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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

障害物回避など先進ドローン性能を生かし“女性橋梁点検チーム”で点検・調査の革新を目指す!

村瀬工業株式会社/大創産業有限会社

Skydio2+

村瀬工業株式会社
村瀬工業株式会社
所在地:岐阜県岐阜市
創立:1965年5月 資本金:4,000万円
https://www.midl.co.jp/
 
大創産業有限会社
所在地:岐阜県岐阜市
創立:1999年2月 資本金:300万円
https://daiso-dil.co.jp/#business

橋梁点検チームのメンバー
山中 志保 氏(左から2番目) 村瀬 徳宏 氏(中央)


土木・建築用金物の製造を目的に誕生した村瀬工業は現在、子会社の大創産業とともに、橋梁に関わるブラケット構造物の製造とその設置工事、さらに点検までの一貫体制を村瀬グループとして構築。
岐阜県を中心に東海地方で実績を伸ばしている。
今回は点検・調査業務のために導入したドローン「Sk ydio2+」のメリットや今後の活用方法、そして女性橋梁点検チームを発足させた経緯について取材した。
 
 

Skydio2+導入の決め手

村瀬グループでは、より少人数・少日数による効率的な業務環境を目指す中で、常に新技術の導入に力を入れてきた。
 
今回、取材したSkydio2+は、グループ内の子会社である大創産業が2019年7月に開設した点検部門を中心にドローンの活用を検討する中で、点検・調査向けにようやく導入可能な機種として採用した製品だった。
なぜSkydio2+が選ばれたのか。
村瀬工業取締役経営企画室長で大創産業代表取締役社長でもある村瀬徳宏氏に聞いた。
 
「5~6年前に一度、導入を検討したのですが、当時のドローンは大型で橋梁の点検・調査には使えなかったのです。
価格もトライアル的に購入するには高額でした。
ただ、橋梁点検する際に交通規制を行う必要がない点や、施工時に足場を待たず事前に調査できる便利さは十分に魅力的でした。
今年になって、株式会社補修技術設計さんにSkydio2+を提案してもらい、かなり変わったなと驚きました」
 
3千億規模とも言われ活況を呈するドローン市場の中で、何が導入の決め手だったのだろうか。
 
「小型(機体サイズ 229×274×126mm)であることはもちろん、(障害物回避機能により)橋梁の桁や部材に50cmまで近接でき、それ以上は近づく ことなく飛行できる点で安心できます。
操縦を意識しなくても空中で静止している安定性にも驚きました。
トラス構造の橋梁では点検車のバケットを差し込んで抜く作業を繰り返しますが、Skydio2+を使えばそうした作業もなくなります。
また、橋梁を支える鉄骨がもたらす GPS信号(自律飛行のためにドローンが受信)への悪影響も避けられると聞き、点検・調査業務に適していると判断しました」
 
橋梁点検に最適な最新鋭ドローン「Skydio2+」
橋梁点検に最適な最新鋭ドローン「Skydio2+」

 
 

女性橋梁点検チームが工事現場を変える

実はSkydio2+の導入には大創産業保全部の山中志保氏の進言もあった。
 
「私は8年前に一度ドローンに触れる機会があったのですが、やはり大型過ぎてGPS設定の難易度も高く、何より価格が300万円以上もしたので現実的ではないなと思っていました。
この春、ドローン講習会に参加して操縦資格を取得したのですが、このときと比べるとSkydio2+は『たとえ操縦が下手でも、寝ていても大丈夫なくらい!? 』と思えるほどの安定性で、以前との違いに驚きました。
しかも画質が肉眼で見るよりキレイで感動して、『この画像をみんなに見てほしい』と本当に思いました。
価格もかなり低くなっていたので、ぜひ導入してほしいとお願いしました」
 
同社には、山中氏を中心に橋梁の点検・調査を行う「女性橋梁点検チーム」が編成されている。
その狙いを村瀬社長は次のように語った。
 
「村瀬グループ全体での女性比率は約3割で同種の業界では高い方だと思います。
採用では「ネイルも髪の色も自由」とメッセージしていて、ここ数年特に女性の入社が増えてきました。
製造部門でも女性が普通にヘルメットをかぶって作業している環境の中で、『女性橋梁点検チーム』の結成も自然な流れでした。
ジェンダー平等が叫ばれていますが、ドローンは筋力では劣る女性でも簡単に操作できます。
むしろコントローラーには指先の細かな動きが求められます。
そこで、これまで力仕事が優先していた現場作業にも女性が気軽に参加できる可能性を感じました。
事務所作業の合間を縫って現場に出て、ドローン操作で充分サポートできそうです」
 
橋梁の知識がなくても詳しい者の指示に従って撮影すればよいので、Skydio2+の操作技能さえ身に付ければ、現場での役割を果たすことができる。
点検人員の不足解消にもつながり、経営的にも効果を生み出しそうだ。
 
映像
 
橋梁点検車から離着陸できる
橋梁点検車から離着陸できる

 
 

3D 画像のデータ化を軸に橋梁に新たな可能性を

Skydio2+の導入前、村瀬氏らは都内の補修技術設計本社に1週間通い詰めてどこまで活用できるかを確認している。
そこでは何を得たのだろうか。
 
「このとき重要な画像の生データを数多く見せてもらいました。そこで(異なる視点から撮影し3次元点群データを作成できる)SfMソフトを使えば3Dで橋梁の点検・調査データを保存できるということが分かり、一気に視野が広がりました。
点検車では死角があって完全に点検できない部分が出てきますが、50cmまで近接できるSkydio2+は0.1mmの差も見分けられる高精度で、かなりクリアに撮影できると確信しました。
そこから新たなビジネスも始まるのではないかと思いました。
また、KDDIスマートドローン社の『あんしん機体補償』で手厚いサポートを受けられるので、安心して取り組めています」
 
現在のところ会社の敷地内で操作感覚を養っている段階だが、現場でのテスト飛行の実現には自信を持っている。
 
「岐阜県は新技術の導入に積極的な風土があります。何と言っても『足場をかけずに点検できます』と言えば、関心を示すことは間違いありません。元請企業にとっても大きなアピールポイントになるはずです。建設ICTの実用化が、維持管理の分野からスタートできればいいですね」
と語るのはSkydio2+の魅力を最も知る山中氏だ。
 
そこで村瀬氏に、3Dデータの活用を踏まえた展望について聞いた。
 
「点検と施工に関してはお話した通りですが、今後、業務と業務外に関わらず多くの橋梁の3Dデータを集めていこうと思っています。
そのデータを基に橋梁に関する工事はもちろん、どんな課題にも応えられる“橋に関するオールマイティーな企業”というスタンスをつくり上げていきたいです」
 
Skydio2+の潜在能力が橋梁の点検・調査の常識を変えていく予感がする。
そしてその能力を生かそうとする村瀬グループにも今後、大きなメリットがもたらされそうだ。
 

3Dモデル上で干渉チェック
3Dモデル上で干渉チェック
3Dモデル上に損傷図データを重ね合わせ
3Dモデル上に損傷図データを重ね合わせ

 

最終更新日:2023-06-26




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