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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

上水道配管設計専用CADで全員作図

館林市 環境水道部 水道課 工務係

館林市のV-WATER Ex活用

館林市の水道事業
 館林市は、関東平野の北西部、群馬県の南東部に位置し、昭和32年5月に市民待望の上水道の給水が開始されて以来、地下水を水源として、6次にわたる拡張事業を実施し、安定給水に努めてきた。
 現在、平成7年から現在まで続く第7次拡張事業のさなかであり、全面的な地下水依存から一部表流水の導入を含めた管網整備を行っている。
 「安全で安心な水を安定して供給する」をスローガンに掲げる環境水道部水道課の小川氏に話を聞いた。

会社概要 館林市 環境水道部 水道課 工務係

使用代表者名
小川 清治氏 (右端が小川氏)

CAD導入の経緯

 館林市環境水道部水道課では、2006年10月に、上水道配管設計CAD「V-WATER Ex」(川田テクノシステム)を導入した。

−それ以前は、CADは使用されていなかったのでしょうか?

AutoCADとの互換性を重視した、安価な汎用CADを2年くらい使用していました。

−昨年、本格的なCADの入れ替えに踏み切った経緯は?

 大きく分けて、二つあります。一つめは、館林市で取り組んでいる「水道施設管理システム」の構築を目的としたものです。これまで紙で台帳管理していたものをマッピングシステムに登録するため電子化する必要が生じ、今年度から水道工事業者の方々には「写真」や「完成図」を電子データで提出するよう求めました。図面は、電子納品の流れを汲んでSXF(sfc Ver.2)のファイル形式に統一することとしましたが、水道工事業者で使用されているCADはJW_CADがほとんどでしたので、JW_CADデータが読み込めて、かつ、sfcデータで書き出しができるCADの導入が急務となりました。
 二つめは、行革による経費削減策として設計作図を内製化しようという動きからです。従来は図面設計を外部委託していましたが、職員の意識改革が高まり、できる限り職員で行おうということになった結果、使い勝手の良いCAD選びが始まったというわけです。

館林市水道施設管理システム
クリックで拡大します。

「なんでもできる」は「なんにもできない」と同じこと

−その中で、「V-WATER Ex」を導入した決め手は?

まずは、先ほど申し上げた「ファイル形式」や「操作性」といった条件を満たしていることを大前提として、いくつか候補を挙げました。
 積算ソフトと連動したCADが多かったのですが、館林市の場合、諸先輩方がExcelで作成した積算用のツールが非常に便利なので、積算については引き続きそれを使用して行こうと考えました。Excelベースだとカスタマイズも簡単にできて応用が利くし、設計単価も単価改訂時に自前で更新しながら使って行けますから。なんでもできるというのは、結局はなんにもできないということなんです。積算との連動を重視して重厚長大なシ ステムになるよりも、小回りが利くCADが私たちの用途に合っていました。
 加えて「V-nas」が群馬県の採用CADであったことが挙げられます。V-nasシリーズは、以前から地元の測量会社などが使っていたのでその名前は知っていましたが、県主催の講習会に参加していく中で、上水道専用のラインナップもあると聞いて、川田テクノシステムの「V-WATER Ex」を水道課工事関係の職員全員に導入することを決めました。
 上水道用とうたっているCADは少なかったですし、今回の場合、「自分たちで作図したい」という目的がはっきりしていたので、それにフィットしたCAD選びができたと思っています。

CAD導入が実現した内製化のメリット

−導入はスムーズでしたか

それまで使っていたCADとは操作の手順や旗上げの仕方が違っていたので、最初はとまどいました。J W _ C A DやAutoCADでそれなりに館林市のスタイルができあがっていたものですから。しかし、何度か操作研修も行いましたし、おかげさまで配水管の老朽化による布設替えなど、仕事は増える一方でしたので、数をこなしてすぐに慣れました。
 今では、一般的な設計の外部委託はほとんどなくなっています。


−作図の内製化によって得たものは?

 正直、職員の負担は増えましたが、メリットも大きかったです。まず、図面修正のタイムラグが減ったこと。修正が入った場合もいちいち設計会社に依頼をしなければならなかったのが、その場ですぐ行えるのでスピーディに対応できます。
 次に、現場をよく見るようになったこと。これまで一回の打合せであとはお任せ、ということもありましたが、現場を見ないと絵が描けないですから、現場に臨む姿勢が変わってきました。発注して現場監督の立場に立った場合も、ここには構造物があるから配管には気をつけて・・・といった指示ができるようになり、現場管理者として、それまで以上にきめ細かい気配り・目配りがきくようになったと思います。

CAD標準フォーマット採用による効果

−CALS/ECの対応状況についてはいかがですか。

 先ほど触れた「水道施設管理システム」の運用を平成21年度から始める準備として、まずは「写真」と「完成図」の電子化から着手している段階です。
操作画面
 「水道施設管理システム」から閲覧するには、紙をスキャンしたイメージデータでは容量が大きすぎるのと、何より2次利用を目的としてデータ形式をSXF(sfc Ver.2)に統一したわけですが、それに対して理解を得るため、6月に水道工事関係業者22社を対象に電子納品説明会を行いました。以来、図面のやり取りはsfc形式で行うよう徹底しています。
 図面はやはり現場で変更されることがよくありますよね。配管の切り換えの位置や長さが変わったり、曲管を使う場所が変わったり。私たちとしては、そういった現場の生の完成図データをもらわないと意味が無いので、やはり「標準フォーマット」であるsfcで統一して、将来的な維持管理への利活用にもつなげたいと思います。
 現在発注している工事はスムーズに進捗しています。

−CALS/EC対応にあたって近隣の市とは情報交換されているのですか。

 両毛6市(群馬県:館林市、太田市、桐生市、みどり市、栃木県:佐野市、足利市)で研究会を設け、年に1回くらい会合を行っています。そういった中で、CALS/ECやシステム化に関する情報交換を行い、他市の取り組みの視察に出かけたり、たいへん刺激を受けています。

−最後に「V-WATER Ex」やベンダーに対する要望はありますか?

 私たちが導入した当時は「V-WATER Ex」はリリースされたばかりの新商品でしたので、今後の機能改良については自分たちの意見が反映されやすい点も狙い目でした。とにかくいろいろな意見をぶつけるようにしていますので、今後とも継続した機能改良とサポートをお願いします。
 一方、まだ使いこなしていない機能等もありますので、今後も定期的な研修を行っていただき、ともに成長できる関係であれたらいいですね。




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