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ビッグデータにも対応できる処理能力で30社超の施工図面をスムーズに統合
成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

導入の決め手はBIMへの適応力
ビッグデータにも対応できる処理能力で30社超の施工図面をスムーズに統合

株式会社大気社

BIM対応建築設備専用CADレブロ

環境システム事業部 九州支店 特定プロジェクト室

株式会社大気社
所在地:東京都新宿区
設立:1913年4月
資本金:64億5,517万円
https://www.taikisha.co.jp/
 


環境システム事業部 九州支店 特定プロジェクト室   
品質管理室長   作図室長    作図室長     
湯浅 紳次 氏   川部 裕貴 氏   井川 正和 氏   

 
株式会社大気社は、一般施設に加え半導体、医薬品の工場・研究施設のクリーンルームなどの空調設備の設計・施工、さらに国内外自動車メーカーの大型塗装プラントの設計・施工を中心に、最近では農業分野である業務用レタスなどの量産実証を行う自社工場まで業務拡大を進めている。
 
今回取材したのは、国内で注目を集めるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社(JASM)の半導体工場の施工現場。
大気社が中心となって進められた施工図面の統合作業において、必要不可欠な機能性を発揮した建築設備専用3次元CAD「レブロ」について、その効果を伺った。
 
 

BIM活用を見据え「レブロ」を選定

今回のJASM半導体工場の設計・施工は、大気社にとってもこれまでにない最大規模のプロジェクトであった。
同社代表取締役社長の長田雅士氏も「クリーンルームサプライヤーとして、当社の技術力と機動力を示し、存在感をアピールする絶好の機会」と捉えていた。
 
2022年4月から立ち上げメンバーとして作図チームの組織編成やインフラ整備、品質管理を担った湯浅氏は次のように語る。
「施主が台湾企業であり、当然ながら初めての仕事であったため、正確な施工図を作成し、施工サイドに早めに引き渡すことが短い工期を全うする必須条件でした。当社がクリーンルームの中心的な設備を担っていたこともあり、建設を請け負う鹿島建設をはじめ、他の設備工事会社との調整作業を積極的に主導し、施工図の統合には特に神経を遣いました」。
この図面統合作業に使用するCADの選定も湯浅氏に一任されたが、そこでNYKシステムズの「Rebro(レブロ)」を選定したのはどのような経緯であったのか。
「設備CADのなかでは、『レブロ』がBIMへの展開に最適であるという認識を持っていたので、当初からレブロを使用する構想がありました。
着任時、鹿島建設さんが使用されていたこともあり、すでに他社製のCADで運用されていましたが、レブロの導入を提言しました。このとき後述するNexceed(ネクシード)が開発する「BIMXD」の活用も視野に入れていました」。
 
 

施工図面の統合におけるレブロの有用性

組織やインフラの整備が完了した後は、井川氏を中心に施工図の統合作業が、現場で日々繰り返されていった。
 
大気社が手がける領域は、クリーンル―ムの空調から生産排気、熱源設備の一部まで広範囲に及んだ。
「30を超える関連業者の数でしたので、各社の図面をまとめる作業は大変なものでした。皆に声をかけて施工図データの集約・統合を繰り返していました。各社がそれぞれダクトや配管を作図している状況でしたが、レブロを使って3Dで納まりを確認しながら、関係者で対応方法を協議していきました」。
レブロの利便性が分かると、図面を統合すれば各社が集まるようになり、レブロの注目度は日増しに高まっていったという。
 
並行してCADを既存のものからレブロに切り替える設備工事会社が広がっていく。
当初大気社のプロジェクト室でレブロの操作経験があるのは井川氏のみであったが、若手を中心に操作講習会を2回開催し、不明点があれば井川氏やNYKシステムズのサポートに聞きながら、現場でトライ&エラーを繰り返して操作が習得されていった。
井川氏は「、言い換えてみれば、普段使っている言語が置き換わるようなイメージなので、他の設備CADの使用経験があればレブロもすぐ使えるようになります」と語る。
また、「施主の台湾人スタッフが、いつの間にかレブロのCG操作を覚えていて、英語というよりもレブロのCG操作で意思疎通が図れた」というエピソードも、レブロの操作性の良さを象徴した出来事だったようだ。
 
 

圧倒的な3D処理能力とBIMXD連携のメリット

大気社にとって最大規模のプロジェクトに選定されたレブロは、実際に現場でどのような効果を生んだのか。
井川氏が1番目に挙げたのはレブロの完全3Dエンジンとその処理能力だった。
「3D化の処理が想像以上に速いですね。他社のCADでは、この現場規模だと1フロアの表示が限界ですが、レブロは建物全体をワンモデルで作成可能な上、ビッグデータでも支障なく扱えました。3Dモデルを見ながら、特定の箇所を注意書きして保存できる「シーン登録」の機能はかなり有効でした。また、データを統合した際に、どの設備事業者が作成したデータなのかをプロパティ情報で特定できるため、作業効率アップにつながりました」(図-1)。

図-1 「シーン登録」のイメージ、PDFやBCF形式ファイルにて保存可能
図-1 「シーン登録」のイメージ、PDFやBCF形式ファイルにて保存可能

 
続いて、2023年3月から井川氏の業務を引き継いだ川部氏は、レブロの機能から「クリップ」機能の有効性を語ってくれた。
「施工図面が更新されていくとデータ量が大きくなるため、ファイルを開くだけでも時間がかかって大変です。
クリップで範囲を絞り込むことでスムーズに運用できるため、よく利用していました。レブロは多機能で奥が深く、今後、竣工図の段階に入るとまた違う機能が役立つかもしれません」(図-2、3、4)。

作図や確認時に必要な箇所へクリップ設定、不要な箇所を非表示にできる
作図や確認時に必要な箇所へクリップ設定、不要な箇所を非表示にできる

 
湯浅氏は、前述した「BIMXD」の活用について「進捗管理に使えたのが効果的でした」と語る。
「レブロの図面をiPad上に3Dで表示して、施工完了部分に着色して分類でき、ダッシュボードで進捗状況がグラフ化されます。
これが即座にできたので非常に効果的でした」(図-5、6)。

図-5
図-5
図-6
図-6
吊込済のダクトを色塗し、進捗状況を可視化、
Microsoft Power BIにて進捗確認も可能

 
こうした評価を踏まえ、レブロを通じた今後の取り組みについて伺った。
「当社で実は全国の現場でレブロを使用しているのですが、発注管理や納品管理の取り組みを始めている現場も出てきています。
私自身は、BIMを活用したロボット施工への活用を視野に検討を進めているところです」と湯浅氏。
井川氏は、「これまで工期優先で実現できていないのですが、プロパティ情報の入力をもっと充実させて、BIMデータをより有効活用してみたいと考えています。
個別に調べなくてもBIMデータから関連する全ての情報を把握できるようになればいいですね」とさらなる意欲をみせる。
また、川部氏は「、今回のようにビッグデータを扱う場合でも、不要な情報をそぎ落とすなど、ユーザーの工夫次第でデータを軽く扱えるようにする手段はあると感じています」と運用面の改善を挙げた。
 
「最後に、本現場に関して言えば、レブロがなかったら工期中に完成できなかったと感じます。
全国でもっと利用者が増えると良いですね」と3名の評価が一致したのが印象的であった。

最終更新日:2024-06-06




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