アレリオ橋梁点検
岡崎市
所在地:愛知県岡崎市
市制施行:1916年7月
市の人口:383,802人
(2023年11月1日現在)
https://www.city.okazaki.lg.jp/
土木建設部 道路建設課 橋りょう係
主査 原田 暁 氏 係長 稲垣 篤志 氏 主査 中根 諒祐 氏
愛知県の中央に位置し、中核市でもある岡崎市は、徳川家康生誕の地として知られ、特に2023年は大河ドラマ効果で賑わいを見せた。
その家康の長寿の秘訣とも伝えられる八丁味噌も特産品として有名だ。
今回、訪問した同市土木建設部道路建設課橋りょう係は、市内の橋梁の新設・保全・点検業務全般を担当する。
3名という少数精鋭で活動する中、点検業務の効率化と経費縮減を考えていた時期に「アレリオ橋梁点検」を知り、試行した後に導入を決定した。
目に見えて分かる点検コスト縮減効果
岡崎市土木建設部道路建設課橋りょう係が管理する橋梁の数は、「道路法施行規則」により橋やトンネルなど道路ストックの5年に一度の定期点検が決定された2014(平成26)年時点の数で942橋、ここで点検が一巡し、今は二巡目の点検が最終段階で947橋となっている。
一巡目は全て建設コンサルタントに委託し4億円近い発注額となった。
そこで何とかして点検の効率化とコスト縮減を実現したいと検討していた際に「アレリオ橋梁点検」についての話を聞く機会があり、他の自治体での実績と数橋の無料お試し点検があると知り依頼した。
実際に“お試し”を行った効果を稲垣係長に聞いた。
「紙に手描きの野帳で点検を行っていた際は5日間で15橋程度、実際に『アレリオ橋梁点検』で数橋行った時間で試算すると5日間で30橋行える計算になりました。アレリオを使用した直営点検は、委託費用と比べると、30橋で約550万円のコスト縮減になります」
課題をクリアする十分な効果を実感する一方で、同係ではクラウドを使用した他社製品との比較も行った。
「点検したデータをクラウドで保管できるというメリットが多いのですが、端末に対してインターネットが関わると市のセキュリティー基準のハードルが高く、意思決定に時間がかかります。また実際は通信費やサーバー利用料などで相当のコストがかかると考えました。『アレリオ橋梁点検』は、ネットワークから遮断された状態で使えるなど、仕組みがシンプルで導入しやすい点が決め手で価格もお手頃でした」と稲垣係長は採用決定の経緯を説明した。
タブレットで損傷の記録を撮影
現場で図面に旗揚げして、損傷を記録できる
簡単操作で点検調書作成時間を大幅削減
「やはりシンプルなのが一番いいですね。紙の野帳を使って点検した場合と比べて、スマホを操作する感覚と変わらないほど簡単で、パソコンに有線でつないで出力されたアウトプットがそのまま調書として使用できるレベルです」と語るのは、橋の設計から点検まで行える資格を有する原田主査。
稲垣係長も「点検を終えて帰庁したら、ボタン一つで取り込みから印刷まで完了します。現場で調書を作成しているようなもので、点検調書の作成時間が9割以上削減されました」。
中根主査も「人事異動があって新しい人が使う場合も、引き継ぎの手間が省けます。
高校生や大学生のインターンシップでもすぐに慣れて使いこなすほどで、私たちの仕事の内容も伝えやすいですね」と、誰でも使える操作性について別角度から語った。
損傷箇所と写真が現場でリンクされるので、調書作成時に確認にかけていた時間も削減された。
稲垣係長は「従来方法でまとめて4橋~8橋を点検すると、デジカメ内に大量の画像が保存されますが、『どの橋だった?』『右岸側か左岸側か』など写真整理にかかる地味な確認作業が不要になります」と、そのポイントを語る。
また、整理を先延ばしにすると記憶が曖昧になるので当日か翌日の処理に追われるなど時間的な制約にも悩まされてきたが、「アレリオ橋梁点検」なら損傷写真を照合する作業がなくなるため、帰庁時に緊急の案件が入っていた場合でも調書作成を後日に回せる。
時間短縮と内業の時間を選ばないという2つのメリットが効果を増幅させる。
直感的な操作のため、現場でも入力が容易
アレリオ橋梁点検による点検作業の流れ
点検費用の縮減分を修繕費用に
狙いどおりの効果をもたらしている「アレリオ橋梁点検」だが、あえて改善してほしい要望を聞くと、稲垣係長からはこんな回答が返ってきた。
「改善を加えてほしいところは思いつかない。
むしろ改良して価格が高くなるとか、システムが複雑になるのは避けてほしいですね」もちろん満足度の高さを示す言葉だ。原田主査から「強いて言えば、初心者用に診断機能があればいいですね」という要望が返ってきた。
「アレリオ橋梁点検」は、こうしたユーザーの要望をその都度生かして利便性を高めてきた。
例えば損傷がなかった際に「損傷なし」と付けられる機能は、岡崎市の橋りょう係の要望で改善された。
それによって「本当に行ったのか、点検漏れではないか」など曖昧な記憶を再確認する手間が解消された。
また最新バージョンでは全ての橋梁データを1回取り込めば、その後は橋ごとに更新できる仕様になったため下図登録などの手間が縮減されたことでますます真価を発揮しそうだ。
現時点の同係の直営点検目標は5年間で150橋、年間30橋を5日間で行うという当初目標を踏襲した。
それによる概算縮減額550万円(年間)は、管轄する小規模橋の修繕工事が1橋あるいは2橋できる予算に当たる。
「橋梁の長寿命化と予防保全をさらに進めるためにも、点検費用の縮減分を修繕費用に充てていくのが有効」という稲垣係長の言葉は、多くの自治体に共通するメリットでもある。
最終更新日:2024-06-06
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