専門知識はゼロでも使用できる本格ソフト 企画~維持管理段階の幅広い検討で活用可能
設計者のためのシミュレーション
「FlowDesigner」は、2003年にファーストバージョンをリリースした純国産の熱流体解析(CFD)ソフトウエアである。
操作性・計算安定性/速度などを極限まで調整を重ねているため、研究者でなくてもさまざまな設計のアイデアを素早く検討することができる。
気流の速度や温度を直接見るだけでなく、16風向の影響を解析する風ランク評価機能や室内の空気の入れ替え状況を示す換気効率指標/ 換気回数、PMV・SET*などの体感温度を示す快適性指標、暑い環境下での活動リスクを示す熱中症指標など建築環境設計の実務で必要な機能を網羅している。
現在では数多くの組織設計事務所や総合建設会社、設備設計会社のみならず、短い授業期間でも使いこなせる操作性から大学の建築学科でも授業・研究活動で採用されている。
目には見えない空気の流れを見える化
例えば、クライアントに空調方式やレイアウトを提案する際にその付加価値を十分に理解してもらうことは容易ではない。
それは空気の流れ/熱の広がりが目には見えず、試しに空調を設置してみることが難しいからである。
シミュレーションソフトを用いることにより、空間全体の温度や空気質の分布を3次元で見える化でき、画像や動画で出力すれば直感的に分かりやすいアウトプットが作成可能である。
コンピューター上で訴求力のあるアウトプットを簡単に作成できるため、コストを抑えつつさまざまな設計案を比較検討ができ、その付加価値・意図を齟齬なく伝えられる。
温度分布も考慮した設計
一般的に空調設備の導入をする際には、空間内の熱負荷を相殺することができる十分な能力と台数を見込んだ「熱負荷計算」を基に設計を進める。
図-1では空調能力は同じだが、排気口の位置が異なる2案を比較している。
この例では能力が同じであるにも関わらず、大きく室内の温度分布の状況が異なる。
大空間の気流・温度コントロールは難しく、温度ムラやショートサーキットが生じているためである。
熱負荷計算は室内の熱の収支を求めることができるが、実際に空調の効果が出ていないリスクも考えられる。
事前に空気の流れを見える化することにより、合意形成を得やすくするだけではなく、空間の特徴を考慮した設計、ランニングコスト低減により省エネ効果が期待できる設計が実現できる。
素早く課題を解決できる操作性
昨今、建築に携わる技術者を取り巻く社会的課題は多岐にわたり、その一つとして
「省エネ法」がある。
2023年4月の改正では、工場・事業所を持つ事業者はより厳しいエネルギー規制に対応しなければならなくなり、設計や維持管理などのフェーズにおいて気を遣うことが増えてきている(図-2)。
一方で、労働人口減少による人材不足も相まっており、業務効率化・生産性向上も課題である。
このような背景から限られた時間で最適な設計案を検討しなければならないが、 FlowDesignerは限られた時間で手軽に検討を行えるように考慮されている。
例えば、マウス操作による直感的なモデル作成や3次元CADデータの取り込みにより、モデリングを簡易的に行い計算のフェーズに入ることができるなど、ユーザーの置かれている状況に寄り添ったソフトウエア開発に取り組んでいる。
FlowDesignerの機能
- ライブラリのドラッグ&ドロップで簡単モデル化
複数のオブジェクトを組み合わせて作成したパーツを「ライブラリ」へ登録すれば、ドラッグアンドドロップで解析モデルを作成が可能である(図-3)。 - オートメッシュ機能により複雑形状もボタン一つでメッシュ分割
オートメッシュ機能なら、専門家が丸1日かかって設定する規模のモデルでも、ボタン一つで簡単にメッシュ分割できる。
また、オブジェクトの位置を変更するたびにメッシュを作成し直す必要もない。 - 純国産ソフトならではの手厚いサポートサービス
サポートデスクを設置し、ユーザーの疑問に電話やメールで即座に回答する他、オンラインで画面を共有しながらモデリング方法を説明するなど、手厚いサポート体制を構築している。
さらに、ユーザーが知りたい情報をすぐに調べられるようユーザーページに技術コンテンツを集積し、ユーザーが自学自習できる環境を整えている。
先進的技術との連携
FlowDesignerにはVR機能が備わっており、ヘッドマウントディスプレイをマシンに接続することでモデル形状・解析結果をVR空間内に映し出し、あたかも自分がその空間に入り込んでいるかのような感覚で風の流れ・温度分布などを確認することができる。
前述の通り、設計に関する疑問・問題点を情報共有・理解してもらうのは決して容易ではない。
しかし、VRを活用すれば、仮想空間内で風の流れをアニメーションで体感したり、温度分布の情報を空間に重ね合わせたりすることができる。
イメージの共有が難しい風速に関しても「1m/sってこのくらいの速さで風が吹いているのか」と直感的に理解できるため、顧客との合意形成も容易になり、営業先での設計提案に絶大な効果が得られる。
FlowDesignerは外部のソフトウエア・システムと結びつける
APIの仕組みがあるため、VR以外のXRデバイスとの連携や、IoTセンサー技術、BIMソフト、省エネ計算ソフト、プレゼンテーションソフトなどさまざまなシステムとの連携も期待できるソフトウエアである。
要問い合わせ
株式会社アドバンスドナレッジ研究所
Tel.050-2030-2050
動作環境
OS Windows 11/10
CPU Intel第5世代Core i7プロセッサ(または同等CPU)以上
メモリ 8GB以上(1000万メッシュ以上の解析には推奨32GB以上)
HDD空容量 インストール時:最大800MB(計算速度向上のためにSSD推奨)