建設ITガイド

トップ >> 特集記事 >> 2019年6月 特集記事

書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

ICT建築土工への取り組み−掘削BIMモデルとICT建機のデータ連携−

2019年6月28日

 

はじめに

国土交通省は平成30(2018)年4月に「営繕工事において施工合理化技術の更なる活用推進〜i-Constructionの建築分野への拡大を踏まえて活用方針を策定〜」を報道発表した※1。報道発表では「施工BIM(試行)」、「情報共有システム(活用)」、「ICT建築土工(試行)」、「電子小黒板(試行)」の4つの施工合理化技術が示されている。
 
今回、建築工事において掘削BIMモデルとICT建機が連携した「ICT建築土工」に関する取り組みを試行する機会があった。そこで本稿ではBIMモデルとICT建機とのデータ連携の話題を中心として、取り組みの概要を報告する。
 
 

ICT建築土工の概要

「ICT建築土工」は「ICT土工の省力化施工技術を建築工事における根切り・土工事に活用するもの」※2と定義され、掘削工事などでICT建機を活用し、土工事の合理化を推進しようとするものである。
 
ICT建機にはMG(マシンガイダンス)とMC(マシンコントロール)の2種類がある。MGはオペレーターが設計面の横断形状を常にキャビン内のモニターで確認しながら作業を進めるため、設計面付近の仕上げ精度はオペレーターの技量に左右される。一方MCでは設計面に接地した段階で作業機自体に制御(コントロール)がかかり、設計面を侵さず計画したとおりの掘削工事ができる。
 
ICT建機(MG/MC)のオペレーターは、写真-1に示すようにモニター画面に表示された掘削平面や掘削レベルを参照し掘削を進めるため、従来のように掘削範囲や掘削レベルを都度確認する作業員を配置する必要がない。いずれの場合でもICT建機がGNSS(衛星測位システム)により捕捉した座標を読み取り、正確に自分の位置を把握することで制御している。そのためICT建機にはGNSSアンテナ、高精度センサ付油圧シリンダーやIMU(慣性センサー)を搭載している。
 

写真-1 オペレーター目線




 
MGやMCを機能させるためには掘削形状(位置・深さ)に関するデータをICT建機にインプットさせる必要がある。専用のソフトウェアで制御されているため、連携するデータ形式により対応できる内容が異なる。
 
2次元の掘削図データしか用意できない場合は、MCを活用しても水平方向の位置は無制御となり、垂直方向のみあらかじめ設定した高さ(GL/FL基準)で作業機は制御される。MGではモニター画面に表示のみとなる。
 
3次元データ(掘削範囲と掘削レベルを数値化)とICT建機(MG/MC)を連携させると、オープンカットの整形など3次元で座標が変化する面にも制御がかかり、より均一的な掘削の出来形になる。
 
 

BIMモデルとICT建機の連携

建築工事においてICT建機を3次元座標で制御するためには、従来と同様に総合建設会社(ゼネコン)が基礎躯体図をベースとして2次元の掘削図の作成と同時に掘削BIMモデルを準備してICT建機側のソフトウェアとデータ連携する必要がある。
 
今回の試行では当社と機器等の提供者間で、連携に必要となるBIMモデル作成の標準化を写真-2に示すように行った。ICT建機(MG/MC)が必要とするデータはTINデータ※3のため、BIMモデルと連携する際は、データ形式の違いに配慮する必要がある。
 

写真-2 連携の手引き




 
以下にその要点を示す。
 
①データはサーフェスにする
②データは土工の仕上面のみにする
③側面は外側に10mmの傾きを持たせる(図-1)
④法の勾配は70度以下にする
⑤一番底の面をつくる
⑥杭頭、構台杭などの掘削に関係ないデータは削除しておく
⑦尺度はメートル基準にする(土木ではmm単位で作成しない)
 
BIMモデルからTINデータへの変換作業は施工面の面積、変化点数によって前後するが、平均的に1週間程度の作業工程を見込む必要がある。
 

図-1 側面は傾きをつくる




 

BIMを活用したICT建築土工

(1)掘削工事概要
敷地条件:GNSS(GPS等)の捕捉が難しい市街地(写真-3)
工事期間:2018年9月〜11月
掘削面積:約3,300㎡
最大掘削深さ:GL-8.5m
ICT建機:コマツ製。BIMモデルと連携することでMCを適用
その他:現場打杭+鋼管杭+山留
 

写真-3 現場の状況




 
(2)作業の進め方
当社で図-2に示す掘削BIMモデルをRevitにて作成した。作成期間は約2週間である。BIMモデルはデータ連携だけでなく、職員や作業員との情報共有にも活用するため、杭や構台杭なども入力した。
 

図-2 掘削BIMモデル




 
作成したBIMモデルは、当社でサーフェスのみをDWG形式でコマツカスタマーサポート株式会社に渡し、データ変換した。変換作業は2日ほどで完了した。
 
掘削工事にICT建機を使用するため配慮したことは、構台を架設する作業工程を掘削が完了してからにしたことである。ICT建機がGNSSから現在地を取得する必要があるため、構台が先に架設されると電波が届かなくなり、作業が進まないことによる。また、毎日の作業開始前にはICT建機のバケットの刃先の座標位置を確認した。基準点は従来通りの現場の逃げ杭があればよい。
 
(3)効果と今後の課題
掘削の出来形はバックホー各作業機のシリンダーを自動制御しているため、掘りすぎることがなく図-3に示すBIMモデルと同等の出来形となった(写真-4)。掘削作業後に測位誤差を確認したところ、水平精度で5mm〜10mm、垂直精度で10mm〜 15mmとなった。砕石敷き作業は従来と同様に作業員が敷き均しを行い、誤差を調整した。
 

図-3 掘削出来形(BIM)




写真-4 掘削出来形(実際)




 
掘削の作業開始前にBIMモデルの作成などの作業手間が増えているが、掘削工事中は以下の効果が確認できたことから、「ICT建築土工」の適用を今後も進めることができると考えられる。
 
①職員による掘削位置出しや床付面のレベル確認が不要
②バックホーの手元作業員が不要となり、重機との接触事故が防止
③手元作業員が不要となることでバックホーのオペレーターの待ち時間がなくなり、作業の効率が向上
④掘削BIMモデルをタブレット端末で閲覧し、作業員間での出来形イメージを共有することで意思伝達が効率的
 
今後の課題としては近隣で高い建物に遮蔽されGNSSが捕捉できないことで位置情報の精度が確保できないことが挙げられる。どの場所でも適用することができないため、「ICT建築土工」の採用を計画する際は、事前にGNSSの捕捉状況を確認してから採用の可否を考える必要がある。
 
 

おわりに

土木分野におけるICT土工の取り組みに関してはさまざまな報告がなされているが※4、民間工事が中心である建築分野ではこれから適用の検討が加速すると思われる。
 
 
謝辞
今回の取り組みでは、コマツカスタマーサポート株式会社にお世話になりました。また当社関東支店の遠藤聡作業所長には有意義なご助言をいただき、お世話になりました。御礼申し上げます。
 
 


※1 国土交通省HP、「ホーム>報道・広報>報道発表資料」平成30年4月12日
※2 ※1の【参考】p1に掲載
※3 TIN(ティン、triangulated irregular network)は不規則三角形網のことで、三角形の網からなるデータのこと
※4 例えば、以下の事例が報告されている。株式会社大林組土木本部本部長室情報技術推進課、「i-Constructionの先進的な取り組み事例」、建設ITガイド2018、p.66-69、一般財団法人経済調査会、2018.2
 
 
 

前田建設工業株式会社 建築技術部 TPM推進グループ グループ長 曽根 巨充
主任 藤井 周太

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集2「進化するBIM」



 



発注者が主導するBIM −その効果と課題−

2019年6月26日

 
当社は、生業とするITサービス業のインフラレイヤーソリューションとしてデータセンタービジネスも手掛けており、全国17拠点の自社ビルを中心に延べ床面積で60万㎡超を運用している。
 
これらのビルは、電電公社から分割・民営化の際に受け継いだものが大半を占めており、高年次化が進んでいることから随時主要設備を更新するとともに統合と再構築を進めている。今回、その過程の一部として既存の三鷹ビルの隣地に新たなデータセンターを建設した。本稿ではこのプロジェクトにおけるBIMの活用とその効果、課題、今後の展望、などについて述べる。
 
 

建設概要

今回の建設概要は図-1の通りである。
 

図-1




 

プロジェクト要件

世界的なデジタルトランスフォーメーションのトレンドと相まって、その基盤となるクラウドとつながりの深いデータセンターでのビジネスは非常に盛況であり、市場予測では2021年にはクラウドのシェアがコロケーションを追い抜く見通しである。また、ここ数年続いた大都市型データセンターの建設ラッシュは多少トーンダウンしているが、増設・増床のトレンドに変わりはなく、さまざまな変化と競争はさらに加速し激しさを増すだろう。
 
このような状況に対応し、さらに先取りするためわれわれ発注者側が今回のプロジェクトに求めた要件は以下の通りである。
 
(1)性能要件
データセンターの数値的な性能、スペックについての要件であり、以下の3項目である。
 
■高負荷対応:ラック当たり8〜20kVA相当の負荷に耐えられる設備容量とする。
■高効率:基本PUEを1.3以下とし、気象条件などによってはさらに上積み可能とする。
■高信頼性:Tier3をベースとし、部分的(あるいは全体)にTier4にも対応できる設備構成とする。
 
(2)運用要件
データセンターの収支は、竣工後の「使いやすさ」すなわち主用設備増設や更改、点検や保守などの容易さ=運用性の占める要素が非常に大きいため、以下の3項目を設定した。
 
■高い汎用性:将来にわたってさまざまなニーズやレイアウトに対応できるモジュール構成。
■高い運用性:効率的な動線や容易な施工性、保守や点検などでの優れた作業性。
■省リソース:既存データセンターとの一体運用による人員配置の効率化。
 
(3)時間的要件
本プロジェクトでは新たに用地を取得しており、建設に要する投資と合わせると非常に大きな支出となる。投資回収と収益確保の観点から可能な限り短期間で建物を竣工させ、サービスを開始する必要があった。そのため、建築工程を圧縮する必要があり、工法の工夫と並んで意思決定の迅速化と手戻り作業の最小化が必須であった。
 
 

BIM導入の目的

今回のプロジェクトでは、前述の各要件への対応と竣工後のFM業務の高度化を目的としてBIMを採用した。その具体的な内容は、以下の通りであるが、大きくは建設フェーズと竣工後のFMフェーズに分けられる。
 
(1)建設フェーズ
■意思決定の迅速化:IPDの採用
設計者は設計監理、施工者は施工技術と多職種の管理等、おのおのがそれぞれ知見を持つが、多くの建物所有者も建物運用(いわゆるFM業務)についての知見を持つ。当社は、冒頭にも書かせていただいたがこれまでに長年にわたって多くのデータセンターを運用してきた実績があり、FM業務についての相当な知見が蓄積されていた。三者おのおのが持つこれら設計、施工、運用に関する知見を融合させることにより、高性能かつ運用性に優れたデータセンターを限られた期間で構築できると考え、発注者が主体となるIPDを採用した。また、その意思決定のためにBIMを、情報共有のためにクラウドストレージを活用した(図-2)。
 

図-2


 
■運用性の事前検証:
限られた時間で運用性能を確認するため、各階ごとにモデルアップした段階でデジタルツインとして仮の引き渡し(VHO)を受け、BIMのウォークスルー機能を活用し動線や操作性の検証を行うこととした。この段階で指摘が発生した場合は、修正が確認され発注者が確認・了承した段階でモデルが承認されたとして実際の施工に移行することとし、これらはIPDの一環としてBIM実施計画書(以下、BEP)に明記された(図-3)。
 



図-3




 
(2)FMフェーズ
■FMデータの一元管理:
これまでのFM業務では、中長期修繕計画、故障履歴管理、設備台帳管理など業務ごとにさまざまなデータが存在し、また、その様式や保管方法もまちまちであり体系的な管理ができていないことが多かった。そこで、今回の建物ではBIMデータをFM業務の中核と位置付け、業務に必要な全ての情報にアクセスできる唯一のインターフェースとすることを目指した。
 
その第一歩として、設備台帳システムとオブジェクトの属性情報をつなぐデータ連携が可能な仕組みを構築し、属性情報自体もFMで活用することを前提に項目を設定した。
 
これらの項目は、RFI、RFP、発注要件書等にBIMの活用方針として明記され、また、BIM専任担当者の配置も要件とした。
 
 

BIM活用の効果

本プロジェクトでの工事が最盛期を迎えた2017年の夏場は、記録的な長雨によって躯体工事が大幅に遅延し、もともとタイトであった工程はさらに厳しくなった。そのような状況であったが、BIMがその効果を遺憾なく発揮し工程の遅延防止に大きく寄与した。以下にその詳細を述べる。
 
 

意思決定の迅速化

IPDのツールとしてBIMモデルによるプレゼンテーション活用し、総合図の確認や承認の迅速化が図れた。
 
 

運用性能の事前確認

VHOは実際の運用性能を確認するVHO(1)と、それに加えて外部システムとのデータ連携を確認するVHO(2)に分けられたが、その実施により効率的かつ実践的に運用性能の事前確認ができた。VHO(1)での指摘や改善依頼事項は100を超えたが、施工前の段階で全て完成検査時に運用性能に関する指摘事項はゼロとなり、手戻り作業がほとんど発生しなかった。その結果、当初想定どおりの期日でサービス開始にこぎつけることができた。結論として、IPDにおける意思決定、VHOにおける運用性検証にはBIMが極めて有効なツールであり、建設プロジェクトのマネジメントを高度化し得ることが確認できた(図-4)。また、建物運営に必要なさまざまなデータの一元管理についてのベースを築くため、今回は設備台帳システムとのデータ連携にも取り組んだ。これについてはVHO(2)を実施し、データ連携に問題がないことを確認した。合わせて属性情報の入力内容についても確認し、入力作業の手戻りも削減することができた(図-5)。
 

図-4




 

図-5




 

BIMの普及に向けた課題

今回のプロジェクトでは、これまでの記述の通り建設フェーズ、FMフェーズ双方において発注者がBIMの導入を主導することの大きな有益性を確認することができた。また特にFMフェーズでは将来的な業務改善に向けた大いなる可能性も確認された。しかし、今回ここに至るまでには少なくないコストと社員稼動を要し、また、BEPやモノ決めルールの制定についてもさまざまな試行錯誤が必要だったことも事実である。当社では当初から必要なリソースを想定して充分な内部説明をすることでそれらを確実に確保できたが、常に同様にできるかどうかは確実ではない。それは当社以外でも同様であるだろうし、BIMの導入と活用について発注者にとっての決して低くはないハードルであろう。
 
この命題に対し、著者が考える対応方法を以下に述べる。ただし、これらはあくまで私見であり異論があるのは承知であるので、その点はご了承いただきたい。
 
(1)課題
課題は、当然ではあるがBIMのさらなる普及と発注者の意識改革である。この二つはある意味では相互補完的である。施工フェーズにおける設計者、ゼネコン、サブコンでのBIMの普及、デフォルトツール化による幅広い普及は、必要なコスト削減にもつながる。そこに発注者の意識変化が加われば、相乗効果的に発注者によるBIM活用も増加していくであろう。
 
(2)課題への解決
では、どのように解決すればよいのだろうか。BIMの普及については、まずは公共工事におけるBIM活用方針の明確化とガイドラインの整備が挙げられる。2018 年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」で「i-Construction」を建築分野にも拡大する方針とともに、官庁営繕工事における施工BIM等の施工合理化技術の活用の試行、BIMガイドラインの改定等について示されている。これを受け国土交通省は、建築分野における生産性向上に向けた基準類改定の第3弾として、BIMガイドラインの改定等を行った。内容は「共通編」、「設計編」、「工事編」の構成となっており、特に「設計編」や「工事編」については、ガイドラインとしてある程度まで活用できるレベルに引き上げたことは評価すべきであろう。しかし、諸外国、例えばイギリスなどと比較すると、到達レベル目標やその期日目標が明確になっておらず、BIMの体系的な普及に向けた戦略的な方針が見えてこない。一定規模以上の建築プロジェクトではBIM化を推進(原則採用)し、また、レベル的には○○年までにレベル○を実現する、といった行政による明文化された方針提示が必要であろう。
 
このガイドラインの整備と方針提示については、発注者主導のBIMの普及についても同様である。
 
多くのアセットや建物資産を持つ企業や団体は、主なところでは以下の3つに分類される。まずは大手のデベロッパーや不動産会社、もともとは政府系や公的な機関だったが現在は民営化されている企業、そして政府系や公的な機関である。これらのうち政府系や公的機関は、公的なガイドラインに制定された内容については導入のハードルが格段に下がる。
 
また、もともと政府系や公的機関であった企業も同様の傾向がある。しかし、現在のガイドラインでは、FM領域でのBIM活用については全く触れられておらず、BIMの持つ可能性を考慮すると片手落ちであるといわざるを得ない。「工事編」の中に「収まり調整」の項目はあるが、主に施工各社の取り合いについての観点のみで、運用性についての事前確認の観点、すなわち動線や作業性の確認についての記載は見られない。これら以外にも、FM観点での属性情報の記載事項や設備台帳システムとのデータ連携などについては、基本的な方針だけでも明示してほしいところである。もっとも、この領域については、ほとんどの諸外国のガイドラインでも同様であり、日本国内だけの問題ではないことは確かである(だからこそ世界に先駆けてほしいのだが)。
 
次に、BIMソリューションベンダーの営業方針も要因の一つではないかと考える。
 
ほとんどのBIMベンダーは、設計、施工各社以外の発注者側にはほとんど提案活動をしていないが、販売量を鑑みるとこれは全く致し方ないことである。しかし、建物所有者も顧客になり得るという観点も持つ必要があるのではないだろうか。
 
BIMをFMに積極的に活用しようという明確な意思を持つ発注者は、現時点ではまだまだ少数であろう。しかし、建設フェーズと合わせてFMフェーズでのBIM活用の有効性や将来的な可能性について、発注者の課題解決の観点から提案を受けられるのであれば、興味を示すケースも多いはずである。そして、その中の幾つかは導入に踏み切ることもないとはいえない。
 
最近、さまざまな機会で今回のプロジェクトでの取り組みを紹介しているが、その反響から発注者には潜在的なBIM需要が非常に多いと感じる。日本国内でBIMをより発展させるためには、行政による将来を見据えたグローバルレベルの骨太な方針設定、公共事業をメインに施工BIMのデフォルト化によるコストダウン、ならびにソリューションベンダーの積極的な提案活動による発注者の潜在的な需要を掘り起こすことが必要だと考える。
 
 

おわりに

これらの関係各所の取り組みは、BIMが浸透し発展するために必要ではあるが、著者は、BIMはその情報を発注者が有効活用してこそその使命を全うすると考える。
 
そのためには、発注者が設計・施工ツールとしてのBIMだけではなく、ライフサイクル全般を管理できる統合建築情報としてのBIMの価値もよく理解する必要がある。そして、明確な目的と強い意志を持ってBIMの導入を推進することが肝要である。
 
 
 

株式会社NTTデータビジネスソリューション事業本部ファシリティマネジメント事業部PM推進担当 
佐々木 淳 

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集2「進化するBIM」



 



建設現場の働き方改革を実現する 「建設現場IoTソリューション」

2019年6月21日

 

はじめに

建設業界における動きの一つとして4週8休の現場の実現、時間外労働の削減などをめざしており、今までと同じ工期で同業他社との競争力を維持するために「生産性の向上」、「時間外削減」への取り組みは必須である。国土交通省は「i-Construction」でICTソリューション活用の取り組みを急ピッチで進めている状況にあり、これらは建設現場へのICT/IoTの導入なくては実現できないと考えられる。
 
 
 

ICT/IoT導入に立ちはだかる壁

ドコモは、2017年より建設現場でのICT/IoT導入検証を行っている。建設現場におけるICT/IoT活用の課題を以下のように仮定し、現場における価値を創出するためデータを取得する方法を検証した。
 
①個別最適システムの導入や、研究目的の技術検証にとどまり、現場利用が進まないのではないか。
 
 
②建設現場を可視化するデータを、精度・費用対効果高く取得することが難しいのではないか。
 
 
③建設現場での活動に関する理解が低く、十分な経済効果が出せていないのではないか。
 
 
④現場における個人情報やバイタル情報を含むデジタルデータ取り扱いの経験が浅いのではないか。
 
まず、「ドコモのIoTは現場主導型」であるべきとした。課題起点でソリューションを検討し、現場のオペレーション(現場運用)まで踏み込む。そして、現場をデジタル化し得られたデータを分析することにより、現場業務プロセスを変革させ、効率化し働き方改革の実現に寄与する。これは、本プロジェクトにおけるドコモのミッションである。
 
 
 

建設現場IoTソリューションで作り上げる世界観

ICT/IoTで取得されたデータを「価値あるもの」とするためには、個別商材の可視化レイヤーで議論をするのではなく、その上位にある分析レイヤーで価値あるデータの組み合わせを発見することが重要であると考えている(図-1)。
 
建設現場に関わるデータを集め、それらを組み合わせて建設現場のノウハウを注入し、その結果、生まれた意味のあるデータによりお客さまに今までにない価値を提供することができるという事業そのものが、「建設現場IoTソリューション」なのである。
 
ドコモは、価値あるデータを組み合わせることを建設業界で共通化できるのではないかと仮説を立てた。その共通化の営みをドコモ自身が取り組むことで、建設業界におけるイノベーションを生み出すことができると考えている。
 
ドコモが2018年2月に、建設現場のデジタル化により、建設現場の工程・品質・安全・原価管理に寄与するトータルソリューションの提供を報道発表した。このソリューションは、業務プロセスの変革を実現し、大きく6つの提供価値の実現をめざしている(図-2)。
 
また、建設現場IoTソリューションは建設向けオープンプラットフォームであるLANDLOG上に構築され、そこに蓄積されたさまざまな情報を相互に連携することで、データの価値をさらに向上させることができる。
 

図-1 建設現場でめざす姿


 

図-2 建設業界向けソリューション




 
 

LANDLOGの取り組み

LANDLOGは、2017年10月にコマツ(代表:大橋徹二)、ドコモ(代表:吉澤和弘)、SAPジャパン(代表:福田譲)、オプティム(代表:菅谷俊二)の4社で立ち上げた、建設現場に関わる全てのモノデータをつなぐプラットフォームを運営する合弁事業会社である。
 
建設業界に関わる各企業は、建設生産プロセスのICT化を進めているが、それぞれのデータは企業ごとに隔離されており、相互につながっていない。実際、コマツのICT建機は建設生産プロセス全体から見た場合、貢献できる領域は一部分であり、生産性だけでなく、現場の安全性も向上させるには、建設生産プロセス全体のデータの収集と一元管理するプラットフォームが有効であるとの発想からLANDLOGが生まれた経緯がある。
 
ドコモが取り組む建設現場IoTソリューションとLANDLOGが相互に協力することによって、これからの建設業界のデジタルトランスフォーメーションに貢献できると考える(図-3)。
 

図-3 LANDLOG




 

建設現場IoTソリューションのPoC

2017年よりドコモは実際の建設現場でPoCを複数回実施してきた。それぞれテーマを決め、実際の現場からさまざまな知見を得ることができた。
 
今回のPoCでは、ICT/IoT機器の利用感のヒアリングにとどまらず、「取得・分析されたデータに異常値が認められた際、何をしていたか?」などの状況確認を行い、分析データが示す意味についても把握した。これにより、建設現場におけるさまざまなシーンで「効率化の余地」があることが分かった。例えば、労務時間短縮の観点では、「現場巡視の導線をマネジメントすること」や、「現場の写真整理を伴う書類作成業務を自動化すること」などが挙げられる。この他にも、「高所作業車の稼働率の把握による有効活用やレンタルコストの圧縮」、「バイタルデータの把握・分析による体調不良や精神疲労の予兆だけでなく、作業環境や作業場所のデータを組み合わせることで、労災を未然に防止する」といった、建設現場におけるICT/IoT活躍の可能性を見いだせた。
 
一方で、ICT/IoT機器に不慣れな現場作業員に対する操作支援など、運用面での課題も浮き彫りとなった。特に重要な気付きは、ICT/IoTを導入する際の本社と、現場での導入効果に対する“指標”が異なる点である。現場における重要指標は、「安全・品質・納期」であるが、本社組織の重要指標は、「コスト削減・時間外削減」である。つまり、現場では「納期遵守や品質・安全」に寄与する仕組みでないと、利用のモチベーションが上がらないということである。このことから、いかに「現場に寄り添い支援する仕組み」を構築していくことが重要であるかを認識した。
 
 
 

そして建設現場IoTソリューションへ

実際に現場に出向いて建設現場従事者の方々とコミュニケーションをしたことで、真に現場で活用できる現場オペレーションを最適化するソリューションを構築することができた。
 
ドコモ建設現場IoTソリューションは、現場のアナログな情報をICT/IoTでデジタル化し、現場で起きるリアルタイムな変化を、建設現場従事者に共有し、意思決定や最適行動を即座にできるよう支援する。
 
これにより、非生産時間である移動時間や手待ち時間、現場巡視時間、書類作成時間などを削減する。さらに、コミュニケーションログやIoTデバイスから取得したビッグデータを解析し、現場での遅延予兆や危険行動の検知も実現することで迅速な現場対応を可能としている。さらに、AIを活用することで、より高度な分析・予兆予測・最適解の導出など、より多くの価値を創出するように進化をめざしている。
 
ドコモのソリューションは、単にアプリケーションを提供するのみならず、デジタルを活用した最適な業務プロセスを提案し、それが現場に定着化するまで支援するチェンジマネージメントの役割も担っている。
 
最後に、ドコモは自らのアセットである通信、データ分析、AIをフルに活用し、建設業界のデジタルトランスフォーメーションの推進を支援していきたい。これは、業界の知見を持ったさまざまなパートナーとの連携が不可欠であり、この取り組みも強化していく。
 
 
 

株式会社NTTドコモ 法人ビジネス本部 IoTビジネス部 ソリューション営業推進担当部長 仲田 正一

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集3「建設ITの最新動向」



 



公共建築におけるBIM実例 −気象庁虎ノ門庁舎(仮称)−

2019年6月19日

 

工事概要

工事名称:気象庁虎ノ門庁舎(仮称)・港区立教育センター新築工事
発注者:鞆絵サイエンスパートナーズ株式会社(PFI事業発注者:国土交通省関東地方整備局、気象庁)
設計者:気象庁虎ノ門庁舎(仮称)・港区立教育センター大成建設・梓設計 設計共同企業体
施工者:大成建設株式会社東京支店
工期:2017年4月〜 2020年2月末予定(35ヶ月)
主要用途:事務所、博物館、図書館
延床面積:42,861.63㎡(12,988.37坪)
階数:地下2階、地上14階、塔屋1階
 






 

はじめに

PFI事業提案項目の一つである「BIMの活用」を主題に、プロジェクト初期である設計段階の設計BIMデータを引き継ぎ、施工段階の施工BIMの活用を進めています。
 
初めは施工所員や関係者にBIM経験者が少なくどのように扱うべきか、試行錯誤の船出となりました。時間やコストに制限がある状況で、本社BIM計画室のバックアップの下BIMの効果を期待できる範囲や目的を絞って実践することにしました。
 
 

 

「BIMを使う」〜所員全員で共有・活用〜

「BIMを作る」のではなく「BIMを使う」ことを意識して取り組みました。
 
まず、BIM計画室のスタッフ講師を招き作業所所員や設備業者が参加し「BIMを容易に操作できるビューワソフト(Navisworks)の基本操作の勉強会」を開催しました。設計から受領したLOD200の設計BIMを、LOD300〜400の施工BIMにブラッシュアップしました。施工BIMは仮設計画、BIM施工図、免震干渉チェック、躯体・内装・設備の納まり検証に活用しました。会議や所内定例ではプロジェクターでBIMを投影し、所員全員がBIMの新しい世界に触れました。
 
 

BIMで仮設計画

作業所員と作業所常駐のBIMオペレーターで建物BIMに仮設を取り込んだ仮設計画BIMを作成し、施工検証や関係者への周知に活用しました。
 
(1)地上施工STEP検証
BIMを利用して地上の施工STEPを見える化しました。
見る方向や角度、視点を自由に変えることができるので、施工検証や関係者とのイメージ合意が容易に行えました。
 

地上躯体・外装工事のSTEP計画




 
(2)球体プラネタリウム回りの仮設検証
BIMを活用して球体プラネタリウム回りの仮設計画を作成しました。仮設足場の施工STEPを見える化することで、施工性、安全性の検証がスムーズに行えました。
 

球体プラネタリウム回りの仮設計画(鳥瞰内観、鳥瞰外観)




球体プラネタリウム躯体の施工STEP仮設計画




 
(3)外部スライディング足場の検証
BIMを利用して外部足場に採用したスライディング足場の施工STEPを作成し、施工性、安全性の検証および関係者への周知に活用しました。
 

スライディング足場の施工STEP




 

BIM施工図に挑戦

LOD300にブラッシュアップした施工BIMで躯体図作成に挑戦しました。
 
工事担当者やBIMオペレーターと何回もやりとりしBIMデータで躯体図を作り込みました。今までの2次元CAD躯体図に特有な、柱梁スラブ等の符号表記、フカシの描線、寸法線の表記を図面レイアウトに出力調整として重ね、床伏躯体図の承諾申請図として活用できました。
 

LOD300にブラッシュアップした施工BIM




 

施工BIMから出力した床伏躯体図




 

免震層の地震挙動干渉チェック(建築物・設備機器)

施工BIMを活用し、地震挙動に対する免震層の躯体や設備機器相互の挙動干渉チェックを行いました。
 
免震層は施工BIMをLOD400にブラッシュアップしました。免震装置は各固定ボルトや定着板等部品ディテールまで再現し、躯体はフカシや面取り形状を再現しました。設備機器や配管類はエルボやフランジ、保温材等部品ディテールまで再現しました。BIMデータパラメータの地球側と建物側を色分けで表現し、免震装置の挙動範囲を疑似モデル化し、躯体、免震装置、設備機器、配管等相互の挙動干渉チェックを干渉レポートで確認しました。また、ウォーキング機能を活用し、免震装置の将来メンテナンス用ルート確保の検証を行いました。
 



LOD400にブラッシュアップした免震装置
 
 

地震挙動に対する干渉レポート(自動干渉チェック)




 
 

球体プラネタリウム製作図にフル活用

BIMの利点を生かし、プラネタリウム回りの3次元固有の球体や斜め部材相互の納まり検証、設備部材等の取り合い検証を行いました。
 
2Dの図面だけでは難しい階段と球体取り合いを、さまざまな角度からの鳥瞰図や断面図や重ね図で映し出し、納まり検証、干渉チェックをしました。ブラッシュアップした施工BIMから躯体図検討図を出力することができました。
 

プラネタリウム(躯体図)




 

BIM活用の効果

(1)BIMの世界によるイメージの視覚化により、複雑な納まりの早期理解や正確な認識と判断が可能になりました。また相互のイメージの共有化により、複雑な納まりに対する関係者の認識合意を早期に得ることができました。
施工段階における施工図面の作り込みや協議、図面承諾行為にかかる全体作業時間を約40%削減することができました。
 
(2)建築モデルと設備モデルを統合することで建築と設備の3 次元的な干渉チェックが相互容易に可能となりました。干渉範囲は干渉レポートとしてリスト化され、干渉部材の見える化が容易となりました。干渉部材の改善方針を決定し改善後の再干渉チェックを行うことで、建築と設備の最終的な納まり決定の合意につながりました。
 
(3)ウォーキングビュー機能を活用し、
免震層BIMでは空間把握が容易になり、免震装置交換ルートのイメージ共有ができました。今後は運用維持管理計画に反映する予定です。球体プラネタリウムBIMでは映写室へ向かう回廊を視覚化し、異空間への導入アプローチイメージの共有や内装材の材質感・色艶・材料形状の仕様検討を早期に認識合意することができました。
 
 

BIM活用の課題

(1)現状は従来の2D CADとBIMのソフトが混在する中で、BIMのソフトだけでも複数あり、互換性の問題でうまくデータ移行ができないことがあります。そのため互換性の確認業務から作業が始まります。
 
(2)さまざまな情報を統合する関係上ファイル容量(情報量)が大きくなります。そのため高性能なパソコンが必要になります。
 
(3)BIMと従来の2D CADで符号表現が異なるため、BIM符号に慣れるか従来の符号をBIM出力後に貼り付けるかの手を加える必要があります。
 
 

今後への手応え

経験を重ね、BIMへの理解が深まればBIMはますます有効なものになると確信します。
 
BIMを作成、操作するオペレーターやBIMマネージャーだけでなく、作業所所員、関係専門工事業者やその作業員、そして設計者やお客さま、施設を運用・管理する人たち、それぞれがBIMを理解し、「BIMを使う」ことができたら私たちの仕事は大きく変わると思います。
 
 
 

大成建設株式会社 気象庁虎ノ門庁舎(仮称)・港区立教育センター新築工事作業所 追手 裕

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集2「進化するBIM」



 



建設業界でのDropboxの活用 −時短効果で人件費圧縮にもつながる−

2019年6月14日

 
Dropboxビジネスプランは建設業でも多くの会社に利用されています。契約法人は1,200社を超え、大企業から中小企業まで幅広い支持を得ています。活用シーンは、直面している課題に応じてさまざまです。
 
例えば部門ファイルサーバーの逼迫(ひっぱく)です。画像データ、3DCADデータ、積算データなど、データ量はどんどん増えて膨大になります。ファイルサーバーの容量をこれ以上拡張できなくなるという事態に直面し、Dropboxの採用に至る例があります。
 
ネットワークに接続して利用できるハードディスクであるNAS(ネットワークHDD)を廃止する代わりにDropboxを採用する例も見られます。世界各地に展開する500〜600カ所の現場でNASを廃止し、Dropboxに置き換えた会社もあります。
 
モバイル端末やタブレット端末を用いて外出先で必要なデータを確認するため活用する例もあります。この他、社内外との情報共有、NASやファイルサーバーのバックアップという役割も果たしています。竣工後のデータをアーカイブしたり提供したりするシーンでも活用されています。ファイルサーバーに保存したりCDやDVDで保管したりするのと違って、Dropboxなら、過去のデータを活用しやすい。ナレッジの継承に役立てる例も多く見られます。
 
同種のサービスは、他にもあります。それにもかかわらず選ばれている理由は、どこにあるのでしょうか。
 
 
 

ファイルの作成や更新はサーバーやNASと同じ感覚

まずエクスプローラーで使い勝手がいいという点です。Dropboxはパソコンのデスクトップ上で扱うという使い方が95%に達します。そこで用いるローカルファイルと同じように、フォルダー構造で利用できます。慣れ親しんだインターフェースでそれまでのファイルサーバーやNASと同じ感覚で利用できるというのが、理由の一つです(図-1)。
 
Dropboxはインストールするとそのフォルダーが作られます。このフォルダーの中でファイルを作ったり上書きしたりすると、特別な操作なしにクラウド上でファイルを作ったり最新のものにすることができます。ファイルサーバーと同じ操作感でクラウドの最新テクノロジーを利用できます。
 
2つ目の理由は、オンラインでもオフラインでも利用できて場所を選ばないという点です。
 
市街地の現場であれば、オンデマンドでデータをダウンロードできます。一方、通信環境がなく、そうはできない郊外の現場でも、フォルダーを一括してあらかじめダウンロードしておけば、キャッシュされたファイルを表示・編集することが可能です。通信環境が良くても悪くても利用できるという点も、大きなポイントです。
 
同じようなサービスも他社から提供されていますが、それらはオンデマンドでデータをダウンロードする市街地用ソフトと、ローカルにキャッシュできる郊外用のソフトに分かれていて、同時に利用できないのがほとんどです。それに対してDropboxは市街地用と郊外用のハイブリッドな環境を提供できます。
 
さらに、高速な同期、ネットワークの帯域を逼迫させない、通信環境が不安定でも快適に利用できる、という点も挙げられます。
 
実際に利用されているとご理解いただけると思いますが、圧倒的に速いのです。大容量ファイルの同期テストを行ったところ、他のサービスに比べ最大10倍以上の速度差があることが明らかになりました(図-2)。画像データやCADデータ、Excelでも工程表など大容量のデータを遅滞なくやり取りできます。
 
なぜ、そこまで速いのでしょうか。
 

図-1 従来通りの使い勝手が選ばれる理由の一つ


 

図-2 大容量ファイルの同期テスト結果




 
 

ファイル分割通信が途切れる環境でも利用可能

Dropboxではデータをブロック単位に分割し、それぞれハッシュ値という値を基にそのユニーク性をチェックしています。同じハッシュ値を持つブロックがクラウド上にある場合はそれを除外して、そこにはないブロックだけを同期させていきます。そのため、他のサービスに比べ圧倒的に速いのです。
 
ファイルをブロック単位に分割していることから、通信環境が悪い現場でも安心してデータをやり取りできる良さもあります。
 
例えば大容量のCADデータをやり取りする場合、通常は、通信が途絶えると初めからアップロードやダウンロードをやり直すため、翌朝まで時間がかかることもあり得ます。しかしDropboxは、アップロードやダウンロードし切れなかったブロックから作業を再開します。時間はそうかかりません。
 
経営層にはセキュリティは問題ないかと聞かれますが、デバイスやデータを保管するストレージの間は全て暗号化され、データそのものはブロック単位に分割され、圧縮・暗号化されているセキュアな環境下にあります(図-3)。
 
Dropboxビジネスプランを3年利用している建設会社の例をご紹介します。導入コストがかかる一方で、現場のNASを撤去したり時短効果が上がったりしたことで削減コストも生じました。それらを差し引きすると、現場4カ所の平均で120万円ほどのコスト削減効果が生まれています(図-4)。
 
現場では作業員から質問を受けると、持ち歩いているタブレット端末ですぐにDropboxのデータを確認できます。事務所などに戻ってから対応するのではなく、その場ですぐ質問に回答できるようになりました。また現場と事務所が離れている場合には、Dropboxを活用して移動中の隙間時間で仕事ができます。それらが時短効果を生んでいます。
 
その時短効果を定量化すると、1現場で1人1日10分。現場の稼働が月20日間とすると月3時間ほどになります。仮に1時間の人件費を3,500円、利用者数を500人とすると、月間525万円、年間6,300万円もの人件費圧縮が可能になるという計算です。
 

図-3 データセキュリティ


 

図-4 導入によるコストの増減は差し引き120万円




 
 
 

Dropbox Japan株式会社 営業本部 部長 古舘 昌孝

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集3「建設ITの最新動向」



 



前の5件
 

新製品ニュース

クラウドを用いたICT重機管理システム 「MC1 iRoller」


建設ITガイド 電子書籍 2021版
建設ITガイド2021のご購入はこちら

サイト内検索

掲載メーカー様ログインページ


おすすめ新着記事

 



  掲載をご希望の方へ


  土木・建築資材・工法カタログ請求サイト

  けんせつPlaza

  積算資料ポケット版WEB

  BookけんせつPlaza

  建設マネジメント技術

  一般財団法人 経済調査会