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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

「GLOOBEConstruction」の取り組み事例-戦略的パートナーシップによる効果-

株式会社鴻池組

GLOOBEConstruction


株式会社鴻池組
所在地:大阪市中央区
創業:1871年
資本金:53億5,000万円
事業内容:建設工事の企画、測量、設計、監理、請負およびコンサルティングに関する事業。
環境汚染物質の除去、土壌浄化、河川・湖沼の浄化など環境保全に関する事業ほか。
https://www.konoike.co.jp/

本社建築工務管理本部技術統括部ICT推進課
内田公平氏

鴻池組では、設計本部で活用している「GLOOBEArchitect」を2013年に導入した。
加えて、施工BIMやICT連携への活用が期待できる「GLOOBEConstruction」を2021年の発売と同時に導入した。
また、2021年7月には、福井コンピュータアーキテクトと「戦略的パートナーシップ契約」を締結し、建築生産プロセスの実践に即したシステムの構築と現場改革の達成に向け取り組んでいる。
 
 

はじめに

鴻池組ではすでに複数の現場にてBIMの取り組みを行い、BIMデータからのICT連携にも注力してきた。
特に、2021年に竣工した当社の土木・環境関連分野の研究開発拠点「大阪テクノセンター」(以下、OTC)においては、フロントローディングを始め、さまざまなICT/BIMの取り組みを実施した(図-1)。
 
また、そこからいくつかの課題も浮かび上がってきており、課題解決や新たな情報連携に向けた取り組みを開始している。
 
図-1 鴻池組のICT.BIM活用
図-1 鴻池組のICT/BIM活用

 
 

BIMの展開時の課題

BIMの展開時に直面する課題として挙げられるのが、図-2の左側に示す通り、2D図面からの3Dモデルの作成である。
この手法はBIMの入門、導入初期には向いているが、設計変更などで2D図面に変更が生じた場合は、都度2D図面と3Dモデルを修正する必要があるため、BIMは手間のかかる手法という誤解を与えてしまう。
しかも、2D図面ベースで作成した3DモデルをICT連携やDBの活用を行うと不整合の原因となり手戻りも多くなる。
これらはBIMが定着しない理由としてよく挙げられるが、本来のBIMのフローであれば図-2右側に示す通り、BIMデータと図面、ICT連携、DB連携できるのが理想とされている。
それでも2D図面をベースにモデル化したデータを重ね合わせることで「見える化」し、施工上の課題を解決することは品質向上や工期短縮、コストダウンなどにつながるためモデル製作側への負荷が大きくなっている(図-3)。
 

図-2 BIM展開時の課題
図-2 BIM展開時の課題
図-3 従来のやり方では、製作側の付加が大きい
図-3 従来のやり方では、製作側の付加が大きい

 

情報活用できる「GLOOBE」シリーズ

福井コンピュータアーキテクトが開発している「GLOOBEシリーズ」は、建築設計に必要とされる情報を「建築基準法インフォメーション」として抱えた「GLOOBEArchitect」と、建物を造るために不可欠な情報を「建築生産インフォメーション」として抱えた「GLOOBEConstruction」がある。
 
「建築生産インフォメーション」とは、立体形状と建物情報に加え、構造・工法・工期・工区・工程情報などがあり、これらの情報が互いに紐付いたシステム構成となっている。
 
「GLOOBEConstruction」で作成されたモデルには、4D(工期工程情報)と5D(コスト)の情報が付加されるため、工程計画から工区ごとの部材数量やコスト算出に至るまでの検討が可能となっている。
これらの「建築生産インフォメーション」を活用することで従来手間のかかっていた「仮設計画検討」や「4D・5D」の実現、「施工の見える化」、「工区や工程とのモデル連携」が可能となる。
 
図-4 GLOOBE Construction の主な機能
図-4 GLOOBE Construction の主な機能

 
 

戦略的パートナーシップ契約

福井コンピュータアーキテクトとの「戦略的パートナーシップ契約」では、主に下記の3項目を中心に展開している。
 
①設計・積算・施工・維持管理、それぞれのプロセスにおいて、テーマを設定した共同プロジェクトを立ち上げる。
②共同プロジェクトによる検証結果を分析し、システム構築の効果と課題を検証する。
③建築分野における生産性向上を達成するシステムとなるよう製品の改良を行う(図-5)。
 
「GLOOBE」シリーズの開発は国内で行われているため、ヒアリング(写真-1)やフィードバックは迅速な対応となっている。
また、当社の取り組みに加え、国土交通省の動きなども視野に入れながら進めており、機能的にも国内で活用するには十分なシステム設計としている。
主な機能としては、図-4に示す通り、①仮設計画、②土工計画、③躯体計画、④工程計画・工程管理、⑤施工ステップ、⑥現場でのモデル共有、⑦杭などの芯・位置検査、⑧ICT施工などがあるが、これらの機能に加え、今後は、土工工区、仮設工区、鉄骨建方(節、ピース(重量))、型枠工事・支保工工事、鉄筋集計、躯体工事-PC対応、屋根工事、内外装工事、建具工事などを強化していく。
さらに、ブラウザ対応のビューワやクラウド対応の仕組み、ICT関連製品への連携など、さまざまな機能強化に加え国産ならではの利便性を追求していく予定だ。
 
図-5 戦略的パートナーシップでのシステム強化ポイント
図-5 戦略的パートナーシップでのシステム強化ポイント
 写真-1 ヒアリング風景
写真-1 ヒアリング風景

 
 

人財育成

「GLOOBEConstruction」は、若手職員の施工図集中講習にも活用されている。
講習の目的は、BIMを普及・浸透させ、生産性の向上・職員の負担軽減・時短となっている。
 
講習課題は、RC造2階建て、建築面積60m²、延床面積120m²の事務所ビルとなっており、今までは、事務所ビルの躯体図・仮設図作成までで4日間の講習期間を終えていたが、「GLOOBEConstruction」を活用することにより、同じ講習期間内に、1階2階見上図、1階2階床伏図・屋根伏・基礎伏・杭伏・断面図の作成、仮設図としては、足場図・掘削図・山留図、数量表印刷などが作成できた。
「建築生産インフォメーション」をうまく活用することで、作業スピードの向上と不整合のないデータを作成することができ、早期に工程確認や、数量の把握、図面化を行うことができる。
 

 

おわりに

BIMデータは単なる3Dモデルではなく、その情報をいかに活用するかが重要であり、連携により活用の幅を広げることで、さらなる生産性の向上を目指している。

 
 

最終更新日:2023-06-26




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