建設ソフトやハードウエアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。
Tekla Structuresが可能にする建築(Revit)、設備・電気(Rebro)と金属加工(Solidworks & Inventor)の双方向メソッド
-BIM統合モデルの実施工への適用-
鹿島建設株式会社
Tekla Structures
鹿島建設株式会社
所在地:東京都港区
設立:1930年
資本金:814億円余
従業員数:8,854名(2025年3月末現在)
http://www.kajima.co.jp/

建築管理本部
西日本プロダクションセンター PD建築グループ
グループ長 吾郷 明人 氏
鹿島建設建築管理本部西日本プロダクションセンターでは、BIMソフトとして、建築は「Revit」や「Archicad」、鉄骨は「Tekla Structures」、設備は「Rebro」、金属工事では「Solidworks」や「Inventor」などを使いながら基軸となる生産設計図対応を進めている。
鉄骨製作においては、設計・監理による製作図の承認、そして、工場における加工図までの一気通貫を可能にするグローバルスタンダードの「Tekla Structures」を採用し、協力関係にある多くの専門工事会社とともに実施工BIMに取り組んでいる。
はじめに
鹿島建設建築管理本部西日本プロダクションセンター(以下、PDC)では、BIMソフトとして、RevitとArchicadを建築施工図のプラットフォーム、Tekla Structuresを鉄骨製作図のプラットフォーム、Rebroを機械/電気/衛生のプラットフォームとして利用している。
専門工事会社がどんなBIMソフトを使ってもBIMモデルを読めるようにするため、ほとんどのBIM系ソフトから出力が可能なIFC、3D_DWG、STL形式でデータを共有し、建物全体の実施工BIM統合モデルを作成する。
また鉄骨に関係する各社のBIMモデルは全てTekla Structuresプラットフォームで統合している。
実施工BIM統合モデル
これまで意匠、構造、設備の施工の調整や干渉チェックは、これらの図面を大きな1枚の図面にまとめた「総合図」を現場で描くことによって行われてきた。
しかし、紙図面による調整や意思疎通には多くの時間がかかっていた。
また、大きなプロジェクトでは、煩雑な図面管理やデータ管理により、手戻りや認識の違いが発生することがあった。
こうした現場体験から実施工BIM統合モデルの活用がこれらの課題を解決できるという結論に至り、現在実際のプロジェクトで運用を行っている。
従来の2DCADは、単にコンピューター上で線を用いてきれいに作図する、つまりきれいに清書する以上でも以下でもないが、BIMは「コンピューターサイエンス」そのものなので2DCADとはまったく異なり、個々のオブジェクト(部材)にそれぞれ情報(寸法や材質といった属性情報やパラメーターなどの[配列データ])が含まれている。
その情報を使って効率よく生産設計対応を行えるようにすることが、BIMマネジメントでは必須となる。
PDCでは、各専門工事会社が他社のBIMモデルを自由に参照できるようにするため、Revit用の「rvt」などネーティブ形式のほか、共通規格の「IFC」形式、一般的によく使われている「2D・3D_DWG」形式、金属板金加工系の「STL」形式、プレゼン系の「FBX」形式、統合用のNavisworks「NWD」形式、そして「PDF」形式の各種データを常にセットで毎週更新し提供している。
特に、モデルに挿入するIFCファイルや3D_DWGファイルを常に最新状態に更新するため、専門工事会社との間でモデルの更新による不整合や手戻り、認識の違いなどの問題は発生しない。


Tekla Structures=鉄骨製作図のプラットフォーム
鉄骨製作図のプラットフォームとしては、RevitやArchicadといった主に設計図/施工図向けソフト、あるいは日本国内市場に多々ある鉄骨製作図対応2.5次元ソフトではなく、鉄骨製作用BIMのグローバルスタンダードとなっているTekla Structuresが最適である。
その要因としては、Tekla Structuresは非常に複雑な部材や加工に必要な詳細モデリングが可能なBIMソフトであり、同時に大規模プロジェクトで利用しても全くストレスなくモデリングや作図が行えるという点が挙げられる。
例えば、一部の鉄骨専用CADでは、鉄骨重量3,000~6,000トン程度が扱える限界と言われているが、Tekla Structuresは、数万トン規模の大型プロジェクトでもスムーズに操作することが可能であり、実際に鉄骨重量77,000トンの物件(建築・設備・インフラ他情報全てでIFC換算2TB)で運用した際にも問題なく、スピーディーな操作が可能であった。
また、もう一つの理由は、鉄骨専用CADはRevitなどの他のBIMソフトから出力された共通規格の「IFC」形式データや、汎用性の高い「3D_DWG」形式データを取り込むことが難しく、他社データをBIMモデルとして読み込むことができない、つまり「他社データを活用できない」(他社の正確なBIM情報を正確に取り込み、他社要望の下地鉄骨を、そのままオブジェクトコピーでFIX、といったことができない)という点が最大の難点だ。
鉄骨製作モデルをスタンドアロンで自社のみで構築するのであれば、極端な話どんなソフトでもよいが、他社と連携する場合には現状での鉄骨製作図対応ソフトの選択肢はTekla Structures一択となる。
実施工BIM統合モデルをベースに、生産設計段階で最重要となる鉄骨製作図作成、設計・監理承認、そして工場における加工図までの一気通貫を可能にするため、Tekla Structuresを基軸とし、各BIMソフトからそれぞれ意匠、設備などの得意分野の成果物をTekla Structuresに取り込む。
その結果、本体鉄骨は当然として、付帯、下地、先行ピース、開口補強、仮設ピース他全てをTekla Structures上でFIXさせることが可能となる。
Tekla Structuresから一般図、製作図、単品図の自動作成
Tekla Structuresには一般図、製作図、単品図を自動作成する機能が用意されている。
Tekla Structuresの2D図面に書き出した情報はBIMモデルと連携しており、モデルを変更すると図面や帳票に変更が自動的に反映されるのでモデルと図面の不整合が生じることがない。
鉄骨専用CADの場合、2.5Dモデルから一度図面に書き出しを行い、汎用CADで修正を行うので、2D作図した瞬間に情報が途切れてしまうため、設計変更の際には図面や帳票の更新を手作業で行う必要がある。

将来展望
事例の建屋は、BIMモデルに正確な情報を完璧に付与していること、かつ非常に複雑であること、かつ建設DXのさらなる高みを目指して、設計・監理者の承認を得て、実施工BIM統合モデルで確認を行い、問題なく納まっていることを条件に、設計・監理、元請け向けの正式な提出図面は一般図のみとし、従来の素管図(主管図)、単品図等々の図面の提出は不要とした。
BIMをまだ導入されていない協力会社に対して、Revitを日割りで利用できる環境を提供するなど、BIMの普及には今後とも積極的に取り組んでいく考えだ。
協力会社でも一度導入すると、若手社員が積極的に利用し、最終的に各企業が自社でサブスクリプションを購入して使い始めることが多い。
Tekla Structuresについても、5年後10年後を見据えてぜひ積極的に活用してほしいと考えている。
今後の展望として、通信インフラと建設DXとの融合を目指し、現在のワークフローをクラウド上で構築することを考えている。
この記事は「建設ITガイド」2026に掲載されたものです
公開日:2026-05-25
ソフト詳細
Tekla STructure

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