Leica Nova MS50/Leica ScanStation C10/Leica BLK360/Leica GS18 T/Leica RTC360
株式会社U’s Factory
所在地:横浜市保土ケ谷区
設立:2013年8月
資本金:2,000万円
主な事業内容:建築系ソフトウエアシステム開発サポート事業、
3DCADモデル入力サポート事業、コンサルティング事業
URL:https://us-factory.jp/
株式会社U’s Factory(以下、U’s Factory)は、BIMマネージャーの役割を果たす会社として2013年に設立された。設立当初から、3Dスキャニングで取得した点群データを活用することで、3Dモデル生成、各種図面作成に至るトータル時間を劇的に短縮できると判断。3Dレーザースキャナーを導入し、現場の状況に応じて各機種を最適に組み合わせることで、高精度な点群データを短時間で効率よく取得するノウハウを積み重ねている。
顧客ニーズに即した「Onl yOneサービス」を提供
従来、測量から、3D CADモデル生成、各種図面データ作成に至る作業は、プロセスごとに複数の協力会社を交えて行われており、膨大な作業量を要してきた。U’s Factoryの代表取締役社長 上嶋泰史氏は、大手ゼネコンの技術部員としてこうした問題をつぶさに体験する中で、ITを活用して現場作業を劇的に軽減し、ゼネコン、大手設計事務所などと協働しながら業界を改革することを目指して、同社を設立した。
U’s Factoryは、測量・作図・モデリングをワンストップで行う。しかも、計測サービスあるいは3Dモデル生成にとどまらず、顧客が最終的に何をしたいのかという要望にも応じるべくコンサルティングを行い、その顧客の目的に最適な構成図・構造図・施工図・設備図等を作成して納品する。顧客ニーズに即した「Only Oneサービス」を提供するのが特徴である。
U’s Factoryでは3Dレーザースキャナーを使って高精度な3D計測を実施
■点群データから3Dモデルを生成するには「高精度」がカギ
既存施設の改修では、新築時に作成された設計図と現況がかけ離れていることが多く、まず現場を細かく計測して現況図を作成しなければ作業が進められない。取得した点群データから3DCADデータを短時間で生成できれば、現況図作成までにかかる時間を大幅に短縮できると、上嶋氏は考えた。
そこでまず、ライカジオシステムズの「Leica Nova MS50」を導入した。同製品は、高精度測量を行うトータルステーションであると同時に、360°の3Dスキャニングもできるマルチステーションであった。
「各社製品を慎重に比較検討した上で、湿気や気温変化に強く、高精度を担保できる計測機器であるとライカジオシステムズ製品を評価しました」と上嶋氏。
例えば既存施設を計測するとき、1回のスキャンの誤差が数ミリであっても、複数回のスキャンデータを合成して累積誤差が最終的に数センチになってしまえば、3Dモデル生成には使えない。土木分野のみならず建築分野でも顧客ニーズに応えていくためには、利用する点群データに「高精度」が強く求められたのだ。
U’s FactoryのOnlyOneサービス
■より良い3Dスキャニング体制を求めてBLK360とRTC360を導入
「BLK360は軽く、小さく、計測時間が速い。水平精度調整後、機器を据えてボタンを押すだけ。腰をかがめないと人が入れない狭い機械室で、配管の現況図を作成する案件でも活用しました。RTC360は、計測時間がBLK360よりもさらに速く、水平精度をチルト補正で自動管理する。さらに画期的なのは、タブレットに点群データが飛んできて、計測位置をその場でリアルタイムに確認できること。事務所に帰ってパソコンにデータを読み込み後、『しまった、ここもとっておけばよかった』といった、計測忘れや計測漏れが生じにくくなり、非常に効率がいい」と上嶋氏。事務所に帰って行う緻密な点群データの合成処理も微調整だけで済むため、作業時間は他機種の半分程度に激減した。8,000㎡ほどの別荘地の現況敷地計測でも、RTC360のこうした特長が発揮された。
「たまたま人も機器も出払っていたので、私が1人で出向いて2時間程度で計測しました」と上嶋氏。
現場は樹木がたくさん生えて「林」状態になっていた。林は、計測位置の特徴が分かりにくいが、RTC360はスキャニングの軌跡が分かるため、計測位置の重なりを把握しやすかった。上嶋氏は、ターゲットなしで、その場でざっくりした合成を行うノンターゲット計測で、効率よく27地点のスキャニングを完了したという。
林の中の別荘地をRTC360で現況計測
「林のようなところは、RTC360の利用が
非常に効果的でした」と上嶋氏。
特徴がない「林」でも複数の点群データを
楽に事前合成できた。
BLK360とRTC360にて
配管設備を現況計測
スキャンして取得した点群データ
点群データをBIMソフト「ARCHICAD」
(GRAPHISOFT社)に取り込んで3Dモデルを作成
■複数機種の組み合わせで、最適な計測計画を立案
「MS50とC10だけでは、精度は担保できますが、計測作業時間がかかります。かといって、機器台数を増やす発想では、効率よい計測はできません。RTC360やBLK360をうまく組み合わせることで、計測時間の合計を圧倒的に短縮できるようになりました。あくまでもお客様が何を必要としているかを出発点にして、持ち時間と各機器の仕様とを最適に組み合わせる工夫をしています」と上嶋氏。
「製品がいくら高精度だといっても、ラインアップをそろえるだけで高精度なデータを取得できるわけではありません。精度を保つのはあくまでも『人』であり、『会社』です。いまだに『正解』はないと思いながら、決められた日数と条件の中で、最大限に精度を追求しているのです」と上嶋氏は言う。
ノウハウは自社開発したソフトにも凝縮されている。U’s Factoryは、点群データからノイズ処理の自動化や、3Dモデル作成時間のかかる敷地やパイプ形状などを3自動生成するプログラムを独自開発してきた。現在は、点群計測と360 度カメラで撮影したデータで測量を行い、3D CADモデルを作成する「Info360」、3DCADモデルおよびオブジェクト自動生成機能を使って積算・集計を自動化する「BI for ARCHICAD」という2つのソフトを、開発、販売、サービス提供している。
「点群データ活用は、土木・建築業界の改革に不可欠な要素です。点群データの活用範囲が拡大し、ビジネスとして市場が活性化していくことに役立つなら、当社ソフトとライカジオシステムズ製品をパッケージングして、同業他社へ提供することも考えていきたい」と上嶋氏は意欲的に語る。
最終更新日:2021-04-15
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