建設ソフトやハードウエアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。
制約が多い都市部ビル屋上の高圧受電設備を K-D2 PLANNERでスムーズに交換点群+ BIMデータで手戻りのないクレーン作業を実現
株式会社弘電社
クレーン施工計画シミュレーションソフト
「K-D2 PLANNER」
株式会社弘電社
所在地:東京都中央区
設立:1917年6月
資本金:15億2,000万円
従業員数:634名(2025年4月現在)
主な事業内容:総合電機設備工事、電気機器販売
https://www.kk-kodensha.co.jp/

技術戦略部 技術開発課
主事 村井 克弥 氏(左)
山口 ひより 氏(右)
コーポレートメッセージとして「-Create the bright future-私たちの使命は、世の中を照らすことだ。」を掲げる株式会社弘電社。
多くの街の建物の電気工事に携わっている同社だが、DX促進を目的として、コベルコ建機の「K-D2 PLANNER」を導入した。
本記事では、導入の経緯や効果などについて、技術戦略部技術開発課村井克哉氏、山口ひより氏へのインタビュー形式でお届けする。
K-D2 PLANNER導入の背景と試行経緯
― K-D2 PLANNERとの出会いについて教えてください。
村井氏:弘電社は、多種多様な建物の電気設備を設計・施工を手がけており、高圧受電設備(以下、キュービクル)などの重量物の搬入・据え付けの検討も行っています。
中には狭小地や周辺にさまざまな既設物が密集する環境下で検討をしなければならないときもあり、クレーンの施工計画をしっかりと行うことが、当日スムーズに作業を行うためのカギでした。
しかし、従来のクレーン計画は2D図面で行っており、平面・断面を個別に検討する必要があり、クレーンの機種情報の収集にも重量鳶やクレーンメーカーに何度も確認を取るため多くの時間がかかっていました。
また、現場では安全が第一になりますので、安全率を高めに見積もった重機選定となり、コスト増や計画の不確実性が課題でした。
そのような課題の解決を含めDXの促進を目的に、当社は3年前にRevitを導入し、BIM活用を全社へ広げる方針を掲げてきました。
そして1年前の展示会「ArchiFuture」での高砂熱学工業様の事例発表でK-D2 PLANNERを知り、Revitと組み合わせて試用を始めたのが導入のきっかけです。
K-D2 PLANNERの初適用案件として、銀座にある本社屋上のキュービクル更新を選びました。
キュービクルはおおむね縦横2m、長さ8m、1面当たり重量1~2tの5面体のユニットです。
屋上への搬出入ではクレーンの配置位置や周辺障害物とのクリアランスが成立条件になりますので、周辺と屋上の点群を取得、本社ビルのBIMモデル化、K-D2 PLANNERによるクレーン配置・揚重シミュレーションという流れで検証しました。

3D検証で見えた具体的効果
―現場での導入効果を具体的に教えてください。
村井氏:本社の屋上は、斜め壁やさまざまな機器が密集する非常にタイトな環境で行われました。
ビル脇の道路側も看板・道路標識・消火栓・ガードレールなどの障害物が多く、クレーンの配置位置やアウトリガーの張り出し幅に厳密な配慮が必要でした。
交通量の少ないゴールデンウイークの夜間(21時~翌4時)に道路使用を行う前提で、周辺道路と屋上を点群計測し、本社ビルはBIM化して、K-D2 PLANNERでクレーン選定から配置位置、揚重経路、建物や設備との干渉を一括で可視化しました。
当初は主ブームのみでの据え付け案で、現場からも主ブームのみで吊れるだろうという声がありましたが、3D検証の結果ジブ併用が不可欠と分かりました。
K-D2 PLANNERの豊富な機種データにより短時間でトライアンドエラーを重ね、最適な機種と主ブーム+補助ジブという構成に収束できました。
山口氏:K-D2 PLANNERを使えば、作業半径・吊り能力・ブーム構成の違いによる成立性を3D 上で素早く比較できます。
過大機種を選ぶのではなく“最適サイズ”を合理的に選定でき、コストや道路を過剰に使用しない点でもメリットがあります。
特に作業の検討を前倒しで行う「フロントローディング」の効果は大きかったです。
通行止め区間とアウトリガー幅の整合、ジブの振り角と斜壁クリアランスなど、現場で迷いがちな項目や撤去が必要な障害物を事前に決め切れたことで、夜間使用下でも安全と工程の確実性を両立でき、結果として当日は撤去・据え付けはいずれも当初7時間を見込んでいた作業を、わずか3時間半で完了し、手戻りはゼロでした。
現場の作業員からも「事前に詳細な検討をしたことで、当日は迷うことなくスムーズに作業を進められる」と感謝されました。

キュービクルの上には太陽光パネル(矢印)が設置されているためクレーン作業の障害になる

狭い道路上で行う作業は、クレーンの配置位置や揚重経路の事前検討も重要だ
― K-D2 PLANNERのどのような点が評価されていますか。
村井氏:K-D2 PLANNERは機種データが充実しており、作業半径や吊り能力、ブーム構成の違いによる成立性を3D上で短時間で比較できます。
安全率を見込んで過大機種を選ぶのではなく、成立性を担保した上で最適サイズを選べるメリットがあります。
また、3D図、断面・平面図による資料も簡単に作成でき、発注者や重量鳶の方々への説明も直感的にできるようになりました。
今回の本社ビルの案件では発注者に当たるのが自社の上層部で、総務部経由で上層部に説明をする必要がありました。
その時にさまざまな角度からの3D図で作業内容が一目瞭然となることで、総務部からお客さま目線の意見として「見て分かる、説得力が非常に高い」とコメントをいただきました。
また検討会の際に、屋上の設置物を追加で撤去できないかと急に挙がった検討案にもその場で対応することができ、「今後の活用に期待が持てる」と高い評価をいただくことができました。
山口氏:前職では施工計画は2D中心で、クレーンの施工計画の際には吊り上げ能力や作業半径の確認に1日を費やすこともありましたが、K-D2 PLANNERなら機種・構成の切り替えで数分~数十分で候補を絞り込めます。
点群撮影からクレーン施工計画まで従来なら7日間くらいかかっていた作業が3日ほどに減少しました。
K-D2 PLANNERを使うことでベテランでなくても詳細な検討が簡単かつ迅速にでき、見えにくいですが確実に計画工数の圧縮と意思決定の迅速化に貢献し、働き方改革が実現できていると感じます。

クレーンの主ブームのみで、既存キュービクルをそのままの場所から吊り上げる作業をシミュレーションした結果、
ブームと建物の接触(左)や、キュービクルと鉄骨との接触(右)があることが事前に把握できた

主ブームに長さ13.1mの補助ジブを付けた作業シミュレーション。建物との接触はなくなり、クレーンの吊り上げ荷重の最大負荷率も許容内に収まることが確認できた
BIM 浸透と今後の活用展望
―今後の活用拡大について展望をお聞かせください。
村井氏:新築段階から20~30年後の更新性を見据えた配置設計の吟味にも有効と考えています。
以前、新築の設計段階に関わることがあったのですが、当初の予定では屋上に設置予定だったキュービクルや発電機などの重量機器を、更新時の作業を想定し、地上配置へ切り替えたことがありました。
2Dで将来ケースを網羅するのは大変難しく非現実的でしたが、Revit上でK-D2 PLANNERを併用することで、追加工数を抑えつつ複数案を比較検討でき、ライフサイクルコスト低減と保守性向上を両立する「未来を見据えた設計」が可能です。
山口氏:社内では今回の事例共有を通じて各支店からの相談も増えています。
まずは「K-D2 PLANNERでクレーン作業検討が楽になる」としてBIMのメリットを社内へ浸透させたいと考えています。
また、全員が3Dで施工性を確認できる体制が整えば、クレーン施工計画にとどまらず、搬入・据え付け・更新計画の総合最適化へと裾野が広がっていくかと思いますので、DXに強い会社として成長していくためにもK-D2 PLANNERのようなソフトを活用しながらRevitやBIM全般を浸透させていきたいと考えています。
公開日:2026-05-26
ソフト詳細
K-D2 PLANNER














