Catenda BIMソリューション・エコシステム
鹿島建設株式会社
所在地:東京都港区
創業:1840年
資本金:814億円余
従業員数:10,358名
主な事業内容:総合建設業
https://www.kajima.co.jp/

建築管理本部 BIMソリューション部 ソリューション開発Gr
グループ長 遠藤 賢 氏
社会インフラなどの国土開発や日本初の超高層ビルなど、各時代の先駆的なプロジェクトを手掛け「進取の精神」で産業・経済の発展に貢献している鹿島建設株式会社。同社は1840年の創業から現在に至るまで、建設業界の先頭を切って新たな領域に挑戦してきた。同社の建築管理本部BIMソリューション部では、施工系のBIMにCatenda Hubを採用した。Catenda Hubの導入により、3Dによる総合調整を現場に展開して、調整にかかる時間の短縮や協力会社による修正対応の迅速化などを実現している。
openBIMへの準拠やWebブラウザ対応などを総合的に評価して施工BIMのデータ共有環境にCatenda Hubを採用
鹿島建設株式会社の建築管理本部BIMソリューション部でグループ長としてCatenda Hubの導入を推進してきた遠藤賢氏は、選定の背景を次のように説明する。
「Catenda Hubは施工段階における総合調整に活用しています。当社では、大きく分けて2通りのBIMワークフローがあります。ひとつは設計部門を中心とした設計BIMです。設計BIMでは、企画・基本設計から実施設計におよぶ範囲をカバーしています。一方、施工部門を中心とした施工BIMでは、実施設計の段階から施工に至るまでの工種ごとに作成する多数の施工BIMモデルを扱い、これらの総合調整を実施しています。この施工BIMにおける総合調整を推進する目的でCatenda Hubを採用しました」
総合調整会議では、意匠・構造・設備の不整合をなくすために、干渉チェックや不具合箇所の確認、施工性の検証などの対策を検討する。
鹿島建設では、多数の協力会社と行う総合調整会議におけるコラボレーションツールとしてCatenda Hubを採用した。
その理由として、遠藤氏は「openBIMに準拠しているので、IFCデータを直接扱うことができ、社外の協力会社からのBIMモデルもCatenda Hubで統合できる点と、総合調整での指摘事項についてもopenBIMに準拠したBCF(BIMCollaboration Format)でやりとりが可能である点を評価しました。
また大きなデータであっても、GPUを搭載しているPCであれば、Webブラウザ上で高速にBIMモデルを表示し確認できるので、以前の総合調整にかかっていた時間を大幅に短縮できました」と補足する。
BCFフォーマットは、異なるソフトウエア間でBIMモデルの修正事項や指摘の管理などに使用される共通ファイル形式で、多様なBIMソフトウエアを利用するユーザー間のコミュニケーションを円滑にするフォーマットである。
IFCはBIMのデータを流通・交換させるためのファイルフォーマットで、中立でオープンなBIMデータ形式になる。
CatendaHubは、施工管理のための共通データ環境(CDE)として、国際標準に基づいたクラウド型プラットフォームを提供している。
Catenda Hubを施工BIMで利用することで、BIMによる総合調整、課題の抽出と割り当て、プロジェクトデータ(2D図面、3Dモデル、ドキュメントなど)の一元管理が可能になる。

設計/施工のBIMワークフローとデータ共有環境

BIM総合調整におけるCatenda Hubの役割

Catenda Hub:モデルの修正記録の一元管理

Catenda Hubの展開状況
2024年は95の現場で約3,800 名がCatenda Hubによる施工BIMを実践
2023年の5月から本格的にCatendaHubを導入した鹿島建設の施工部門では、2024年の実績で、95の現場で約3,800名が利用している。
その内訳について、遠藤氏は「ユーザーの半数は鹿島社員ですが、残りの半分は設計者、監理者、協力会社の社員です。CatendaHubは、利用料がユーザー数ではなくプロジェクト数で決まるため、大規模なプロジェクトにおいても運用コストを抑えられます。また、社内だけではなく協力会社からも利用できるので、総合調整にかかる段取りが削減され、効率的に調整業務を行うことができます」と説明する。
総合調整において、Catenda HubのBIMモデルで干渉や不具合箇所が確認されると、その箇所をキャプチャーしてコメントを入力し、関係者と共有する。
課題箇所を指示された設計や施工部門では、それぞれの現場で利用しているBIMソフトウエアを使って問題を修正し、再度修正したBIMデータをCatenda Hubにアップロードして対応する。
遠藤氏は「Catenda Hubによる施工BIMを推進する以前は、担当者が各協力会社から送られてきた修正データをいったん自分のパソコンにダウンロードし、専用ソフトウエアを使ってBIMモデルに統合していました。また、総合調整会議でも修正箇所をExcelなどで管理していたので、作業が煩雑になっていました。Catenda Hubによる問題箇所のキャプチャーと修正指示により、施工に向けた調整作業が大幅に効率化されました」と導入の成果を話す。
Catenda Hubを活用して施工計画もモデルとして展開
Catenda Hubによる施工BIMの効果として、遠藤氏は2つの事例を紹介する。
ひとつは、大規模な生産設備の建設において、施工に必要なクレーンなどの配置計画への応用だ。
施工BIMにおいては、BIMモデル上に、仮設材やクレーンなどの大型重機などを配置した施工計画モデルを作成し、施工計画を検討する。
その機能を活用し、施工の確認だけではなく、進捗状況に合わせていつどこに重機などを配備するかを示す、時系列のBIMモデルを複数作成し、Catenda Hub上で共有することで、プロジェクト関係者全員に分かりやすく工程を説明することができる。
またCatenda Hubは、BIMモデルと点群データや2D図面などを重ね合わせて描画できる。
この機能を活用すると、増改築のようなプロジェクトでも、過去のデータと正確に比較してディテールの確認ができる。
遠藤氏は「CatendaHubは、1時間ほどの講習で誰でも基礎的な使い方を理解できるので、施工BIMとして現場への展開が円滑に進みます。総合調整会議では、CatendaHubで重ね合わせをしたモデルをWebブラウザで表示しながら、問題箇所の確認や修正指示などの記録を行っていきます。このときに、Catenda HubはBIMモデルを高速に描画するので、会議もスムーズに進行します」と評価する。
openCDE のトップランナーとして日本での展開に期待
今後に向けた取り組みについて、遠藤氏は「日本で100近い現場で同時に施工BIMを実践しているのは、鹿島建設だけだと自負しています。
また、CatendaHubは、操作が容易なことに加え、セキュリティ対策がしっかりしているため、協力会社を含めたプロジェクト関係者全体で活用が可能です。
また、国際標準に則ったopenCDE APIにも対応しているため、今後数多くのBIMソフトウエアやCDE、施工現場での利用するITツールとの連携が可能であり、さらなるBIMデータの活用につなげることが可能です。
今後もopenCDEのトップランナーとして、Catenda社には日本に根付いたビジネスを広げてもらいたいです」と期待を語る。
最終更新日:2025-05-28
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