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九州地方整備局における三次元管内図の取り組み

2022年9月26日

はじめに

河川CIMの基本フレーム化からスタート
九州地方整備局(以下、整備局)は、河道管理を目的とした河川CIMの導入を平成27年より進めており、これまでに河川CIMの基本フレーム(図-1)(以下、基本フレーム)を代表河川で構築している。
また、本年度からは河川管理の高度化・効率化を図るために河川CIMで培った知見をDX技術に発展させるための検討を進めているところである。
 
 
三次元管内図へ応用・発展へ
この一環として、河川の水系や管理区間の三次元地形データを基礎資料として表示する「三次元管内図」の構築にも取り組んでおり、整備局ではこれに基本フレームを応用・発展させている。
 
本稿では、整備局の基本フレームの構成や活用事例を紹介しながら、「三次元管内図」の概要について紹介する。
なお、本稿でいう「三次元管内図」とは、河川管理用三次元活用マニュアル(案)(2020)の「閲覧機能、GIS機能、検索機能を備えたもの」である。

基本フレームの構成

図-1 基本フレームの構成



 

モデルの概要

基本フレームとは?
河川管理に用いるデータは膨大であり、全てを三次元化することや各種データをモデルに紐付けるとデータ容量が大きくなり、一般的な規格のPCではモデルの動作性が低下し、日常的な使用に適しない。
シンプルかつ職員が使い勝手がよいシステムとするためには職員が日常で活用したい情報を厳選し、必要最低限の情報で構成する必要がある。
このためモデル構成は全体モデル、詳細モデルおよび応用モデルの3部構成とした(図-1)。
なお、各河川共通の基本的情報を全体モデルと詳細モデルに分類し、これを基本フレームとした。
これに、応用系モデルで各河川が抱えている課題に対して必要に応じ、詳細モデルに情報を追加することとした。
情報量が膨大になることが想定されるため、全体モデルから確認したい箇所の詳細モデルへ移行し、必要情報を確認できるなど、操作性も踏まえて検討を進めた。
 
なお、全体モデル、詳細モデルの閲覧については、ICT施工などで事前に保有していたソフトとの互換性なども考慮した上で無償ビューワソフトAutodesk Navisworks Freedomを使用してモデル内容や職員PCでの操作性を検証した。
なお、Autodesk Navisworks Freedomの機能として延長・面積計測や任意箇所の断面化などが可能である。
 
 
全体モデルとは?
全体モデルは、管内全体の地理空間情報を三次元地形上で確認できるモデルとして構築している。
そのデータ構成として、既存の管内図、治水地形分類図を用いて空間的な位置情報を把握し、また、詳細モデルへの索引図としての機能も持たせている(図-2)。
 
 
詳細モデルとは?
詳細モデルは、「川の概要を知る」ために航空写真、河川図(S=1:2500)、距離標を詳細地形に合わせて三次元化したモデルと「川の弱点を知る」ための定期縦横断(4時期)を同様に三次元化したモデルから構成している。
詳細モデルはメッシュデータと点群データの2種類を検討している。
点群データは、既存の横断図は確認できるものの、点の集合体であるため地形に近づくと形状が分かりにくくなる課題がある。
このため、活用場面に応じたモデルの選択なども必要となる。

全体モデルと詳細モデル

図-2 全体モデルと詳細モデル



 

三次元管内図各種データのイメージ

三次元管内図への各種データの取り込みイメージを図-3に示す。
 
 
河床変動および植生の発達状況の把握
河床変動の把握を目的として2時期の河道地盤高を基に標高差を算出し、河床変動量を色付きの点群データとして構築した。
構築したモデルを詳細モデルに追加することで、構築範囲の土砂の侵食や堆積している箇所の把握が容易となる。
加えて、管理基準面が設定されている河川であれば、それとの河道地盤高の標高差を算出することで、河川管理が必要な箇所をより具体化させることが期待できる。
 
また、河道内樹木の把握も同様に行うことで、定量的な評価などが可能となる。
 
 
河川環境情報図の重ね合わせ
植生や生物などの情報を整理した河川環境情報図を地形モデルに重ね合わせたモデルを詳細モデルに取り込むことで、保全対象種が好む物理的環境の特徴把握やその後の地形変状による予測などを行うことが可能となる。
 
 
地質構造の把握
既存の地質データを基に地質縦断図と横断図のパネルダイアグラムを詳細モデルに読み込むことで、地質構造の把握を可能とする。
 
活用事例として、堤防や樋管構造物における変状要因の考察や河床掘削における土質区分確認などが可能となる。
 
 
事業による背後地への影響把握
河川整備計画の形状をCADデータなどから三次元化し、詳細モデルに読み込むことで、事業による現況施設や背後地への影響について事前に三次元空間上で把握することが可能となる。
 
活用事例として、整備後の景観、用地協議対象物、改築が必要となる既存施設などを確認することができ、地元説明や関係機関調整などを行う上で非常に有用なツールとなることを期待している。
 
 
竣工図の重ね合わせ
既存の二次元竣工図を三次元化し地形データと重ね合わせることで、その後の維持管理に活用することが可能となる。
 
活用事例として、河床洗掘後における低水護岸基礎の健全度を評価することが可能となる。
なお、構造物データの三次元化については、詳細部分まで三次元化すると作業量が増えるため、目的に合わせて、構造物の三次元化を簡略的にモデル化するなど河川ごとに随時検討する必要がある。

三次元管内図各種データのイメージ

図-3 三次元管内図各種データのイメージ



 

おわりに

三次元管内図の整備に当たっては、全河川共通情報のほか各河川の課題解決に向けて、適切なデータが組み込まれているのかを意識して行うことが必要である。
 
その中で、三次元管内図が、維持管理・調査・計画設計・施工の各河川管理段階の状態を確認・連携するプラットフォームになると期待している。
 
今後は引き続き三次元データの引継ぎ手法の事例を蓄積し、PDCAサイクルの仕組みを構築し、現場の河川管理のDX化に向けた足がかりとしたい。

 
 

国土交通省 九州地方整備局 河川部 河川管理課

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集1 建設DX、BIM/CIM
建設ITガイド_2022年


 
 



 

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