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建設DX活用事例

建設ソフトやハードウエアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

一貫計算から構造図作成・躯体数量算出まで

AroundWood 一級建築士事務所

任意形状一貫構造計算プログラム「ASCAL+ASTIM」

AroundWood 一級建築士事務所
所在地:山形県山形市
設立:2023年9月
主な事業内容:建築構造設計
 
AroundWood 一級建築士事務所
佐藤 弘光 氏
 
木造を中心に活動するAround Wood一級建築士事務所の佐藤弘光氏は、設計の自由度と業務効率の両立を重視し、ASCAL・ASTIMを導入した。
任意形状解析との比較で入力効率や一貫計算による成果物の整合性を評価し、木造・鉄骨・RCの併用構造やルート3を含む木造の保有水平耐力計算にも対応する汎用性を高く評価している。
さらに構造図作成や躯体数量算出の自動化により、施主との打合せや設計提案の初期段階が円滑となり、業務効率化に大きく寄与している。
 
 

ASTIMとの出会い

前職中に木造の構造計算をASTIMで行う機会があった。
それまで任意形状解析ソフトを使用していた私にとって、軸や層に縛られる入力に使いにくさを感じていた。
特に斜面の入力が二次元の入力なので分かりづらかったことを記憶している。
ただ一度入力してしまえば、多少の変更は素早く結果が出せることに、一貫計算ソフトも良いところはあると感じた。
 
 

構造計算ソフトの選択

導入ソフトの検討

開業時、どの計算ソフトを導入するかいろいろと検討した。
 
1. 任意形状解析ソフトを使用しフレームモデルの応力解析を行い、部材応力をCSVなどに出力し、Excelなどの外部ソフトで検討する方法。
2. モデル制限はあるが、一次、二次設計まで一貫して計算を行う方法。
 
1の場合、三次元空間に節点を設けることができるので解析形状の自由度が高く、複雑な形状にも対応可能である。
しかし計算として必要な仮定荷重や部材検討など別途計算しなければならない。
2は層や通りに縛られることが多く、1に比べ自由度は低いが、構造計算書として一式の出力が可能で、設計変更などにも対応しやすい。
 
私が木造の構造計算を始めた1996年頃はまだ木造の一貫計算ソフトなどが少なく、Excelなど表計算ソフトを使って、ほぼ手計算で木造住宅の構造計算書を作成していた。
その後、設計の自由度を広げるため、建築基準法施行令第46条第2項第一号の規定(木造設計の2項ルート)より、耐力壁の必要壁量を計算する仕様規定を必要としない建築物の構造設計を始めた。
耐力壁を使用しない躯体形状は主にブレース構造で、任意形状解析ソフトの使用により構造計算書を作成するようになっていた。
面材を使った耐力壁も剛性を評価してブレース置換を使用すれば、任意形状解析ソフトでも解析できる。
自由度が高いなら1で問題ないだろうと考えていた。
 
独立開業し将来的に仕事の幅を広げるためには、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の構造計算、および木造との併用構造などが対応できるソフトが良いと考えるようになる。
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造それぞれのソフトをそろえるとなると、初期費用も大きくなるし、各ソフトの入力方法や使い方を一から習得しなければならない。
ASCAL・ASTIMでは木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造が計算でき、併用構造も同一ソフトでできる。
また木造で保有水平耐力計算までできるソフトは数少なく、ASTIMはルート3の木造も対応可能となっていた。
当面一人で構造設計業務を受けることになれば、構造計算書作成だけでなく、構造図作成も行わなければならない。
計算機能だけではなく、設計業務一連の流れの中でどのように効率を図れるかも重要で、解析モデル入力の効率、計算適用範囲、計算データを基とした図面化の効率、計算書データのアウトプットの対応幅などが挙げられる。
 
ASCAL・ASTIMでは入力の効率や、図面化、躯体数量の算出などプラグインソフトや、オプションソフトで幅広く対応しているソフトである。
ASTIMは標準で構造図作成、躯体数量算出にも対応している。
 
図-1入力効率を高めるプラグインソフト
図-1入力効率を高めるプラグインソフト
 
 

ASCAL・ASTIMの導入

検討した結果ASCAL・ASTIMの導入を決めた。
木造をメインで開業した事務所だが、最初に依頼されたのは鉄骨造の解析だった。
ASCALで鉄骨造の解析モデル入力する方法はASTIMと同じで、使用材料の違いによるパラメーターの入力だけだった。
ASTIMの入力に慣れていたおかげで、抵抗なく入力できた。
 
図-2 鉄骨造の3Dモデル
図-2 鉄骨造の3Dモデル
 
木造では3000m2 程度の大規模化、4層以上の中層化した木造が増えた。
解析モデルの大規模化が進むと、解析モデルの通り芯が増え、解析節点が多くなる。
ASTIMでは通り芯はそのまま軸組と して認識するので、通り芯が増えるとデータが重たくなり、解析時間がかかるようになった。
住宅以外の用途では、木造の間崩れしたプランは多い。
 
図-3 中層木造の3Dモデル
図-3 中層木造の3Dモデル
 
図-4 大規模木造の3Dモデルと解析モデル
図-4 大規模木造の3Dモデルと解析モデル
 
鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ、木造は柱本数が多い分、通り芯が多くなることは必須になるので、ASTIMの処理速度の高速化を望む。
 
構造図の図面化はASTIM、ASCALで出力できる。
出力時に文字のフォント変更や部材記号や接合金物の出力指定などが可能である。
ある程度の文字位置調整は必要だが、構造図として使用できる図面が出力できる。
初期の構造提案時にある程度の図面化ができることは、お客さまとの打合せで助かっている。
一度入力に慣れてしまえば、幅広い構造種別と解析形状に対応でき、仕事の幅が広がる。
現在私にとって必要不可欠な構造解析ソフトとなっている。
図-5 構造図のCADデータ出力
図-5 構造図のCADデータ出力
 
 
 
この記事は「建設ITガイド」2026に掲載されたものです

公開日:2026-05-25

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