建設ソフトやハードウエアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。
建設ディレクターがゼロから始める施工BIM―バックオフィスから現場の課題解決へ。GLOOBEのサポートと“施工特化”機能が支えたBIM運用—
株式会社廣瀨
GLOOBE Construction
株式会社廣瀨
所在地:新潟市西区
創業:1954年
資本金:9,000万円
従業員数:210人
主な事業内容:総合建設業、測量業、不動産業、太陽光発電業
https://www.n-hirose.co.jp/

建設業界では、時間外労働の上限規制への対応が求められる中、現場の業務負担軽減と生産性向上が急務となっている。
株式会社廣瀨ではITとコミュニケーションで現場を支える「建設ディレクター」チームが、この課題解決の鍵として「施工BIM」に挑戦。
「GLOOBE Construction」を導入し、手厚いサポートと組織的な協力を得て、BIM活用を推進している。
高精度な数量算出や仮設計画の可視化など、現場支援業務の一環として施工BIMを実践する取り組みを伺った。
現場支援の「建設ディレクター」が施工BIMの担い手へ
株式会社廣瀨の建築事業部管理部では、2020年から「現場支援業務」を開始した。
当時は、現場職員の業務増加、新卒採用の難航、そして目前に迫る時間外労働の上限規制といった課題に直面していた。
この対策の一つとして「本社からの支援活動で現場の負担を軽減する」ことを目的に、当部署は設置された。
2021年9月に、「建設ディレクター」の資格を取得した。
建設ディレクターとは、ITとコミュニケーションで現場とオフィスをつなぐ新しい役割である。
現場技術者の負担を軽減し、作業の効率化と就労時間の短縮を図ることで、建設業界の働き方改革やデジタル化を推進する職域として導入され始めている。
現在、私たちのチームは、安全書類の確認、工事黒板の作成、CCUSや産業廃棄物関連の事務作業、ドローンによる空撮などを中心に、現場をバックアップする存在として業務に当たっている。
BIMへの取り組みは2023年からスタートした。
弊社ではDX関連業務は土木部門が先行しており、全社的に新しい技術へ挑戦する風土はあったものの、建築部門では各種DXサービスを単発で利用するにとどまっていた。
経営トップからは将来を見据えたBIMへの積極的な取り組み指示があったが、業務の多忙さや人材不足から、いくつかの試みはあったものの運用には至らなかった。
何とかBIM運用を開始したいと模索する中で「施工BIM」という概念を知った。
施工BIMのデータ作成であれば、現場支援活動の一環として取り組める可能性があるのではないか。
これが管理部での施工BIM導入のきっかけとなった。
現場技術者の仕事量を削減し、BIMモデルで業務効率を上げる。
これは、私たちが進めてきた現場支援業務と同じ方向性を持つ。
技術的な判断が必要な部分を明確に区分し、その「判断材料」を私たちが用意する。
この形であれば、バックオフィス業務として施工BIMモデル作成が成立すると考えた。
各社のBIMツールを比較検討した結果、施工支援に特化している点や、設計部門で「GLOOBE Architect」を採用する動きがあったことから、弊社は「GLOOBE Construction(以下、GC)」の導入を決定した。
現在では、現場支援チームで施工BIMモデルを一元的に作成・管理し、そのモデルを“技術的な判断を下すための資料”として各現場職員に活用してもらっている。

操作と知識の壁。GLOOBEと組織の支援が挑戦を可能に
とはいえ、私たちのチームは建築未経験者で構成されている。
BIMを始めた当初は、BIM特有の複雑な操作、建築図面の読解、施工プロセスの理解など、多くの壁に直面した。
これらの課題に対し、個人での学習や現場見学なども行ったが、何より大きな助けとなったのがGLOOBEの充実したサポート体制であった。
BIMの操作技術に関しては、公式チュートリアルやヘルプサイトに加え、電話サポートや担当者による手厚いフォローが習得のスピードを格段に上げてくれた。
また、建築未経験者にとって、施工に特化し、操作コマンドの意図が分かりやすいGCのインターフェースは習得しやすく、短期間で実務に入ることができたと感じている。
もちろん、ソフトウエアの操作だけではBIMモデルは作成できない。
建築知識と施工プロセスについては、組織的なサポートが不可欠であった。
特に効果的だったのは、施工中の現場見学である。
施工の流れや技術的な工夫を肌で感じ、図面や現場で生じた疑問点を、現場経験豊富な上司や現場代理人へ積極的に質問した。
見学を快く受け入れてくれた現場職員の協力、質問に丁寧に答えてくれる上司の存在。
こうした組織としてのサポート体制と、それを円滑につなぐGCというツールの存在が、建築未経験者によるBIM実践を可能にしたのである。
BIMが実現する「高精度」かつ「柔軟」な数量算出
BIMの操作に慣れ、社内ツールで情報発信を始めると、次第に現場の工事部員から「こんなことはできるか?」という具体的な要望が寄せられるようになった。
その中で特に多かったのが「コンクリートの数量拾い」である。
従来の手作業による拾い出しは、膨大な時間と労力に加え、ヒューマンエラーのリスクが常にあった。
特に複雑な形状を持つ建築物において、その負担はかなり大きい。
一方、BIMはモデルから自動で数量を算出できるため、迅速な把握が可能である。
私たちは、BIMによる算出数量の精度を検証するため、実際の打設数量との比較を行った。
ある工事の基礎ベース・地中梁のコンクリート打設では、BIMの算出値が192.46m3に対し、実績が192m3と、誤差はわずか0.24%であった。
他の箇所の比較でも同様に極めて近い数値となり、BIMの数量が実施工の数量とほぼ同等であることが実証された。
この「高精度」な数量把握は、資材の過不足を防ぐと同時に、施工計画そのものの信頼性を向上させた。

さらに、GCの強みはその「柔軟性」にある。
工区の設定、打設レベルの設定、集計対象部材のカスタマイズといった機能が備わっている。
例えば、基礎梁のレベルが複雑に変化するような現場や、R形状を持つ壁など、従来は拾い出しに細心の注意と多くの時間を要した箇所でも、GCならば即座に正確な数量が得られる。
特に工区割の検討では、BIM上で工区を設定するだけで数量が算出されるため、現場のニーズに合わせて手軽に何度でもシミュレーションできる。
手計算では1日かかっていた作業が数分で終わることもあり、現場の意思決定のスピードアップに貢献している。
施工BIMの価値を実感する「仮設モデリング」
GCの活用価値を大きく実感したもう一つの業務が「仮設計画」である。
特に重機配置計画は、現場職員から非常に良いリアクションが得られる機能の一つだ。
GCでは、配置した重機モデルに定格荷重表を読み込ませ、吊り荷の重量やアウトリガーの張り出し、ブーム長などを設定すると、安全に吊り上げ可能な「吊り範囲」が3Dモデル上で可視化される。
これにより、従来はベテランの経験則に頼りがちだった揚重計画を、誰でも視覚的に検証できるようになった。

さらに、ブームの伸縮や旋回といった動作を3Dで確認できるため、可動域の確認や障害物との干渉チェックが容易になる。
事前に取得した点群データを合成すれば、隣接する建物や電線、樹木など、図面にはない現場のリアルな状況との接触リスクも一目瞭然となる。
また、車両の軌跡確認も強力な機能だ。
重機のホイールベースや車幅などを設定すれば、正確な軌跡が3D上に描画される。
特に作業ヤードが狭い工事では、出入り口や場内で重機が安全に旋回できるか、接触リスクはないかといった動線計画の最適化が図れる。
BIMによる仮設計画では、従来の2D図面だけでは困難だった現場全体の空間的・作業的要素の総合的な検討が実現される。
これこそが「可視化」「シミュレーション」そして「現場状況の統合」というBIMの強みであり、施工フェーズにおけるGCの活用価値を改めて強く実感する事例となった。
パートナーとしての「GLOOBE Construction」
施工BIMを開始して3年がたとうとしている。
私たちがGCを使い続ける魅力は、その「操作性の良さ」にある。
この3年間でいくつかのBIMソフトを使用してきたが、GCは特に施工に特化しているため、コマンドの選択に迷うことが少なく、建築未経験者にも分かりやすいインターフェースだと感じる。
また、国産BIMならではの「Jw_cadとの高い親和性」も、導入の決め手となった。
既存の業務フローともスムーズに連携でき、この点は実務において非常に大きなメリットとなっている。
一方で、今後ますます実用的なソフトになるために期待したい点もある。
それは「配筋検討機能の実装」である。
3Dでの配筋検討は、現場の工事部員からの要望が多く、2D図面のみでは検討が困難な場面が頻繁にある。
BIMによる配筋検討は、現場職員にBIMの有効性を実感してもらう重要な機会となり、さらなる社内普及にもつながると確信している。
現状は他社ソフトで対応しているが、GCと両方でモデリングを行う二度手間が発生しているため、ぜひGCでの配筋検討機能の実装を期待したい。
本稿で述べたように、私たちの目標は単なる「BIMオペレーター」になることではない。
GCという施工に強いツールを「現場支援の手段」として使いこなし、現場の課題を解決することにある。
現場の負担軽減と生産性向上という当初の目標を達成するため、今後もGLOOBE Constructionという強力なパートナーとともに、施工BIMのさらなる可能性を模索していきたい。
この記事は「建設ITガイド」2026に掲載されたものです
公開日:2026-05-26
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