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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

点群処理によってウレタンの厚さを計測し、検査品質の向上と作業効率化を実現

倉敷紡績株式会社

3Dハンディータイプスキャナー「F6 SMART」/現場発泡ウレタン厚さ計測システム「アツミエル」

倉敷紡績株式会社
所在地:大阪市中央区
設立:1888年3月
資本金:220億4,000万円
従業員数:3,899名(2024年3月31日現在)
主な事業内容:繊維事業・化成品事業・環境メカトロニクス事業・食品・サービス事業・不動産事業
社屋

 

倉敷紡績株式会社 化成品事業部では、現場発泡ウレタンフォームの原液「クララフォーム-R」を販売している。
隙間なく施工ができるため、高い断熱性と結露防止に貢献できるが、現場で発泡させて施工するので、多少の凹凸が発生するため、厚さ検査に多大な時間を要している課題があった。
この課題解決のために現場発泡ウレタンフォーム用厚さ計測システム「アツミエル」を開発した際に導入をしたのが3Dハンディータイプスキャナー「F6 SMART」である。
 

「アツミエル」開発の背景

高気密・高断熱性能が求められるマンションやビルの断熱工事には、ウレタン原料を直接吹き付けその場で発砲させることで、気密性が高く施工性も良いウレタン吹付断熱工法が長年にわたり幅広く使用されています。
しかしながら、必要な断熱性能を発揮するには、ウレタンフォームの厚さを指定の厚さに施工する必要があります。
 
現行の施工後の厚さ検査は、検査員が手作業で「厚さゲージ」や「測定ピン」を吹付面の任意の数カ所に差し込み、計測値を目視で確認し、必要に応じてウレタンの再吹付を行うことが一般的です。
この方法では、吹付面全体の厚さの状況が分かりづらく、また作業者によるバラつきもあるという課題がありました。
当社では、これを業界の課題と捉え、数年前より開発に取り組んできました。

図-1 分譲マンションでの検査プロセスの例(現状)
図-1 分譲マンションでの検査プロセスの例(現状)

 

「アツミエル」 の概要

今回開発した「アツミエル」は、3Dスキャナーと専用の計測治具「アツミピン」(図-2)とアプリ「アツミエル」(図-3)を使用して、設計値の厚さと実際のウレタンの厚さの差分を可視化するものです。
 
アツミピンを用いて基準となる「仮想面」をつくり、3Dスキャナーで点群データを取得して仮想面までの距離と施工面の距離の差を色別に表示させ、自動で計測レポートを作成することができます。

図-2 専用計測治具「アツミピン   図-3 解析アプリ「アツミエル」
図-2 専用計測治具「アツミピン」    図-3 解析アプリ「アツミエル」

 

図-4 「アツミエル」の可視化イメージ
図-4 「アツミエル」の可視化イメージ
 

図-5 STEP1:断熱材計測
図-5 STEP1:断熱材計測
 

図-6 STEP2:「アツミエル」による解析
図-6 STEP2:「アツミエル」による解析

 

図-7 STEP3:「アツミエル」によるレポート出力
図-7 STEP3:「アツミエル」によるレポート出力

 

3Dハンディースキャナー(F6 SMARTの導入)

上記のシステムを開発するに当たり、ウレタン吹付面をどのように計測をするかを検討した結果、当社は3Dハンディースキャナーに着目し、F6 SMARTを導入しました。
 
導入の一つ目の理由としては、ハンディータイプの特徴である「手軽さ」です。
ウレタン吹付面は壁だけではなく、柱や梁底など複数ありますが、ハンディースキャナーであるF6 SMARTをそれぞれのウレタン吹付面に向ければ1回で計測完了させることが可能で、計測の時間短縮が期待できます。
 
二つ目は、F6 SMARTの計測精度もさることながら計測距離が0.5~4.5m程度であるということです。
このシステムのニーズがあると考えられる分譲マンションでの計測に際して、ちょうど良い計測距離であることも導入の決め手となりました。

図-8 「F6 SMART」による断熱材計測イメージ
図-8 「F6 SMART」による断熱材計測イメージ

 
 

アツミエルのあるべき姿

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH-M(ゼッチ・マンション)などビルやマンションにおいては、今後さらに高断熱化が求められ、それに伴い高い品質基準も求められることが予想されます。
当社としては3DハンディースキャナーF6SMARTを導入した「アツミエル」を通じて、ウレタン吹付施工と厚さ検査の品質向上を図り、重複している検査工程の簡略化・省略化につなげることで建設業界に貢献し続けたいと考えております。

図-9 分譲マンションでの検査プロセスの例(アツミエル利用時)
図-9 分譲マンションでの検査プロセスの例(アツミエル利用時)
 
 


最終更新日:2025-05-28




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