設備業積算見積システム「みつもりくんPRO」
積算業務について長年使用してきた自社開発システムからパッケージソフトに切り替えた高砂熱学工業(株)。導入に当たっては、自社開発、アウトソーシングとも比較検討を行ったという。パッケージソフト導入の効果と、そのメリット・デメリットについて伺った。
会社概要 高砂熱学工業株式会社
所在地:東京都千代田区
資本金:131億3400万円
情報システム本部 システム企画部 東京本店 見積部
部長 落合 弘文氏 主査 宇野 圭介氏
導入のきっかけ
-元々、積算システムは自社開発されて
いたそうですか?
「当社は長年自社用に開発したシステムにて積算、見積り業務を行っていたが1997年の入れ替え時期に社内外への対応で自社開発とアウトソーシングを検討した結果、時間とフォローの点から(株)コスモ・ソフトの「みつもりくんPRO」を導入しました」(落合氏)
自社開発ソフトとパッケージソフト
-なぜ、長年使い続けた自社システムからパッケージソフトに切り替えたのですか?
「システム化計画当初は当社の要求に合致する見積ソフトが市場化されていなかったため自社開発したが、2000人規模の工事会社である当社では社内でのプログラム開発・バージョンアップや維持管理に継続的に人材を投入することには限界がありました。
見積システム再構築の検討時にはある程度のカスタマイズで使用できそうな見積ソフトが複数市場化されていたこともあり、社内開発・メンテの人件費等を比較検討した結果、パッケージソフトを採用することに決定しました。
パッケージソフトのメリット
1)システムの維持管理に関わる社員が少数で済むこと。
2)機能向上にベンダーとして取り組んでもらえること。
3)OSのバージョンアップ対応がベンダー側で行ってもらえること。
パッケージソフトのデメリット
1)汎用ソフトであることによる機能の過多があり、ソフトの操作が難しく専任者が必要。
みつもりくんPROを選択したポイント
1)システムカスタマイズに関して、ベンダーの前向きな対応が期待できたこと。
2)商品レパートリーも多く、さまざまな工種、規模の異なる企業への導入実績があり、積算業務への知識が高かったこと」(落合氏)
みつもりくんPROの紹介
-みつもりくんPROの特長は?
「ここで当社の導入した「みつもりくんPRO」について紹介します。このソフトの特長としては、以下の4点が挙げられます。
1.資材にあわせた拾い機能での拾い作業の時間短縮
2.積算条件の社内基準の作成による原価、見積書の適正金額の管理と標準化
3.ネットワーク環境下での見積り物件やマスタデータなどの一元管理による情報共有
4.見積書や作成過程の帳票類から作成したCSVデータやExcel出力を転用した資料作成
下記に具体例を紹介します。
1.充実の拾い機能
資材に合わせた拾い画面の設計や特化機能の付加により従来のシステムにはない正確、快適な拾い出し作業が行えます。
① マウス拾い
図面をコンピュータで直接計測することにより、数量表からの入力ミスなどのケアレスミスの防止と設計変更時の対応が容易になりました。
② 外部データの読込み
CI-NET(建設業向け電子データ交換の標準規約)、日空衛ファーマット等による外部とのデータ交換の取り込み、出力がともに簡易に行えます。上記機能を利用することにより、協力業者からの見積書の転記作業が軽減され、また入力ミスの防止にもなっています。
③ 機器・器具拾い
機器や器具は、機器表を基に雛型を利用して拾い出すのですが、機器のフォーマット化による必要能力取り込みにより作業が軽減できます。
④ 拾い作業のサポート機能
拾い作業を工事項目別に複数ユーザーで同時に行い、拾い出した拾いデータをまとめる「拾い結合」やCADの集計データを取込み、拾いデータに変換する「CAD連動」などの機能も充実しています。
2.物件対応の条件設定や仕様変更
自動見積処理を実行する前に予め登録している継手率や附属品率、保温/塗装仕様などを特記仕様書に準じた仕様に変更可能です。設計変更やVE提案、コスト削減提案等が簡単な部材変更や仕様変更で容易に行えます。
3.見積書編集、増減見積検討
自動計算のスピードが以前のシステムより速くなっています。また、作成した見積書に対しての拾い数量を各項目でマイナス数量、単価、プラス数量、単価に変換できるため、増減見積作成が容易になっています。自社のシビアな原価把握や提出先からの要請に合わせた見積金額で利益が確保できるかなどを各項目別に現在の原価金額、見積金額からシミュレーションが行え、シミュレーション結果を見積書に反映させることができます。
4.見積物件、マスターなどの一元管理
物件の集中管理とデータ分析による概算見積、VE/CD提案への活用が可能です。以前作成した物件と同じ仕様の物件の見積であれば、以前作成した物件を利用することで作成作業を軽減できます」(宇野氏)
みつもりくんPROを導入して
-実際にパッケージソフトに切り替えていかがですか?
「導入当初は、フレキシビリティの高さが魅力でありながら、反面ルールを作成するなど、ある意味大変でした。今現在は、ルールも浸透し、操作性や機能アップについてもバージョンアップでの対応が図られており、自社仕様のみつもりくんの完成度もあがり、充実してきています」(落合氏)
これからについて
-今後の積算・見積業務とシステムについて
「これまでは会社内部の見積業務の生産性を向上させることに注力していれば良かった時代でした。これからはデータの活用を進め、見積以降の業務の生産性向上を図ることが必要となっています。また、機器メーカーや設計事務所を含む設備業界全体として機器仕様などの共通データ化を図り、データ流通の効率化を進めていくことが必要となっています。
見積書のデータを見積以降の業務で活用することで業務の効率化を進めることができると考えています。このためにコスモ・ソフトには見積ソフトだけでなく、見積データの応用ソフトの開発にも協力していただきたいと考えています」(落合氏)
最終更新日:2019-05-14
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