建設ソフトやハードウエアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。
BIM活用で“採算性”の見極めをスピードアップ!-カシワバラ・グラウンドが進めるTP-PLANNERによる不動産開発DX-
株式会社カシワバラ・グラウンド
TP-PLANNER
株式会社カシワバラ・グラウンド
所在地:東京都港区
設立:2001年9月
資本金:5,000万円
主な事業内容:分譲マンションなど、不動産の企画・開発・販売・運営
https://www.kashiwabara-ground.co.jp/

設計開発室
森下 遥斗 氏(左)
湯浅 期弘 氏(中央)
渕上 貴史 氏(右)
首都圏を中心に多様な開発事業を展開するカシワバラ・グラウンド。
同社は不動産開発の成否を左右する初期段階で、建築可能性と採算性を短時間で見極める体制づくりを進めてきた。
その核となるのが、法規制や地形条件を自動解析し、成立し得るボリュームを即座に可視化する「TP-PLANNER」だ。
初動で複数案を比較でき、収支判断や社内外の意思決定が格段にスピードアップ。
BIM連携を視野に入れた同社の実務は、不動産開発DXの新たな方向性を示している。
カシワバラ・グラウンドとは
株式会社カシワバラ・グラウンドは、首都圏のマンション開発事業を主軸とした事業を展開している。
カシワバラグループの総合力を発揮していくための仕組みや体制づくりに取り組み、区分所有マンションの買取再販事業、戸建住宅開発事業、ホテル開発事業、分譲マンション開発事業への事業展開も積極的に推進している。
コーポレートステートメントとして「その街に、価値ある建物を」を掲げ、市場ニーズやライフスタイルが日々変化する中、その街に適した不動産、建物の開発を行っている。
これからもグループの総合力を生かし、柔軟な発想と行動力で変革に挑戦し、社会に貢献していく。

TP- PLANNERの利活用
TP-PLANNERは、主に土地購入時の事前検討フェーズにおいて活用している。
都市計画情報や法規制条件を基に、対象地に適用される建築条件を自動的に整理し、建築可能空間を素早く把握できる点が大きな特長である。
これにより、容積率の消化可能性や最大住戸数の検討など、開発の成立性に直結する初期判断を効率的に行うことができる。
カシワバラ・グラウンドでは、TP-PLANNERを利用することで年間250~300件ほどのプランを作成し、検討を行うことが可能となった。
また、営業部門との連携においてもTP-PLANNERは重要な役割を担っている。
建築シミュレーションの結果や、実際に作成したプランを基に、建築費の概算見積りや収支計算の基礎データとして情報共有を行うことで、社内の意思決定プロセスを迅速化している。
特に各種ボリュームスタディでは短時間で複数ケースを作成できるため、初動段階での代替案比較やリスク検証が格段に容易となった。
不動産開発の初期フェーズにTP-PLANNERを活用することで、土地の持つ潜在的な開発可能性を早期に可視化し、価値判断を短時間で行うことができる。
結果として、用地取得のスピード向上、判断の精度向上、社内コミュニケーションの円滑化など、開発プロセス全体の生産性向上に寄与している。

作業時間
一般的な案件であれば、おおむね2~3時間程度で基本的なボリュームスタディを完了できる。
一方、敷地内の高低差が3mを超えるような地形的難条件が存在する場合や、複数の道路や隣地との高低差が混在するケースでは、法規チェックや建築可能空間の整理に時間を要し、検証作業が1日以上かかることもある。
TP-PLANNERには、道路や隣地との高低差緩和処理、敷地内の高低差に応じた斜線・日影の自動計算、複雑に用途地域が入り組む場合の容積率按分など、実務で頻出する高度な条件を自動化する機能が搭載されている。
とりわけ、高低差や不整形敷地といった属地的な条件が重なる案件では、手作業での検証に膨大な時間と労力が必要となるが、 TP-PLANNERによって短時間で整理し、開発可能性を迅速に可視化できる点は非常に心強い。
結果として、従来であれば図面作成から検証、再計算を何度も繰り返していた複雑案件においても、効率的かつ精度の高い初期検討が可能となり、不動産開発のスピードと質の向上に大きく貢献している。


作業工程
まず、敷地形状・道路条件・用途地域・高 度地区などの基礎情報をTP-PLANNERへ入力し、逆斜線および逆日影の解析結果から得られるブロック図を確認する。
このブロック図は、対象不動産が潜在的に持ち得る建築可能空間を可視化するもので、建築可能性のおおまかな上限値を短時間で把握できるため、用地取得可否の判断に直結する重要な材料となる。
続いて、顧客要望に沿った住戸サイズや住戸タイプを設定し、建築基準法および関連条例への適合性を逐次確認しながら住戸配置を行う。
同時に日影規制、斜線制限、天空率規制などの各種形態制限を自動的にチェックし、成立可能なボリュームの範囲を正確に把握しつつ、要望に沿う最適なプランを構築することができる。
TP-PLANNERでは、斜線チェック・日影チェック・天空率チェックなど、ボリューム設計に必要な検証を数クリック
で実行できるため、設計者の思考の流れを中断させることなく業務を進められ。
この“途切れないワークフロー”は、従来の CADや表計算ソフトを併用したバラバラの検証作業と比べて圧倒的に生産性が高く、TP-PLANNERの大きな利点である。
施工会社との連携
TP-PLANNERで作成したボリュームプランを施工会社へ概算建築費の算出を依頼する。
主な住戸構成、建物の規模、延床面積、基準階のスケルトンなどが含まれ、施工会社が早期に概算見積りを作成できる。
施工会社からのフィードバックを基に、取得予定地の収益性や投資採算性を再度精査し、事業収支計画の見直しを行う。
必要に応じて、住戸構成の変更や階数調整、施工方式の検討など、複数シナリオをTP-PLANNERで短時間に再作成し、より成立性の高い計画案へと高めることができる。
このように事業初期段階における収支検討の精度が高まり、用地取得判断のスピード向上と確度向上につながっている。

設計事務所との連携
TP-PLANNERで作成したボリュームプランは、建物規模、階構成、建築可能空間、形態制限などが明確なため、設計事務所でも実施設計がスムーズに行える。
また実施設計では、最終的な建物形状の決定に当たり、TP-PLANNERで作成した解析結果を検討に用いている。
特に斜線制限や日影規制、天空率規制などの形態制限が厳しい区域では、ボトルネック箇所を早期に把握できるため、設計事務所との合意形成が迅速かつ的確に進められる。
さらに、法適合ギリギリの部位(斜線によるセットバックなど)について、設計事務所と詳細な情報共有が可能となった。
これにより設計修正による工期遅延やコスト増のリスク低減にもつながっている。

今後の利活用について
TP-PLANNERは、IFCやST-Bridgemなどの国際的なファイル形式での出力に対応しており、他分野との高度なデータ連携を実現できる点が大きな強みである。
これにより、不動産開発初期段階のボリュームモデルを、積算・構造・設計といった後工程にシームレスに受け渡すための基盤が整備されつつある。
今後は、TP-PLANNERを基軸としたBIM連携ワークフローをさらに高度化し、不動産開発の初期段階から積算・構造・設計に至るまでプロセス全体を一気通貫で支えるデータ活用体制を構築し、プロジェクト全体の生産性向上と品質向上を目指していく。

この記事は「建設ITガイド」2026に掲載されたものです
公開日:2026-05-25
ソフト詳細
TP-PLANNER

建設DXカタログ
関連する建設DXカタログ
建設DX活用事例
関連する建設DX活用事例1
関連する建設DX活用事例2













