点群からCADへ—点群データ活用のためのワンストップソリューションワンストップでの点群活用 InfiPointsは、点群データの読み込み、前処理、シミュレーション、モデリング、成果物作成など、施工準備での点群データ活用に必要な機能を全て備えた、ワンストップソリューションである。 「点群データでできることは可能な限り点群データのまま完結する」ことをコンセプトとして、株式会社エリジオンが開発した。従来のように用途に合わせてさまざまなツールを組み合わせ、ツール間で何度もデータの受け渡しを行うプロセスに比べ、時間や手間を省力化できるのが大きな特長といえる。 大規模点群の高速表示を実現 まず、点群データ活用ツールの基本性能である表示能力においてInfiPointsは高いパフォーマンスを発揮する。 エリジオンが独自に開発したデータフォーマットとデータ処理技術により、コンピューターの物理メモリサイズに依存せず無制限の点数の点群データを扱うことができる。 大規模構造物を対象とする3次元計測では、取得した大容量の点群データを表示すること自体が難しい場合が少なくないが、InfiPointsでは膨大な量の点群であってもスムーズに表示される。 さらに、2D図面や3D CADデータを点群データ内に取り込んで、同じ画面の中で検討できる点も特長の一つといえる。 使用される3D CADデータも対象構造物の広がりに比例して大規模になることがあるが、InfiPointsでは1ギガバイトを超えるようなCADデータであっても表示用の軽量なデータに変換して高速に表示する。 複数の点群の自動位置合わせ 多彩な自動化機能を搭載 ●ターゲットレス位置合わせとノイズ除去 複数の測定位置でのスキャンデータをつなぎ合わせる際、InfiPointsでは高度な形状認識機能により点群中の平面部分を認識し、それらを仮想的なターゲットと見なして自動で位置合わせを実行する。 そのため、計測時に現場にターゲットを持ち込む必要がなくなり、計測業務を効率化できる。 また計測データに含まれるノイズを自動で認識して削除することもでき、従来手作業で1週間ほどかかっていた作業が1晩で完了したユーザー事例もあるという。 点群に含まれるノイズ(人影)の自動除去 ●配管、設備、鋼材モデリング InfiPointsは点群データから平面・円柱などを自動で認識し、配管、鋼材、設備をモデリングする機能も搭載している。 手作業によるモデル化に比べ大幅な効率化が期待できる。 点群からの配管形状抽出 施工準備の効率化を実現 ●寸法計測 点群データを用いたパソコン画面での採寸に関しても、InfiPointsは独自の機能を備えている。 例えば配管を対象とした距離計測では、点群のままでは指示できない円柱の中心軸を対象として、中心軸間の距離を直接計測することができる。 また、任意の断面で点群をスライスし、そこに2次元寸法を書き入れることもできるため、平面図や立面図と照らし合わせて現状を確認することも可能である。 点群から抽出した円柱間の距離計測 ●干渉チェック さらに、プラントや工場、機械室などを計測した点群データに、今後設置する新たな設備の3D CADデータを重ねて読み込むことで、構造物の改造検討に用いることもできる。 InfiPointsには、取り込んだCADデータを自由に動かしながら、点群データとの干渉を即座に検知する「リアルタイム衝突判定」機能が搭載されている。 また、指定した軌跡に沿ってCADモデルを自動で動かしながら、設備の搬入経路に障害となるものがないかなどを視覚的に確認することもできる。 CADモデルを軌跡に沿って移動させて行う、点群との干渉チェック ●BIMやその他ツールとの親和性 InfiPointsはその他のツールとの連携にも強みを持つ。 すなわち、点群から作成した3DモデルをDWG/DXFファイルや各種CADフォーマットに変換して他のソフトウェアに受け渡すことができる。 既存設備の改修工事などにおいて、現況の2D図や3D図をCADで作成するには多大な時間がかかることが多いが、InfiPointsで作成したモデルを受け渡すことで、モデリング工数を大幅に削減することができる。 CADで完成させたモデルは、BIMの用途でも利用することができるため、現在のBIM推進の流れをさらに加速させることが可能となる。 建設土木・プラント業界での確かな実績 現在、InfiPointsは建設、設備、土木など大規模構造物を対象として施工を行うさまざまな業界の注目を浴びており、各社の施工プロセスに取り入れられている。 エリジオンは、そこから得られたフィードバックを基にさらなる改善と新機能開発を進めているという。 2015年にはプラントメンテナンスの業界において、公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会が主催するTPM賞の「TPM優秀商品賞」が授与されるなど、業界内での評価が高まっている。 点群は誰もが活用できるものに 点群データの活用は、現時点では特定のマシンやツールを持った人のみが閲覧・編集するのが一般的である。 しかし、InfiPointsは今後誰もが簡単に点群データを扱えるソリューションの提供を目指していくという。 これにより、施工のイメージ共有などを通じたコミュニケーションの活発化が促され、施工準備の省力化や施工プロセスの効率化がますます進むことが期待される。 【主な導入実績】 ●設備:新菱冷熱工業、東洋熱工業、JFEメカニカル ●建築:竹中工務店 ●土木:首都高技術 ●製造:トヨタ自動車 ●学術:松江高専 他
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