。特に搭載可能なメモリの上限がわずかに14.6MBではOS自身を動かすのが精いっぱいで、複数のアプリケーションを動作させるには容量が不足していた。
 
ビジネスで写真データを扱うようになったのは、1995 年に登場したWindows95からといえよう。筆者もその頃からソフトウェア開発会社であるダットジャパン(株)に勤務しているため、その狂想曲は秋葉原等で目の当りにした。発売時にはまるでお祭りのような騒ぎになり、新しい時代を迎えたかのように感じたものだ。
 
PCのシェアも、それまでのNECの独壇場から、IBMによるPC/AT互換機へのシフトが急速に進んだのもこの頃からである。
 
 

写真をデジタルデータにする

デジタルカメラが普及する前は、写真をデジタル化するためには高額なイメージスキャナー(フラットベッド、フィルムスキャナー等)で読み取るより方法がなかった。それらの機材を持っていない人は、フィルムメーカー各社がサービスを開始した「フォトCD」を利用するのが唯一の手段であった。フォトCDとは、米国コダック社等が策定した写真をデジタル化するシステムで、ネガフィルムをサービス店に持ち込み、データ化したいコマを指定し、別売りのCD-RにPCDフォーマットで焼き付けてもらうというものだ。コダック以外にも富士フイルム、コニカ(現在のコニカミノルタ)などでもサービスが行われた。
 
さっそく、工事写真をこのフォトCD にし、工事アルバム作成をパソコンで行えるようにする試みを行ったが、1枚のフォトCDに100 枚の写真しか保存することができない他、設備投資にも莫大な費用がかかることから、この時点では実験の域を出ることはなかった。なぜなら写真クオリティの出せる安価なプリンターがまだ世の中に存在しなかったためだ。
 
 

写真画質のインクジェットプリンター登場

写真をデジタルデータにすることはできたが、最終的には写真(アルバム)を出力しなければならない。きれいな印刷を行うには、高額な昇華型プリンターを利用するよりなかった。価格が高いのは本体だけではなく、インクリボンも大変に高価なもので、さすがにこのランニングコストに耐えられるわけがなかった。
 
最終的な写真帳(アルバム)の印刷、作成が目的だったため、事業化を断念することも頭をよぎったが、1996 年秋になって救世主が現れることとなった。EPSONから「PM-700C」が、初めて写真品質の印刷できるプリンターとして登場したのだ。画期的であり、大変に安価だったこともあって爆発的に売れることになったが、恐らくは建設業界でも相当の台数が使われたであろう。この機種の登場により、工事写真をパソコンで編集し印刷をするという一連の流れがほぼ確立したと見て良いだろう。
 
 

進歩を遂げるデジタルスチルカメラ

この1995年から1996年かけては、とてもエポックメイキングな年になった。
 
Windows95の発売とPM-700Cの発売が重要な要素になることは先に述べたが、残るデバイスであるデジタルカメラにも大きな動きが出た年である。1995年から低画素数ながら低価格なものが登場することとなった。例えば、カシオ計算機、リコー、コダック、キヤノン、ニコン、ミノルタ等から続々と発売され、100万画素以上のデジカメも価格は高いもののハイエンド用として発売が始まっている。低画素数のデジタルカメラはサービス版程度の印刷であっても、銀塩写真よりは若干見劣りがしたものの、十分に将来の可能性を見出せるものであった。これにより、デジタルカメラで撮影した写真をパソコンに取り込み、帳票を作成し印刷をするという現在に至る業務体系の基礎ができたことになる。ただし、実運用可能かといえば実際には困難であった。例えば、写真を10 枚程撮ると電池が切れてしまい、替えの電池を常時持ち歩かなければならなかったり、フラッシュが付いていなかったり、今では当たり前の液晶画面がないもの等、本格的に使えるようになるには、もう2年待たなければならなかった。
 
なお、1996 年には、建設省(当時)のCALS/ECアクションプログラムが策定され、電子データの利活用がうたわれるようになっている。これを踏まえて、各地方建設局(当時)で、デジタル写真の利活用も含めての実証実験等が行われるようになった。ちなみに、最初のデジタル写真管理情報基準(案)が策定されたのは、今から16年前の1999年(平成11年)8月である。
 

建設現場向けデジタルカメラの例




 
 

保存先としての記録メディア

初期のデジタルカメラは外部メディアがなく、内臓メモリに写真データを保存するだけであったが、その後複数の媒体規格が開発され利用されるようになった。中でも、スマートメディア(SmartMedia)は、多くのカメラメーカーで採用され、デファクトになると思われたが、その後に登場したSDメモリーカード(SDMemory Card)にその地位を完全に奪われ、現在では市場に存在しない。その他、コンパクトフラッシュやメモリースティック等も発売されたが、互換性のなさが嫌われ、いずれも市場からの撤退を余儀なくされている。変わり種としては、FD(FlopyDisk)に写真を保存するデジタルカメラ(SONYマビカ)も発売されたことがあるが、ディスク1枚に対し、写真が4枚しか保存できない他、巨大な筐体が必要だったこと等により、さすがに実用的とはいえず、すぐに後継製品へバトンタッチする形で消えている。
 
デファクトスタンダードになったSDメモリーカードは、その後miniSDやmicroSDなどの小型化したものや、大容量化、WriteOnceメモリーカード(改ざん防止機能付き)等の派生型が多数登場し、デジタルカメラ以外にも携帯電話等の外部ストレージとして幅広く利用されているのは周知の通りである。
 
 

飛躍的に進歩した解像度

データの保存先として、外部メディアを必要とする理由として、デジタルカメラの有効画素数が飛躍的に大きくなったことが上げられる。1995 年当時にわずか20万画素だったものが、2015 年では最大で5000 万画素を超えているものがあり、実に250 倍にもなっている。
 
なお、デジタルカメラの解像度は近年頭打ちになりつつあり、行きつくところに行きついたと認識する人もいるようだ。
 
もっとも5000 万画素では、写真1 枚で約10MBになり、RAWでは57MBにもなるため、工事写真用としては間違いなくオーバースペックとなる。建設省(現国土交通省)では、工事写真は100 万画素以上であれば良いとしているので、いたずらに大きなサイズで撮影をしてしまうと、電子納品時等に大変困ることになる。そのため、工事専用のデジタルカメラはリコー、オリンパスともにCALSモードが備わっており、あらかじめ設定をしておくことにより扱いやすい最適な写真サイズにて保存されるので大変便利である。
 
 

動く写真

昨年発売されたiPhone6Sでは、「LivePhoto」という機能が搭載されている。これは、撮影の1.5 秒前から撮影後の1.5秒の計3秒間の動画ファイルを同時に保存することにより実現しているもので、厳密にいえば写真が動くわけのではなく、写真(Jpegファイル)と動画(MOVファイル)の切り替えがiPhone6S上でシームレスに行われるというものだ。
 
非常に面白い機能だが、当然のことながらデータの容量が極めて大きくなるため、ストレージ容量の少ない機種の場合には、まめにiCloud等へデータを退避する必要がある。また3秒の動画をWindowsPCで再生することは可能だが、動画ファイルとして扱うには短すぎである。やはりiPhone6S上での写真をより楽しく閲覧するためのものとして考えるのが妥当だろう。また、解像度が高すぎるため、1枚当たりの写真の容量は約2.5MBにもなり、電子納品データとして利用するにはいささか大きすぎる。提出用メディアへの焼き付けに苦労することになるので注意が必要だ。
 
 

自動仕分けと電子黒板

昨今、写真管理業務の効率化を目的として、撮影時にExifファイルへ工事関係の情報を埋め込むことにより、仕分け整理の自動化を図る試みが進んでいる。リコーの業務用デジタルカメラが一早く実装していたもので、筆者の所属するダットジャパン(株)でも、その対応を行ってきた。デジタルカメラに直接情報を入力するのは非常に困難であることと、撮影メモ情報を事前に用意する手間がかかることから、その普及が限定的になっていたことは否めないが、あらかじめ撮影する部位や項目が明確な業務においては大変に喜ばれている。
 
また、スマートフォンアプリでも同等かそれ以上のことが可能となってきている。
 

スマートフォンによる状況写真撮影シーン


 
 

スマートフォンで撮影したトンネル内の写真




 
特に、電子小黒板機能付きの撮影アプリの場合には、黒板の記述そのものが仕分け情報になるため、事後の仕分け整理だけではなく、撮影そのものも楽になる等のメリットがある。連動する写真管理ソフトが別途必要とはなるが、スマートデバイス用のアプリには無料のものもあり、テスト利用ができるのであれば一度は試してみる価値はあるだろう。
 
なお、自動仕分け整理については、近い将来には電子納品を目的とした写真整理そのものが不要となる可能性がわずかながらある。撮影後に写真を直接サーバ(情報共有サーバ等)へアップロードすれば、それ自体が納品するのと同義になるためだ。業務効率からみる限りは良い方法と思えるが、一方で撮影した写真は一度大きな画面で確認し、最も良い写真を選別し納品したいという声もあるため、一足飛びにそこまで行くかどうかは今後の業界内アンケート等の結果次第だろう。
 

写真管理ソフトによる自動仕分け整理の例




 
 

自動振り分け整理時の確認メッセージ例




 
 
いずれにしろ、電子黒板の利用についてはさまざまなベンダーから提案があるはずだ。その中から自社に合ったものをチョイスすることになるだろう。なお、電子黒板付アプリにも、写真のサイズをCALSモード(100 万画素相当)に設定できる機能が当然必要となるので確認が必要だ。
 

電子黒板付カメラアプリ(現場DEカメラ無償版)の撮影画面




 
 

複眼カメラ(ステレオカメラ)の活用

昨年度より、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施している「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」において、複眼カメラによるロボット橋梁点検システムが開発されている。これは、ステレオ画像から距離の計測や損傷部の抽出を行うことができるもので、実現すれば橋梁の点検業務が大幅に省力化されるメリットがある。ただ、今日現在でまだステレオカメラは発売されていないので、2台のカメラを組み合わせる等の対処が必要となっている。今後、一つの筐体に収まった複眼カメラが発売されれば、各種点検業務において有効利用ができるものと思われる。また、座標情報等を持たせることにより、3次元モデルデータへのテクスチャマッピング等も実現可能であろう。最終的にはこれらの写真はBIM/CIMと結びつき、写真に埋め込まれた属性情報の利活用ができるようになると考えられる。
 
 

おわりに

ここまで、大まかな分類ごとに工事写真関わる概略をまとめてきた。時系列にしてみると、各種のルールは技術の進歩と概ね歩調が合っていることがあらためて見えてくる。電子黒板についても同様の流れで来ているため、工事写真をスマホやタブレットPC等で撮影する時代がすぐにやってくるだろう。
 
これからもさまざまな先進的な取り組みが行われていくと思うが、最も重要なことは、手段と目的を取り違えないことではないだろうか。電子納品、情報化施工、CIM等、いずれも建設ICT(Information and CommunicationTechnology)の利用により、施工の効率化、高度化、生産性の向上に寄与する取り組みだとされているが、現実的には強者と弱者の振り分けツールであり、規模の小さな業者にとってはただの負担でしかない場合が多いようだ。一部からは、その負担の原因は次々とシステムを開発し提供しようとしているソフトウェアベンダー側の策略にあるとの恨みの声も聞こえてくる。
 
従ってこれら一連の新しい取り組みの目的が、施工業者にとっても大きなメリットがあるということをはっきりと示せるよう、施政者は施工業者側の目線に立って考えていく必要があるだろう。
 
私はソフトウェアの開発側の人間ではあるが、これからも常にユーザー目線で考え、利用者に喜んでもらえる便利なツールを提供していきたいと考えている。
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集3「建設ITの最新動向」
建設ITガイド 2016
 
 



建設現場で使える! 現場主義的スマホアプリ一覧

 

現場主義×山政 睦実

 

ドキュメントアプリ

建設現場でも普及し始めたスマートフォン(スマホ)。現場で使えるアプリを探している読者も少なくないのではないでしょうか。
建設ブロガーの「現場主義」(http://const.livedoor.biz/)の山政睦実氏に、建設現場向けのアプリを紹介していただきました。
 

IJCAD Mobile Free

IntelliJapan
CADファイルを閲覧することができる無料のアプリ、数多く流通されているAutoCAD形式にも対応しています。簡単なファイル編集機能もあるため、現場で急遽寸法を調べたいときにも確認することができます。慣れればそれなりの編集ができるので、パソコンの前に戻ることなくCADファイルを編集して、メールで送信することも可能です。


 

GoodReader

Good.iWare
ドキュメント管理アプリの決定版でiPad登場の頃から愛用しているアプリです。さまざまなドキュメントを表示・再生することができ、ドキュメントの取込にはパソコンとのUSB 接続の他、クラウドサービスを利用したり、Wi-Fi接続でも可能です。ドキュメントの管理は、パソコンのエクスプローラーのように階層での保存が可能で、クラウドサービスとの同期設定もできます。赤書きや蛍光ペンを追加することもでき、PDFのドキュメントを添削する際にも利用しています。ドキュメントはメールに添付したり、クラウドサービスを利用して共有することもできます。


 

Evernote

Evernote
検索に優れている有名なドキュメント管理クラウドサービス。さまざまなドキュメントを保存することができるため、後で記録をたどるときに便利です。画像データでも、OCRしてテキスト化されるため、検索にヒットします。私の場合、名刺の管理を以前からこのEvernoteを使用しており、2000 枚近く保存されている名刺の検索に重宝しています。


 

Microsoft Excel、Word

Microsoft Corporation
Microsoftから提供されているオフィシャルなMicrosoftOffi ceアプリ。パソコンで作成したExcel・Wordファイルを崩れることなく表示が可能です。有料版であれば、編集作業も行うことができますが、操作性は良くないので、少し慣れが必要でしょう。Dr opBoxやOneDriveから直接ファイルを開いたり、保存することができるので、データをこちらに入れておくと、すぐに開くことができます。


 

ATOK Pad

JUSTSYSTEMS CORPORATION
ちょっとしたメモを書くときは、このATOKPadを利用しています。iPadでは今のところ外付けキーボード入力時に、ATOKを利用することができませんが、ATOKPadを利用すると、それを解決することができます。専門用語の多い建設業界では、漢字の変換につまずくことが多いため、ATOKが重宝しています。ATOKには、ATOKPassportというサービスがあり、月々286 円(税別)にて、各OSの端末10 台までATOKを利用することができ、ユーザー設定や辞書を共有することもできます。


 

DocuWorks Viewer Ligh

Fuji Xerox Co., Ltd.
PDFを閲覧することができるアプリは数多く登場していますが、最近データのやり取りが増えてきている富士ゼロックス「ドキュワークス形式」のドキュメントを閲覧するには、こちらのビューワアプリが必要となります。スマホやタブレットに入れておくと良いでしょう。また、「DocuWorks Folder」アプリを使用するとドキュワークスファイルをフォルダで整理して、端末に保存しておくことも可能です。


 
 

写真アプリ

OneCam (マナー・連写)〜フリックで簡単シェア〜

Walker Software
iPhone標準のカメラでは撮影する写真の画素数設定ができませんが、このアプリを使用すると、CALSモードでの撮影が可能です。撮影した写真データは通常のカメラを使用したときと同じように写真フォルダに保存されますので、特に変わった操作は必要ありません。また、マナーモードを使用することにより、シャッター音を消すこともできるので、会議での撮影などに便利です。位置情報のオン・オフ設定や日付の写し込みなどの設定も簡単に行うことができます。


 

現場DEカメラ

DATT JAPAN Inc.
無料で使用することができる電子黒板カメラプリです。スマホのカメラ画面に、電子的に黒板を写し込むことができるため、現場で黒板を持っていなくても、黒板入りの写真を手軽に撮影することができます(公共工事の場合は発注者に確認が必要です)。黒板の種類は複数の中から、発注者や工事にあったものを選択することができ、入力する内容はその場で入力する他、事前にリスト化された内容から選択することもできます。また、「現場編集長CALSMASTER」と連携することにより、工種・種別等での自動仕分けも可能で、現場事務所での写真整理がいらなくなる便利なアプリです。


 

RICOH THETA S

Ricoh Co.,Ltd.
リコーから発売されている1 度のシャッターで全天球(360 度)撮影することができるカメラ「THETA」シリーズと接続するアプリ。THETA本体には画面がついていないため、このアプリを使用することで撮影した写真を見たり、遠隔でシャッターを切ることも可能です。アプリからSNS等へのアップロードもできるため、その場ですぐに全天球の写真を共有することもできます。


 

Offi c e Lens

Microsoft Corporation
Microsoft社が提供しているカメラアプリで、名刺やノート、ホワイトボードなどを斜めに撮影したものを、自動的に四角く補正をしてくれます。カメラで議事メモなどの記録を撮っておくことが多くなったため、このアプリを利用すると、撮影した写真データをそのまま印刷して配布したり、メールで送信することも可能です。濃淡の弱い場合は、四辺の設定が合わない場合もありますが、そのときは手動で四辺を合わせることにより、手動で補正することが可能です。


 

OLYMPUS Image Share

Olympus Corporation
オリンパス製のデジカメとWi-Fiで接続することにより、遠隔操作や写真データを転送することができるアプリです。現場ではオリンパスTG-3工一郎を利用していますが、撮影した写真をスマホに転送して、メールに添付したりと、現場事務所に戻ることなく、カメラ内の写真データを取り込むことが可能です。また、カメラの画像をスマホで見ながらシャッターを切ることも可能です。毎月の進捗写真では、5mスタッフの上にカメラを取り付け、遠隔操作にて撮影しています。


 

Googleフォト

Google, Inc.
Google社が提供している無料の写真保管サービスで、1600万画素までの写真であれば容量無制限なので、写真を何枚でも保管できます。現場では撮影した写真データは最も重要なデータであり、消えてしまった写真データを作り直すことは不可能なため、写真データのバックアップは以前からの課題となっています。このクラウド保管サービスを利用すれば、いざという時に復元することが可能ですし、打合せなど出先で必要なときにも各種端末から閲覧することが可能です。動画も保管することができるため、施工状況を動画で保存して、簡単な編集も可能です。リスクの検討は必要ですが、セキュリティ設定をしっかりしておけば流出する可能性も少ないでしょう。


 
 

地図アプリ

Google Earth

Google Earth
パソコン版でも有名なアプリで、空中を飛んでいるかのようにあらゆる高度や角度から航空写真を3 次元表示することができます。GPSと連携して現在位置を表示することはもちろん、ルート検索も可能です。また、KMZ 形式で保存された3 次元モデルを取り込むことにより、GoogleEarth上にモデルを表示することが可能です。座標を緯度経度に変換したものを2 次元で取り込むことも可能なため、構築物や測量点の位置を現在地とともに確認することができるため、現場のイメージをつかむこともできます。


 

Yahoo!地図

Yahoo Japan Corp.
Yahoo!から提供されている地図アプリですが、地図を見る機能以外にも現場に便利な機能が付いています。「雨雲レーダー」は現在位置を確認することで、周辺の雨雲の様子を合わせて確認することができます。また「距離計測」という機能も重宝します。経路を地図上で指定していくと、その距離を表示してくれる機能で、産廃処分場や緊急病院までの距離を調べるときに便利です。その他、ちょっとした位置関係を調べるときにも手軽にこの機能を利用することができます。


 

Moves

ProtoGeo
スマホを持っているだけで、自分の動きを記録してくれるアプリ。1日の動きが地図上にプロットされ、時間も記録されます。現場で慌ただしくしていると、時間の記録が難しいですが、このアプリを見返すことによって、時系列が分かり、過去の行動を思い出すことができます。スポットなどは登録情報から選択することもできますし、該当するスポットがなければ、オリジナルスポットを作成することもできます。移動している時の交通機関も自動車、自転車、徒歩、バスやスキーなど、さまざまな情報から選択して記録を残すことも可能です。


 

Yahoo!乗換案内

Yahoo Japan Corp.
交通機関の乗換案内で、駅間だけではなく、現在位置からの徒歩経路や、高速バスなどを含めた検索が可能です。また、表示された経路の乗換ごとに、その前後の電車を表示してくれるため、少し余裕を持った乗換をしたいときや、少しでも短縮したいときの検索に便利です。駅の時刻表表示はもちろん、運行情報も検索することができます。自分がよく使う交通機関を登録しておけば、運行情報がある場合、通知でお知らせがくるので、駅まで行ったら電車が止まっていたなんてことを防ぐことができます。


 
 

ツールアプリ

AudioNote – Notepad and Voice Recorder

Luminant Software, Inc
スマホ・タブレットのマイクを使って、会議や打合せの内容を録音しながら、リアルタイムでメモを取ることができる便利なアプリです。機能が制限されていますが、無料版もあるため、購入する前に試してみるのも良いでしょう。メモは手書きでも可能で、記録された音声と入力されたドキュメントやテキストが連携しているため、該当するところをタップすると、その時の音声を再生することができます。


 

OLYMPUS Audio Controller

Olympus Corporation
「OLYMPUS Image Share」のI Cレコーダー版で、同じくオリンパス製のICレコーダーとWi-Fiで接続することができます。接続したスマホからICレコーダーの録音や停止ももちろん、録音中にインデックスの挿入や、写真を音声ファイルに挿入する機能を遠隔で使用することができます。あからさまにICレコーダーを操作するのは気が引けるような打合せでは重宝します。接続にはQRコードを読み取るだけで設定できるよう工夫されています。


 

Epson iProjection

Seiko Epson Corporation
エプソン社から提供されているエプソン製プロジェクターとWi-Fiで接続が可能なアプリ。スマホ・タブレットに保存されている写真やドキュメント、Web画面をコードレスで映し出すことが可能です。割込み接続も可能なため、必要なときは画面の切り替え操作なしに映し出すことができます。天上吊り下げ式の固定プロジェクターを使用する現場事務所が増えてきたので、このようなアプリはプロジェクター各社から提供されるでしょう。


 

ジョルテ-カレンダー&システム手帳、日記

Jorte Inc.
日頃のスケジュール管理をGoogleカレンダーにて行っていますが、Googleカレンダー標準のアプリはスマホで使うと、閲覧性が悪いため、こちらのアプリを使用しています。Googleカレンダーと連携できるスケジュール管理アプリは数多くありますが、閲覧機能に優れていて、月表示と日表示の切り替えが素早く、急いでいるときに必要な情報をすぐに確認することができます。もちろん、アプリから入力した予定もGoogleカレンダーに更新されます。


 

電卓EQ7

Clever Alien
最近関数電卓を利用する機会が減りましたが、それでもまったくないわけではありません。標準の電卓より使いやすいものが無料でも数多く公開されています。このアプリはその一つで、無料ですが大々的な広告表示がなく、入力された数式も表示されるので、入力確認に便利です。ラジアン・度分秒の切り替えや、四捨五入・切り上げ・切り下げ等の設定が分かりやすく、ボタンも押しやすい大きさなので、現場でも便利に使えます。


 

水準測量

Booth
工事現場での水準測量を自動的に計算することができるアプリ。測量結果を入力するたびに計算されるため、即座に計算値が表示され、測量結果は、CSVファイルで取り出したり、メールで送信することができます。入力は通常の野帳と同じスタイルのため、説明書を特に読むことなく利用することが可能です。測点を増やしたときには行の挿入や、不要になったときには行の削除もでき、備考欄には測点の注釈などが記入可能です。


 

アメデス〜XRAIN( XバンドMPレーダ)

Fumiaki Murakami
国土交通省から無料で提供されている雨量情報を、簡単にチェックできるアプリで、こちらも数多くアプリが登場しています。基本的な表示情報は変わらないため、操作しやすいアプリを選ぶと良いでしょう。現場では、コンクリートの打設などで、雨は大きく影響します。周辺の降雨状況を知ることにより、現場作業の優先順位を変更したり、養生の準備をしたりすることができます。時間をさかのぼることにより、雨の範囲の変化を把握することができ、どれくらいの時間で雨が降り出すかを判断する材料となります。


 

Yahoo!防災速報

Yahoo Japan Corp.
Yahoo!から提供されている災害の情報をいち早く知ることができる速報アプリで、緊急地震速報や豪雨予報などの通知が可能です。現場では、深度4以上の地震が発生した場合の点検や、気象警報が出たときの作業中止など、さまざまな気象情報を得ることが必要ですが、このアプリを入れておけば、登録した地点の情報を通知で知らせてくれます。熱中症情報や火山情報なども作業従事者へ周知するのに意外と便利です。


 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集3「建設ITの最新動向」
建設ITガイド 2016
 
 



BIMソフトの実践テクニック講座 Revit編

2016年10月20日

 

高取 昭浩

 
 Autodesk RevitはBIM(Building Information Modeling)を的確に表現したソフトウェアです。基本的にはエンジニアリングのツールであり、建築物をデータベースとして表すための手段として、非常に優れています。また、部品(ファミリ)をユーザー自身でパラメトリックに作成できる、スケーラビリティ(大規模データへの対応力)など他にない特徴を持っています。Revitを用いる真の目的は、建築情報をデータベース化し、設計業務の生産性を飛躍的に向上させることであり、決してCGをセルフサービスで作成することではありません。
 
BIMとはB=I+M、つまりビルディングを属性情報と形状情報の集積として表すことです。今までのBIM導入期はどうしてもMに目が奪われがちでしたが、これからはIを活用して業務を変革していく時代です。Revitはデスクトップに「デジタル現場」を構築するため、将来作業所で起こるだろう問題点が設計段階で把握できます。アメリカで開発されたRevitは設計者が建設全体を掌握するための強力な武器として幅広い支持を得ています。Revitを上手に使いこなせば、設計者自身が建物の全ての状況を明瞭に把握しながら、プロジェクトを推進することができるでしょう。今回はRevitを使いこなすための、いくつかのTipsをご紹介しますが、一番重要なTipsは設計者自身がワークフローを変えていく必要性を認識することでしょう。
 

●プロフィール

高取 昭浩(たかとり あきひろ)
Revit User Group Japan 開発部会長。1965年生まれ。大阪大学工学研究科建築工学専攻卒。大成建設設計本部BIMソリューション室室長。ブログRevitPeeler(http://revitpeeler.blogspot.jp/) ではRevitのさまざまなTipsを紹介しています。
 
 

包絡

正確なモデリングは美しい図面を作成する基本ですが、包絡の仕組みを理解しておくこともまた重要です。基本的には要素同士が、
(1) 結合している
(2)-簡略 塗りつぶしパターンが一致している。
(2)-標準・詳細 マテリアルが一致している
ことが条件です。
 
表示モードが「簡略」の場合
(2)の塗り潰しパターンとは、床・壁・天井・屋根の場合はタイプパラメータの簡略尺度塗り潰しパターン(01)であり、その他の要素の場合はマテリアルの切断パターン(02)です。
 
これらの塗りつぶしパターンの名前が一致しており、結合されている場合は、包絡されます(03)。
 



 
表示モードが「標準・詳細」の場合
床・壁・天井・屋根のマテリアルは各レイヤに割り当てられたマテリアルを示します(04)。このマテリアルが一致して結合されている要素は包絡されます(05)。
 
マテリアルは内容ではなく、名前が一致する必要があります。梁のマテリアルを複製して割り当ててみると図のように包絡されません(06)。
 



 

梁型や庇を平面図に表示する

カーテンボックス、梁型や庇などを、平面図に表したいときは、以下の手順を実行します。
 
ビューのプロパティ「下敷参照図(アンダーレイ)」に平面図と同じレベルを指定
 
①下敷き参照図の方向に天井伏図を指定(01)
②修正タブ-表示-ラインワークで<オーバーヘッド>を選択(02)
 



 
③平面図に表示したい線を選択(03)
 



 
④ビューのプロパティ下敷参照図をなしに戻す(04)
 



 
この方法で表示した上方の要素は、形状の変更に追随して更新されます(05)。
 
 

マテリアルの作成

マッピング画像の保存
オリジナルのマテリアルを作成するには「マッピング画像」を準備します。画像は256×256〜1024×1024ピクセル程度です。この画像を任意のフォルダに保存します。次にアプリケーションマークから「オプション」を選択し、レンダリングの追加のレンダリング外観のパスに保存先フォルダを追加します(01)。
 
新しいマテリアルを作成する
管理タブ-マテリアル
アイデンティティタブの「名前」に任意の名前を設定(02)
 
外観タブの情報ラベルを展開し、アセットを任意の名前に変更し、一般ラベルのイメージをクリックし保存したマッピング画像を選択(03)。
 



 
再度イメージをクリックし、テクスチャエディタのサンプルサイズをマッピング画像の実サイズに設定(04)
 
同様にバンプも指定して、適用するとリアリスティック以上で表示されます(05)。
 



 
 

目隠しルーバー

手すりで目隠しルーバーを作成します。
 
横ルーバー
①[アプリケーションマーク(右上のR)]-[新規作成][- ファミリ]
②プロファイル – 手すり(メートル単位).rftを選択し開く
③図のようにルーバーの形状をスケッチする(01)
④名前を付けて保存し、プロジェクトにロードして閉じる
 
支柱
100×100の支柱を作成します。建築テンプレートの場合、すでにロードしている手すり子のファミリを利用できます。
 
①[プロジェクトブラウザ]-ファミリ- 手すり「- 手すり子 − 正方形」のタイプを複製(02)
②タイププロパティで名前、マテリアル、幅を設定する(03)
 



 
手すりタイプ
[プロジェクトブラウザ]-[ファミリ]-[手すり]-[手すり]の任意のノードを右クリックして複製する。
 
タイププロパティの[手すりの構造(非連続)]をクリックし、作成したプロファイルを使った手すりを必要数だけ作成する(05)。
 



 
[手すり子の位置]で手すり子ファミリとして、支柱として作成したファミリタイプを主パターンと手すり柱(始端・コーナー・終端)に設定する(06)。目隠しルーバーを手すりで作成すると、高さや始点を正確に設定できます。
 



 

CADデータの断面

Revitでは
DWG/DXF/DGN/SAT/SKPのファイルを読み込むことができますが、直接読み込んだ場合、カテゴリが決まらないので断面を切っても、全体が表示されてしまいます。
 
これらのファイルは直接読み込むのではなく、いったん切断可能なカテゴリのファミリに取り込んでから、プロジェクトにロードすれば、切断面を表示することができます。
 
一般モデルカテゴリのファミリ作成
 
①[アプリケーションマーク(右上のR)]-[新規作成][- ファミリ]
②一般モデル(メートル単位).rftを選択し開く
③[挿入]-[CADデータを読み込む]でCADデータを読み込む。このとき3Dモデルとして読み込むので、「現在のビューのみ」のチェックは解除しておく(02)
④名前を付けて保存。
 
プロジェクトにロードして断面を作成
 
作成したファミリをプロジェクトにロードします。図(03)の青のカテゴリは一般モデル、赤のカテゴリは点景カテゴリで同様に作成たファミリです。(04)両方の要素の断面図を作成してみると図(05)のように、青(一般モデル)は断面が描画されますが、点景は描画されません。
 




 

集計表を使って選択する

 
集計表を使えば、目的の条件に合った要素だけを選択することができます。
 
集計表の作成
壁を例に説明します。サンプルプロジェクトを開きます。
 
①[表示]タブ[- 作成]パネル[- 集計]-[集計表/数量](01)
②[カテゴリ]で「壁」を選択し[OK](02)
③[フィールド]タブの[使用可能なフィールド]から、必要なプロパティを[追加]する(03)
④[並べ替え/グループ化]タブで目的に応じた並べ替えキーを設定する(この例では、ファミリとタイプを第一キーとして並べ替えている)
 



 
ファミリとタイプで選択
 
集計表の任意のタイプをドラッグして選択し、3Dビューや平面図ビューなどに切り替えると、選択されている要素が入ら意図されます(04)。
 
長さで選択
集計表のプロパティ[並べ替え/グループ化]で長さを第一キーに設定します(05)。
 
例えば長さが2000mm以下の壁を選択することが容易に可能です(06)。
 



 

面積の小数点第3位以下を切り捨てる

部屋面積をまとめる時、小数点以下第3位を切り捨てるなどの桁処理を行うことはよくあります。集計表に計算式を追加して計算します。
 



これらのフィールドをまとめて



とすることもできます。面積に戻すのは書式を設定するためです。
 
①集計表のプロパティのフィールドで「計算式」をクリック(01)
②名前に「切捨処理」、タイプを「面積」、計算式に
 「((ROUNDDOWN(((面積 / 1 ㎡) * 100))) / 100)* 1 ㎡」と入力しOK(02)
③書式タブで「切捨処理」を選択し、「形式」をクリック(03)
④プロジェクト設定を使用のチェックを外し、丸目を適切に設定する
 
図(04)は結果を示しています。合計が桁処理後の面積の合計になっていることを確認してください。
 



 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集2「海外のBIM動向&BIM実践」
建設ITガイド 2016
 
 



 

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