建設ソフトやハードウエアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。
3Dスキャナーと配管モデリングで現地調査を革新した取り組み
旭有機材株式会社
Galaxy-Eye Modeler/F6 SMART
旭有機材株式会社
所在地:宮崎県延岡市(延岡本社)
設立:1945年3月
資本金:50億10万円
従業員数:1,787名(2025年3月末現在・連結)
主な事業内容:管材システム、樹脂、水処理、資源開発

管材テクニカルサービス部
貴島 純次 氏
旭有機材株式会社は、配管設備や樹脂製品、水処理に関する技術を中心に、さまざまな産業分野向けの製品やサービスを提供している。
管材システム事業部では、製鉄・化学・半導体工場や農業用水設備、水族館などに向けて樹脂製バルブ・管材システムを展開し、技術サポートやメンテナンスを通じて現場の課題解決にも取り組んでいる。
デジタル化を推進する同社は、2018年1月にGalaxy-Eye Modeler、2023年3月にはF6 SMARTを導入し、生産性向上に向けて現場のデータの見える化を実現すべく、さまざまな取り組みを進めている。
現地調査の効率化と3Dスキャナー導入の取り組み
配管設備の工事を実施する際には、正確な現地調査が不可欠です。
特に海外案件においては、人材や時間の確保が困難なケースが多く、急きょ重要な顧客案件が発生した際に調査が遅れるリスクがありました。
これらの問題を解決するため、当社は現地調査に3Dスキャナーを導入しました。
これにより、少人数・短期間で効率的かつ高精度な調査が可能となりました。
さらに、現場の寸法計測をより正確かつ迅速に行うため、モデリングソフトの導入も検討しました。
配管を3Dモデリングし、そこからデジタル採寸を行うことで、点群データからの計測に比べて作業のスピードアップが期待できると考えたためです。
その結果、富士テクニカルリサーチ(以下、FTR)が提供する「Galaxy-Eye Modeler」と出会い、導入を決定しました。
Galaxy-Eye Modelerの導入は、当社エンジニアリング部門が製図業務を従来の2DCADから3DCADへ移行するタイミングと重なりました。
これにより、設計段階から工事のシミュレーションや据付時の干渉チェックなど、全工程の効率化と品質向上を図る構想を実現しています。

効率的な現地計測の実現
計測を進める中で、現場によってはタンクとその架台下に配管が密集しており、据え置き型3Dスキャナーの三脚を一番低くして計測しても取り切れない箇所がありました。
据え置き型スキャナーは広い空間の計測には非常に効率的ですが、設備の裏側など複雑な場所では、三脚の位置や高さを何度も変えて計測しなければなりません。
同じ場所を繰り返しスキャンするため、時間がかかるという問題がありました。
その際、現場から「ハンディータイプのスキャナーがあれば、もう少し点群を補足できるのでは」という声が上がり、「F6 SMART」を導入し、据え置き型とハンディー型のスキャナーを使い分けることで、満遍なく網羅的な現場計測の実現を目指しています。
F6 SMART、Galaxy-Eye Modeler導入決定の背景
当社がF6 SMARTとGalaxy-Eye Modelerを選定した理由は、以下の通りです。
- マーカーレスで計測可能であること(F6 SMART)
- トラッカーを必要としないこと(F6 SMART)
- 配管のモデリング機能が充実していること(Galaxy-Eye Modeler)
- 既存設備との干渉確認機能を備えていること(Galaxy-Eye Modeler)
- 質問に対するレスポンスの良さ(F6 SMART・Galaxy-Eye Modeler)
特に、選定の最大の決め手となったのは「5」のサポート対応の良さでした。
導入前にデモライセンスを用いてソフトを試用した際、マニュアルを参照すれば解決できるような基本的な質問に対しても、丁寧かつ迅速にメールで操作方法を教えていただきました。
ささいな問い合わせにも即座にレスポンスがあり、問題が発生した際には原因の特定までサポートしてもらえた点が非常に評価できました。
顧客とのコミュニケーションおよび現場作業の効率化
打合せ時に点群データやパノラマビューを用いて実際のデータを共有しながら進めることで、お客さまとのやり取りがスムーズになりました。
これまでは幾度か現場へ足を運び、現地にて説明の場を設けることもありましたが、Galaxy-Eye Modelerの導入により、デスク上でやり取りや打合せが完結するようになりました。
また、従来の現場計測では、配管設備に直接触れる必要がある場合が多く、特に補修工事や更新工事においては、工場が稼働中でむやみに設備に近づけないケースがありました。
しかし、3Dレーザースキャナーによる非接触計測とGalaxy-Eye Modelerを用いたデジタル計測・デジタル採寸を組み合わせることで、現場での直接作業を避け、更新計画や工事の概算見積りを立案できるようになりました。
さらに、お客さまの中には工場の稼働停止時間を最小限に抑えるため、既存配管を残したままその隣に新規配管を設置し、短期間で切り替えを行うケースがあります。
このような場合「施工に必要なスペースはどの程度確保できるか」「特定の箇所に配管を通すことが可能か」といった確認が不可欠です。
Galaxy-Eye Modelerを活用すれば、既設配管の3Dデータに新設配管の設計データを重ね合わせ、干渉の有無や施工内容を事前に検証できます。
これにより、フランジ接続やバルブを用いた分岐など多様な施工パターンをソフト上で検討・提案でき、計画段階から作業効率の大幅な向上を実現しています。

今後の活用展望と具体的取り組み
今後は、3Dスキャナーを携帯電話カメラで写真を撮る感覚で、気軽に現場に持ち込み計測できる環境を整備していきたいと考えています。
現在、DXをはじめとしたさまざまな改革を推進しており、当初はお客さまの工場での計測を主な目的としていましたが、今後は社内打合せや自社工場の設備保全など、社内でも利便性の高いツールとして活用範囲を広げていく予定です。
また、Galaxy-Eye Modelerのシミュレーション機能以外の活用も進めています。
例えば、コメント機能を活用してアイソメ図のPDFファイルをリンクさせることで、お客さまへの説明時に該当データを即座に提示できるほか、配管のラインを温度条件や施工年数、管種別にグルーピングして簡単に示すことで、より有用な情報提供を目指しています。
これらの取り組みの次のステップとして、Galaxy-Eye Connectの導入を検討しています。
現在はGalaxy-Eye Modelerのコメント機能を活用していますが、Galaxy-Eye Connectでは一連の情報を関連付けて管理できるため、さらなる作業効率化に寄与すると期待しています。
3Dスキャナーおよび処理ソフトの管理を担う当部署(管材テクニカルサービス部)を起点に、各工場や他事業部門への展開も視野に入れています。
もともとエンジニアリング部の配管サービスグループを母体として発足した当部署は、製品の納入にとどまらず、設計・製作・工事・診断を通じて配管のライフサイクル全体を支援しています。
現在は、工場の包括的な配管管理支援サービス(仮称)の展開に取り組み、保全計画の策定をサポートするサービス提供を進めています。
当初は保全計画における担当者の課題解決を支援することから始まり、工場内の配管の健康状態や劣化リスクをリスト化し、診断や工事の計画・提案を行ってきました。
診断や更新工事を希望されるお客さまには、診断結果や更新情報を管理データに反映・更新し、次の保全計画へとつなげるサイクルの確立を目指しています。
このサイクルを実現するには、配管だけでなくバルブなどの配管設備や工場設備など多様な情報を一元管理することが不可欠です。
現在はExcelで配管リストを作成し、お客さまの図面データと紐づけて運用していますが、Galaxy-Eye Modelerによる「見える化」と Galaxy-Eye Connectによる「情報の一元管理」を組み合わせることで、目指すサービスの理想像に一歩近づけると考えています。
この記事は「建設ITガイド」2026に掲載されたものです
公開日:2026-05-25
ソフト詳細
Galaxy-Eye Modeler

F6 SMART

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