eYACHO for Business
能美防災株式会社
所在地:東京都千代田区九段南
創業:1924年3月
資本金:133億200万円
従業員数:2,673人(2023年3月末日現在)
事業内容:総合防災設備・システムの製造・施工・保守
https://www.nohmi.co.jp/
防災事業のパイオニア・能美防災株式会社では、防災設備の施工部門にeYACHO for Business(以下、eYACHO)を導入し、情報共有の質を向上させることで業務効率を上げ、残業・ぺーパーレスなどの業務改革を進めている。
同社のeYACHOによる業務改革について、火報設備本部 副本部長 菅原 良浩氏、第1システム施工部 施工技術課長 山鹿 武彦氏、施工技術課リーダー 前川 治郎氏、施工管理3課第1係長 中村 友昭氏に話を伺った。
火報設備本部
副本部長
菅原 良浩 氏
火報設備本部
第1システム施工部
施工技術課
リーダー
前川 治郎 氏
火報設備本部
第1システム施工部
施工技術課長
山鹿 武彦 氏
火報設備本部
第1システム施工部
施工管理3課
第1係長
中村 友昭 氏
戻ってからの事務仕事を別部門にシフト
2024年問題が迫る2018年、菅原氏は、施工部門に常態化する残業問題の解決に着手した。
「業務の分析や棚卸し」をする中で以下の問題点が浮かび上がった。
①日中は現場→会社に戻ってから事務仕事という、残業が発生してしまう構造になっている
②各種情報の図面への表記方法が施工管理担当者によって異なる
現場の終盤、追い込み段階に入ると、設備の情報は毎日のように変更があり、それらの情報は図面に書き込まれる。
施工管理担当者は、日中の現場仕事の後、事務所に戻ってまとめ作業をして、CADオペレーターやデータ制作部門など後工程に流す。
疲れによって集中力が落ちることもあり、効率が低下、精度が落ちる恐れもある。
それなら事務所に戻ってからの事務仕事を社内の別部門が賄えばよいのではないか。
分業するには正確な情報共有が必須、それにはツールとルールが必要となる。
「ノートPCの配備・事務所のフリーアドレス化・シェアオフィスの充実などが整うタイミングでもあり、同時にペーパーレス化も進め、現場と社内で情報を共有するためのツールを介して、施工管理担当者は出先で仕事が完結する環境を整備しよう」菅原氏は携帯性に優れたタブレット端末を利用した図面管理アプリが最適と考え、レイヤー機能が充実したe YACHOに注目した。
業務を分担して、eYACHOのレイヤーに
図面には、全ての情報が詰まっている。
ベースとなる図面、機器の取付情報、変更内容、感知器のアドレスなどの固有の情報など。
これらをレイヤーに分ければ、情報の整理が容易で、複数の人が自分の仕事をレイヤーで管理できる。
また、必要なレイヤーだけを選んで書き出せれば、発注者や協力会社向けの図面も簡単に作り出すことができる。
複数のアプリを検証した前川氏は「着目したのは、レイヤーが使えること、拡大しても画質が乱れないこと、費用、営業やサポートのレスポンスの良さやこまめなアップデート。これらをトータルで判断してe YACHOに決定した」と言う。
従来からある、大型現場での防災システムや特殊製作盤の仕様まとめを担当する施工技術課の人員を増員し、施工管理担当者が事務所に戻ってからやっていた事務仕事を一手に担うこととした。
10台でスタートしたトライアルから半年後に導入を開始し、現在では340台のe YACHOを導入している。
大小合わせて年間数千件の施工案件のほとんどをe YACHOに移行した。
「大型現場になると複数の人が関係する。この人は(e YACHOを)持っているがこの人は持っていないとなると情報共有がうまくいかない。一度にやらないと意味がない」(菅原氏)
「一度に導入したため混乱が生じるかと思ったが、予想よりはるかに少なかった。e YACHOは直感的に使える仕様になっているので、説明会を開いて2-3時間ロールプレイをする程度で使用できている」(前川氏)
基本のテンプレートに必要なレイヤーを追加して図面を作成できる。必要なレイヤーだけを表示すれば確認も容易だ。
ルールの整備とテンプレートの作成
施工管理担当者への徹底したヒアリングを元に、フォルダやレイヤーの設定、情報の記入方法などのルールを整備するとともに、各種テンプレートを用意した。
「独自の使い方をすると、一緒に仕事をする時に支障が出る。ルールが確実に守られることによって情報伝達のロスや誤読がなくなり、全体の効率が良くなる。ルールは慣れるのに時間がかかり、細かすぎると面倒になるので、最低限守ってもらいたい内容をルール化した」(山鹿氏)
「ルールが浸透すれば、図面や資料に記入されている情報を誰もが同じ内容として認識できるので、残業が上限に達しそうな人に代わって手隙の人を配置することも可能になる。さらに、データが施工技術課に集約されることで品質が一定になるというメリットもある。e YACHOを使うことでその効果が出ることを全員が理解できた時に、分業による効率化もさらに進むだろう」(菅原氏)
現場で変更事項などを入力
社内で変更事項を整理するなどの
事務作業後、CADオペ等に送る。
管理者としてのメリットも
自らも大型現場を担当しつつ、小さな現場を多数持つ部下を抱える中村氏は「情報がレイヤー分けされていることで、問題点の把握が速くなった」と言う。
「以前は、現場から戻った部下から図面を見ながら説明を聞き、問題があれば再度現場に行って確認させることもあったが、今は該当するレイヤーを見れば一目瞭然。e YACHOを事務所や外出先から見る*だけで確認できる場合もある」また「自分が管理する現場も、施工技術課・サブ担当者・上司が情報を共有することで、自分がすべきことに業務をスリム化することができ、業務を分担しつつも全体を正しく把握できる。管理者としてのメリットも大きい」(中村氏)
施工管理部門で取り組んでいる業務改革は、ペーパーレスなどさまざまな施策を遂行するとともに、e YACHOを導入することで仕事の構造を変えた。
この流れは、社内でも注目され他の部門への利用拡大につながっている。
e YACHOの導入を協力会社に対しても進めつつある現在、菅原氏は「さらなる効果を期待している」と言う。
全社規模のDXが既に始まっていると言えるだろう。
以前は紙ファイルを何冊も持ち歩いていたが、一気にペーパーレスに移行した。
* e YACHOのシェア機能により最新情報がリアルタイムに共有できる
最終更新日:2024-06-06
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