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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

「Tetra21」が実現した効率的な積算見積業務の仕組み

株式会社中電工

見積り積算パッケージソフト「Tetra21」

株式会社中電工
株式会社中電工
所在地:広島市中区
設立:1944年9月
資本金:34億8,190万5,850円
従業員数:3,568名
主な事業内容:屋内電気工事、空調管工事、情報通信工事、配電線工事、送変電地中線工事の設計施工
https://www.chudenko.co.jp/

中電工は、電気・空調・給排水・情報通信などさまざまな快適設備を提供する総合設備エンジニアリング企業であり、中国地域の基盤強化と首都圏の事業拡大に取り組んでいる。
そんな同社が従来の積算システムを再構築するに当たって選択した見積り積算パッケージソフト「Tetra21」について、導入した経緯と、導入後の効果について伺った。
 
 

構築の背景

導入前の積算システムは、初期開発から20年が経過し、使用状況に合わせた機能の追加や改善の改修が困難となっていました。
このため今後実施していかなければならないシステムの維持・変更・拡張に限界が見えていました。
 
そんな中、働き方改革を踏まえ、積算業務の効率化を図る声が高まり、また、デジタルトランスフォーメーション推進の後押しもあって次期積算システムの新規開発をスタートすることとなりました。
 
 

主な問題点

20年間使い続けた積算システムですが、当時は次のような問題点を抱えていました。
 
まず、当時のシステムは事業場ごとに設けたサーバー単位でデータを保有し管理運用する方式でしたので、別の事業場が同様の見積を提出する場合にそのデータを利用できず、保有データの有効活用ができていませんでした。
 
次に、お客さまによっては材工別見積書ではなく複合単価見積書を提出しなければならない場合があります。
この時は積算システムではなく複数の市販見積ソフトを使用して作成していました。
このように異なるシステムに入力をしていましたので非常に時間を費やしていました。
また、拾い出した部材を入力する際、部材選択のウィンドウが1画面しかなく、部材を変更するときや使用頻度の少ない部材を探す場合、その都度部材選択ウィンドウを開け閉めする操作をしていましたので、非常に時間がかかっていました。
 
それから、部材の拾い出しでは、三角スケールやキルビメーターで図面から拾い出した計測値を集計し、積算システムに手入力する作業を繰り返していました。
それに、メーカー見積書に記載の品名・仕様・単価は全て手入力で行っており、入力と確認に多大な時間を要していました。
 
 

構築の方針

構築に当たっては、当社設計・積算業務を主管している本店設計部が中心となってプロジェクトを立ち上げ、複数のチームを編成し開発の体制を確立しました。
また関係部署と協議を重ねた結果、多大な費用と開発期間を要する新規開発を行うのではなく、今後のバージョンアップにも対応可能なよう、市販のパッケージソフトを当社の持つノウハウと仕様を反映させる形にフィッティングさせる方向で開発を進めることにしました。
 
 

見積り積算ソフトTetra21の選定

構築方針を踏まえ、積算業務の効率化につながる仕組みを短期間で構築することを最優先に調査を実施した結果、
・パッケージソフトに既存システムが持つノウハウを必要最小限盛り込む
・業務の汎用性を高める
・早期にシステム構築を実現
・基幹システムとのスムーズな連携
これらを実現できるのは汎用パッケージソフトのTetra21でした(図-1)。
 
図-1 Tetra21 Start UP画面
図-1 Tetra21 Start UP画面

 
パッケージでありながら、当社の積算見積作成のノウハウを盛り込めること、他の基幹システムとデータ連携できることが選定の大きなポイントでした。
 
また、多くの導入実績があり、設計構築から運用開始までに膨大な時間をかけずに済むメリットもありました。
 
なおTetra21の導入を決定したことにより、積算業務効率化に向けパッケージに合わせた業務プロセスの見直しを行いました(図-2、3)。
 

図-2 Tetra21 部材マスター、見積書シート
図-2 Tetra21 部材マスター、見積書シート
図-3 Tetra21 印刷帳票
図-3 Tetra21 印刷帳票

 
 

構築の概要

構築方針の通り、Tetra21の標準機能に当社の要望を盛り込むフィッティングを実施して、カスタマイズ(アドオン)を最小限に抑えることを開発の方針としました。
そこで初期の段階でTetra21のプロトタイプを構築して当社の要件が満たされていることを確認後、フィッティング作業とアドオン開発に取り掛かり、マスター整備、既存関連システムとの連携、帳票整備を行い、当初のスケジュールどおり1年間で運用を開始することができました(図-4)。
 
図-4 Tetra21 物件概要、見積書シート
図-4 Tetra21 物件概要、見積書シート

 
 

基幹システムとの連携

当社の積算システムは、営業部門と工事部門を管理するシステムとデータ連携させる必要があります。
Tetra21には、他のシステムとデータ連携するためのAPIが用意されていますので、このAPIを使うことにより他の業務システムとスムーズにデータ連携する仕組みを構築することができました。
 
 

特長ならびに導入の効果

フィッティングとアドオン開発されたTetra21によって、積算業務は次のように改善されました。
 
まず、全事業場の見積情報をTetra21サーバーに集約できアクセス権限を設けた管理が可能となりました。
見積り情報は部材単位で検索ができ、さらにはモデルとなる物件(見積)の抽出が簡単に行えるようになったことで概算見積作成に活用できるようになりました。
 
次に、複合単価見積書の作成機能を実装したことで、異なるシステムに入力が不要となり大幅な時間削減となりました。
また、キーワードによる検索機能により、必要とする部材を素早く見つけることができ時間短縮が図れました。
 
それから、Tetra21のオプション機能を使ってデータ連携ができる「拾い出し専用ソフトPLANESTP’s(コスモ・ソフト社)」を採用しました。
PDF、DXF図面データなどから計測と入力を同時に行って、Tetra21に取り込めるようになったので、拾い出し部材の入力業務が大幅に削減できました。
 
その上、Excelなどで受領した積算数量書をPLANESTP’s経由で取り込んだり、メーカー見積書を簡単な手順でTetra21に直接取り込むこともできるようになりました。
 
結果、旧積算システムとTetra21を使って積算した場合の作業時間を比較したところ、拾い出し専用ソフトと連携したTetra21の使用により50%の時間削減となった例もありました(図-5)。
 
図-5 PLANEST P's 電気拾い図
図-5 PLANEST P’s 電気拾い図

 
 

まとめと今後の展望

運用開始後も、主要なメンバーがプロジェクトに残り、システムの保守業務を行っています。
Tetra21導入に伴い、業務プロセスの見直しも行いましたので、Tetra21を利用した積算見積業務がスムーズに移行できるようヘルプデスクを新設し問い合わせ対応も行っております。
また、積算担当者からの要望を随時集約し、さらなる効率化に向けてシステムの改良を継続して実施しています。
 
今後は、蓄積された保有データを活用した概算システムや誤積算チェックシステムを実現するため検討を進めていきます。
 
 

さいごに

Tetra21は多くの企業に導入されているパッケージソフトですので、ユーザーの意見・要望を取り入れ、より使いやすくなるバージョンアップを期待します。
 
 

最終更新日:2023-06-22




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